スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya

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第3章 次の街へ編

第27話 危機

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いよいよバームへの旅も終盤にさしかかってきた。今日が6日目。予定では今日あたりに着く予定だ。

 「なんか、この旅で朝ごはんがすごい豪華になったよなー。」

旅の最初の頃は、コップに水を入れ、作り置きのスープにパンだった。だけど今隣でリーンが紅茶を注いでる。ミニスライム達が探索に行った時に、偶然見つけたものだった。ダージリンティーのような風味だ。いつかコーヒーも欲しいな。なぜリーンが紅茶を作れるかと言うと、俺がアクアにガラス製のティーポットを作ってもらって実際に作ったところを見られて、『私がやりますので、ごゆっくりしてください。』と、紅茶を淹れる役目がリーンに変わってしまった。

今やリーンも生活魔法で温められるようになったので、紅茶を淹れることはできるから俺も断る理由が無かった。しかも俺より上手く淹れてくれる。なんでスライムなのにわかるのかな?

あと、フルーツも食卓に並ぶようになった。これもミニスライム達の探索の賜物だ。リンゴのようなものにオレンジ、桃のようなものもある。獲ったばかりなので、すごいみずみずしい。ジュースを飲んでるぐらいの果汁の量だ。探索量は日に日に増していった。(ミニスライム達は楽しいのと、シンジに褒めて欲しいからたくさん探しに行くのだ。)

 「今日でバームに着くぞー!」

 「キュー!」「ピュー!」
ぴょんぴょん←ミニスライム達の返答

今日はなんだかいつもと雰囲気が違う。

いつもならかなりのモンスターの数が平原や森にいるのだが、今日は少ない。3時間経った今でも2桁に満たない。そのおかげでうちのスライム達はかなり暇してる。

それに遭遇した時にはなぜかだいぶ弱腰なモンスターばかりが出てくる。妙に焦ってる様子が見える。
中には戦わずに逃げていくやつもいる。

 「なんでだ。」

アクア達の探知にもまだ引っかかってない。多分先の方なのだろう。考えても仕方ないから、バームを目指すか。

 「キュ!?キュ!キュ!」

 「な、なんだなんだどうしたのアクア!?」

左肩に乗っていたアクアがいきなりポヨン!とすごい跳ね方をした。そして俺の周りをくるくる回る。だが、いつもの喜びの回りじゃない。すごい焦ってるようだ。

 「ま、まさか。さっきまでのモンスター達の逃げてた相手がわかったのか?」

 「キュ!」

どうやらそうらしい。進んでいくと、ミニスライム達も同じように焦り始めた。ここまでの反応は今まで見たことがない。よっぽど危険だと言うのがわかる。

 「あれ、空が少し暗いか?」

突然空が雲に覆われていった。しかも急速だ。さっきまでの晴れ空が嘘みたいだ。

バァサ!バァサ!

 「な、なんの音だ!?」

とてつもなく大きい羽音がする。奥を見ると何やらでかい物体が飛んでるように見える。雲はそいつに合わせて覆われてるようだ。

 「あ、あれは……ドラゴンか?」

ドラゴン、ファンタジーの王道的モンスターだろう。形や色、能力に大きさに違いはあれどそれでもその存在感というものは、他のモンスターと一線を画すほどだ。

 「グガァー!」

 「く、本当にドラゴンかよ!」

ついに出てきやがった。でかい5メートルぐらいありそうだ。表面は赤い。形は一般的なドラゴンだろう。翼が生えていて、体も太い。

 「おい、ちょっと。いきなりはキツイだろ!」

あれこれと考えてたら、いきなりその大きな爪で引っ掻いてきた。体がでかい分スピードは多少落ちている。
が、それでも威力は桁違い。風圧だけでも体が持ってかれそうだ。

するとアクアとリーンが同時に攻撃をし始める。アクアはレーザー状の高濃度溶解液、リーンは風魔法『ウィンドウィップ』を放つ。

 「グガ?」

だが、ドラゴンは意に介してないような反応だ。当たった箇所を見ても、傷が全く見えない。ほとんどダメージは与えられてないだろう。2匹の反応もかなり変わった。

 どうしよう。こんなに効かない相手は初めてだ。怖い。

そんな反応をしている。いつも楽しげなアクアが今では本当の意味で小刻みに震えている。リーンも警戒はしているものの、冷静さが少し欠けてきている。ミニスライム達もドラゴンの殺気ですでに限界に達している。

俺はアクアとリーンを撫でる。ここは主人である俺の出番だ。

 「安心しろ、俺が倒してきてやる。」

そう言うと、アクアとリーンにあった恐怖心が少し薄れていったように見える。

 「それじゃあ、こいよドラゴン。」

 「グルガー!」

ひとまず牽制程度に

 『フレイムランス』

3本の火の槍を出してドラゴンに突き刺す。だが、全く反応なし。

 「これは思ったよりこたえるな。」

すると、ドラゴンも反撃か、こちらに飛んできて爪を振り下ろす。スピードは俺の方が速いからなんとか避けられるが、防御力が高すぎる。

 「さあて、どうしたもんかな」
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