上 下
10 / 27

第10話 森の異変

しおりを挟む
「おはよーみんな。」

朝起きて、スーちゃんラーちゃんベッドから立ち上がる。ハッピーはまだ寝ているようで「ピイー……」と寝息を立てて寝ている。

 「それじゃあ先に畑に行くね。」

静かにスーちゃんラーちゃんに伝え畑に行くことに決めた。いつも朝ごはんの時間にはスイちゃんやコカトリス小屋のミニスーちゃんが家に戻ってくるが、今日は早起きしたから朝どんなことしているか見にいこうと思った。

 「ここの道も早く舗装しないとな。ゴツゴツで歩きにくいな。」

スーちゃんたちスライム一族は跳ねて移動しているためあんまり問題がないらしい。

 「さてと、畑はどうなって……!?」

そこにはスイちゃんたちがぴょーんぴょーんと高く跳ねていた。まるで踊りのように。

 「何やってるの?こうすると野菜たちがより良く育つの?すごいね。」

踊りをやめた1匹のスイちゃんに話を聞いた。毎日朝昼晩に計3回やるらしい。理由はわからないが育ってくれるのならありがたい。

 「今からご飯食べるよ、一緒に食べようよ。」

 エルはそう言ってスイちゃんたちに家に戻るように促した。すると、スイちゃんたちは籠から1つトマトを出してエルに渡す。

 「これはトマト?今日獲れたばかりなの?このまま食べることができる?それじゃあ一口。ん!?美味しい!!」

すごいみずみずしい!それに加えて酸味と甘みがいい具合にマッチしている。

 「これを持って行ったらスーちゃんに喜ばれるかな。他にも野菜があるの?なら一緒に持って行こうか。」

 エルがそう提案すると、スイちゃんたちは自分たちの体に野菜を取り込み収納した。

最近はスーちゃんが料理を作ってくれるからかなり助かってる。俺じゃああんま美味しいのは作れないからな。

 「コカトリスたちもおはよー。」

 「クエーー!」

うんうん、今日も元気がいいな。管理スライムのミニスーちゃんたちも頑張ってくれてるようだし。

~~~~~~~~

 「おーいスーちゃん!野菜を持ってきたよー!」

家に帰ってきてスーちゃんに声をかける。スーちゃんは料理をしていた。ラーちゃんが発掘してきた火の魔石を使ったキッチンですでにスープを作っている。ちなみに今はヒカちゃんではなくちゃんとした光の魔石で明かりを出している。

 「ピイー!」

 「お、ハッピーは待ちきれないようだね。」

ハッピーはすでに椅子に座って料理が来るのを待っていた。スイちゃんたちは体内に収納していた野菜をスーちゃんに渡していく。渡し終わると机の方に乗っかった。

 「みんなもスーちゃんの料理が楽しみなようだね。」

 スーちゃんはスイちゃんにもらった野菜でサラダも作っていた。エルの健康に気遣っている。偏った食事をしないように食事管理は徹底している。ただ調味料がないためスーちゃんは味付けに困っていた。

 「ん!美味しい!」

 「ピイー!」

俺は心の底から叫んだ。ハッピーも美味しいようで鳴きながらどんどん食べる。ラーちゃんやほかのミニスライムたちも震わせながら食べていく。

 エルたちが使っている食器はスーちゃん特製のガラス皿だよ。スーちゃんたちは自身の溶解液を加工することでガラス細工ができる。スープ用の鍋はラーちゃんが発掘した鉄を使っている。

~~~~~~~~

 「今日は何をしようか。」

 「ピイー♪」

 「ん?今日は森の散策がしたい?わかった。スーちゃんとヒカちゃんたちもついてきてくれるかな?」

 エルに呼ばれたスーちゃんたちは隊形を組んで、先頭をスーちゃん、そしてエルを囲むようにヒカちゃんたちが並んでいる。エルを守るための最善の陣形をとった。ハッピーはエルの隣だ。

 「それじゃあ、しゅっぱーつ!」

今日こそは剣を使ってモンスターたちを狩ってやるぞ!

 歩いて30分が経った頃。エルが疲れて石の上に座って休憩している時だった。

 「………きゃー!」

 「ん?なんだ!?どこから聞こえたんだ?」

突然女性の悲鳴が聞こえた。それと同時にハッピーがピューンと向かっていった。

 「あ、待ってよハッピー!スーちゃんたち、俺たちも急いで行こう。」

 エルの声に応えるように触手を上げてスーちゃんたちはぴょんぴょんと声が聞こえた方向に進んだ。

 「ピイー!」

 「ガーー!」

 「ん?あれはグリズリーか?」

ハッピーを追いかけ、ようやく追いついたと思ったら既に戦闘が起こってた。そしてハッピーがちょうどグリズリーを倒したところだった。

 「ピイー♪」

 「うん、ハッピー良くやったね!」

 「あの、」

ん?誰だ。後ろから急に女性の声が聞こえた。後ろを振り返ると、耳が長い女性が数人いた。

 「もしかして、エルフですか?」

 「はい、実は先ほどグリズリーに襲われていたのですが、その子に助けてもらったんです。」

 「そっかー、傷はだいじょうぶ?スーちゃんなんとかできるかな?え、近づいてみろって?」

スーちゃんに言われ、エルフたちに近づいてみる。

 「ん!?なんですかこの魔力量は!?」

 エルフたちはエルの魔力に気づいた。エルフは人間よりも魔力に敏感なためエルの魔力に気づいた。

しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

結婚した次の日に同盟国の人質にされました!

だるま 
恋愛
公爵令嬢のジル・フォン・シュタウフェンベルクは自国の大公と結婚式を上げ、正妃として迎えられる。 しかしその結婚は罠で、式の次の日に同盟国に人質として差し出される事になってしまった。 ジルを追い払った後、女遊びを楽しむ大公の様子を伝え聞き、屈辱に耐える彼女の身にさらなる災厄が降りかかる。 同盟国ブラウベルクが、大公との離縁と、サイコパス気味のブラウベルク皇子との再婚を求めてきたのだ。 ジルは拒絶しつつも、彼がただの性格地雷ではないと気づき、交流を深めていく。 小説家になろう実績 2019/3/17 異世界恋愛 日間ランキング6位になりました。 2019/3/17 総合     日間ランキング26位になりました。皆様本当にありがとうございます。 本作の無断転載・加工は固く禁じております。 Reproduction is prohibited. 禁止私自轉載、加工 복제 금지.

妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――

今日も聖女は拳をふるう

こう7
ファンタジー
この世界オーロラルでは、12歳になると各国の各町にある教会で洗礼式が行われる。 その際、神様から聖女の称号を承ると、どんな傷も病気もあっという間に直す回復魔法を習得出来る。 そんな称号を手に入れたのは、小さな小さな村に住んでいる1人の女の子だった。 女の子はふと思う、「どんだけ怪我しても治るなら、いくらでも強い敵に突貫出来る!」。 これは、男勝りの脳筋少女アリスの物語。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!

果 一
ファンタジー
二人の勇者を主人公に、ブルガス王国のアリクレース公国の大戦を描いた超大作ノベルゲーム『国家大戦・クライシス』。ブラック企業に勤務する久我哲也は、日々の疲労が溜まっている中、そのゲームをやり込んだことにより過労死してしまう。 次に目が覚めたとき、彼はゲーム世界のカイム=ローウェンという名の少年に生まれ変わっていた。ところが、彼が生まれ変わったのは、勇者でもラスボスでもなく、本編に名前すら登場しない悪役サイドのモブキャラだった! しかも、本編で配下達はラスボスに利用されたあげく、見限られて殺されるという運命で……? 「ちくしょう! 死んでたまるか!」 カイムは、殺されないために努力することを決める。 そんな努力の甲斐あってか、カイムは規格外の魔力と実力を手にすることとなり、さらには原作知識で次々と殺される運命だった者達を助け出して、一大勢力の頭へと駆け上る! これは、死ぬ運命だった悪役モブが、最凶へと成り上がる物語だ。    本作は小説家になろう、カクヨムでも公開しています 他サイトでのタイトルは、『いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!~チート魔法で無双してたら、一大勢力を築き上げてしまったんだが~』となります

側妃ですか!? ありがとうございます!!

Ryo-k
ファンタジー
『側妃制度』 それは陛下のためにある制度では決してなかった。 ではだれのためにあるのか…… 「――ありがとうございます!!」

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

処理中です...