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第八十八話
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「これはこれは御館様。今回もご用命いただき誠にありがとうございます」
おっさんがわざとらしく帽子を取って頭を下げる。
こういうのを慇懃無礼って言うんだ。
「下らん挨拶など無用だ。今日は何人連れて来た?」
「欠損の有る者でも可とのことでしたので、十四人ほど連れて参りました」
おっさんの喋り方は嫌いだ。無性に殴りたくなる。
『奴隷商』という職業を聞いただけでもそうしたくなるくらいだ。
しかし、我慢だ。
「この国では『一番まとも』な奴隷商です」
何の基準で『まとも』なのか知らないけど、セリカが紹介してくれたんだから、セリカの顔に泥は塗れない。
「そうか。なら早速入ってもらえ」
そう言うと、おっさんが
「畏まりました」
と手を二回打つ。
少し遅れて来たアイナとレイナに
「欠損が有っても俺が治すから、大丈夫だ」
と小声で伝える。
おっさんには聞こえないように言ったが、二人とも黙って頷いたから伝わっているだろう。
テラスの窓からゾロゾロと女の子たちが入って来る。
また揃いも揃ってボロとも呼べないような布を纏い、手足が欠損した者が目立つ。
過酷な生活を強いられているから、目が死んでしまうんだろうな。
使用人の皆も、初めてこの屋敷に来た時はそうだった。
それが今では生き生きとした目で仕事に励んでいる。
欠損が無いのは一人だけのようだ。
その唯一欠損が無い女の子が、俺を凄い形相で睨んでいる。
俺、こんな子供に恨まれるようなことしたかな?
身に覚えは無いんだけどな。
「おい、なんか俺を睨んでるのが居るぞ」
おっさんに言う。
「あぁ…。あれは元貴族のダミアスの娘だった奴隷です。未だに貴族のプライドが抜けないようで、反抗的で困り果てています」
なんと、ダミアスには娘も居たのか。
俺は親父の仇だもんな。
そりゃ睨みたくもなるわな。
でも、そんなの俺の知ったこっちゃない。
親父が悪事で稼いだ金で良い暮らしをしていたんだから、奴隷に身を落としても仕方がないだろう。
まぁ、そんなの買っても面倒なことになるだけだろうから、買わないけどな。
その代わり、やっておくことがある。
「おい、小娘。俺に何か言いたいことが有るのか?」
「お前のせいで…」
「その『お前』ってのは、俺の事か?」
「他に誰がいる!」
「貴様!誰に物を言っているか解っているのか!」
レイナがホルスターの拳銃に手を掛けるが、その手を制して続ける。
「此処には俺以外にもたくさんの人が居るじゃないか」
「お前のせいでお父様とお兄様は殺されたんだ!」
ボロボロと涙を零しながら叫ぶが、その言葉を信じる者は此処には居ない。
横に居る奴隷たちなんて、興味も無さそうだ。
「お前の父親と兄は、反逆を企てたり街の住民に迷惑を掛けた罪で死罪になったんだ。俺は知らん。文句が有るなら、刑の執行を命じた陛下に直接言ってみろ。それに、お前の親父が死んだり家が取り潰されてお前が奴隷になったのも、全部お前の親父が悪いんだ」
「うるさいっ!それでも私には優しいお父様だった!お前が…お前が全部悪いんだっ!」
まぁ…俺が何発も撃った傷が元で死んだんだから、俺が殺したようなもんかな?
口を割らせることを命じられただけで、実際は『刑の執行』なんて命じられていないし。
『殺しても罪にならない』
なんてセリカに煽られたけど。
でも、牢獄で治療せずに放置したのは俺じゃないぞ。
だから、俺は知らない。
兄貴のレミオールだって、素っ裸で王都から放り出されて魔獣に食われたんだ。
殺したいくらい腹は立ててたけど、俺は殺してない。
恨むなら、街の人たちを恨めよ。
「おっさん。コイツ、こんなんで売れんのか?」
「難しいでしょうな…。どうにもならなくなったら、何処かの変態貴族にでも売ろうかと考えている所です」
「おっさん、その『変態貴族』ってのは俺のことを言ってるのか?」
「滅相もありません!御館様ならばこの者をどうにかしていただけるかと思って連れて参っただけです!」
なんかウソ臭いな。
「まぁ良い。コイツの心、ポキッと折ってやろうか?」
「そのようなこと、出来るのですか?」
「あぁ。出来ると思うぞ」
「処女を奪うのは…」
「こんなヤツの処女なんていらねぇよ!俺は浮気はしないんだ」
まぁ、奥さんが居るのに、その目の前でたくさんの美少女を抱いたりしてますけど。
「そう言う事でしたら、宜しくお願い致します。お礼として、今日の代金はお安くさせていただきますので」
「その言葉、忘れるなよ?」
「レイナ、その剣を取ってくれるかい?」
壁に飾ってある剣を指さして言う。
「はい。畏まりました」
レイナは壁に近寄って剣を取る。
「此処じゃ狭い。稽古場に行こうか」
庭とテラスに仮設の稽古場を設けてある。
温泉施設が完成したら、その二階と屋上に移設する。
「おっさん、その娘の縄を解いてやれ」
「よろしいのですか?暴れるかも知れませんよ?」
「構わん。放してやれ」
おっさんは恐る恐る縄を解くが、娘は暴れない。
その娘の足元に、レイナから受け取った剣をポイッと投げる。
「御館様!何を…」
叫ぶおっさんを手で制する。
「おっさん、うるさいぞ。黙って見てろ」
「私は知りませんよ…。何が有っても私は悪くない…」
おっさんは『何も見たくない』と言うかのように、目を伏せる。
「おい、娘。俺が憎いなら、その剣で俺を斬ってみろ」
娘は躊躇いも無く剣を拾うと、鞘から剣を抜く。
抜いたかと思えば、そのまま振りかぶって突進してくる。
親父と同じで隙だらけだ。躱すのも容易だが、敢えて避けない。
横目でレイナを見ると、レイナは俺と戦ったことが有るからか涼しい顔だ。
サナはアイナに『大丈夫です。全く問題有りません』とか言っている。
確かに、サナの言う通り全く問題無い。
俺の頭に容赦無く剣が振り下ろされる。
『ガイ~ン』
硬い金属の音が響いた。
「ひぃっ」
おっさんが悲鳴を上げて目を背ける。
おっさんの悲鳴はキモイなぁ。
「英樹様っ!」
レイナは俺が以前の様に剣戟を躱すと思っていたようで、驚きの声を上げる。
「大丈夫。何も問題無い」
血が流れるどころか、俺は全くの無傷だ。
「そんな…なんで?確かに当たった…」
手にした剣を確かめるように見ると、もう一度力任せに剣を振り下ろして来る。
『ガイ~ン』
結果は同じだ。
「どうした?俺を殺したいくらい憎いんじゃないのか?お前の恨みはそんなもんなのか?」
そう言ってやると、ムキになって闇雲に何度も剣を振り回して斬り掛かって来る。
「くそ!くそ!くそぉっ!」
何度も何度も振り下ろし、横に薙ぎ払い、突いて来る。
それでも俺はビクともしない。
「なんでっ!なんでなのよぉっ!!」
涙を溢れさせながら、一心不乱に剣を振る。
「死ね!死ね!死ね!死になさいよぉっ!!」
最後はもう剣を持ち上げる力さえ残っていないのか、泣き喚きながら地面に突っ伏す。
よし、最後の締めだな。
「お前の親父もそうやって泣いてたよ。俺に命乞いまでしてたな。その時の顔と言ったらもう…。情けないくらい滑稽だったぞ」
そう言って嘲笑ってやる。
「お前たち一族は人の気持ちが解っていない。そんなんだから誰もお前たちの気持ちなんて理解しないし、お前を助けてくれる奴なんて居ない。この場に居る者たちを見てみろ。お前に同情の目を向けてくれる者なんていないだろう?それは全て、身分の上に胡坐をかいてたお前たち一族の責任だ。こういうのを自業自得って言うんだ」
娘はもう、泣き叫ぶ声を上げることも出来ない。
「う…う…うう…」
と、地面に突っ伏して唸るばかりだ。
「おっさん。これで大人しくなるだろう。後は変態紳士にでも売り飛ばせ」
そう言うと、俺に縋って来る。
「イヤァァッ!助けてっ!助けてよぉっ!!」
そんな娘を足蹴にして振りほどく。
「なんで俺がお前を助けるんだよ。それに言っただろう?『お前を助けてくれる奴なんて居ない』って」
娘は完全に脱力したかのように蹲っている。
「それもこれも全て、お前の親父が悪い。親父がまともな人間だったなら、お前は今も貴族として優雅に暮らしていただろう。恨むのなら親父を恨め」
それだけ言うと、剣を拾って声も出せない娘から離れる。
その剣をレイナに渡すと
「英樹様…。剣が刃毀れして曲がっています…」
「そう…みたいね…。でもさ、それは飾りもんだろ?」
「いいえ…。これは伝説の名鍛冶師ハミルトンの作で、一振り大金貨三枚はしますよ?」
げっ!?
「そんなに有名な剣なの…?」
「はい…。とっても有名な名剣です…」
うん。聞かなかったことにしよう。
そんな名剣を無造作に飾っている方が悪い。
「それより英樹様、お怪我は有りませんか?」
「うん。全くの無傷だよ」
「これほどの名剣であれだけ斬られても無傷とは…」
「ダーリンはスペシャルなお方なんですよ!」
サナはまたしても得意げだ。
ドヤ顔も可愛いなぁ。
「スペシャルと言うより、規格外ですよ…」
アイナは半分呆れたような顔をしているけど、気にしない。
気にしたら負けだ!
そんな三人の元を離れ、腰を抜かしているおっさんに近付く。
「おっさん、そいつを連れて行け」
「あ…はい。畏まりました」
おっさんはやっとヨロヨロと立ち上がると、女子プロに命じて連れて行かせる。
「これであの娘も大人しくなるんじゃないか?」
「はい…。本当にありがとうございました…」
「礼は要らん。その代わり、約束は守ってもらうぞ」
「畏まりました」
結果として残りの十三人全員を買い、半額近くまで値切った。
おっさんがわざとらしく帽子を取って頭を下げる。
こういうのを慇懃無礼って言うんだ。
「下らん挨拶など無用だ。今日は何人連れて来た?」
「欠損の有る者でも可とのことでしたので、十四人ほど連れて参りました」
おっさんの喋り方は嫌いだ。無性に殴りたくなる。
『奴隷商』という職業を聞いただけでもそうしたくなるくらいだ。
しかし、我慢だ。
「この国では『一番まとも』な奴隷商です」
何の基準で『まとも』なのか知らないけど、セリカが紹介してくれたんだから、セリカの顔に泥は塗れない。
「そうか。なら早速入ってもらえ」
そう言うと、おっさんが
「畏まりました」
と手を二回打つ。
少し遅れて来たアイナとレイナに
「欠損が有っても俺が治すから、大丈夫だ」
と小声で伝える。
おっさんには聞こえないように言ったが、二人とも黙って頷いたから伝わっているだろう。
テラスの窓からゾロゾロと女の子たちが入って来る。
また揃いも揃ってボロとも呼べないような布を纏い、手足が欠損した者が目立つ。
過酷な生活を強いられているから、目が死んでしまうんだろうな。
使用人の皆も、初めてこの屋敷に来た時はそうだった。
それが今では生き生きとした目で仕事に励んでいる。
欠損が無いのは一人だけのようだ。
その唯一欠損が無い女の子が、俺を凄い形相で睨んでいる。
俺、こんな子供に恨まれるようなことしたかな?
身に覚えは無いんだけどな。
「おい、なんか俺を睨んでるのが居るぞ」
おっさんに言う。
「あぁ…。あれは元貴族のダミアスの娘だった奴隷です。未だに貴族のプライドが抜けないようで、反抗的で困り果てています」
なんと、ダミアスには娘も居たのか。
俺は親父の仇だもんな。
そりゃ睨みたくもなるわな。
でも、そんなの俺の知ったこっちゃない。
親父が悪事で稼いだ金で良い暮らしをしていたんだから、奴隷に身を落としても仕方がないだろう。
まぁ、そんなの買っても面倒なことになるだけだろうから、買わないけどな。
その代わり、やっておくことがある。
「おい、小娘。俺に何か言いたいことが有るのか?」
「お前のせいで…」
「その『お前』ってのは、俺の事か?」
「他に誰がいる!」
「貴様!誰に物を言っているか解っているのか!」
レイナがホルスターの拳銃に手を掛けるが、その手を制して続ける。
「此処には俺以外にもたくさんの人が居るじゃないか」
「お前のせいでお父様とお兄様は殺されたんだ!」
ボロボロと涙を零しながら叫ぶが、その言葉を信じる者は此処には居ない。
横に居る奴隷たちなんて、興味も無さそうだ。
「お前の父親と兄は、反逆を企てたり街の住民に迷惑を掛けた罪で死罪になったんだ。俺は知らん。文句が有るなら、刑の執行を命じた陛下に直接言ってみろ。それに、お前の親父が死んだり家が取り潰されてお前が奴隷になったのも、全部お前の親父が悪いんだ」
「うるさいっ!それでも私には優しいお父様だった!お前が…お前が全部悪いんだっ!」
まぁ…俺が何発も撃った傷が元で死んだんだから、俺が殺したようなもんかな?
口を割らせることを命じられただけで、実際は『刑の執行』なんて命じられていないし。
『殺しても罪にならない』
なんてセリカに煽られたけど。
でも、牢獄で治療せずに放置したのは俺じゃないぞ。
だから、俺は知らない。
兄貴のレミオールだって、素っ裸で王都から放り出されて魔獣に食われたんだ。
殺したいくらい腹は立ててたけど、俺は殺してない。
恨むなら、街の人たちを恨めよ。
「おっさん。コイツ、こんなんで売れんのか?」
「難しいでしょうな…。どうにもならなくなったら、何処かの変態貴族にでも売ろうかと考えている所です」
「おっさん、その『変態貴族』ってのは俺のことを言ってるのか?」
「滅相もありません!御館様ならばこの者をどうにかしていただけるかと思って連れて参っただけです!」
なんかウソ臭いな。
「まぁ良い。コイツの心、ポキッと折ってやろうか?」
「そのようなこと、出来るのですか?」
「あぁ。出来ると思うぞ」
「処女を奪うのは…」
「こんなヤツの処女なんていらねぇよ!俺は浮気はしないんだ」
まぁ、奥さんが居るのに、その目の前でたくさんの美少女を抱いたりしてますけど。
「そう言う事でしたら、宜しくお願い致します。お礼として、今日の代金はお安くさせていただきますので」
「その言葉、忘れるなよ?」
「レイナ、その剣を取ってくれるかい?」
壁に飾ってある剣を指さして言う。
「はい。畏まりました」
レイナは壁に近寄って剣を取る。
「此処じゃ狭い。稽古場に行こうか」
庭とテラスに仮設の稽古場を設けてある。
温泉施設が完成したら、その二階と屋上に移設する。
「おっさん、その娘の縄を解いてやれ」
「よろしいのですか?暴れるかも知れませんよ?」
「構わん。放してやれ」
おっさんは恐る恐る縄を解くが、娘は暴れない。
その娘の足元に、レイナから受け取った剣をポイッと投げる。
「御館様!何を…」
叫ぶおっさんを手で制する。
「おっさん、うるさいぞ。黙って見てろ」
「私は知りませんよ…。何が有っても私は悪くない…」
おっさんは『何も見たくない』と言うかのように、目を伏せる。
「おい、娘。俺が憎いなら、その剣で俺を斬ってみろ」
娘は躊躇いも無く剣を拾うと、鞘から剣を抜く。
抜いたかと思えば、そのまま振りかぶって突進してくる。
親父と同じで隙だらけだ。躱すのも容易だが、敢えて避けない。
横目でレイナを見ると、レイナは俺と戦ったことが有るからか涼しい顔だ。
サナはアイナに『大丈夫です。全く問題有りません』とか言っている。
確かに、サナの言う通り全く問題無い。
俺の頭に容赦無く剣が振り下ろされる。
『ガイ~ン』
硬い金属の音が響いた。
「ひぃっ」
おっさんが悲鳴を上げて目を背ける。
おっさんの悲鳴はキモイなぁ。
「英樹様っ!」
レイナは俺が以前の様に剣戟を躱すと思っていたようで、驚きの声を上げる。
「大丈夫。何も問題無い」
血が流れるどころか、俺は全くの無傷だ。
「そんな…なんで?確かに当たった…」
手にした剣を確かめるように見ると、もう一度力任せに剣を振り下ろして来る。
『ガイ~ン』
結果は同じだ。
「どうした?俺を殺したいくらい憎いんじゃないのか?お前の恨みはそんなもんなのか?」
そう言ってやると、ムキになって闇雲に何度も剣を振り回して斬り掛かって来る。
「くそ!くそ!くそぉっ!」
何度も何度も振り下ろし、横に薙ぎ払い、突いて来る。
それでも俺はビクともしない。
「なんでっ!なんでなのよぉっ!!」
涙を溢れさせながら、一心不乱に剣を振る。
「死ね!死ね!死ね!死になさいよぉっ!!」
最後はもう剣を持ち上げる力さえ残っていないのか、泣き喚きながら地面に突っ伏す。
よし、最後の締めだな。
「お前の親父もそうやって泣いてたよ。俺に命乞いまでしてたな。その時の顔と言ったらもう…。情けないくらい滑稽だったぞ」
そう言って嘲笑ってやる。
「お前たち一族は人の気持ちが解っていない。そんなんだから誰もお前たちの気持ちなんて理解しないし、お前を助けてくれる奴なんて居ない。この場に居る者たちを見てみろ。お前に同情の目を向けてくれる者なんていないだろう?それは全て、身分の上に胡坐をかいてたお前たち一族の責任だ。こういうのを自業自得って言うんだ」
娘はもう、泣き叫ぶ声を上げることも出来ない。
「う…う…うう…」
と、地面に突っ伏して唸るばかりだ。
「おっさん。これで大人しくなるだろう。後は変態紳士にでも売り飛ばせ」
そう言うと、俺に縋って来る。
「イヤァァッ!助けてっ!助けてよぉっ!!」
そんな娘を足蹴にして振りほどく。
「なんで俺がお前を助けるんだよ。それに言っただろう?『お前を助けてくれる奴なんて居ない』って」
娘は完全に脱力したかのように蹲っている。
「それもこれも全て、お前の親父が悪い。親父がまともな人間だったなら、お前は今も貴族として優雅に暮らしていただろう。恨むのなら親父を恨め」
それだけ言うと、剣を拾って声も出せない娘から離れる。
その剣をレイナに渡すと
「英樹様…。剣が刃毀れして曲がっています…」
「そう…みたいね…。でもさ、それは飾りもんだろ?」
「いいえ…。これは伝説の名鍛冶師ハミルトンの作で、一振り大金貨三枚はしますよ?」
げっ!?
「そんなに有名な剣なの…?」
「はい…。とっても有名な名剣です…」
うん。聞かなかったことにしよう。
そんな名剣を無造作に飾っている方が悪い。
「それより英樹様、お怪我は有りませんか?」
「うん。全くの無傷だよ」
「これほどの名剣であれだけ斬られても無傷とは…」
「ダーリンはスペシャルなお方なんですよ!」
サナはまたしても得意げだ。
ドヤ顔も可愛いなぁ。
「スペシャルと言うより、規格外ですよ…」
アイナは半分呆れたような顔をしているけど、気にしない。
気にしたら負けだ!
そんな三人の元を離れ、腰を抜かしているおっさんに近付く。
「おっさん、そいつを連れて行け」
「あ…はい。畏まりました」
おっさんはやっとヨロヨロと立ち上がると、女子プロに命じて連れて行かせる。
「これであの娘も大人しくなるんじゃないか?」
「はい…。本当にありがとうございました…」
「礼は要らん。その代わり、約束は守ってもらうぞ」
「畏まりました」
結果として残りの十三人全員を買い、半額近くまで値切った。
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