スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya

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第4章 北の鉱山街バーム

第32話 有名になったかも!?

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周りの冒険者や受付さんが一斉に声を上げて騒ぎ出す。やっぱ出すべきではなかったのか?

 「みなさーーーーん!この方があのドラゴンを倒されましたよー!」

受付さんが突然大声で俺が倒した事を叫び出した。すると周りから「すげー!」「よくやった!」「やりやがったぜ!」と声が飛び交ってくる。

 「あの、一体これは?」

流石に困惑してしまい、受付さんに聞く。

 「何を言ってるんですか。ドラゴンを倒すなんてこの街の英雄ですよ!」

 「え!?でも皆さんの手柄を独り占めしたようなものじゃ」

 「ドラゴン討伐ともなれば死者が出てもおかしくない上、下手すれば街が壊滅する可能性さえ出てくるんですよ!」

 「ええ!」

驚きの事実だった。たしかに俺も死にかけたかもしれないけど。

 「おい、なんだこの騒ぎは!!」

 「あ、ジーギルドマスター!実はこちらの方が例のドラゴン、討伐したそうです。」

 「な、こやつが倒したというのか。」
 
 「はいそうです!あ、お名前を教えてもらってもよろしいでしょうか?」

 「シンジ=タダです。」

 「では、シンジさん。先ほどの鱗や他の部位も見せてください。」

受付さんに言われるがままに素材を色々と出していく。

 「うーーん。紛れもなくドラゴンの素材だ。しかもかなり保存状態がいいと見えるな。まるで生きているようだな。どのように解体を?」

 「あ、うちのスライム達が頑張って解体してくれたそうです。その時倒れていたので見てはないんですけど。」

俺はそう言ってアクアとリーンとテイロを前に出す。3匹ともジーと言われたギルドマスターの前にぴょんぴょんと跳ねて、腕を上げ挨拶をする。

 「うお!?まさか挨拶をするとは!これはすごいな。聞いていた以上の強者だな。」

 「聞いていた?」

 「ああ、シンジが前にいた街のギルドマスター、サーソから聞いていたんだ。スライム連れた奴が来るとな。」

そんなことしてたんだ。というか名前聞いてなかったな、ギルドマスター。

 「あの、実はドラゴンの部位については全く知識がないので、できれば色々聞きたいと思いま……」

 ドン!!

 「なんだこの騒ぎは。ドラゴンがいなくなったというのに。」

扉から白と金の装飾がなされた鎧を着た青年が来た。そしてジーさんの元に行く。

 「おいおい、なんだこの騒ぎは、ドラゴンが倒されたと聞いてきたが本当か!?」

もう噂になってるの!?この世界の噂の広まり具合ハンパないな。もしかしたら聞いた誰かが色々言いふらしたのか?

 「ああ、こっちにいるシンジがその討伐者だ。シンジ、こちらはこの街の領主の息子、シャルケだ。」

 「どうも。」

スライム3匹も俺と同時に挨拶するように体をほんのちょっと折りたためる。

 「ふん!こんな奴がドラゴンを倒すとは信じられないな。せっかくいい奴が来たと思ったらスライムテイマーか。ドラゴンも弱くなったな。」

イラ!

 「おい、その辺にしておけ。それはあまりにも失礼だろ。」

 「何故だ?スライムテイマー何ぞ弱者の代表格のようじゃないか、それに」

突然シャルケがオレの顔めがけて拳を振るう。

 「これに反応することさえできない。今のはほんの冗談だが、今度は当てるからな。」

シャルケは寸止めで殴るのをやめて、ギルドを出て行った。

 「すまないな。七光りというのもあっていつもあんな態度なんだ、許してやってくれ。」

 「いえ、スライムをバカにされた時は少しイラっとしましたけどね。」

受付さんがいきなり

 「シンジさんはなぜ何もしなかったんですか?さすがに止めることぐらいはできましたよね?」

 「ああ、あの殴り方はおそらく寸止めすると思いました。それに避けようと思えば避けれましたし。あと、スライム達も本気で殴られるというのなら止めてたでしょう。」

 「立ち話はなんだ、別の部屋で色々と話すとしようか。おい、先に案内しろ。」

すると、受付さんが俺を連れて別の部屋に案内してくれた。

 「(危ねえなあのシャルケは。あいつはたしかにそれなりに実力はあるけど、根本的にアホだからな。)」

ジーは、先ほどのやりとりについてかなり冷や汗をかいていた。

 「(何がやばいって、シンジのスライムだ。なんなんだあの殺気は。本気でシャルケのやつを殺しにかかるようだったぞ。ドラゴンを倒せてもおかしくねえなあれじゃあ。)」

不安を抱えつつジーも部屋に向かう。

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 「ふー、今日もなかなかじゃなかったか、カレン、リク。」

 「ええ、ようやくレベルも20まできたし、このままいけば魔王もいけるんじゃないかな?」

 「絶対いけるって!あ、そうだ。じゃん負けで武器持ち帰るのやろうぜ。」

シンジを除いた3人の勇者、ユウト、カレン、リクはこの1ヶ月鍛錬を積み重ねた。いきなりで最初は戸惑ってこそいたが、今では暮らしにもなれ、武器を振ることもいとわないほどたくましくなり、楽しく暮らしている。
 
だが、ある1人の男は危惧している。

 「なぜだ、なぜ成長がこんなにも遅いのだ。」

宰相リドだ。伝承によれば、かつて召喚された勇者は、この時点で既にレベルは50をゆうに超え、教えることがないと言えるぐらいの成長をしていたそうだ。だが、この3人の勇者は本来の勇者がシンジであるため、一般人より少し強いぐらいに過ぎないのだ。

 「リド様、今ある情報が入ってきました。」

 「なんだ今私は忙しいというのに。」

 「実は北の街バームにて、ドラゴンが出現したとの情報が出てきたのですが、」

 「助けを要請しているのか?」

 「いえ、既に倒されたのですが、その倒したのが、黒髪でスライムを連れている男だそうです。」

 「そんな奴がいたのかすごいな………?!」

リドは黒髪とスライムに引っかかった。そして、勇者の成長が遅いのを考えある一つの結論にたどり着いた。

 「まさか、あいつだというのか……,。」

 「リド様!!王がお呼びです。」

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「リドよ、貴様は宰相の任から外れてもらうぞ。」

 「な、なんででしょうか……。」
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