上 下
43 / 196
第4.5章 スライムを飼う?

第42話 モンスターの卵

しおりを挟む
これはシャルケ達との一件から1週間ほどがたったん頃である。

俺は新しく剣を作ってもらうために鍛治工場に来ていた。防具も頼もうかと思ったが、『服は私達が作るので、必要ないです!!』とリーンが腕をいつも以上に激しく揺らしていたので、やめた。

剣の材料にと、テイロやミニスライム達によって加工され、綺麗な鉱石になった物を渡すと「なんだーーこりゃーーーー!?」と非常に驚かれた。俺が渡した淡い紫色を帯びた鉱石はミスリルという異世界モノにありがちな鉱石だった。話を聞くと、ミスリルはものすごい強度を持ちながら親魔力性という魔力へのなじみやすさというのが最も高い鉱石らしい。そのため魔剣にするには最適な素材らしい。

またミスリルの採掘場所もかなり数が少なく、この街ではほとんど掘りつくされたとされてたそうだ。さらに原石を加工して綺麗な鉱石にする技術は現段階ではこの街には持ち合わせておらず、別の国のある職人が持っているそうだ。そのため本来加工するには5時間をかける必要がある。それをテイロしかできなかったとはいえあっという間にしてしまったのは驚愕の事実らしい。

 「ミスリルで作るとなると3日は欲しいな。3日後にまたきてくれ。」

 「わかりました。お願いします。」

工場を後にした。テイロはかなり興味津々だったようで、待っている間もぴょんぴょんと色んなところを見ていたし、離れた時に少し名残惜しそうな様子をしていた。また来るからいいじゃん。

しばらくブラブラと歩いてたら、ミラノさん達がある店で何かを見ていた。

 「あ!ミラノさん!こんにちわ。」

 「ん?おお!シンジじゃないか。あの一件以来だな。どうかしたのか?」

 「あ、今ミラノさん達が何かしているのを見たのでちょっと来てみただけで。」

 「ああ、そういうことか。実はな……。」

ミラノさん達の前には卵が置いてあった。下にはモンスターの卵と書かれていた。

 「モンスターの卵?」

 「ああ、これに魔力を通すと孵って新たなモンスターが生まれてくるんだ。」

 「モンスターって卵生なんですか?胎生だと思ってたんですが?」

 「胎生?それはよくわからんが卵生ではないな。これは魔力によってできたもので、直接産んだわけじゃない。まだ詳しいことは分からないんだと。」

この世界に胎生って言葉は無かったのか。話を聞くと、一般的なのから珍しいものまで産まれてくるそうだ。孵る時は全ての種族が赤ちゃんから生まれてくる。まぁここはそうだな。ただあまり流通はしないし、モンスターということもありそこら辺のペットとはわけが違い、一般人や子供は簡単には飼えないそうだ。もちろん出てきたのが犬とかなら飼う人もいるそうだ。中にはドラゴンの稚児も出てきたらしい。

 「これが出たのは5日前なんだけど、誰も孵化出来ないんだよな。」

 「そんなことあるんですか?」

 「基本ないな。特性とか関係ないのがモンスターの卵だからな。極端な話、魔力適性が最低の人でも飼うことができるからな。」

なるほど、たしかにそれは不思議だな。でもこんな卵からドラゴンなんかも生まれるんだな。目の前にあるのは30センチほどの大きさだ。

 「シンジも試しに持ってみたらどうだ?持つだけなら別に金は取られない。」

 「そうですね。せっかくなんで触ってみようかな。」

卵に近づくと、さっきまでおとなしくしていたアクア達が興味津々で卵を触ったり、卵の周りをぴょんぴょんと跳ねている。

 「何が入ってるのか興味あるのかな?」

そんな可愛らしい動きを見てほっこりしながら卵を持ち上げてみる。


 パリン!

 「え?」

 「「「え!?」」」

触った瞬間卵にヒビが入った。

 パリパリパリパリ!!

 ポン!

 「うわっと、ん?」

何もいない?そんなことあるのか?

 ひょっこり

卵の底の部分に何かがいる。よく見てみると。

 「、、、スライム?かな?」

卵の底にはとんでもなく小さなスライムがいた。5センチぐらいだろうか?ミニスライムでさえ手のひらサイズはあるから相当小さい。

 「うおーーー!割れたー!」

店の中が大騒ぎになる。そんな騒ぎに生まれたばかりのスライムは困惑して横に体を動かしている。

 「ああ、落ち着いてください!!まだ生まれたばかりの赤ちゃんなんで騒ぐとびっくりしちゃいます!!」

 「あ、ああ、おいみんな!!用が済んだら早く出て行ってくれ。」

俺の言葉にミラノさんが反応して、騒ぎを鎮めてくれた。

 「おお!卵が孵ってる!!」

 「あ、店員さん。お金払うんでもらってもいいですか?」

 「勿論だ。10000ダリルだ。」

10000ダリル、日本のペットより安いな。育てる必要があるから一概にそうとは言えないけど。

 「一応卵の殻も回収していくか。」

散らばってしまった卵の殻を拾い、カバンに入れていく。そして白色の赤ちゃんスライムを手に乗せて宿屋に戻る。

 「何食べるかわからないし、色々買っていくか。」

ついでに八百屋などに立ち寄った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...