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第3章 次の街へ編
第21話 さらば
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「うーーーん。」
今日も窓から差してくる光で起きる。いつものように俺が起きるとリーンが布団を外してくれる。ただいつもと違うのは、アクアが起きていることだ。
俺は今日この街を発つ。この街でやることもあまりない。それにこの世界を見て回りたいからな。それを昨日アクアとリーンに伝えたところ、「キュー♪」「ピュー♪」といい返事が来た。
下に降りて、今日も朝ごはんを食べる。今日はいつもよりも沢山食べる。この宿の食事は最後かもだからな。
アクアもリーンも今日はいつもよりも食べてる。普段は俺の1/3の量ぐらいで十分だというのだが、今日は俺と同じ量食べた。
いつもより多いということで、宿屋の人が心配してたが、この街を出ることを話すと「頑張ってきなさいよ。」と言って送り出してくれたが、少し寂しそうな声をしていた。
(この宿は、シンジのスライムがいることによって癒しの空間となって女性冒険者達が泊まりに来るようになった。)
宿を出て、八百屋のようなところに向かった。いつもクエストの時の昼食の野菜などを買ってて、大分お世話になった。
「あ、いらっしゃい。今日はどうするんだい?」
「今日は沢山買おうと思ってます。」
「あら、何かあるんかい?」
「実は今日この街を出るんで、長旅用に。」
「あら、それなら沢山持って行きなさい。寂しくなるわね。結構この店に来てくれたし。」
「あはは、そうだ。よければこちらの薬草をどうぞ。」
先日クエストで手に入れた霊薬草を数本渡す。
「これは……霊薬草じゃないか。こんな珍しいものをそんな、受け取れないよ。」
「いえ、受け取ってください。いつもここの野菜が美味しいので感謝してるんです。そのお礼と思って受け取ってください。」
「そうかい、それじゃあありがたくもらってくよ。元気にね。」
「はい!」
最後はここ冒険者ギルドだな。何だかんだ、この街で一番お世話になった場所だ。
たしかにここの受付には一度嫌な思いをしたが、それでもギルドマスターにはかなり助かった。どうしてもここの知識は浅いから、わからないことだらけだったし。
ギルドに入ると、いつも通り賑やかだ。たくさんの冒険者が朝からすでに騒いでいる。この感覚もしばらくお別れかな?
「お、シンジじゃねえか。今日はどうした。」
「あ、ギルドマスター。実は今日この街を発つんです。ですので、最後に顔を出して行こうかなと。」
「まぁ、いずれ出て行くとは思ってたけどな。そうか、どこへ行くつもりなんだ。」
「特に目的地はないですが。」
「それじゃ、東の海の街キエハナって言う街か、北の鉱山地帯のバームって言う街がオススメだな。」
うーーん、海に行くか、鉱山に行くかか。今の剣はとりわけ良いわけでもないし、他の装備とかも見てみたいし、
「北のバームに行ってみたいと思います。」
「そうか。バームならお前の足だと大体6日ぐらいだろう。」
「わかりました。いろいろとありがとうございました。」
「別に良いさ。それにここんとこはあまり面白くなかったからな、お前さんが来て少しは楽しめたぞ。」
「そう言ってくれると嬉しいです。」
「だが、お前さんは実力の割に知識や実績が少ない。下手な行動をすれば一気に人生が変わることもありうる。言われんでもわかってるとは思うが、一応忠告な。」
「はい、そこはしっかり気をつけます。」
「またいつか来いよ、適当に話にでも。」
「勿論です。ありがとうございました。」
俺とアクアとリーンはギルドに手を振って、さよならと伝え、街を出た。
「この感覚も久しぶりだな。」
この世界に来てたぶん3週間ぐらいか。最初はとにかく歩いて街を探していたが、ここんとこは宿でずっと泊まってたからな。
「キュ~♪」
「ピュ~♪」
うちのスライム達もご機嫌なようだ。特にリーンは旅をしてないから余計楽しいことだろう。
「あれは、イノシシ?」
イノシシ型のモンスターがこちらへ接近してくる。大体1メートル50ぐらいか。そんなに苦労はしないかな。
「キュー♪」
「あ、おいアクア。」
アクアが肩から降りて、イノシシの方へぴょんぴょん跳ねて行く。たしかにあいつなら負けるなんてことはないが、いきなりすぎる。
結果は、溶解液を顔面にモロにあたり、叫びながらイノシシは倒れた。倒すと、リーンも肩から降りて解体し始める。リーンが足や、頭部、尻尾と部分ごとに腕を硬化させ剣のようにして切る。そして真ん中の肉が多い部分をアクアが取り込んで解体する。
毛皮、肉、尻尾、魔石、牙と解体し終わり、リーンは俺のカバンにどんどん入れて行く。最近俺あんまりこういうのやってねえな。
イノシシの解体も終わり、アクアとリーンが肩に戻る。本人達もかなり満足した様子だ。アクアは特に戦い足りなさそうだ。
「ゴブリンの群れか?大体10体ほどだな。」
ゴブリンの群れを見つける。主にアクアが探知スキルで先に見つけてくれるんだけど。いつものように走り込んで倒して行く。
この旅ではあまりプロレス技は使わないつもりだ。あれはそれなりに力を入れるから、かなり疲れるし、集中力も必要になる。ゴブリン達も剣や魔法を使って倒して行く。
ん、あの穴は何だ?
今日も窓から差してくる光で起きる。いつものように俺が起きるとリーンが布団を外してくれる。ただいつもと違うのは、アクアが起きていることだ。
俺は今日この街を発つ。この街でやることもあまりない。それにこの世界を見て回りたいからな。それを昨日アクアとリーンに伝えたところ、「キュー♪」「ピュー♪」といい返事が来た。
下に降りて、今日も朝ごはんを食べる。今日はいつもよりも沢山食べる。この宿の食事は最後かもだからな。
アクアもリーンも今日はいつもよりも食べてる。普段は俺の1/3の量ぐらいで十分だというのだが、今日は俺と同じ量食べた。
いつもより多いということで、宿屋の人が心配してたが、この街を出ることを話すと「頑張ってきなさいよ。」と言って送り出してくれたが、少し寂しそうな声をしていた。
(この宿は、シンジのスライムがいることによって癒しの空間となって女性冒険者達が泊まりに来るようになった。)
宿を出て、八百屋のようなところに向かった。いつもクエストの時の昼食の野菜などを買ってて、大分お世話になった。
「あ、いらっしゃい。今日はどうするんだい?」
「今日は沢山買おうと思ってます。」
「あら、何かあるんかい?」
「実は今日この街を出るんで、長旅用に。」
「あら、それなら沢山持って行きなさい。寂しくなるわね。結構この店に来てくれたし。」
「あはは、そうだ。よければこちらの薬草をどうぞ。」
先日クエストで手に入れた霊薬草を数本渡す。
「これは……霊薬草じゃないか。こんな珍しいものをそんな、受け取れないよ。」
「いえ、受け取ってください。いつもここの野菜が美味しいので感謝してるんです。そのお礼と思って受け取ってください。」
「そうかい、それじゃあありがたくもらってくよ。元気にね。」
「はい!」
最後はここ冒険者ギルドだな。何だかんだ、この街で一番お世話になった場所だ。
たしかにここの受付には一度嫌な思いをしたが、それでもギルドマスターにはかなり助かった。どうしてもここの知識は浅いから、わからないことだらけだったし。
ギルドに入ると、いつも通り賑やかだ。たくさんの冒険者が朝からすでに騒いでいる。この感覚もしばらくお別れかな?
「お、シンジじゃねえか。今日はどうした。」
「あ、ギルドマスター。実は今日この街を発つんです。ですので、最後に顔を出して行こうかなと。」
「まぁ、いずれ出て行くとは思ってたけどな。そうか、どこへ行くつもりなんだ。」
「特に目的地はないですが。」
「それじゃ、東の海の街キエハナって言う街か、北の鉱山地帯のバームって言う街がオススメだな。」
うーーん、海に行くか、鉱山に行くかか。今の剣はとりわけ良いわけでもないし、他の装備とかも見てみたいし、
「北のバームに行ってみたいと思います。」
「そうか。バームならお前の足だと大体6日ぐらいだろう。」
「わかりました。いろいろとありがとうございました。」
「別に良いさ。それにここんとこはあまり面白くなかったからな、お前さんが来て少しは楽しめたぞ。」
「そう言ってくれると嬉しいです。」
「だが、お前さんは実力の割に知識や実績が少ない。下手な行動をすれば一気に人生が変わることもありうる。言われんでもわかってるとは思うが、一応忠告な。」
「はい、そこはしっかり気をつけます。」
「またいつか来いよ、適当に話にでも。」
「勿論です。ありがとうございました。」
俺とアクアとリーンはギルドに手を振って、さよならと伝え、街を出た。
「この感覚も久しぶりだな。」
この世界に来てたぶん3週間ぐらいか。最初はとにかく歩いて街を探していたが、ここんとこは宿でずっと泊まってたからな。
「キュ~♪」
「ピュ~♪」
うちのスライム達もご機嫌なようだ。特にリーンは旅をしてないから余計楽しいことだろう。
「あれは、イノシシ?」
イノシシ型のモンスターがこちらへ接近してくる。大体1メートル50ぐらいか。そんなに苦労はしないかな。
「キュー♪」
「あ、おいアクア。」
アクアが肩から降りて、イノシシの方へぴょんぴょん跳ねて行く。たしかにあいつなら負けるなんてことはないが、いきなりすぎる。
結果は、溶解液を顔面にモロにあたり、叫びながらイノシシは倒れた。倒すと、リーンも肩から降りて解体し始める。リーンが足や、頭部、尻尾と部分ごとに腕を硬化させ剣のようにして切る。そして真ん中の肉が多い部分をアクアが取り込んで解体する。
毛皮、肉、尻尾、魔石、牙と解体し終わり、リーンは俺のカバンにどんどん入れて行く。最近俺あんまりこういうのやってねえな。
イノシシの解体も終わり、アクアとリーンが肩に戻る。本人達もかなり満足した様子だ。アクアは特に戦い足りなさそうだ。
「ゴブリンの群れか?大体10体ほどだな。」
ゴブリンの群れを見つける。主にアクアが探知スキルで先に見つけてくれるんだけど。いつものように走り込んで倒して行く。
この旅ではあまりプロレス技は使わないつもりだ。あれはそれなりに力を入れるから、かなり疲れるし、集中力も必要になる。ゴブリン達も剣や魔法を使って倒して行く。
ん、あの穴は何だ?
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