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第4章 北の鉱山街バーム

第33話 堕ちていく者と成り上がる者

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 「な、なんででしょうか、王よ。」

リドは王にいきなり解雇宣言され、困惑していた。しかし王は全く顔色を変えずに喋る。

 「貴様が追い出してしまった男、シンジと言ったな。彼のドラゴンの討伐報告を受けた。もしやあやつが本来の勇者ではないのか。」

 「そ、それは」

 「しかも、今いる3人の勇者の成長も一般人と大差ない。」

 「っ!」

 「貴様のこれまでの実績から鑑みて、シンジを追い出したことについては咎めなかったが、こうなってくるとさすがに見て見ぬ振りはできないな。」

 「ですが、王。私はあなたのために…。」

 「もういい!お前はここにいる資格などない。さっさと出て行け!」

 「王よ!やめろお前ら。お前らも俺を追い出そうとするのか。やめろ!」

抗議するリドだが、兵士によって運び出される。リドは必死に弁明するが、聞く耳を持たない。それもそのはず。たった1ヶ月、しかも独学だけでドラゴンを倒せるほどのポテンシャルを持つシンジを追い出してしまったのだ。むしろ投獄されないだけマシである。

 「はー、」

王はひどく嘆く。

 「なぜ我の命令に逆らったのか、若き日は信頼の置ける奴だったというのに。なぜだ。」

リドはかつて、A級冒険者として名を馳せた実績がある。その後も、他国との関係調整や、医療の発達に大きく貢献した。他国にその名を出せば政府関係者では誰もが知っているほどの偉人であった。

 「どうするか。今更呼んでも来るわけもないか。追放したことになっているからな。しかも右も左もわからない世界にだ。合わせる顔もないな。」

信頼を置いていた宰相のミスにより大きな苦悩を患うことになってしまった王。

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そんなことを知らない、成り上がり途中のシンジ。

ギルドマスター室で、ドラゴンの説明を受けているところ。

 「この中で売っても問題ないのはどれですか?」

 「そうだな、鱗や角は防具にも使えるからな。うーん。血も特殊なポーションとしても用いられるしな。強いて言えば肉や内臓部分ぐらいか?」

 「あ、それじゃあ内蔵と皮をお願いします。」

 「皮を売っていいのか?こっちとしてはありがたいが。」

 「ええ、肉は料理に使いたいんです。スライム達と食べる予定で。」

 「え!?スライム達と食べてる!?」

 「え、何かあったんですか?」

 「いやじつはな…。」

この世界のテイマーは、多くが従魔用の餌のようなものを与えてるそうだ。俺みたいに同じものを食べるのはかなり希らしい。食費がかさむとからしい。俺の場合はスライム達が狩ってきてくれたからな、一緒に食べたいしな。

 「それじゃあ、ドラゴンの方はこのぐらいでいいかな。あと、これは個人的な質問でもあるが、スライム達についていくつか聞かせてくれないか。」

 「スライム達についてですか。」

 「ああ。無理に話す必要はないが、先ほどのやりとりで、こいつらがだいぶ殺気を出してたからな。今後を考えて予め聞いておきたい。」

さっきアクア達殺気出してたの!?全く感じなかった。まだまだなのかな?(殺気は主にシャルケに向かっていたのと、シンジにそんなことをするわけがないためシンジは感じ取れなかった。)

 「わかりました。まずは何から話せばいいでしょうか?」

 「うーん、それじゃあ……。」

ジーさんが聞いてきた内容は解体に関してが最初だった。ドラゴンの素材の質の高さに驚いてたようだ。まぁ、聞かれても俺にもわからないからなんとも言えなかった。

次に力についてだった。スライムが殺気を出すこと自体がおかしいらしい。リーンから聞いたドラゴンの血について話すと、

 「それ、進化しているぞ!」

 「進化?でもステータスの種族名は変わってませんよ。」

 「ステータスに出てくる種族名はかなり広い範囲なんだ。その中でさらに分けられるんだ。それで詳細に見れなかったんだな。」

 「はい。」

 「おそらくここのスライム達はレジェンダリースライムに進化してる。」

 「レジェンダリースライム?」

 「待ってください!ギルドマスター!」

一言も発していなかった受付さんがレジェンダリースライムという言葉に反応した。

 「本当にレジェンダリースライムなんですか?伝承では決して人には懐かないと言われていたのでは?」

 「ああ、伝承ではそうだ。だが目の前にいるスライム達のコアは自身の得意属性の色が光っている。本来なら光らないはずだ。」

アクア達を見てみると、薄くそれぞれの得意魔法の色が光って見えてる。点滅してるのではなく、ホワンと広がるように光ってる。

 「さらに、ドラゴンの血を飲んで進化したというのも合致している。かつてのレジェンダリースライムはドラゴンを倒した特殊個体が食らった際に血を飲んだ結果進化したと言われてる。」

 「そうなんですか!?」

 「まぁ、信じられないのも無理はない。なんせドラゴンを倒すときにスライムなんかいないからな。知能の低い野生のスライムでさえも怯えたり逃げたりするからな。」

確かに最初はアクア達も元気さが無くなっていたし、ミニスラにいたってはカバンに隠れていたしな。

 「そんなわけで、シンジのスライムはレジェンダリースライムに進化したわけだ。俺から聞きたかったのはこのぐらいかな。」

 「はい。それじゃあ失礼します。」

 「おう、金額が高めになる予定だから明日また査定金額を受け取りに来いよ。」

ギルドを後にして、宿を探しに行く。

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新しく[スライム達と村づくり]を書き始めました。是非読んでください。
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