スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya

文字の大きさ
上 下
64 / 196
第6章 キエハナ編

第63話 家で色々作ります

しおりを挟む
海で楽しいひと時を過ごした俺たちは家に戻った。途中スライム達の可愛らしい移動に魅了された子供が「わー、スライムちゃんだー。」と近づいて来た時もあったが、その時はアクアがガラスコップを出し自身の水を入れて提供していたな。それを飲む子供達はやけに元気になって帰ったな。

 「さてと、帰宅したはいいがまだ5時ごろ。夕ご飯作るにしてもまだ早いかなー。みんなは何かやりたいことがある?」

まだ夕ご飯前で手持ち無沙汰であったので他のみんなに何かしたいか聞いたところ『それでは地下室を作らせて欲しいっす。動物の毛皮の管理やリーン姐さんの薬草の実験室として使いたい』とテイロが腕を揺らす。毛皮は何に使うかがわからないな。一応カバンの中にあるから腐ってることはないんだけどな。まあリーンの実験ってのはよくわかった。

 「そうか、それじゃあテイロ頑張ってね!!俺も影ながら応援するよ。」

テイロはテンションが上がり早速床の一部を削り作業を始めた。そして先ほどテイロと一緒に城を築いていたミニスライム数匹も補佐する形で参加していた。主にテイロが掘り進めた後にならして道を綺麗に形作り階段を作っていた。

ちょっと暗くなって来たので前みたいに光魔法を使って明るくしたら突然ミニスライムの一匹がその光を取り込んでしまった。

 「え!?何やって……え!?光ってる?」

取り込んだ1匹のミニスライムはなんと体内が光っていた。どうやら俺の光魔法を取り込んだようだ。周囲はその光で照らされ明るくなった。そんな様子を見た他のミニスライム達も『俺にもください!』と足元にすり寄って来たので、ひとまず5個ほど作った。多すぎると今度は眩しすぎるからな。

20分が過ぎた頃、テイロが広さを確保し終えたのか壁などを補修し始めている。見た目はただ腕を伸ばして壁を触ってるだけだが、触った後壁が綺麗な平らになっておりヤスリ顔負けのすごさを誇っていた。

広くなったのを見たリーンが以前手に入れていた木を使って棚を作り始める。その様子を見たミニスライム達がカバンから保管したいものを取り出していきどんどん運んでいく。でも一体保管はどうするのかと思ったが、スライム達は溶解液があるからそれでカビやら埃を取ることができるそうだ。沢山の毛皮や肉、薬草などが置かれるとリーンが指示を出して各場所にミニスライム達を配置させる。そしてリーンは別にちゃぶ台を作りそこにはフラスコやビーカー、すり鉢のようなものが置いてある。これがリーンの実験室的な感じだな。

俺は今アクアに頼んで前にテイロが掘った鉱石の中にあった光の鉱石を使ってライトを作っている。ライトとは言っても溶解液を四角形に固めてその中に魔力を通した光の魔石を入れ込むだけだが。これを部屋の隅に置いて明るくしておく。

アクアはこの中で最も能力が高いため、俺の要求に満点回答に近い答えを出してくれた。細かい作業になるとミニスライム達は若干遅れを取るため悔しそうな目で見ていた。そんな視線を受けたアクアは『ふふん!これが最初に出会った私の実力よ。』と自信満々に跳ねる。

 「はいはい、アクアはすごいなー。でももちろんミニスライム達もすごいからな。ちゃんと信頼しているからな。」

とりあえず悔しそうにしているミニスライム達を撫でて落ち着かせる。

ライトづくりが完了すると、周りは綺麗な地下室になっていた。テイロ達が最後の仕上げだとタオルをリーンに作ってもらい砂を取っていた。結果35分ほどで地下室づくりが完成してしまった。なんかそろそろ感覚が狂いそうだな。普通家を建築するにしても1ヶ月かかってもおかしくはないのに。

リーンが早速実験をしているので見てみることにした。

 「リーンは何を作ってるんだ?」

聞いてみると『サイリ草と霊薬草を使って新たなポーションを作っています。体力回復と魔力回復が同時にできるか試してみようかなと思いました。』と意図を伝えてくれた。それがあったら売れるのかな?まああまりが出たらだけど。あくまでも作ってくれるのはリーンだからな。

リーンは薬草をガラス棒ですりつぶしていくと、粉状になった薬草をフラスコに入れて自身の溶解液を入れて振る。すると綺麗なポーションが出来上がった。いやこんな簡単にできるもんか?不思議に思ってるとリーンは頭の上にいるマロを呼ぶ。マロは呼ばれたので頭の上からぴょんと飛び降りてリーンの元に行く。リーンはマロに腕を揺らして何かを説明するとマロが理解したのか腕をビシッとあげると別のフラスコに自身の溶解液を流し込んだ。この溶解液はリーンと違い少し白と黄色に輝いてるように見える。それを先ほどすりつぶしたものにかけて振る。するとさっきは緑色だったのが、今度のポーションは黄金色に輝いてる。

 「これどうやったの?マロの溶解液は付与魔法が付いてるの!?」

マロには特殊溶解液があったな。あれは付与魔法を含んでいたからなのか。効能を聞いてみると、力、魔力アップの効果があるらしい。これは流石に売れないな。するとマロが足元にすり寄って『お腹空いたよー』と可愛らしく腕を揺らす。

 「ああ、もうそんな時間か。んじゃあー作るか。」

-----------------------------------------------

新しく「スライムテイマーとして生きていく」を書き始めました。もしよろしければそちらもご覧ください。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

スキルを極めろ!

アルテミス
ファンタジー
第12回ファンタジー大賞 奨励賞受賞作 何処にでもいる大学生が異世界に召喚されて、スキルを極める! 神様からはスキルレベルの限界を調査して欲しいと言われ、思わず乗ってしまった。 不老で時間制限のないlv上げ。果たしてどこまでやれるのか。 異世界でジンとして生きていく。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。 降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。 森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。 その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。 協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

処理中です...