異世界召喚されて神様貴族生活

シロイイヌZ

文字の大きさ
上 下
97 / 121

第九十七話

しおりを挟む
 サナと一緒に俺の愛車に乗って屋敷を出る。
行きは俺の運転で、帰りはサナが運転してくれると言う。
「明日、ダーリンが日本に行かれている間に母たちを迎えに行って、授爵式のドレスを試着してもらいますね」
「それは良いね。お母上たちにお会いできないのは残念だけど、宜しくお伝えしてよ。」
「大事なお仕事なんですから、仕方ありませんよ。けど、祖母やユミルの服までご用意いただいて申し訳ありません。本当にありがとうございます」
 授爵式には家族であるお祖母さんや、サナの妹のユミルちゃんも当然呼ばれる。
王宮主催の晩餐会も有ると聞いたし、サナと俺の結婚式も有る。
ドレスみたいな服くらい有った方が良いだろう。
と言っても、たまたまショッピングモールのアウトレットで良さげな服を見つけただけなんだけどな。
サナに二人の採寸を頼んだら、着られそうなサイズだったから買ってみた。
「それは婿としての俺の役目だもん。気にしないで」
格好付けて言ってみる。
でも、せっかく異世界から来たんだ。
この世界には無い品を大切な妻やその家族に提供するくらい、許されるだろう。
だって俺は、この世界で神と崇められる『精霊王』なんだから。

 王城に到着して、セリカの執務室に向かう。
「おはようございます」
そう挨拶して部屋に入って行くと、セリカは窓際の椅子に座ってお茶を飲んでいた。
「これは安田侯爵。おはようございます」
セリカの服装を見ると、何故かサナたちの制服と同じブラウスにプリーツスカートだった。
「セリカ殿…。その服はどうされたんですか?」
「これですか?先日、安田侯爵の縫製工場に視察に行った際に『試作品』をいただいて来たんです」
なんかとんでもないことをサラッと言ってるけど、俺はそんな報告は受けていない。
サナを見ても、サナも首を横に振っている。
「それは縫製工場の誰かに断ってから持ち帰っているんでしょうね?」
セリカはバツが悪そうな顔をして、窓の外を眺める。
「それは『窃盗罪』ですよ。この国では両手を切断されるほどの重罪のはずですが?」
「だって、あまりにも可愛かったんですもの!」
なんだその言い訳にもなっていないワガママは。
「盗んだのは、それだけですか?」
「これ一着です!」
「分かりました。後ほど縫製工場に問い合わせます。無くなった物が他にも有るようなら、それなりの罪として告発せざるを得ませんよ。他にも持ち出しているのなら、今のうちに白状しなさい」
そう言って語気を強めて脅すと
「他にもブラウスを二着ほど…。ですが、スカートは本当にこれだけです!」
シュンとして白状した。
セリカは怒った俺の怖さを目の当たりにしているから、すぐに大人しくなった。
 持ち帰ってしまった物は仕方がない。
ただし、屋敷のメイドたちと紛らわしいので外出時や公の場では絶対に着用しないことを約束させて、書面にしておいた。
「全く…油断も隙も有ったもんじゃないな…」
「ごめんなさい…」
ここまで叱られるとは思っていなかったようだ。
そりゃ怒るに決まっているだろうが。
生地はこっちで機織り職人を見つけていないから、日本で買い付けて持ち込むしかない。
だからとても貴重な品物なんだ。
試作品とは言え、こんなワガママを赦して生地を無駄には出来ない。
工場の責任者であるセラムさんにも、管理を徹底するように改めて伝えた方が良さそうだ。
それにしても、俺が魔術付与する前の試作品で良かったよ。
あんな完全防備の服が世の中に出回っても、良い事なんて起きないだろうからな。

 「親書は陛下が直接手渡されるそうなので、陛下のお部屋に行きましょう」
通常の服に着替えたセリカに先導されて、女王の私室に向かう。
 部屋に入って、恐る恐る女王を見る。
良かった。いつも通りの服装だ。
もし女王まで制服を着ていたら、どう説教すれば良いのか悩んでいたんだ。
「陛下、おはようございます」
「おはようごさいます、英樹殿。お早いお着きでしたね。で、私にも可愛い服を持って来てくれたのですか?」
は?何を言い出すんだ?
「どういうことでしょう?」
「セリカが『工場で試作品をもらった』と自慢気に見せびらかしていたので、私にもいただけるのかと思ったんですが?」
女王の横に立って青くなっているセリカをジト目で見る。
「それはですね…」
仕方がないから、セリカが工場から試作品を盗み出したことを話す。
 俺の話を聞いた女王は首を横に振る。
「セリカ…。貴女は私の知らない所で、女王である私の側近であるという立場を笠に着て、その様な傍若無人な振る舞いをしているのですか?」
あ、女王の声が低い。ちょっと怒っている感じだ。
「申し訳ありません…。あまりに可愛らしくて、つい…」
ここでもシュンとするセリカ。
まぁ『盗み』という行為は、この国では殺人と同じくらいの重罪だから仕方ないよな。
「お黙りなさい。私にまで嘘を吐いて、盗んで来た物をあたかも貰ったかのように言うとは…。恥を知りなさい!英樹殿、セリカには厳しく沙汰を致します故、この事はこの場だけの話としていただくことは出来ませんか?」
持ち帰ってしまった物は仕方が無いからあげるつもりだったけど、回収した方が良さそうだ。
「セリカ殿には、後ほど制服をご返却いただきます。私としては品物が返ってくれば問題ありませんので、それ以上の叱責はご無用で願います」
まぁ、本当に両手を切断されたりしても寝覚が悪いし、死罪になろうものならもっと気分が悪いからな。
「寛大なお言葉、痛み入ります。セリカ、貴女もきちんとお詫びしなさい。どうせ碌な謝罪もしていないのでしょう?」
うん。その通りだ。
「はい…。申し訳ありませんでした…」
俺に頭を下げるが、初めて会った時も失礼な奴だったが、ダミアスの一件やバルバス帝国の件では俺を利用しようとする節も見え隠れしていたから、これで少しは反省してくれたら良いんだけどな。
 「時に英樹殿…」
「はい、なんでしょうか?」
女王が重そうな口を開く。
「この国の王位に就きたいとは思いませんか?」
なんだそりゃ?
「いいえ。全然」
即答で返事をする。
「全然って…。全く興味は無いんですか?王に成れるチャンスですよ?」
女王は『信じられない』という顔をする。
「王になど成りたいと思ったことはありません。私は今の生活が幸せなのです。王位に就くことや、愛する妻と婚約者たちとの夢のような生活を棄てることを強要されるくらいなら、私はこの国を滅ぼし、サナを連れて元の世界に戻りますよ」
キッパリと言って、王都をすっぽり囲えるほどの巨大な魔法陣を展開して見せる。
横に居るサナを見ると、ウットリした表情で俺を見ている。
セリカはさっきよりも顔を青くして、女王を見ながら激しく首を横に振っている。
『これの魔法を発動されたら、ヤバイことになる』
と言いたいんだろうな。
「なるほど…。よく解りました。本当にこの国を滅ぼされたら困りますので、私の言葉は忘れてください。」
女王は落ち着いた声で言うが、本気で俺を自分の再婚相手にしようと思っていたのかな?
「ご理解いただけて幸いです。私もこの国は自分の居場所として気に入っておりますので、滅ぼさなければならない事態にならなくて良かったです」
そう言って展開した魔法陣をキャンセルする。
 ちなみに、展開していた魔法陣は土魔法の轟震だ。
俺がちょっと本気を出したら、一撃でこの国を潰すことが出来る力を持っていることは理解してもらえただろう。
まぁ、女王も美人の部類に入るし、俺のストライクゾーンに入っているからセックスフレンドくらいにならなっても良い気もするけど、それはサナとの約束を破ることになるからセフレを作るつもりも無い。
 俺は知っている。
ダミアスとの試合で衣服を燃やし尽くされた際に、女王が俺の逸物を凝視していたことを。

 女王から直接ラズロフ女王への親書を受け取った。
「ラズロフ女王陛下は、アリエルというお名前です。アリエル陛下によろしくお伝えください」
そう言って送り出された。

 帰りの車中、サナが脇道に入って車を止めた。
「ダーリン、我慢できません」
そう言って助手席の俺に覆い被さってキスをすると、セーラー服とブラを脱ぎ捨てておっぱいを露にして、たわわに実るおっぱいに俺の顔を抱え込む。
「さっきのダーリン、すごくカッコよかったです♡ 今すぐ抱いてください♡」
異世界での初めてのカーセックスは、愛しい妻のサナとでした。
「あぁん♡ ダーリン…♡ もっと…もっと突いて♡ あんっ♡ イッちゃうっ♡」
車体をユサユサと揺らし、おっぱいもプルンプルンと揺らして、大変美味しく激しく、後部座席でたっぷり愛し合いました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...