スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya

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第8章 なびく銀色の風

第89話 強く……なってる

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 「ふふふ、可愛い。この子。」

 『ありがとう!』

 「え!?声が聞こえた!?というか頭の中に直接響いてきた?」

「何があったの?」

 「あ、突然このエンジェルスライムの声?らしきものが頭に響いてきたんです。」

うーーん、どういうことだ?想像するに異世界でお馴染みのかもしれないけど、俺はそれが伝わったことないからわからないな。

 「とりあえずステータスを見てもらってもいい?」

 「え、あ、わかりました。」

これで何かしらわかるだろう。スキルとかが増えていると思うが。

 「!?な、何これ!?」

 「どうかした?」

驚いた彼女に慌てて聞いてみると、なぜかまた涙を流しながらこう答えた。

 「私……強く……なってる。」

 「!?」

どういうことだ?いや強くなっている理由は俺のテイムだろうけど泣く理由がわからない。

 「すまないけど君のことについて聞かせてもらってもいいかな?」

 「……わかりました。」

そう言って彼女は静かに生い立ちについて話し始めた。

彼女は天界の天使で、天使としてはあまり強くないらしい。むしろ天使の中では最弱に位置していたらしい。

そして人間界の調査をしていたところ食事や睡眠はまともに取れてなく、魔力も枯渇寸前のところにさっきのモンスター、ベアオーグリズリーって言うのに襲われたらしい。

 「そういえば名前をまだ教えてなかったね。俺はシンジ=タダ。君は?」

 「私はシルです。」

 「名前だけ?」

 「?……あ、はい!一介の天使には苗字がないんです。位が高いとあるんですけどね。」

 「そういうことか。ステータスを見せてもらってもいい?」

そう聞くとシルは手を差し出しそこから半透明なプレート、ステータスが表示される。

名前:シル
種族:天使
年齢:15
レベル:6
HP250/250
MP321/321
職業:無し
魔法:風魔法9、光魔法8、
スキル:天使の加護エンジェルスキル、従魔間念話
称号:シンジの従魔

 「へえー、でも風魔法とか光魔法とかこんなに使えるのに弱かったの?」

 「あ、いえ。もともと使えないんです、私。」

 「ええ!?」

元のステータス聞いたらHPとか50しかないって言ってた。そりゃゴブリンが限界ですわな。

 「君はこれからどうする?」

 「え?」

 「こうしてテイムしてしまったけど、元々任務できてるんだろ?だから戻らないといけないかもしれない。」

 「そ、それは。」

 「俺は強制する気はない。けど君が良かったら一緒に旅をしないか?」

俺は彼女の話の1つに無能として生まれてきて仲間がいないって言ってた。だからこんな結果が生まれたのかもしれない。だから俺は一緒に旅をしたいと思った。

 「……私はもしあの時助けられてなかったらもう生きていない。命の恩人の頼みを聞くのは当たり前です。」

顔を下げながら喋っていた彼女の顔が起き上がりその綺麗な銀髪が舞う。

 「こんな私でよければお願いします。」

 「ああ、よろしく。」

~~~~~~~~

 「それでこの家ってどうなってるんですか?」

シルが突然質問してきた。まあ、当たり前か。

 「これはテイロが……おーい!テイロ!ちょっとこっち来て!」

紹介するためにテイロを呼ぶ。テイロはぴょんぴょんと来る。

 「こいつが主任で家を建ててくれたんだ。」

『いえいえ、あっしはまだまだですよ。』と謙遜するように腕を動かす。

 「へえー、こんな綺麗なおうちを建てるんですね。すごいです。」

 「あ、いや。これ割と小さめなんだ。」

 「え?」

 「前にキエハナにいた頃は二階の上地下室まであった家を建ててくれたんだ。」

 「え……」

シルは驚いたのか言葉を詰まらせた。いやまあ、普通に考えればそうなんだけど、俺最近感覚くるってきてるよな。

 「それじゃあこのベッドとかは?」

 「それはリーンが作ってくれたんだ。」

『はい、ベッドは初めて作りましたがお気に召したでしょうか?』とシルに感想を聞く。

 「え、あ、はい!とても上質なものでした。」

そう答えるとリーンは嬉しそうにぴょんぴょんと跳ね始める。

 「それにしても直接話しができるのか。」

結構便利だったりするのかな。俺も別に会話というか意思疎通はできるけど、念話かー。ちょっと気になったりするな。

 「へえー、マロちゃんは美味しい薬草が好きなの?名前はわからないの?」

今でもシルはマロとおそらく会話をしている。(はたからみると一方的に話しかけてるだけに見える。)

 「シンジ様、マロちゃんにあげている薬草ってなんですか?」

 「し、シンジ様!?」

 「はい、何か問題でも?年上ですし命の恩人なんですから。」

 「そ、そうか。薬草だったな。基本あげてるのは霊薬草だな。時々ユカーリ草とかかな?」

 「霊薬草!?」

 「ど、どうかした?」

 「霊薬草ってあの貴重な霊薬草ですよね!?」

 「た、多分あってるはずだ。ほら。」
 
カバンから1つ出してみせる。するとシルは霊薬草をまじまじと見つめる。

 「確かにそうですが、どうやって手に入れてるんですか?なかなか見つからないはずじゃ、」

 「ああ、霊薬草はリーンが管理者で栽培しているんだよ。」

 「えええーーーーー!?」

このあと話を聞いたら霊薬草の栽培は成功例を聞いたことがないらしい。理由は未だに最適な環境がわからないらしい。
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