スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya

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第3章 次の街へ編

第24話 スライム達の修復作業

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洞窟から出ると、まだ日は沈んでしなかった。だからとりあえず夜になるまで進んだ。途中モンスター達に会ったが、うちのスライム達の餌になってしまった。

そんなこんなで歩いていると、途中で人を見つける。

 「どうかしましたか?」

俺が話しかけた相手は、白ひげを蓄え、腹もよく出ているおじさん。荷物や、馬車を見る限り商人だろう。

 「いや実は、馬を引いていた者が途中でゴブリンに襲われてしまって馬が引けない状態なんじゃ。」

話を聞くと、つい10分ほど前に、ゴブリンの軍団に襲われたそうだ。馬を引いていた人は護衛も兼ねていたらしく、倒すことはできたが、馬を引けないほどの傷を負ってしまったようだ。

馬車を見ると、かなり傷ついており穴が空いてたりとボロボロになっていた。幸い商品には特に傷がつかなかったそうだ。

 「これでは街は到底たどり着けないかの。」

 「少し待ってください。」

そう言って、傷を負った護衛兵の元にいく。

 「お、おい何をして……傷が治ったじゃと!?」

兵士に光魔法を使って回復する。そこまでひどい傷ではなかったため、早く処置が終わった。

 「ありがとう。おかげで助かったよ。」

 「いえいえ、気にしないでください。」

 「にしても光魔法が使えるなんて見かけによらず結構すごいな。結構珍しいからな。」

え、ふつうに手に入れて使えたんだけど。そんなに珍しいのかな?

 「助けてくれてありがとうじゃ。最悪の事態から抜け出せたわい。馬車がこんなんだからしばらくは動けないがな。」

遭遇してしまったわけだけど、なんとかしてあげたいな。また襲われるかもしれないからな。でも何か出来るかな?

 「キュー」「ピュー」

 「ん、どうした。」

アクアとリーンが近づいてきて、『この程度ならたぶんなんとかなる!』『ミニスライム達にも招集をかければすぐに修復できると思います。』とアクアとリーンがそれぞれ腕を震わせて伝える。

 「本当に!?どれぐらいかかりそう?」

リーンがミニスライム達を呼んで、アクアも含めて円状に並んで腕をゆらゆらと揺らして相談している。終わるとリーンが代表して『おそらく1時間程度で終わります。馬車の修復はミニスライム達に木を伐採してもらい、私とアクアで壊れた箇所を直します。』と伝えた。

 「あ、商人さん。小一時間ほどで直るそうなので少し待ってもらえますか?」

 「何を言っておるんだ……って何をしとるんじゃあのスライム達は!?」

そういうのも無理はない。なんせ手のひらサイズのミニスライムが近くの木を伐採し、見た目普通のスライムがその木を取り込んで、破損箇所に加工済みの木をどんどん貼り付けて修復してるんだ。

ミニスライム達は、パーズとラルが木を伐採し、ファイとルビが伐採済みの木や枝をアクア達の元に届けている。

スライム達は、リーンが届いた木を取り込み体内でいい感じのサイズ、形に加工し、アクアがその加工済みの木を溶解液を使って接着して直している。

また、内部のカーテンらしき布も少し破れていたようで、リーンが俺の元にぴょんぴょん跳ねて来て、俺のカバンから糸玉をいくつか取り出して取り込んで破れた布に縫合した。
仕上がり具合は完璧の一言だった。近くで見ると多少違いは見えるが、遠目だとわからないくらい綺麗に縫合されている。リーンはドヤ!と胸を張るように体をそらしている。

アクアの作業も目を張るものがある。どうやら今では接着性のある溶解液を出すことができるようで、しかもかなり使い勝手が良さそうだ。接合部のみに溶解液の膜を張ってつけてるのでズレがほぼ無い。

ミニスライム達の伐採もなかなかの物で、意外と力が強く木を切るのも特に支障なしだった。運ぶ際も落とすことなく届けていた。終わると、それぞれぴょんぴょんと満足そうに跳ねていた。可愛かったので撫でてやると、他のミニスライムも『撫でてー!』と懇願するように俺の足元でぴょんぴょん跳ねた。

そんな様子を見ていた商人と護衛兵は唖然としていた。全く言葉を発さなかった。たしかにスライム達の働きはすごいと思う。たぶん日本のプロでもこんな簡単にはいかないと思う。

 「お前さんのスライムはどうなっとるんじゃ。本当に1時間程度で終わってしもうたし。」

 「はは、うちのスライムは賢いようなのでこれくらいのことはできるそうです。」

間違ったことは言ってないと思うが、どうなんだろう。スライム達を見ると満足そうに、褒めて欲しそうに腕をゆらゆらと揺らしている。あとでご褒美タイムですな。

 「あ、そうだ。護衛兵の方、これを持ってってくれ。」

 「これは、ポーションか。でも、いいのか?」

 「俺は自分で回復できるから使わないし。だからもらってってくれ。」

ダンジョンで手に入れて以降一度も使わなかったな。自分で回復できるのやっぱいいな。

 「ありがとうございました。我らを助けていただいて。」

 「困った時はお互い様ですので、気にしないでください。」

俺とスライム達は出発した馬車に手を振った。スライム達の新たな一面も見れたし悪くなかったかな。
この後俺はスライム達をずっと撫でていた

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