上 下
71 / 196
第6章 キエハナ編

第70話 付与魔法が強すぎ問題

しおりを挟む
やばいわーー。マロさん強化しすぎじゃないですか?確かリヴァイアサン『レーザーフレイム』受けて本気モードになって強化されたよね。なのに一蹴りしただけであんなに吹っ飛ぶなんて。いかんな、マロの能力が計り知れなくなってるな。そういえば、まだ子スライムだけど伝承に載るレベルの種族だったな。

 「グググ....」

リヴァイアサンが体を起こすが、それでも今までとは違いかなりゆっくりとした起き上がりだ。おそらくこの相当なダメージを予期していなかったんだろう。俺でもこんなに驚いてるぐらいだし。

 「ガーーーー!」

 「うおっと!!」

リヴァイアサンは思わぬダメージを受けたからか、早期決着で終わらせようといきなりの水ブレスに加えて、かなり高難度の水魔法を放ってきた。だが、マロの強化によって危機感の察知もより機敏になったのか、そこまであせること無く、普通に避けれた。

鞘から剣を再度抜き、魔剣に魔力を流してさらに強化する。そんな様子を見たリヴァイアサンは受けてはまずいと思ったのか俺のほうに今までで最も速いスピードで駆け寄る。それを見たアクアとテイロは駆け寄ろうとするが俺は手で必要ないと伝える。

 「よいしょ、まだまだ遅いね。」

俺は走りながら魔剣に魔力を流す。本来は立ち止まって流し込むのだが、今の俺の状態とリヴァイアサンのスピードを加味したところ、みんなにひきつけてもらうよりも俺自身でかわしたほうがいいと判断した。さすがにリヴァイアサン、何があるかわからない。今スライム達にはマロの結界の中に入ってもらってる。付与魔法で魔力上昇しているから魔剣に淀みなく流せるし、そのおかげでリヴァイアサンに集中も出来る。

 「よし、溜まった!行くぞ」

完全に魔剣に魔力が溜まりきったので、今まで背を向けていたが、今度はリヴァイアサンのほうに体を向けて剣を構える。そして走りこむ。リヴァイアサンは俺が向かってきたのにあわせて、今までで最も強い水ブレスを放ってくる。

 「『ウインドカノン』」

剣を持ってない左手で風魔法を放つ。

パアン!!

俺の風魔法でリヴァイアサンの水ブレスが一気に弾き飛ばされた。その様子に唖然とするリヴァイアサンの顔に向かって跳ぶ。

 「終わりだ!!」

俺はリヴァイアサンの首元に近づき、体をひねって回転斬りでリヴァイアサンに剣を入れる。

スパン!

リヴァイアサンの首はまるで包丁でプリンを切ったかのように切れて吹っ飛んだ。さっきは溶解液すら通らなかったあの体が、だ。リヴァイアサンは完全に沈黙して体は一気に倒れこんだ。

 「よし、これでダンジョン攻略完了だな。」

マロが結界を解くと、いっせいに俺の方に向かって跳ねてきた。装備になってくれてたミニスライム達も元のボールの姿に戻って俺の方にピョーンと跳んできた。

 「うわっぷ!!」

俺は終始スライムボディを楽しんでいた。

~~~~~~~~~

しばらくすると、リヴァイアサンの体は消え、素材がその場に現れた。リヴァイアサンの肉か。それとむっちゃ大きな魔石に、水晶みたいなものに、瓶詰めされた大量の水があった。この場では鑑定の仕様がないため、ひとまずカバンに入れておく。後、周りにあるライトももらっておく。あればなにかしらに使えるだろう。

 「それじゃあ、戻るよ。」

転送ポータルに手をかざして地上に戻る。

~~~~~~~~~

地上に戻ると、まだ夕方前だった。とりあえず急いでギルドに戻って報告しに行こう。



パタン!

扉を開けて受付さんの方に向かう。

 「すいません。ダンジョンの攻略の完了の報告をしたいんですが。」

 「あ、シンジさんですね。ギルドマスターからあなたがここに戻ってきたらすぐに来てほしいと言われてますので今からギルドマスター室にご案内しますね。」

 「あ、わかりました。」

俺は案内されてギルドマスター室に向かった。

 「失礼します、シンジさんをお連れしました。」

 「おお、ありがとう。それじゃあ受付の方に戻ってくれ。」

受付さんは失礼しますと言ってこの部屋を出た。俺はゼラさんに促されリリアさんの前に立つ。

 「まずは攻略完了ご苦労様だな。ここに呼んだ理由は君のランクとクエストが合ってないことを隠すためだ。回りくどいことをしてすまない。」

 「いえ、俺も騒ぎになるのはあんまり好ましくないので。」

 「それで、まずはダンジョンボスについて聞こうかな。」

俺は一応リヴァイアサンの見た目、技、素材を話した。

 「なっ!!それはリヴァイアサンじゃないか!!」  

本当にリヴァイアサンだったんだ。

 「というかよく勝てたな。あれはドラゴンに勝るとも劣らない、ましてこの魔石の大きさなら並みのドラゴンよりも強いぞ。まったく君というやつは。」

 「しかしギルドマスター、こうなってくると色々と厄介になりますね。」

 「ああ、そうだな。」

 「厄介なこと?」

 「リヴァイアサンが出てくるとなるとこれはもうAクラスのダンジョン指定になってくるぞ。」

ええええええええええええええええええええええ!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

公爵令嬢は父の遺言により誕生日前日に廃嫡されました。

夢見 歩
ファンタジー
日が暮れ月が昇り始める頃、 自分の姿をガラスに写しながら静かに 父の帰りを待つひとりの令嬢がいた。 リリアーヌ・プルメリア。 雪のように白くきめ細かい肌に 紺色で癖のない綺麗な髪を持ち、 ペリドットのような美しい瞳を持つ 公爵家の長女である。 この物語は 望まぬ再婚を強制された公爵家の当主と 長女による生死をかけた大逆転劇である。 ━━━━━━━━━━━━━━━ ⚠︎ 義母と義妹はクズな性格ですが、上には上がいるものです。 ⚠︎ 国をも巻き込んだ超どんでん返しストーリーを作者は狙っています。(初投稿のくせに)

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

スキルを極めろ!

アルテミス
ファンタジー
第12回ファンタジー大賞 奨励賞受賞作 何処にでもいる大学生が異世界に召喚されて、スキルを極める! 神様からはスキルレベルの限界を調査して欲しいと言われ、思わず乗ってしまった。 不老で時間制限のないlv上げ。果たしてどこまでやれるのか。 異世界でジンとして生きていく。

令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜

三月べに
ファンタジー
 令嬢に転生してよかった〜!!!  素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。  少女漫画や小説大好き人間だった前世。  転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。  そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが? 【連載再開しました! 二章 冒険編。】

処理中です...