スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya

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第8章 なびく銀色の風

第93話 シルとルーのコンビネーション

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 「おはようございます。」

 「ん?ああ、おはよう。」

朝起きてスライムベッドから起き上がると、すでにシルは起きていたようで、お茶を持ってきてくれた。普通のお茶だ。

 「あれ?ルーは?」

 「ああ、まだ寝てます。すごい寝相で布団がすぐ飛んでったりして大変でしたよ。」

そう言ってため息をつくシル。だけど顔色は悪くない。というか出会った時のあの衰弱した時がとんでもなく顔色悪かった。

 「あと1時間ぐらいしたら出発するから準備してね。」

 「あ、わかりました。」

シルの出会いで多少の時間ロスが発生したがそれ以上の利益は見込めるだろう。シルはルーを起こしにベッドの方に向かった。

~~~~~~~~

 「はははぁー、」

シルの目のハイライトが消えている気がする。目の前ではテイロ主導の下家の解体がされている。常日頃思うが職人レベルの出来だ。建築木材は綺麗に貼っついている部分だけを切り取っているから痛めてないし、力強いため運搬も問題ない。

ミニスライムたちもなかなかの技術を持っており、テイロが切っていく木材を綺麗にカバンに運んだり、石造りの浴槽も綺麗に解体する。体の中に取り込むこともできるためスムーズに進む。

 「ピイー、」

 「きゅー、」

ルーは特に何も思ってないようでマロと遊んでいる。マロが重力魔法で重くした後、頑張って飛ぶというよくわからない遊びをしている。

そんなこんなで家の作業が終わり、テイロが戻ってきて終わったことを伝えにきた。

 「ありがとう。それじゃあ行こうか。おーいマロ!」

遊んでいるマロを呼ぶ。まだ地面の汚れを落とせないため頭の上が定位置だ。呼ばれると嬉しそうに跳ねて頭の上に乗っかる。

~~~~~~~~

歩いて30分後、特に何もなかった移動だったが前にサーペント系のモンスターが現れた。

 「これはブラッドサーペントですね。確かDランクで噛みつきが特徴のモンスターですね。」

 「なるほど、だったら遠距離がいいのか?」

 「はい、ここは私が倒してみてもいいですか?この力を早くためしたいですし。」

 「わかった。じゃあ外から見てるから頑張ってな。」

だけどシルはそこまで強くなってたかな?Dランクのステータスがわからないからなんとも言えないが。それに弓も今はないし。

 「ルー、ちょっといい。」

 「ピイー?」

シルはルーを呼ぶと小声で何かを説明し始める。しばらく話した後ルーは「ピイー♪」とわかったようでシルから離れるとブラッドサーペントの方に体を向ける。

 「いくよ!ルー!」

 「ピー!」

シルは風魔法で銀の風を出し1匹のブラッドサーペントに当てる。しかし、威力不足かブラッドサーペントはダメージを受けてもそこまでの様子。

 「シャー!」

ブラッドサーペントはシルの方ににじり寄りシュバッとシルの方に跳んでいく。噛みつきだ。

 「ピイー!」

だが跳んだ瞬間、ルーが横からブラッドサーペントに羽で攻撃した。ブラッドサーペントはかなり遠くに吹っ飛びKOされた。

 「やった、やったよルー。」

 「ピイー♪」

シルとルーは抱き合って嬉しさを分かち合ってるが後ろから仲間と思われるブラッドサーペントが飛びかかってきた。

 「『バーストフレイムショット』」

俺はブラッドサーペントの頭部めがけて火魔法を撃ち1発で倒す。

 「油断しちゃダメだろ。」

 「すいません。ちょっと嬉しくて、つい。」

注意するべきなのだろうけど、シルはゴブリンしかまともに戦えなかったって言ってたし嬉しくなるのもわかる。不問にしようかな。

 「それにしてもルーはまだ生まれたばかり?かわからないけどまだレベル1なんだよな。」

 「はい、でもルーは神鳥種なので元からステータスはとても高いんです。多分Bランクぐらいあるんじゃないですかね。」

 「ピイー!」

ルーも『強いの!』と言うように胸を張る。

 「そうか、それじゃあ解体して進もうか。」

 「ここで解体するんですか?サーペント種の解体はなかなか難しいはずでは?」

 「解体はアクアの十八番だからな。アクア!ブラッドサーペントの解体頼んでいい?」

『任せて』と腕をあげると体を伸ばしてブラッドサーペントを丸々飲み込む。しばらくした後ポンと体から肉と魔石と皮が吐き出された。

 「すごい!!しかもこんな完璧に、しかも血抜きにいたっては臭いが全くしない。」

そんな褒め言葉に『これが私の実力よ!』と誇示するようにぴょんぴょんと上下に跳ねる。

~~~~~~~~

その後もシルとルーの巧みなコンビネーションによって数多くのモンスターが倒されていった。ルーが飛んで上に注意をそらしたところをシルが風魔法でとどめを刺したりといろんなコンビネーションも見ることができた。

 「……」

 「?どうかした?シル。」

シルが手のひらを見て何かを考えている。

 「なんかやけに力が入ると言いますか、魔法の威力も高くなってる気がするので。ちょっとステータス見ますね。」

シルはそう言ってステータス画面を写す。

名前:シル
種族:天使
年齢:15
レベル:26
HP642/642
MP821/852
職業:無し
魔法:風魔法12、光魔法8、
スキル:天使の加護エンジェルスキル、従魔間念話
称号:シンジの従魔
召喚使徒:ルー(神鳥種)

 「むちゃくちゃ強くなってないですか!?」

あー、この反応なんか懐かしいな。俺も最初はそんな感じだったなー。

 「ああ、これは俺のスキルの『成長』で確か5倍経験値が入るんだ。」

 「5倍ーー!?!?!?」

森にシルの叫びが響き渡った。
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