スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya

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第6章 キエハナ編

第73話 焦る、

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 「くっ!」

暗い階段から登って俺の体に光が当たった瞬間にそこは砂埃となった。

~~~~~~~~~~~

 「なっ!?」

大丈夫かシンジ。相手パーティーの一斉魔法射撃をモロに食らってしまった。

 「きゅー!!」

 「あ、こら!静かにし...!?」

マロちゃんを抑えようとしたけど、これは...リーンちゃんがマロちゃんに触手を伸ばしてフィールドに出て行こうとするのを抑える。そしてしばらく触手を動かすと何かを察したのかマロちゃんが急におとなしく見守るようになった。

本当に驚かされることばかりね。まずスライムを従魔として扱うことすら稀、まして戦闘や日々の暮らしの中でも助けることなんてまずありえない。それこそ童話に出てくる人々の想像した姿そのものだ。さらにここまで感情豊かだなんて。

て、そんな話をしている暇は無い、シンジはどうなったんだ。周りからは多少ブーイングが聞こえてくる。あのパーティーはたしかに最近上がってきているが、あんまりいい噂は聞かなかったからな。いきなり魔法を打ち込むとは。おそらく元々の予定だったんだろうな。

~~~~~~~~

 「いてて、」

おそらく3割ぐらい削られたかな。まあ、防御なしで受けてしまったからこのぐらいで済んでましとも言えるか。そう考えて服についた埃をパンパンと払いながら歩みを進める。

 「よく今ので倒れなかったわね。それでこそ私たちのパーティーに入るのにふさわしい。」

 「なんで俺が入ることになってるんだ。」

そんな会話をしているうちにさっきまで前には4人いたが、いつの間にか二人移動していた。

 「悪く思わないでよね。これは言ってみればそれだけあなたにこのパーティーに入って欲しいってことなのよ。」

そうエルーが言うやいなや後ろの二人が攻撃し始める。後ろに行ったのは剣士と魔法使いという前衛後衛に分かれておりなかなかいい布陣だった。

 「くらえ!」 「『ファイアーアロー」」

剣士が飛び出してきて、その横を数本の火の矢が飛んでくる。

 「でや!」

火の矢を剣で消しとばして、剣士の斬撃を交わしてそのまま蹴る。

 「がは!」

いてて、後ろから殴られたのか。蹴る直前に背後から武闘家が飛び出してきて背中を殴られ、吹っ飛ばされてしまった。すぐに風魔法がきたが、流石に見えているためなんとか避ける。

 「悪く無いけど、1対多はあまり慣れてないようね。」

なかなか痛いところを突かれたな。これまで1対多はやってきたことはあるが、全て一撃で倒せるモンスターばかり。1発では倒せないような多数は少しきびしい。

考えてると、さらに追撃と剣士が飛び出してくる。剣を構えて受け止めるが、そこを狙ったかのように火魔法『ファイアーアロー』がまたしても飛んでくる。ギリギリで避けると今度は後ろから武闘家が来た。

 「二度もくらうかよ……!?」

武闘家の拳を受け止めると、風魔法が後ろから飛んでくる。拳に注目していたため受け止めることが出来ずそのまま吹っ飛ばされる。

 「次はどうやりましょうかね。」

エルーは余裕の笑みすら浮かべる。

~~~~~~~~

試合が始まって10分ほどがたった。シンジの劣勢が続くばかりだ。やはり冒険者としての経験が浅いからかあまりうまく対応できてない。おそらく1対1になったら取るに足らない相手達だが、ここまでシンジにハマるとは。

 「きゅー、」

スライム達はただ暴れることなく、じっとシンジのことを見ている。さっきまでは余裕な感じを見せていたけど、今は少し焦っているのかゆったりとした雰囲気はとうに消されていた。

そんなことよりもシンジの方だ。何か打開策はないのか。このままだとあのパーティーの手のひらの上だ。なぜ彼がパーティーの参加を断ったのかはわからないが、このままだとそのプライドを守ることができなくなるぞ。

 「しかし、やっぱりあのパーティーは変わってやがるな。」

上から観客の声が聞こえる。

 「あのシンジってやつはまだ2ヶ月の新人なんだろ?なのに1対多はきついぜ。」

 「ああ、さすがあのパーティーってところだな。最初の魔法連打もそうだ。ファイティングスピリットが無さすぎるな。」

 「まぁだからこそあのパーティーが上がってきた理由でもあるな。ずるいところは否定できないが。」

このパーティーは見た目とは裏腹にかなりせこい。最初の魔法連打がそのいい例だ。だからこそ、奴らはシンジに目をつけるのが早かった。そういう意味では決して悪くはない。シンジ、どうする。

 ~~~~~~~~

 「はぁはぁ、」

全く隙が見えない。全てを何とかしのごうとするけど、必ずフリーの相手がいる。

 「もうそろそろ諦めたほうがいいんじゃないの?君は十分よくやったよ。」

 「あいにくと俺はパーティーに入る気は無いんでね。」

強がってみるが、状況は全く変わらない。いつまでも防御ばっかりしてたらきりがない。ゴブリンみたいに1発で倒せたら……!?

 「よし、」

 「これで終わりだぜ!」

剣士が走り込んでくる。俺はそれに合わせて剣を抜き応戦する。

バキン!

 「な!?」

俺は剣士の剣を切った。そして驚いている隙に飛びついてDDTを食らわす。そして剣士は完全に倒れたのかこの場から消える。
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