スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya

文字の大きさ
上 下
13 / 196
第2章 成長と訓練編

第12話 ダンジョン攻略します。

しおりを挟む
 「キュー、キュー?」
 「ん、どうした?ってええ!」

アクアがモグラ型のモンスターを吸収しに行ったら、なんと居なくなっていた。そして、部位やら魔石だけが残っている。

どうやらダンジョンは平原や森とは違い、ここで生まれたモンスターはここで死ぬとダンジョンに吸収されるようだ。

 「キュー……、」
 「アクア、そんなしょげるなって、俺が美味しいもの作るから。」
 「キュ!キュー♪」

どうやら吸収したかったようで、ダンジョンでは吸収できないことを知り、しょんぼりした。俺が美味しいものを作るというと、いつものように戻って元気にぴょんぴょん跳ねる。

ダンジョン内は、モンスターが多いからアクアは肩に乗せず、つねに地面で跳ねている。それが可愛くて癒されるんだよなー。

平原で見るようなゴブリンやスライム、先ほどモグラ型のモンスターを倒しまくってった。アクアもしっかりと楽しそうに倒している。

 「ん、なんだこの扉は。」
 「キュー?」

歩いていくと途中で、ある扉のようなものを見つけた。そういえばダンジョン内には通常の扉や隠し扉があり、そこには宝物だったり、装備品もあるそうだ。

 「んー、でも、全然開かないな。」

力一杯押すが、ビクともしない。押して無理なら引いてみよー、と引いてみるが、それでも開かない。

 「はー、なんで開かないんだ。」
 「キュー♪」
 「アクア、どうした。」

扉が開かなくてがっかりしてると、アクアがぴょんぴょん扉の方に跳ねていく。そして扉に体当たりする。当然開くわけがない。

 「ん!?」

そのあと、アクアが扉に自身の体を押し込む。すると、ビクともしなかった扉がいとも簡単に開いた。

 「なんでだ。」

よく見てみると、扉の一部が光って見える。まさか!?

 「魔力を流して開くのか。」

確かスライムは常に体に魔力が纏っていたな。俺が開けようとした時、魔力を意識してなかったし、そういうことなのだろう。次に見つけた時に試すか。

中に入ると短い一本道で、奥に宝箱があること以外特に何もない。そういえば罠とかあるかもしれない。でも、どうしようかな。

 「キュ♪」
 「おいアクア!罠かもしれ……何もない?」

アクアが元気よく跳ねて行って、宝箱を開ける。特に何も無かった。

 「アクアはこれが罠じゃないってわかったのか?」
 「キュ!」

「えっへん!」と言いたげに俺に向かって跳ねる。とりあえず中身を見てみるか。

 「うーーーん、ごまダレーー。てやつだな。」

中にはHPポーションと薬草みたいなのが入ってた。でも、俺光魔法で回復もできるからなー。中身を見て悩んでいると、アクアが宝箱の中に突っ込む。

  「アクアーー。」

急いで抱き上げると、中は空っぽだった。アクアをよくみると、消化してた。相変わらずだなと思ってたら、瓶だけ渡してくる。これはポーションのやつか。何かに使えるかもしれない。これはありがたい。

扉を出て、またフロアを進んでいく。すると、分かれ道が出てきた。

 「ウーーン。これはどっちなんだ。」

探知系の魔法が無いから、どっちが正解かわからないな。

 「キュー!」

アクアが右側の方に跳ねて行く。

 「アクア、そっちが正解なのか?」
 「キュー♪」

驚いた。こんなにいい子だとは思わなかった。あ、さっき宝箱を判断できたのに共通してるのかな?
多分アクアには探知できるのかもしれない。ステータスにはスキルとしてないから感覚なのかもしれないが。

右側から進むと、3分で階段を見つけた。おーやっぱアクアはわかるようだ。これからはアクアに先導してもらおう。

次のフロアは、コボルトという二足歩行の狼のようなモンスターが出てきた。片手には剣を持っている。

 「アクア、ここは俺に任せろ。」

剣の柄を握って、構える。コボルトが1匹こちらに突撃してくる。

 「はぁ!」

俺が狙ったのは居合斬りだ。俺の剣技の一つだ。今まで丸腰のやつしか戦ったことないから、剣を持っているコボルトにどの程度通じるのかはかるのも込みで放ったら。

 パキン!
 「グアー!」

何とコボルトの剣ごとコボルト本体を斬った。剣をうまく払えればいい程度に思ってたが、これは中々使えるな。残りも一度鞘に戻して、居合斬りで倒した。少し集中力が必要だが、1発で倒せるからだいぶ楽だ。

素材を拾って、また進んで行こうとしたら、アクアが何かを訴えかける。

 「キュー!キュー!」

小刻みに跳ねて、必死そうにも見える。うーん、
あ!

 「アクア、お腹すいたか?」
 「キュー♪」

どうやらお腹が空いてたようだ。いつもは、俺が倒したらすぐに「キュー♪」て駆け寄ってすぐ吸収だったからな。ここに入ってからはさっきのポーションしか食べてないのか。

 「それじゃあ今から作るぞー。」

カバンから鍋とコンロを出し、水を入れ、オークの骨、香草、肉、野菜を切って煮込む。煮込んでる間はアクアと遊んでいた。高い高いが大変喜ばれた。

そして、オーク肉のスープが完成し、ほかにロールパンと、俺は牛乳、アクアには水を用意する。飲み物だけは中々好みが揺るがないんだよな。

 「いただきまーす。」
 「キューー♪」

食べるとは言っても、パンをちぎって渡したり、スープを掬ってアクアに食べさせたりした。水は前作ってもらったガラスのようなコップで飲んでもらってる。オークの骨、豚骨っぽいけどそれ以上に旨味が強い。これは他にも応用できそうだな。

 「ごちそうさまでした。」
 「キュ、キュー♪」

仲良く片付け(アクアは残りを一気に吸収し、俺は水洗いをしてカバンに入れるだけ。)して、また攻略を続ける。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

スキルを極めろ!

アルテミス
ファンタジー
第12回ファンタジー大賞 奨励賞受賞作 何処にでもいる大学生が異世界に召喚されて、スキルを極める! 神様からはスキルレベルの限界を調査して欲しいと言われ、思わず乗ってしまった。 不老で時間制限のないlv上げ。果たしてどこまでやれるのか。 異世界でジンとして生きていく。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

処理中です...