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第9章 温泉街リリーシア

第98話 久しぶりのクエスト活動

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朝起きて朝食を食べ、真っ先にギルドに向かった。理由はシルのランク上げだ。パーティーとしてクエストを受ける場合には総合したランクでしか受けられないことになっている。

さらにF、Eランクに関しては寄生の可能性を無くすために上のクエストを受けられない。つまりFランクのクエストしかできない。

 「すいません、手間取らせてしまい。」

 「いや、気にしなくていいよ。仕方ないことだし。」

ギルドに入り、クエスト一覧を見る。Fランクで受けられるクエストはかなり限られてる。採集や調査、中には街の仕事もある。実質Fランクはまだ冒険者ではないらしい。そのためモンスターを狩るクエストは少なく、ゴブリンとスライムしかない。

 「うーん、採集をいくつかまとめて受けるのが効率いいかな?」

 「そうですね、ルーはまだ幼いのでなるべく常識を早いうちから身につけておく必要がありますしね。」

 「そうか、たしかに…な。」

簡単に納得できた。ルーはもうすでにギルド内をうろちょろしており、時折女性冒険者に声をかけられて、その度にばさっと羽を広げたりと遊んでいる。

 「すいません、これらのクエストを受けます。」

 「はい、わかり……!?こんなに受けるんですか!?」

 「?ええ、そのつもりです。」

 「……わかりました。ただ期限はしっかりと守ってくださいね。」

受付さんはクエストの量に驚いた様子だった。今回受けたのは[リーティ草採集][グラン鉱石の採掘][ゴブリン討伐]を受けた。期限は今日中にとのことだ。

 「でもこんなに受けて大丈夫ですか?鉱石とかはなかなか大変ではないですか?」

 「ああ、それなら心配ない。すぐに言いたいことがわかるから。」

まあ、うちのスライム達に任せれば楽勝だろう。むしろリーティ草の方が少しめんどくさいかもしれない。あとで調べておかないと。

 「行く前にちょっと食材を買いに行っていいか?」

 「?はい、大丈夫で……あ、ルーですか。」

 「うん、とてもじゃないけどあの量を外で作るのは骨が折れる。」

ルーは今日の朝食の時でさえパンを12個は軽く平らげてしまい、宿屋の人も困ってしまった。しかもまだ足りなかったようで仕方なく肉と野菜を煮込んだスープを作って食べさせた。昼食、夕食となればさらに量は増えるだろう。そのためすでにできている食べ物を買い込んでおく。

 「すいません、パンを20個ほどください。」

 「はいよー、ええ!?20個!?」

パン屋に行くと、早速驚かれてしまった。

 「そんなに食べるのかい?見たところ君とあとはお嬢さん2人ぐらいだろ?」

 「ああ、昼ごはんと夜ご飯ようになるべく先に買い込もうと思いまして。量は大丈夫ですか?」

 「そこは問題ないけど、金はあるのかい?しめて3600ダリルになるよ。」

3600か。なら特に問題ないな。普通に支払うとなぜか店主は驚いた様子だった。

 「準備できたし、まずはリーティ草の採集から始めようか。」

 「はい、その薬草なら私知っていますので時間はそこまでかからないと思います。」

おお、さすがはシル。この世界の知識に関しては大きく劣るから本当に助かるな。

俺たちは門から出て採集エリアに向かう。途中マンダのレンタルがあったが断ってマロの重力魔法を使って降りた。シルとルーは自身の翼や羽を使って降りていた。その様子はまさに天空から来た天使とその使徒そのものだった。白と銀色の羽が太陽の光に照らされとても幻想的な雰囲気を醸し出していた。

 「リーティ草は火山地帯に生える珍しい種類で主に病気用の薬に使われるものなんです。」

 「ピューー、」

リーンはシルにリーティ草について講義を受けていた。薬草についての興味はスライム1倍にあるリーンだからな。この間、ルーは俺が監視していた。ただふらつくクセがあり、その辺の木の実を平気で食べようとしてしまうぐらいだ。

 「これがリーティ草です。この葉の先が緑から赤色に変わってるのが特徴です。」

シルとルーはリーティ草を手に取り観察していた。ほかのスライム達はテイロ主導の下リーティ草の採集をしていた。頼もうかなーと思っていたところにすでに編成を組んで探しに行ってた。その間アクアとマロでルーの相手、遊んでいた。

 「シンジ様、リーティ草はどのくらい必要なのですか?」

 「ええと、20本でいいらしい。」

一応テイロに行く前に伝えてはいたけど、シル達に伝えるのは忘れていた。あれだけ熱中している中水を差すようなことはしたくないからな。しばらくルー達と遊んでいたらテイロ達が戻ってきてきっちり20本持ってきてた。そして腕をゆらゆらと揺らして頑張りました!と言わんばかりだ。

 「うんうん、よく頑張ったな。」

一列に並んだスライム達を1匹ずつ撫でていく、最近はこれの頻度が多くなってきていて、20分は平気でかかる。

 「ピイー!」

 「うわっと、どうしたルー?……ああ、ルーもやって欲しいのか?」

 「ピイー♪」

最後のミニスライムを撫で終わるとルーが横からズサーと飛びついてきて頭を俺の胸あたりにスリスリとなすりつけてきた。頭を撫でると恍惚な表情を浮かべるルー。心なしか羽がより一層輝いて見える。

 「これでリーティ草は終わったし、次はどうするか、」

 「ではゴブリンを探しに行きますか?このあたりに出没するそうです。」

 「そうか、それじゃあゴブリン探しに向かうぞ。」
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