異世界召喚されて神様貴族生活

シロイイヌZ

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第百六話

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 俺たちも女王に報告の為、ラズロフ王城に向かう。
此方の戦力を明かす必要も無いので装備は先に屋敷に戻し、軽装甲機動車や高機動車に分乗して全員で出向くことにした。
 あまり載せたくは無かったがエリスやレイナたち騎士団が強く主張するので、仕方なくベリシーズの屍も『討伐の証明』として持ち帰る。
「ありがとうございます!」
「仲間の仇を討って下さったんですね!」
などなど、歓声に包まれて王城の前に到着する。
 車から担架に乗せたベリシーズの屍を下ろすと、自ら出迎えに来た女王が屍に掛けられたカバーを捲って中を確認する。
「これが砦を占拠していた上級魔族なんですね」
「その通りです。名はベリシーズと言ったそうです」
他にもバルバス帝国と契約を結び、人間界を制圧しようと企んでいたことも話す。
「それと同じように、スウェイザックも…」
女王は残念そうに首を振った。
「はい。制圧に成功した暁には陛下を亡き者にして、この国を貰い受ける契約だったとか」
「そのようですね。先ほどサリーからも報告を受けました」
「勝手ながら現場で尋問も施しましたが、他に関わっている者は居ないとのことでした」
「はい。それもサリーから…。安田侯爵、何から何までありがとうございました」
「いいえ。讃美のお言葉は、私よりも我が隊の者たちに掛けてあげてください」
後で整列する愛しい彼女たちを振り返る。
女王は柔らかく微笑むと、魔王討伐隊と騎士隊に向き直る。
「皆様、此度の働き、誠にお見事でした。ラズロフ王国女王として、そしてこの国の全ての民に代わってお礼を申し上げます。本当に、ありがとうございました」
その言葉を受けて、全員が一糸乱れることなく敬礼で返礼する。

「それにしても、凄まじい攻撃でしたね」
女王は改めて口にする。
「ご覧になられておられましたか」
「はい。ちょうど起床の時間と重なって、突然響いた轟音に慌てて飛び起きました」
「左様でございましたか。お休みの邪魔をしないよう配慮したつもりでしたが、行き届かず申し訳ありません」
本当は女王が寝て居ようが、必要が有れば真夜中でも攻撃を開始してたけどな。
「いいえ。お気になさらないでください。戦っていらした安田侯爵たちは大変だったでしょうが、離れて見ていただけの私たちからすれば、何だか見ていて美しさすら感じていましたから。ねぇ、サリー」
横に立つサリーに同意を求める。
「はい。音は凄かったですがとても美しかったです。ですが、あの惨状を目の当たりにすると、恐ろしさを感じることも禁じ得ません」
サリーのその感想は正しい。
ミサイルや砲弾が飛翔する状況は美しく見えるかも知れないけれど、あれが自分に向けられていたら…と考えれば、それは恐ろしくも感じるだろう。
「あれは魔法なのですか?」
女王が俺の顔を覗き込むように質問してくる。
「いいえ、あれは魔法ではありません。私の世界の『兵器』です。尤も、あれに魔法を掛け合わせれば、さらに攻撃力が増すことになりますが」
「あれが異世界の兵器ですか…。間違えても敵には回したくありませんね」
女王は首を竦める。
「私たちも友好国であるラズロフに、あのような物は使いたくありませんよ」
そう言って笑った。

 昼食を食べて行くことを強く勧められたが、丁重に辞退させてもらった。
「自国の女王にも報告をせねばならないので」
少し苦しい言い訳だったかも知れないが、その報告を済ませるまでが俺の仕事だ。
それに、屋敷には俺のことを心配して待ってくれている人たちも居る。
特にサナは俺の姿を見るまでずっと心配しているだろうし、何よりもサナたちが作ってくれた食事を食べたい。
「ダーリン、凱旋の暁には何を召し上がりたいですか?」
昨日の夜、俺の出発準備を手伝ってくれている時に聞いてくれた。
こういう時、俺は『君の作ってくれる物なら何でも』とか抽象的な事は言わない主義だ。
「サナが作ってくれたカレーライスが食べたい」
と、ハッキリと食べたい物を伝えて来た。
「でしたら、たくさんの種類のカレーをいっぱい作ってお待ちしてますね」
そう言って送り出してくれたんだ。
だから俺は屋敷に帰ってカレーをたっぷり食うんだ!

 屋敷に戻ると、サナたちが熱烈に迎えてくれた。
「ダーリン、おかえりなさいませ。ご無事で何よりです」
サナはギュッと俺を抱き締めてくれる。
「ただいま、サナ。留守中、変わった事はなかったかい?」
「はい。ダーリンがいらっしゃらなくて淋しかった以外には、特に何も有りませんでした」
「そうか。留守を守ってくれてありがとう」
サナの額にキスをする。
 討伐隊や騎士隊の全員と一緒に風呂に入り、サッパリと汗を流す。
気分が高揚していて誰かを抱こうかとも思ったし期待されているのも解ったが、セックスはしなかった。
特に理由は無いが、今は自制した方が良いように思ったんだ。
 全員でダイニングに移動して、食事を始める。
日本からあずさと陽菜も呼んで来て、全員で食卓に着く。
「今日のお昼は皆さんを労って、特別にカレーバイキングにしまーす!」
アイナが前に出て、大きな声で宣言する。
「腕によりをかけて、三種類のカレーとトンカツ、唐揚げ、シーザーサラダをご用意しております!」
サラも同じように声を張り上げる。
 腕によりをかけて作ってくれただけあって、とても美味しいカレーだった。
ピリッと辛いスパイシーカレーが一番人気かと思いきや、意外にも俺の母ちゃんのオリジナルレシピのカレーが一番人気で、すぐに寸胴が空になってしまった。
 やっぱりうちの母ちゃんのレシピは美味いんだな。
店でも賄いに出したら大人気だったもんな。
「英樹様のご実家の欧風カレー、終了でーす」
とクリスが大きな声で言うと
「え!もっと食べたかった!」
「ちょっと待って!もう一杯だけ!」
なんて声があちこちから聞こえた。
 ちなみに…。
残ったカレーがどうなるかと言うと、宿直の騎士と使用人の夜食のカレーうどんになる。

 食事が済むと、討伐隊と騎士たちは仮眠に入る。
昨夜は深夜から作戦に従事していたので、暫しの休息だ。
 俺はそんなに眠くないので、一人で射撃場に来ていた。
今回の作戦で、拳銃にモアパワーを求めた方が良いように思えたからだ。
あの砲撃でも生きていた魔族が居た。
ベリシーズも無傷とは言わなくても、自力で動けるほどだったんだ。
ひょっとしたら爆撃が始まってすぐに地下に逃げたからかも知れないが、小銃弾を数十発も受けて生きていたのは紛れもない事実だ。
 これから先、あの様な上級魔族の相手をする機会は増えるだろう。
その時に俺が居なくても対処できる武器が必要になるかも知れない。
 これまでの様に魔物や魔獣を相手にするのなら5.56mmで良いだろうから、通常装備として使用する方向で構わないだろう。
しかし、敵に上級魔族が含まれると予想される時には6.8mmを装備した方が良いかも知れない。
 ただ、500マグナムが有効だった。
今、装備として渡している拳銃は9mmのP365だ。
利便性を考慮して選んだつもりだったが、適性を見て更新しても良いのかも知れない。
これは少し考えてみる必要が有りそうだな。

俺が錬成した45口径オートマチックの試射をしていると
「英樹様もいらしていたのですね」
と声を掛けられる。
声のした方を見ると、レイナが立っていた。
「あぁ、悪い。うるさかったかい?」
「いいえ、銃声はこの建物に入るまで気付きませんでした。私も鍛錬しようと思って来たんです」
そう言って、太腿のホルスターをポンポンと叩く。
「レイナは勤勉だな」
「英樹様には通用しなかったですが、剣は究めたつもりでいたんです。でも、銃を使うようになると、剣の時代は終わったと思えるんです」
なんか、維新の志士みたいなことを言ってるな。
「でも、剣の鍛錬だって続けるだろう?いや、むしろ続けるべきだぞ」
「はい。騎士として剣の道も捨てるつもりはありません。ですが、『新しい戦い方』として銃の道も究めたいと思っています。それにいつか英樹様から一本取るまでは、剣も究めたとは言えませんからね」
そう言ってレイナはクスクスと笑う。
「じゃあ、レイナ。この銃を撃ってみてくれるかい?」
「この銃は?」
「これは45ACPって言う、俺たちが使ってる9mmパラべラムよりも大きな弾丸を使う銃なんだ。撃ってみて率直な感想を教えてくれ」
そこでレイナに今日の戦闘での感想を話す。
話の内容としては、さっきの内容と同じだ。
「なるほど。確かに上級魔族にはもう少し威力が欲しいですね。私もベリシーズが死ななかった時は、少なからず脅威を憶えましたから」
レイナも驚いていたんだな。
「どんな銃を使おうと人間と同じで頭を撃てば有効であることは解ったけどな」
「そう言えば、英樹様がベリシーズに止めを刺した銃の破壊力は凄かったですね」
「アレな…。アレは威力が強すぎるんだよ」
「英樹様、あの銃も一度撃たせていただけませんか?」
なんと、500マグナムを撃ちたいと志願されるとは思わなかった。
「構わないよ。ただし、凄く手が痛いからな」
レイナに注意事項を話して、実際に射撃をしてもらうことにした。
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