スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya

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第4章 北の鉱山街バーム

第41話 テイマー

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ギルドマスター室で俺は栄光の者グロリアスの人達と話している。今は装備を外して、ミニスライム達も見えるようにしている。

 「お前のあの体技はなんだ?すごかったな。あれだと、対象の体にあまり傷つかずに倒すことができる。解体も考えてるな。」

 「あはは、これ故郷から伝わったものなので詳しくは言えないですが、かなり使えます。」

プロレスなんて言っても伝わらないだろうし、あんまり細かいこと言ってもなー、

 「ああ、そうだな。いつか手合せ願いたいものだな。」

 「ええ!?無理ですよ!まだDランク風情なのに、こんな強い人と戦うなんて。」

 「そんなことないわよ、君はすでにA級にも勝るとも劣らない実力を持っている。経験が少ないだけ。」

 「いや、そんなことは。」

 「それにしてもこの子達凄いね。特にスライム達の魔法、姿は全く変わらないのにそれぞれが得意属性を持っているなんてね。」

すごいと言われ喜ぶアクア達。ぴょんぴょんと跳ねたり、腕をニューと伸ばして喜びを表している。

 「なんて可愛いの!!抱いてもいいかしら?」

 「え、ああいいと思いますが、みんなはどう?」

俺が聞くと、みんな嫌がらず腕をシュッと上にあげて肯定の意を示した。

 「うん、すごいすべすべしてる。しかもぷるんとすごい柔らかい。」

 「触ったことないんですか?」

 「普通テイムされたスライムでも知能が低い個体ばかりだからね。それに強い人ほどスライムをテイムする人は少ない。」

そういえば、本来スライムは知能が低いって言ってたな。うちのスライム達が賢すぎるからか忘れていた。 

 「僕も駆け出しの頃はスライムをテイムしたことがあったな。スライムはご飯さえあげれば大体の個体は了承するから初心者には簡単だったな。ただ監視してないとなにをしでかすかわからなかったけど。」

 「マークさんも最初はスライムを?」

 「そうだよ。ただランクが上がっていくほどテイムするモンスターは変わっていったかな。今はハイフェンリルの[フー]が僕のテイムモンスターだね。」

すると、マークさんの右肩に魔法陣が浮かび上がり、そこから1匹の純白の犬が出てきた。

 「マークさん、これは一体?」

 「ああ、これは時空魔法の一つで[オールディメンジョン]ていう魔法で、生きているものも入れることができるんだ。フーは街を歩かせるには大きいからこうやって亜空間に入れてるんだ。」

 「へぇーそんなのがあるんですね。」

 「君の場合はいらないかもね。知能の高いスライムは隠密行動ができる個体もいるし、小さいから君には不要だね。」

 「スライム達はみんな勝手に行動しないから拘束する必要がないですね。数が多いミニスライムも擬態してくれるので。」


バタン!


 「色々と話がまとまったぞ。」

ジーさんがギルドマスター室に戻ってきた。

 「まず、シャルケとジャルファ一家は地位の剥奪およびこの街から出ていくことが確定した。それに変わって新たに領主が代わった。」

新しい領主は市民からも非常に信頼の厚い貴族らしい。これならシャルケ達の二の舞は起きないかな。

 「シンジ君、僕たちのパーティーに入らないか?」

 「え、、?」

突然のマークさんの発言に俺は驚くことしかできなかった。

 「君の実力、若さ、ポテンシャルなら僕たちのパーティーに入っても問題ない。どうかな?」

少し迷ってしまった。王国の実力がどのくらいあるのかわからない。もしかしたらドラゴンを平気で倒せるのかもしれない。仮にそうだとしたらこの人たちの元にいた方が安全だ。だけど、

 「ありがたいお話ですが、断らせていただきます。」

 「、、理由を聞いてもいいかな?」

 「はい、自分はこの世界をゆっくり旅したいと、そして何よりこいつらとともに自由に冒険がしたいんです。」

 「ふ、そうか。愚問だったようだね。それじゃあ僕たちは行こうか。」

 「おう、」

 「ええ。」

もしかしたらとんでもない勧誘を断ったのかもしれない。でも後悔はしてない。

 「それじゃあ、シンジも今日はもう戻れ。」

 「はい、わかりました。行くよ、みんな。」

ミニスライムたちを体に擬態させ、アクアたちを連れてギルドを出た。

~~~~~~~~

 「おい、マーク。」

 「ん、なんだ。」

 「本当にあれでよかったのかよ。どんな人も入れようとしなかったお前が勧誘するほどの人材を取らなくても。」

 「ああ、あれはさっきも言った通り愚問だった。本当にそうだった。」

僕は少し彼を試してしまった。同じテイマーとして、先輩として。彼のあのスライムたちに対する愛情。懐かしいな、僕もあんな感じだったかな。
もちろん今のフーにも感謝している。けどテイマーの本質を忘れかけてたかもな。

 「それじゃあ、行こうか。」

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これにてシャルケ編完全終了となりました。
次回から4.5章という形で更新していく予定です。
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