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第25話 遠征の始まり
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遠征計画が練られたところでスーちゃんを筆頭に順調に遠征の準備は進んでいった。しかしその準備は従来のものとは全く別物であった。
通常保存がきく干し肉や燻製肉を保存のきくビンや軽い袋に詰めるものだが、エルの遠征での食事はほとんど向こうで調理をするということで生肉やほか保存加工をしていない食材ばかりであった。
「ミニスーちゃんやわたくしで保存はできますのでわざわざ燻製にしたり干し肉を用意する必要はないです」とスーちゃんが言ったからである。言葉通り遠征に持っていく食材管理はミニスーちゃんたちで行われている。
「陣形はどうされます?この森は何が出るかわかりません」
ここは共有スペースでスーちゃん、エレル、エル、ほかのエンシェントエルフたちで遠征時の陣形について相談をしている。
「なるほど、ではミニスーちゃんを先遣隊として出しましょう。あの子たちなら小さいため隠密行動にも最適でしょう。あとは一人エルフからください」とスーちゃんは結論付ける。
そしてエルを中心部においてそこにはスーちゃんとハッピーでがちがちに固めることになった。これに関しては誰もが納得しており、「スーちゃんにハッピーがいるなら安心だね」とエルも了承している。
「わたくしは先頭ですか」
「はい、今回のターゲットを知っているのはエレルさんたちだけなのでお願いします。今回の遠征の隊列はそこまで大きくないので大丈夫だと思います」とスーちゃんは言い、エレルも納得する。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
そしてついに遠征準備が終了し当日を迎えた。この日はいつも朝が弱くスーちゃんたちに起こされているエルだが遠征の期待でかすでに起きていた。
「あ、おはよう。スーちゃん」
いつものようにエルを起こしに来たスーちゃんだったがエルがすでに起きていることに少なからず驚いている。「エル様、すでに起きられていたのですね。まだ遠征まで時間がありましたのでおやすみなられてもよかったですのに」と少し心配そうに触手を動かす。
「いや、なんか今日は珍しく目がさえてね。二度寝もできないし久々なこの漢字を楽しんでいるよ」
「そうですか、それではもうしばらくしたら朝食のお時間ですのでそれまでには戻ってきてくださいね」とスーちゃんは伝えると戻っていった。エルの足元にミニスーちゃんが水を持ってきた。
「ありがとミニスーちゃん。よしよしー」
エルはお礼を言いミニスーちゃんを持ち上げると頭部をなでる。ミニスーちゃんはプルプルと震えてとても喜ぶものの何かを思い出したのかぴょんとエルから離れピシっと触手を伸ばして一礼すると部屋を出ていった。
「本当に頑張り屋さんだな。俺も共有スペースのほうに行くか」
エルはミニスーちゃんが持ってきてくれた水をぐいっと飲むと着替えて共有スペースに向かい朝食を取った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
朝食を取った後いよいよ遠征が始まるということで全員が一度作業を止めて集合しており、みんなの前にはエルとスーちゃんとハッピーとエレルがいた。
「ええ、これより遠征を始めるわけだけど、まず遠征組は絶対にけがをしないように。安全に帰ることを心掛けるように。そして居残り組のみんなも人数が減っているから作業がいつもの倍近く大変だと思うけど気を抜かないように!!」
エルが拠点全員にそう宣誓すると全員が一同に興奮した。ターグスたちドッグマンは遠吠えをし、ミニスーちゃんはその場でぴょんぴょんと跳ね、ハッピーもエルの横で羽をバサバサと広げた。
こうしてエルたちの初となる遠征が始まった。
通常保存がきく干し肉や燻製肉を保存のきくビンや軽い袋に詰めるものだが、エルの遠征での食事はほとんど向こうで調理をするということで生肉やほか保存加工をしていない食材ばかりであった。
「ミニスーちゃんやわたくしで保存はできますのでわざわざ燻製にしたり干し肉を用意する必要はないです」とスーちゃんが言ったからである。言葉通り遠征に持っていく食材管理はミニスーちゃんたちで行われている。
「陣形はどうされます?この森は何が出るかわかりません」
ここは共有スペースでスーちゃん、エレル、エル、ほかのエンシェントエルフたちで遠征時の陣形について相談をしている。
「なるほど、ではミニスーちゃんを先遣隊として出しましょう。あの子たちなら小さいため隠密行動にも最適でしょう。あとは一人エルフからください」とスーちゃんは結論付ける。
そしてエルを中心部においてそこにはスーちゃんとハッピーでがちがちに固めることになった。これに関しては誰もが納得しており、「スーちゃんにハッピーがいるなら安心だね」とエルも了承している。
「わたくしは先頭ですか」
「はい、今回のターゲットを知っているのはエレルさんたちだけなのでお願いします。今回の遠征の隊列はそこまで大きくないので大丈夫だと思います」とスーちゃんは言い、エレルも納得する。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
そしてついに遠征準備が終了し当日を迎えた。この日はいつも朝が弱くスーちゃんたちに起こされているエルだが遠征の期待でかすでに起きていた。
「あ、おはよう。スーちゃん」
いつものようにエルを起こしに来たスーちゃんだったがエルがすでに起きていることに少なからず驚いている。「エル様、すでに起きられていたのですね。まだ遠征まで時間がありましたのでおやすみなられてもよかったですのに」と少し心配そうに触手を動かす。
「いや、なんか今日は珍しく目がさえてね。二度寝もできないし久々なこの漢字を楽しんでいるよ」
「そうですか、それではもうしばらくしたら朝食のお時間ですのでそれまでには戻ってきてくださいね」とスーちゃんは伝えると戻っていった。エルの足元にミニスーちゃんが水を持ってきた。
「ありがとミニスーちゃん。よしよしー」
エルはお礼を言いミニスーちゃんを持ち上げると頭部をなでる。ミニスーちゃんはプルプルと震えてとても喜ぶものの何かを思い出したのかぴょんとエルから離れピシっと触手を伸ばして一礼すると部屋を出ていった。
「本当に頑張り屋さんだな。俺も共有スペースのほうに行くか」
エルはミニスーちゃんが持ってきてくれた水をぐいっと飲むと着替えて共有スペースに向かい朝食を取った。
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朝食を取った後いよいよ遠征が始まるということで全員が一度作業を止めて集合しており、みんなの前にはエルとスーちゃんとハッピーとエレルがいた。
「ええ、これより遠征を始めるわけだけど、まず遠征組は絶対にけがをしないように。安全に帰ることを心掛けるように。そして居残り組のみんなも人数が減っているから作業がいつもの倍近く大変だと思うけど気を抜かないように!!」
エルが拠点全員にそう宣誓すると全員が一同に興奮した。ターグスたちドッグマンは遠吠えをし、ミニスーちゃんはその場でぴょんぴょんと跳ね、ハッピーもエルの横で羽をバサバサと広げた。
こうしてエルたちの初となる遠征が始まった。
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