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第5話

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洞窟から少しだけ離れた場所に、木々がないちょっとした広場のようなものが見つかった。

「ここなら家を作っても問題なさそうだな。作れる気はしないけど」

家を建築するにはもってこいの場所を見つけたものの、デスクワークのサラリーマンには家を建築する技術は真っタック持ち合わせていなかった。しかも素材も一から集めなければならないため、どこから手を出せばいいか全く検討がつかない。

ラムが雅人に近づいて、触手で服の裾を掴んで『どうしたの?』と言った仕草をする。

「ん?、ああ実は……」

雅人は、彼の考えている構想をラムにある程度伝えた。雅人自身はそれですぐに解決できるとは思っていなかったが、なんとなくでラムに教えたようだ。

雅人の構想を把握したラムはしばらく考え込んだ雰囲気を出す。そして結論が出たようで、ラムは大きな木々の方に一直線に跳ねた。

「ラム?一体どうしたんだ」

さっきまでは離れることのなかったラムが急に雅人の元を離れたので雅人は少し驚いきながら、移動するラムの広報をついてく。そして、ラムは触手を大きく伸ばすと大木に触手をあてて、斬り始めたのだ。

「……おいおい、まさかさっきの話を聞いてマジで家を作る気なのか」

イノシシを簡単に倒して、ラムは弱い魔物でないことは認識しているが流石に家を造るのは無理と思っていた。しかし、ラムは触手で大木を次々と斬り倒していく。最初の1本はギコギコしていたので時間がかかっていたが、2本目からは触手を硬化させてスパーンと一気に斬り倒した。

「すげえ、しかも学習しているのか?効率がどんどん上がっている気がする」

雅人はラムの能力に素直に感心していた。もちろんこの世界のスライム全てができるわけではなく、雅人の『極大魔力』による能力UPによるものであるが、『ファミリア』になったことでその恩恵も著しいものとなっている。

しばらく木々を斬りまくったラムは、雅人の方に近づきその場でぴょんぴょんと跳ねる。

「『水が欲しい』って、いいけど水をかけるだけでも大丈夫か?」

口がどこにあるのかわからなかったが、ラムは『大丈夫』と触手で伝え雅人から水を吸収する。体全体で吸収しているため、地面に溢れることはなかった。しばらく水を吸収すると触手でストップするとその場で今までにない震え方をした。

しばらく経過すると、ラムの体が2つに分かれた。

「分裂したのか?確かに、分裂とか合体とかスライムの専売特許のイメージがあるが。大丈夫なのか?」

ラムの方は問題ないと触手をあげてアピールする。片割れの方は、元の形に戻ると色が水色から緑色に変化した。ラムの方は今まで通りの水色である。ラムも分裂した瞬間は少し変形していたが、しばらく経つとポンっと元の形に戻った。

「大丈夫そうだな、それと新しいスライムか。よろしく、でいいか?」

新しく生まれた緑色のスライムはビシッと触手をあげて『初めまして』と元気よく挨拶をする。別のスライムではあるが、元はラムであるためこの緑色のスライムにもすでに『ファミリア』の関係になっている。そのため、意思の疎通が可能となっている。

「でも一体何で分裂したんだ」

ラムが緑色のスライムを連れて、先ほど伐採していた箇所に移動する。そして、触手を激しく動かして何かを伝える。了承したように緑色のスライムが弾むと、これまでにラムが伐採していた大木を体内に吸収する。

どうやったらそのサイズで何メートルもある大木が入るのかと思いながら見守る雅人。体内にいれてしばらく時間が経った後に、体内から再び大木を出す。出てきたのは枝や葉などが除去され、加工しやすいように水分が抜けている綺麗な丸太になっていた。

次々と斬っていくラムと、それを受け取り加工済みの木材にする緑色のスライム。日本であれば、この作業だけでどれぐらい時間と人員が必要なのかと雅人は思わず考えてしまう。それほど効率よく大木を建材にして行く。

「作業を効率よくするために分裂したのか」

ラムは雅人の言葉に肯定するようにその場で跳ねる。ある程度建材が揃ったのかラムは大木を斬るのをやめ、加工済みの木材を様々な大きさに斬り分けて行く。

一方の緑色のスライムはどこか別の場所に行ってしまった。雅人は心配したものの、ラムが手を振るように触手を振っていたので、一応安心はしている。

「でも何のために離れたのか?」

ラムはさらに斬り分けて行く。斬り分けた建材を、今度はくっつけて行く。釘も何も使わずに次々に繋げる。そしてどこかに移動していた緑色のスライムが戻ってきた。

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