仕方なく開拓者になったけど、膨大な魔力のおかげで最高の村ができそう

Miiya

文字の大きさ
上 下
12 / 27

第12話 パーティー

しおりを挟む
 「さ、どうぞどうぞ、遠慮しないで食べてよ。おかわりならスーちゃんに頼めばくれるよ。」

 『どんどん焼き上げていくので遠慮なく食べてくださいね。あとでさきほどのグリズリーも焼いていくので楽しみにしてくださいね。』とエルの言葉に同調するように触手を揺らす。

 「わかりました。」

 「イノシシもいい感じに焼けてきたし、ラーちゃんこれを薄く切ってくれるかな?」

ラーちゃんに仕上げを頼む。薄く綺麗に切っていき、ガラスの皿に盛り付けて提供してくれる。

 「ありがとうラーちゃん!みんなも食べていってね。」

 「あ、ありがとうこざいます。」

 「ん!?うまい!リーダー、これってプールスボアの肉じゃないですか?」

 「ええ、おそらくそうね。こんなものが平気で料理に出されるなんてちょっと異常だけど。」

 「スーちゃん何作ってるの?」

 エルフたちがイノシシの丸焼きに警戒していることを知らないエルは、スーちゃんの新たに作っている料理に夢中だった。

 「スープかー、いいねー。イノシシの骨を使って出汁をとってるの?へー。」

 スーちゃんはエルフたちに近づくと、『新たにスープも完成しました。召し上がってくださいね。』と触手を動かした後スープ鍋の方に戻った。

 「これも美味しいですね。特に卵がとても美味しいです。」

 エルフたちはスーちゃん特製のスープ、特にその中にある卵が美味しいと高評価していた。

 「いや、このコクはただの卵じゃない。高級卵にしか出ない味だ。」

 「どうみんなー、最近コカトリスたちがたくさん卵を産んでくれたおかげで美味しい卵料理を作ることができるんだー。」

 「「「「え、、」」」」

 彼女らはエルのコカトリスという言葉にゾッとした。コカトリスの卵は高級食材として扱われているが、その味はストレスのない快適な環境でこそ出る味。通常出回るコカトリスではここまでの味は出ない。つまり、そんな高級食材が平然ととれる環境を作れていることに驚いた。ちなみになぜコカトリスがストレスがないかといえば、エルの魔力だ。

 「リーダー、このスープ1杯どれくらいしますかね。」

 「おそらく1000バッズはくだらないだろう。しかもそれが多分あと30杯分はありそうだ。」

 この国の共通通貨バッズは10万あれば家族1月暮らせる金額であり、スープは200バッズぐらいだ。

 「しかも、味だけの評価ですよね。調理技術とか材料入手の難易度も含めたら4000バッズいきそうですね。」

 「加えてあの建築技術。エルフどころか人間にもあの技術は無いんじゃないか?」

 「多分その道のプロのドワーフにも勝るとも劣らない技術力ですね。」

~~~~~~~~
エルフ宅にて

 「それで、エルさんの魔力のことを話すんですか?」

 「話しちゃ絶対ダメよ。」

 「え、あの魔力を使えばさらに良くなるんじゃ?」

 「下手に使い方を教えると、きっと魔力災害が起こりうるわよ。」

 魔力災害、魔力が乱れた状態のまま大量放出された際に魔力がすべて爆発に変換される現象。

 「そうですね。しかも一般の魔力災害に対してエルさんの魔力、多分国1つ吹っ飛びますね。」

 魔力災害とは言ってもだいたいは家が吹き飛ぶ程度ではあるが、エルの場合は魔力が多すぎるため災害の規模も拡大する。

 「しばらくここに住んで慣れてきたらほかのエルフの一派も呼びましょ。」

 「しかし、すぐに見つかりますかね?」

 「そこはエルさんに掛け合って探索に出かける許可をもらわないとわからないね。」

 密かにエルフ探しの探索チームが結成されていた。

~~~~~~~~

 「ピイー!」

 「ん?どうした?」

突然ハッピーが家にいる俺を呼び出した。遊びに行っててすぐには戻ってこないと思ったんだけど。

 「ピイー♪」

 「どこに行くの?森の中?」

ハッピーは家から出ると、そのまま森の方についてきてと羽を伸ばして呼び寄せる。トコトコと歩くハッピーについていく。

 「ピイー♪」

 「ここ?ハッピーが来たかった場所は?」

ハッピーに連れられて来たのは普通に森の中。特に何もない。

ポテ、

 「ん?なんだこれ?芋虫?」

ゴニョゴニョと動く芋虫のような緑色のモンスターを見てみる。

 「これは一体なんだろう?」

 「ピイー!」

 「え?家に連れてきた方がいいの?でもついてくるかな?」

ハッピーは連れてこようと言うが、ついてくるかわからん。とか言ってると、ハッピーはその芋虫に近づく。何か動いて伝えるとハッピーの後ろを付いてくようになった。

 「ピイー♪」

 「ついてくるようになったんだ。それじゃ大丈夫か。最悪何かあればスーちゃんに聞けば大丈夫だよね。」

 「ピイー♪」

俺とハッピーはもうすっかりスーちゃんに大助かりだ。何かあれば頼めばなんとかなる感がある。

~~~~~~~~

 「おーいスーちゃん!!」

スーちゃんを呼ぶ。聞こえたのか、普通に遠くからぴょんぴょんと跳ねて近づいてくる。

 「ハッピーがこの子を連れてきたんだけどどうすればいいかな?」

スーちゃんにどうすべきか聞いてみると触手を伸ばして芋虫を撫でるとその芋虫は喜んでいるのか糸をいきなり吐き出し始めた。

 「うわ、糸を出した!?え!スーちゃん食べるの?」

芋虫が出した糸をスーちゃんが取り込んでしまった。しかししばらくすると綺麗なハンカチがスーちゃんから出てきた。

 「わー、すごいな。ハッピーはこれに気づいてたの?」

 「ピイー♪」
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

私は、忠告を致しましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。  ロマーヌ様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ?

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

【完結】不協和音を奏で続ける二人の関係

つくも茄子
ファンタジー
留学から戻られた王太子からの突然の婚約破棄宣言をされた公爵令嬢。王太子は婚約者の悪事を告発する始末。賄賂?不正?一体何のことなのか周囲も理解できずに途方にくれる。冤罪だと静かに諭す公爵令嬢と激昂する王太子。相反する二人の仲は実は出会った当初からのものだった。王弟を父に帝国皇女を母に持つ血統書付きの公爵令嬢と成り上がりの側妃を母に持つ王太子。貴族然とした計算高く浪費家の婚約者と嫌悪する王太子は公爵令嬢の価値を理解できなかった。それは八年前も今も同じ。二人は互いに理解できない。何故そうなってしまったのか。婚約が白紙となった時、どのような結末がまっているのかは誰にも分からない。

王太子妃が我慢しなさい ~姉妹差別を受けていた姉がもっとひどい兄弟差別を受けていた王太子に嫁ぎました~

玄未マオ
ファンタジー
メディア王家に伝わる古い呪いで第一王子は家族からも畏怖されていた。 その王子の元に姉妹差別を受けていたメルが嫁ぐことになるが、その事情とは? ヒロインは姉妹差別され育っていますが、言いたいことはきっちりいう子です。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

処理中です...