上 下
96 / 195
第9章 温泉街リリーシア

第95話 温泉街

しおりを挟む
 「やっと着いたな。温泉街、リリーシア。」

あの後も火山地帯による猛暑に悶えながらなんとか入り口と思われる場所についた。

 「身分証を提示しなさい。」

門番の兵士がそう声をかけてくるので、ギルドカードを見せる。

 「うむ、よろしい。そこの女性と子供は?」

 「あ、実は田舎から来た人でしてまだ持ってないんです。これから作る予定です。」

忘れてたー。天使だから持ってるわけがなかったな。シルも武器を持たずに大丈夫だと表現する。

 「そうか、そこのハーピーはちゃんとしつけられてるよな?街で暴れられたらすぐに捕まるから気をつけるように。」

 「はい、ところで私たちはこれからどうやって街の中に入るんですか?」

 「ああ、見たところ重い荷物も無いみたいだから、ここから登ってくれ。」

兵士に促されてついていくと、そこには大きな魔方陣が貼られていた。

 「この上に乗って魔力を流せば風魔法で体を持ち上げて街まで上げる。お前らなら問題ないだろう。」

そう言いながら、ある器具を渡してくる。

 「これは……パラシュート?」

 「ん?パラシュート?なんだそれは。これは[マンダ]と言ってこれを広げると風の力を受けて空に浮かぶ器具だ。」

 「これはどうやって使うんですか?」

 「ああ、これはここの紐を引っ張ると中から帆みたいなものが出てくるからそれに風を受けさせるんだ。」

説明はまさにパラシュートの使い方だった。上からか下からかの違いはあったが。

 「それじゃあまずここに立って、足元に魔力を流してくれ。」

スライム達を肩や腕に乗せて魔力を流すと、魔方陣が光りだす。そしてかなり強い風が吹いてくる。

 
「よし、あとは紐を引っ張れば出発だ。」

ビュオーーーーーン

 「「おおーーーーー」」

帆の部分が風を受けて一気に飛び始めた。

 「ピイー♪」

器用だな。ルーはパラシュ....マンダをつけてなかったけど羽で綺麗に飛んでる。嬉しそうに飛んでいる。そういえばこれまで一度も見たこと無かったけど飛び回りたかったのかな?

~~~~~~~~~~

 「これはマロの重力魔法でいいな。」

マンダにまさかのレンタル料がかかった。たぶん重力魔法でも同じことが出来ると思うし次からは借りないとこ。

 「つきましたね、ここが温泉街ですか。」

周りは屋台が置いてあるが、その向こう側には温泉の湯気みたいなものが見える。川のような温泉も流れており、温泉街で有名と言われてもおかしくない景色だ。

 「いまからどうしますか?」

 「ああ、先にギルドに行こうか。シルの冒険者登録しないといけないし。」

 「わかりました。」

ギルドに向かう途中ルーが「ピイー....」と屋台のご飯をおいしそうに見ていた。そのたびにシルは「仕方ないわね」と言いながら買っていた。(俺の金だが)

~~~~~~~~~~

 「ここがギルドかな。意外と見た目は変わらないんだな。」

街の雰囲気にあわせた外観かなと思ったが、キエハナとかのギルドと変わらないものだった。よく考えれば同じじゃないとわかりにくいな。

バタン!

ドアを開けるといっせいにこちらを見てきた。たぶん初顔だからかな。とりあえず受け付けの方に行こう。

 「あ、こちらに来たのは初めてですか。」

 「はい、実はこの人の冒険者登録をしたいと思いまして。」

 「わかりました、それではこちらにお名前を書いてください。」

シルは受付さんの指示に従いながら記入していく。

 「このハーピーの女の子はシノ族の子ですか?」

シノ族?

 「はい、」

 「珍しいですね、シノ族は人間になつくことが少ないのでこうして従魔として引き連れることが無いんですよね。」

シルが小声でこう話す。

 「ここで神鳥種だというのはまずいと思いまして。ここはルーに申し訳ないんですがシノ族だという設定にしてもらおうと思います。」

確かに神鳥種と言うことはフェンリルがいるといってるようなものだし隠したほうがいいのか。

 「この後はなにかクエストを受けますか?」

 「いえ、今日は受けるつもりは無いです。明日また来ます。」

 「わかりました、まだまだこれからだとは思いますがこれから冒険者として頑張ってくださいね。」

ん、言い方に少し棘がある気がする。リリアさんが言ってたことかな。最初もこんな感じの反応はあったけど久しぶりだな。

 「この後はどうしますか。」

 「一旦従魔でも一緒に泊まれる宿を探してから、温泉街を楽しむかな。」

ギルドをでてとりあえず宿屋が集中している道の方に入る。大きい宿屋だと5階ぐらいある。泊まる団体は冒険者以外にも観光で来る人たちも多いそうで、そのためこの街の宿屋産業がかなり発展しており、競争もなかなか激しいらしい。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~

乃神レンガ
ファンタジー
 謎の白い空間で、神から異世界に送られることになった主人公。  二重取りの神授スキルを与えられ、その効果により追加でカード召喚術の神授スキルを手に入れる。  更にキャラクターメイキングのポイントも、二重取りによって他の人よりも倍手に入れることができた。  それにより主人公は、本来ポイント不足で選択できないデミゴッドの種族を選び、ジンという名前で異世界へと降り立つ。  異世界でジンは倒したモンスターをカード化して、最強の軍団を作ることを目標に、世界を放浪し始めた。  しかし次第に世界のルールを知り、争いへと巻き込まれていく。  国境門が数カ月に一度ランダムに他国と繋がる世界で、ジンは様々な選択を迫られるのであった。  果たしてジンの行きつく先は魔王か神か、それとも別の何かであろうか。  現在毎日更新中。  ※この作品は『カクヨム』『ノベルアップ+』にも投稿されています。

追放されたテイマー半年後に従魔が最強になったのでまた冒険する

Miiya
ファンタジー
「テイマーって面白そうだったから入れてたけど使えんから出ていって。」と言われ1ヶ月間いたパーティーを追放されてしまったトーマ=タグス。仕方なく田舎にある実家に戻りそこで農作業と副業をしてなんとか稼いでいた。そんな暮らしも半年が経った後、たまたま飼っていたスライムと小鳥が最強になりもう一度冒険をすることにした。そしてテイマーとして覚醒した彼と追放したパーティーが出会い彼の本当の実力を知ることになる。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

外れスキル『レベル分配』が覚醒したら無限にレベルが上がるようになったんだが。〜俺を追放してからレベルが上がらなくなったって?知らん〜

純真
ファンタジー
「普通にレベル上げした方が早いじゃない。なんの意味があるのよ」 E級冒険者ヒスイのスキルは、パーティ間でレベルを移動させる『レベル分配』だ。 毎日必死に最弱モンスター【スライム】を倒し続け、自分のレベルをパーティメンバーに分け与えていた。 そんなある日、ヒスイはパーティメンバーに「役立たず」「足でまとい」と罵られ、パーティを追放されてしまう。 しかし、その晩にスキルが覚醒。新たに手に入れたそのスキルは、『元パーティメンバーのレベルが一生上がらなくなる』かわりに『ヒスイは息をするだけでレベルが上がり続ける』というものだった。 そのレベルを新しいパーティメンバーに分け与え、最強のパーティを作ることにしたヒスイ。 『剣聖』や『白夜』と呼ばれるS級冒険者と共に、ヒスイの名は世界中に轟いていく――。 「戯言を。貴様らがいくら成長したところで、私に! ましてや! 魔王様に届くはずがない! 生まれながらの劣等種! それが貴様ら人間だ!」 「――本当にそうか、確かめてやるよ。この俺出来たてホヤホヤの成長をもってな」 これは、『弱き者』が『強き者』になる――ついでに、可愛い女の子と旅をする物語。 ※この作品は『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも掲載しております。

おばあちゃん(28)は自由ですヨ

七瀬美緒
ファンタジー
異世界召喚されちゃったあたし、梅木里子(28)。 その場には王子らしき人も居たけれど、その他大勢と共にもう一人の召喚者ばかりに話し掛け、あたしの事は無視。 どうしろっていうのよ……とか考えていたら、あたしに気付いた王子らしき人は、あたしの事を鼻で笑い。 「おまけのババアは引っ込んでろ」 そんな暴言と共に足蹴にされ、あたしは切れた。 その途端、響く悲鳴。 突然、年寄りになった王子らしき人。 そして気付く。 あれ、あたし……おばあちゃんになってない!? ちょっと待ってよ! あたし、28歳だよ!? 魔法というものがあり、魔力が最も充実している年齢で老化が一時的に止まるという、謎な法則のある世界。 召喚の魔法陣に、『最も力――魔力――が充実している年齢の姿』で召喚されるという呪が込められていた事から、おばあちゃんな姿で召喚されてしまった。 普通の人間は、年を取ると力が弱くなるのに、里子は逆。年を重ねれば重ねるほど力が強大になっていくチートだった――けど、本人は知らず。 自分を召喚した国が酷かったものだからとっとと出て行き(迷惑料をしっかり頂く) 元の姿に戻る為、元の世界に帰る為。 外見・おばあちゃんな性格のよろしくない最強主人公が自由気ままに旅をする。 ※気分で書いているので、1話1話の長短がバラバラです。 ※基本的に主人公、性格よくないです。言葉遣いも余りよろしくないです。(これ重要) ※いつか恋愛もさせたいけど、主人公が「え? 熟女萌え? というか、ババ專!?」とか考えちゃうので進まない様な気もします。 ※こちらは、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります

古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。 一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。 一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。 どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。 ※他サイト様でも掲載しております。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます

ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。 何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。 生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える そして気がつけば、広大な牧場を経営していた ※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。 7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。 5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます! 8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!

処理中です...