上 下
39 / 195
第4章 北の鉱山街バーム

第38話 隠れてたもの達

しおりを挟む
 「で、シャルケを蹴ったと。」

 「はい、、」

俺は冒険者ギルドのギルドマスター室に来ている。そして経緯を説明した。

 「はぁーー、まぁやってしまったのなら仕方ないな。」

 「すいませんでした。」

 「いや、あっちにも非があるからな、しかしどうするんだ。」

おそらくシャルケは父さんを連れて俺の元に戻ってくるだろう。
 
 「確かにテイムモンスターの奪取はご法度だ。だが未遂だ。いくらミラノ達が証言したところで意味はほぼ無いだろう。」

 「はい、そうです…ね。」

 「なんか作戦はあるのか?」

 「うーーん、まあなるようになると思います。」

俺は話し合いは別に得意ではない。その上向こうは権力的優位を確保している。証拠となるようなものがない限り倒せないだろう。

 「そうか、シンジは一旦報酬を受け取ってこい。そしてまた戻って来い」

 「わかりました。」

パタン!

~~~~~~~~

 「ふぅー、それじゃあ出てきてくれ。」

俺は壁に向かってそんなことを言う。そして壁からは3人の冒険者、うち2人が男、もう1人は女が現れる。

 「ジーさん今回の仕事はなかなか楽しかったぜ!!」

 「本当か!?いつも隠れたりするのは嫌いなシャープが?」

 「なんせ、あんな動きは見たことなかった、いきなりクマを掴んで頭を地面に当てたりよー。」

 「あと、スライムがすごかった。」

 「ソフィからそんな言葉が出るなんてな。相当なことだったんだろう。」

 「はい、レジェンダリースライム、伝承通りの強さでした。あの中の誰よりも警戒しており、また鉱石の仕分けをしていた時は目を疑いました。あの魔金鉱石が秒速で進められてた時は思わず隠ぺい魔法を解きそうになりました。」

 「お、おう。シンジの言っていたことは本当だったのか。」

 「そうですね。なによりも彼のあのスライムに対する愛着、あれは仲間を通り越して家族とさえ思えるほどでしたね。」

 「ほお、テイマー最強格のマークに言わせるってことはすごかったんだろうな。」

 「ええ、スライム達も彼に付き従っており、この上ない忠誠心を払っていたようにも見えました。そして彼もまた同じくらい愛情を注いでいましたね。撫でてる時にとても愛らしく触手を伸ばしていましたね。あの時は少し笑ってしまった。」

この3人、[栄光の者グロリアス]、若手筆頭と言われるパーティーで全員がAランク上位ととんでもない強さを誇る。

格闘家シャープは、武闘家ランキング一桁代と格闘に関してかれが褒める人というのは手の指だけで足りるほどしかいない。

 魔法使いソフィは[銀氷の賢者]と言われる水、氷魔法は極限まで極めた冒険者だ。またさまざまな知識に精通しており、彼女もまた最強格の賢者と言われている。

そして、このパーティーのリーダーであるマーク。彼は齢26という若さにしてテイマーランキング1位を誇る、この世界のテイマーを牽引するような存在。マークも伝説級のモンスターを従えている。

 「ありがとうな、こんな仕事を頼んじまってな。」

 「いえ、ここの街の皇子達はいい噂を聞きませんでしたからね。冒険者の威厳を見せるいい機会かもしれませんからね。」

 「うむ、それじゃあ奴らが来るまでは待機しててくれ。」

すると、3人は壁に同化し完全に姿をくらました。
俺が彼らに頼んだ理由、それはこうなることを危惧していたからだ。いずれはシャルケが何かしらでシンジに突っかかることは目に見えてた。

だから先に頼んでおいて、何かあった時の証言者、もしくは殺すのを未然に防ぐために呼んだ。今回はシンジの方が抑えてくれたから、シャルケにバレることはなかったが。

 パタン!

 「ギルドマスター、報酬受け取りました。」

 「うむ、それじゃあ奴らはきっとすぐ来る。それまでここで待ってろ。」

~~~~~~~~

 「おい!俺の息子、次期この街王になるシャルケにこんな傷を負わせたガキを出せ!」

シャルケの父と思われる人物がギルドに来た。そして傷を負ったシャルケと従者を連れて。

 「ジャルファ、ここだ。」

 「ん、おー、ジーか。全くどうしてシャルケに手を出すやつがいるんだ。」

 「まぁ、その話はこっちでな。」
ギルドマスター室にジーさんとシャルケ達が入る。席に座るやいなや俺とシャルケはにらみ合った。

 「それで、用件はなんだ。」

ジーさんがジャルファに問いかけた。

 「ふん!決まっておるだろう。そこのスライムテイマーが俺の息子にけがを負わせたことだ。」

 「お前はなんて聞いてるんだ?」

 「ああ!?いきなり殴り始めたんだろ?シャルケは何もしてないって言ってるしな。それにそいつは傷を負ってない。つまりシャルケは何もしてないってことだ。」

なるほど、そうきたか。というか何もしなかったんじゃなくて何もできなかったじゃねえか。

 「シンジ、今のについて何か異論あるか?」

 「はい!まず傷を負わせた理由、それはそちらのシャルケが俺のテイムモンスターのミニスライムを奪おうとしたからだ。」

「な、嘘をつけ!お前が俺をいきなりなぐりかかっただけだろう!」

こうして俺のとシャルケの論争は始まった。

-----------------------------------------------
説明不足でありました、国王やバームの街人達について説明したいと思います。

センドリア王国→シンジが飛ばされた国。
国王→これはバームの街の王よりさらに上の存在である。センドリアの中にバームがあるイメージですね。
ジャルファ→バームを統治している領主。だがセンドリア国王よりも地位は低い。
シャルケ→バームの次期領主。勝手に自分を皇子と呼んでいる。センドリア国王とは無縁。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~

乃神レンガ
ファンタジー
 謎の白い空間で、神から異世界に送られることになった主人公。  二重取りの神授スキルを与えられ、その効果により追加でカード召喚術の神授スキルを手に入れる。  更にキャラクターメイキングのポイントも、二重取りによって他の人よりも倍手に入れることができた。  それにより主人公は、本来ポイント不足で選択できないデミゴッドの種族を選び、ジンという名前で異世界へと降り立つ。  異世界でジンは倒したモンスターをカード化して、最強の軍団を作ることを目標に、世界を放浪し始めた。  しかし次第に世界のルールを知り、争いへと巻き込まれていく。  国境門が数カ月に一度ランダムに他国と繋がる世界で、ジンは様々な選択を迫られるのであった。  果たしてジンの行きつく先は魔王か神か、それとも別の何かであろうか。  現在毎日更新中。  ※この作品は『カクヨム』『ノベルアップ+』にも投稿されています。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。

黒ハット
ファンタジー
ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる

生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔
ファンタジー
 対向車線からトラックが飛び出してきた。  特に恐怖を感じることも無く、死んだなと。  想像したものを具現化できたら、もっと生産性があがるのにな。あと、女の子でも作って童貞捨てたい。いや。それは流石に生の女の子がいいか。我ながら少しサイコ臭して怖いこと言ったな――。  手から何でも出せるスキルで国を造ったり、無双したりなどの、異世界転生のありがちファンタジー作品です。  王国? 人外の軍勢? 魔王? なんでも来いよ! 力でねじ伏せてやるっ!  感想やお気に入り、しおり等々頂けると幸甚です!    モチベーション上がりますので是非よろしくお願い致します♪  また、本作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨムで公開している作品となります。  小説家になろうの閲覧数は170万。  エブリスタの閲覧数は240万。また、毎日トレンドランキング、ファンタジーランキング30位以内に入っております!  カクヨムの閲覧数は45万。  日頃から読んでくださる方に感謝です!

家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから

ハーーナ殿下
ファンタジー
 冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。  だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。  これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。

外れスキル『レベル分配』が覚醒したら無限にレベルが上がるようになったんだが。〜俺を追放してからレベルが上がらなくなったって?知らん〜

純真
ファンタジー
「普通にレベル上げした方が早いじゃない。なんの意味があるのよ」 E級冒険者ヒスイのスキルは、パーティ間でレベルを移動させる『レベル分配』だ。 毎日必死に最弱モンスター【スライム】を倒し続け、自分のレベルをパーティメンバーに分け与えていた。 そんなある日、ヒスイはパーティメンバーに「役立たず」「足でまとい」と罵られ、パーティを追放されてしまう。 しかし、その晩にスキルが覚醒。新たに手に入れたそのスキルは、『元パーティメンバーのレベルが一生上がらなくなる』かわりに『ヒスイは息をするだけでレベルが上がり続ける』というものだった。 そのレベルを新しいパーティメンバーに分け与え、最強のパーティを作ることにしたヒスイ。 『剣聖』や『白夜』と呼ばれるS級冒険者と共に、ヒスイの名は世界中に轟いていく――。 「戯言を。貴様らがいくら成長したところで、私に! ましてや! 魔王様に届くはずがない! 生まれながらの劣等種! それが貴様ら人間だ!」 「――本当にそうか、確かめてやるよ。この俺出来たてホヤホヤの成長をもってな」 これは、『弱き者』が『強き者』になる――ついでに、可愛い女の子と旅をする物語。 ※この作品は『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも掲載しております。

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

処理中です...