3 / 5
第3話
しおりを挟む
スライムはイノシシの突進をうまくキャッチしたようで、ダメージを受けることなくそのまま包み込んだようである。イノシシは器用に体を動かすことができないため、暴れまわるが全く出れ気配がない。
スライムも、イノシシの動きに合わせて体の大きさや形を調整しているようで、一切イノシシを出さないまま溶かしている。やがて体の大部分が動かなくなり、イノシシはスライムの中で息絶えた。
「もう大丈夫か?」
雅人はスライムにそっと近づく。バスケットボールサイズだったのが、今ではイノシシよりも巨大になっている。スライムはイノシシを吐き出すと、元のサイズに戻った。
元のサイズに戻ったスライムは、何事もなかったかのようにぴょんぴょんと雅人のもとに駆け寄った。
「イノシシはどうしたんだ?全部食べたのか?」
雅人がそう聞くと、スライムはプルプルと震えだした。しばらくすると、先ほどのイノシシが吐き出されてきた。雅人は一瞬驚くも、イノシシはピクリとも動かない。
「もしかして、体の中に収納できるのか?」
雅人はそうつぶやく。スライムはよくわからないらしく触手を揺らすだけだった。雅人はいったんスライムの能力として自分を納得させた。
当然、単純にスライムの能力ではない。この世界のスライムも弱いというのが常識である。
ここまでこのスライムに能力がある理由は、雅人の【極大魔力】に起因している。スライムが雅人の膝に乗っかったときに、その場で従魔契約がなされており、雅人の魔力を触媒にスライムの進化を促した。
また、彼が森のなかで一向にモンスターに出会うことがなかったのは、彼の【極大魔力】が理由で、彼の魔力におびえてモンスターたちは避けていた。
イノシシも例外ではなく、雅人の魔力におびえていたもののスライムを目の前にし、スライムからも魔力が得られるのではないかと、襲ってきたようだ。
「何はともあれ助かったよ。ありがとうな」
雅人はその場で腰を落とすとスライムを撫で始めた。スライムは気持ちよさそうにプルプルと震えている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
イノシシの一件から、しばらく森の中を歩き回っていたが人どころか、ほかのモンスターにも出会わなくなった。日も暮れて、だいぶ森の中も暗くなった。
「今日はいったんさっきの洞窟で夜を過ごそうか」
スライムは同意するようにその場でぴょんと跳ねる。幸い歩き回った場所は、先ほどの洞窟からそこまではなれていなかったようで、安全に到着した。
無限水筒で、のどをある程度潤すと、空腹をかなり感じた。【極大魔法】を持っているとはいえ、何時間も何も食べずに歩き回れば、限界はくるというもの。
空腹に悩まされている雅人を見て、スライムはその場でプルプルと震え始めた。
「ど、どうした!?水が欲しくなったか?」
雅人は水筒をスライムに急いで近づけるが、スライムは触手でよけると体の中から生肉を取り出した。肉だけでなく木の枝や枯れ葉も出すと、あっという間に焚火を作る。溶解液をかけると、火がつき洞窟内に温かさが生まれた。
雅人は目の前の光景に唖然としていた。焚火ができたと思えばすぐにイノシシの肉も焼かれており、スライムはせっせと準備している。そして肉の焼き加減を確認すると、スライムはいい具合に焼けたイノシシ肉を雅人に渡す。
「⁉うまい!!」
お腹が減っていた雅人に焼き立ての肉は格別においしかった。たれや塩など調味料が一切なかったが噛むたびにうまみが口全体に広がった。スライムは雅人がおいしそうに食べているのをみて嬉しそうに震えていた。
「スライムも食べなよ、俺だけもらってばっかりもあれだし」
雅人はスライムにも食べるように促した。スライムは食事をとる必要がほとんどないが、雅人と一緒にイノシシ肉を食べ始めた。スライムは触手で肉をつかむと、そのまま体の中に入れ込むと、徐々に肉が解けていった。雅人はそんな様子を楽しそうに眺めていた。
スライムも、イノシシの動きに合わせて体の大きさや形を調整しているようで、一切イノシシを出さないまま溶かしている。やがて体の大部分が動かなくなり、イノシシはスライムの中で息絶えた。
「もう大丈夫か?」
雅人はスライムにそっと近づく。バスケットボールサイズだったのが、今ではイノシシよりも巨大になっている。スライムはイノシシを吐き出すと、元のサイズに戻った。
元のサイズに戻ったスライムは、何事もなかったかのようにぴょんぴょんと雅人のもとに駆け寄った。
「イノシシはどうしたんだ?全部食べたのか?」
雅人がそう聞くと、スライムはプルプルと震えだした。しばらくすると、先ほどのイノシシが吐き出されてきた。雅人は一瞬驚くも、イノシシはピクリとも動かない。
「もしかして、体の中に収納できるのか?」
雅人はそうつぶやく。スライムはよくわからないらしく触手を揺らすだけだった。雅人はいったんスライムの能力として自分を納得させた。
当然、単純にスライムの能力ではない。この世界のスライムも弱いというのが常識である。
ここまでこのスライムに能力がある理由は、雅人の【極大魔力】に起因している。スライムが雅人の膝に乗っかったときに、その場で従魔契約がなされており、雅人の魔力を触媒にスライムの進化を促した。
また、彼が森のなかで一向にモンスターに出会うことがなかったのは、彼の【極大魔力】が理由で、彼の魔力におびえてモンスターたちは避けていた。
イノシシも例外ではなく、雅人の魔力におびえていたもののスライムを目の前にし、スライムからも魔力が得られるのではないかと、襲ってきたようだ。
「何はともあれ助かったよ。ありがとうな」
雅人はその場で腰を落とすとスライムを撫で始めた。スライムは気持ちよさそうにプルプルと震えている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
イノシシの一件から、しばらく森の中を歩き回っていたが人どころか、ほかのモンスターにも出会わなくなった。日も暮れて、だいぶ森の中も暗くなった。
「今日はいったんさっきの洞窟で夜を過ごそうか」
スライムは同意するようにその場でぴょんと跳ねる。幸い歩き回った場所は、先ほどの洞窟からそこまではなれていなかったようで、安全に到着した。
無限水筒で、のどをある程度潤すと、空腹をかなり感じた。【極大魔法】を持っているとはいえ、何時間も何も食べずに歩き回れば、限界はくるというもの。
空腹に悩まされている雅人を見て、スライムはその場でプルプルと震え始めた。
「ど、どうした!?水が欲しくなったか?」
雅人は水筒をスライムに急いで近づけるが、スライムは触手でよけると体の中から生肉を取り出した。肉だけでなく木の枝や枯れ葉も出すと、あっという間に焚火を作る。溶解液をかけると、火がつき洞窟内に温かさが生まれた。
雅人は目の前の光景に唖然としていた。焚火ができたと思えばすぐにイノシシの肉も焼かれており、スライムはせっせと準備している。そして肉の焼き加減を確認すると、スライムはいい具合に焼けたイノシシ肉を雅人に渡す。
「⁉うまい!!」
お腹が減っていた雅人に焼き立ての肉は格別においしかった。たれや塩など調味料が一切なかったが噛むたびにうまみが口全体に広がった。スライムは雅人がおいしそうに食べているのをみて嬉しそうに震えていた。
「スライムも食べなよ、俺だけもらってばっかりもあれだし」
雅人はスライムにも食べるように促した。スライムは食事をとる必要がほとんどないが、雅人と一緒にイノシシ肉を食べ始めた。スライムは触手で肉をつかむと、そのまま体の中に入れ込むと、徐々に肉が解けていった。雅人はそんな様子を楽しそうに眺めていた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ちょっと神様!私もうステータス調整されてるんですが!!
べちてん
ファンタジー
アニメ、マンガ、ラノベに小説好きの典型的な陰キャ高校生の西園千成はある日河川敷に花見に来ていた。人混みに酔い、体調が悪くなったので少し離れた路地で休憩していたらいつの間にか神域に迷い込んでしまっていた!!もう元居た世界には戻れないとのことなので魔法の世界へ転移することに。申し訳ないとか何とかでステータスを古龍の半分にしてもらったのだが、別の神様がそれを知らずに私のステータスをそこからさらに2倍にしてしまった!ちょっと神様!もうステータス調整されてるんですが!!
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
名前を書くとお漏らしさせることが出来るノートを拾ったのでイジメてくる女子に復讐します。ついでにアイドルとかも漏らさせてやりたい放題します
カルラ アンジェリ
ファンタジー
平凡な高校生暁 大地は陰キャな性格も手伝って女子からイジメられていた。
そんな毎日に鬱憤が溜まっていたが相手が女子では暴力でやり返すことも出来ず苦しんでいた大地はある日一冊のノートを拾う。
それはお漏らしノートという物でこれに名前を書くと対象を自在にお漏らしさせることが出来るというのだ。
これを使い主人公はいじめっ子女子たちに復讐を開始する。
更にそれがきっかけで元からあったお漏らしフェチの素養は高まりアイドルも漏らさせていきやりたい放題することに。
ネット上ではこの怪事件が何らかの超常現象の力と話題になりそれを失禁王から略してシンと呼び一部から奉られることになる。
しかしその変態行為を許さない美少女名探偵が現れシンの正体を暴くことを誓い……
これはそんな一人の変態男と美少女名探偵の頭脳戦とお漏らしを楽しむ物語。
金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!
夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!!
国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。
幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。
彼はもう限界だったのだ。
「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」
そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。
その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。
その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。
かのように思われた。
「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」
勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。
本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!!
基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。
異世界版の光源氏のようなストーリーです!
……やっぱりちょっと違います笑
また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる