スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya

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第3章 次の街へ編

第22話 鉱石脈と新たな存在

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 「何だ、この穴は?」

歩いていると、洞窟のようなものを見つけた。周りは特に何もないがこれだけが不自然にある。

アクアに探知スキルを使ってもらったところ、特に異常はないらしい。気になるし入ってみようと思う。

入って光魔法で明かりをつける。前に入ったゴブリン洞窟とは違い、階段があった。少しダンジョンっぽい。

どんどん進んでいくと、少し広いスペースに着いた。そこにはワーウルフが数匹待機していた。この種族は鼻に特化しており、侵入者にいち早く気づくことで有名なモンスターだ。

俺たちの存在に気づいてたのか、既に臨戦態勢に入っている。俺も剣を抜き、アクアとリーンを肩から降ろす。

 「ハァ!」

飛びついてくるワーウルフを横に避けて、斬る。動きが速く、傷が浅いのかまだ倒れない。もう一度飛びついてくるところを、今度は下に伏せて避けて、相手を横に担ぎ、そのまま地面に叩きつける。デスバレーボムだ。完全に息の根を止めた。

相手はちょうど3匹だったので、後の2匹はアクアとリーンがそれぞれ相手をした。ワーウルフは自身の攻撃がスライムにいとも容易く避けられ、かなり困惑したようだ。

アクアは溶解液を弾丸にして飛ばし、リーンは風魔法の『エアブレイド』で倒した。そのあとはいつも通りの解体作業。俺の倒したのも一緒にやってくれた。

そこから進んでいくと、壁に面白いものが出てきた。

 「これは?んーなんかの鉱石か?」

壁に石以外にいろんな色が付いている。たぶん何かしらの鉱石だろう。けど俺には知識がないからどれが何だかわからない。

 「きっと価値があるんだろうけど、取るべきかな?」

マジックバックだから容量を気にする必要はないけど、わざわざ使わないものをとってもなー。

どうしたものかと悩んでいたら、リーンがぴょんと降りて、俺が悩んでいる壁の方にぴょんぴょん跳ねて行く。

 「おい、リーン。何かあるのか?」

問いかけるが特に反応しない。壁に向かって腕を伸ばしてペタペタと触っている。そして何か考えるそぶりを見せる。

 「ピュ~……ピュ!」

何かに気づいたように震えると、縦横無尽に揺れ始める。以前アクアが分裂した時のようだ。けど今回は少し弱い。

震えが止まると、小さなスライムが4匹ほど分裂して出てきた。俺の手のひらより少し小さいぐらいのサイズだ。リーンがそのスライム達に指示をするような仕草をする。そしてそのスライム達は意図がわかったのか、壁の方にぴょんぴょん跳ねて壁をいじる。

 「リーン、何をさせてるんだ?見てればわかるって?」

スライム達の様子を見ていると壁を溶解液を纏って、壁を切り取り鉱石とその他で分ける。そして鉱石を体内に取り込んで、しばらくすると純度の高い鉱石とそれ以外に分かれて吐き出される。

そして、リーンはおなじみリーン特製シートの上に仕分け済みの鉱石を種類ごとに起き始める。どうやら鉱石の知識があるようだ。

10分後、辺り一面の壁からほとんどの鉱石を取り出し仕分けが終わった。そして仕分けた小さいスライム達は俺の足元の方に寄ってくる。

 「えっと、ありがとうな。鉱石を分けるために生まれてきたのかな?改めて見ると結構小さく見えるな。よしよしー。」

1匹ずつ抱き上げる。抱き上げるよりかは手のひらの上に乗せてる感じだが。撫でてあげるとアクア達のようにプルプル震え喜びを表す。ステータスを見よう。

名前:???
種族:ミニスライム
年齢:1日
HP:150/150
MP:200/200 
レベル:20
魔法:水魔法2 
スキル:高濃度溶解液、解体術、洗浄、消化(中)、アイテム生成、探知(上級)、鉱石術
称号:シンジの従魔


ミニスライムって言うのか。たしかにアクア達より明らかに小さい。けどかなり万能だな。名前が???になってるからはやいとこ名付けをしないとな。うーん。

 「きゅ、きゅ、」

名前を考えていると、ミニスライム達が俺の足元で何か鉱石を持っている。んーと、これはサファイアで、ルビー、エメラルド、トパーズかな?そうだ!

 「サファイアを持ってきた子は『ファイ』、ルビーを持ってきた子は『ルビ』、エメラルドを待ってきた子は『ラル』、トパーズを持ってきた子は『パーズ』だ。」

それぞれが持ってきた鉱石から名前をとって名付けた。安直だとは思ったが、名付けてもらったミニスライム達は大いに喜んだ。

そのほかにも鉄や銅、金のようなものも出てきた。ここは鉱山のような場所かな?次の街は鉱山だし、今のうちに取るだけとって、街に着いたら加工してもらおう。

 「あ、ミニスライム達小さいから移動大変だよな。どうするんだ?」

俺の問いかけにリーンが答えるように腕を伸ばす。そしてカバンから絹糸の糸玉を取り出して、体内に取り込む。作業が終わると、俺からカバンを取り、そのカバンの側面に腕を当てて何かをしている。

しばらくすると、そこにはポケットができていた。4つできていた。そこまで大きくないのが。

 「まさか!?」

予想通りだった。リーンができたと、ミニスライム達に伝えると、一斉にぴょんぴょんカバンの方に跳ねていき、できたばかりのポケットにスポッと入る。

 「さすがリーンだ。」

 『いえいえ、そんなことはございません。シンジ様のことを思っての行動ですので。』と言うふうに体を震わせる。

このままここも制圧するぞー!

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今回新たに登場したミニスライムですが、鳴き声は基本出ないように書いていくつもりです。またステータスも基本的に出さないですので、今ここである程度の解説を入れておきます。

ファイ→サファイアを取ったことから名付けられたミニスライム。主に水属性担当のミニスライム。

ルビ→ルビーを取ったことから名付けられたミニスライム。火魔法を扱うミニスライム。

ラル→エメラルドを取ったことから名付けられたミニスライム。風、木属性魔法を扱うミニスライム。

パーズ→トパーズを取ったことから名付けられたミニスライム。光魔法と土魔法を扱う。

ミニスライム→リーンの分裂体。本家ほどの実力はない分、非常に万能でさまざまな作業ができることが特徴。少し子供っぽいところがある。シンジへの忠誠心は他のスライム達と変わらないぐらい強い。
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