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第八十四話
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今朝のミーティングでエリスが言っていたことだが、この王都周辺の魔物が減っており、以前のように高レベルの魔物の出現することがなくなって来たと言う。
「魔物と契約していたバルバスの王を、英樹様が倒したことに起因しているように思えます」
とも言っていた。
バルバスのおっさんは魔物と契約した上でレムリア王国に戦争を仕掛けるつもりだったらしいから、エリスの考えは間違っていないと思う。
「ですので、いよいよ魔族領域に侵攻を開始しようと考えております」
なるほど。それはそうした方が良いかもな。
この周辺で弱い魔物を相手にしていても埒が明かないからな。
「どのように進軍するか計画は有るかい?」
「はい。まずは北の隣国であるラズロフ王国に向かいます」
北の国はラズロフって言うのか。初めて知った。
「ラズロフで何か有るの?」
「ラズロフ領に魔族に占領された砦が有ると聞きます。そこを叩こうかと」
魔族領は北方だと以前聞いていたから、その砦が魔族側との境界線だったのかもな。
という事は、その砦を魔族に抑えられたままだと魔族側の侵攻を許すことになるものな。
「英樹様の戦闘力と今の王国の戦力を考えれば、砦を取り戻すことは十分に可能と考えます」
俺も戦力に数えられているのか。
まぁ、指揮官だから当然だけど。
「解かった。まずエリスたちはラズロフに向けて進行してくれ。サナ、ラズロフとは国交は有るんだろう?」
「はい。ラズロフ王国とは百年以上も友好関係に有りますし、ラズロフ女王陛下とカレン女王陛下は大変仲が良くていらっしゃいます」
「そうか。ならば、砦奪還戦の前のラズロフ王国との折衝は外務大臣である俺の役目だな」
「はい。陛下からの親書を取り付ければ、折衝は一層スムーズかと思います」
サナも力強く応じてくれる。秘書として心強い。
騎士隊の練度も高くなっている。
小者の魔物だけではなく、そろそろ大きな仕事を成し遂げても良い頃合いだろう。
「よし、それでは本日よりラズロフ砦奪還戦を開始する!」
俺の掛け声と共に、新しい作戦が開始された。
まだ『勇者の系譜』の最後の一人である騎士が居ないが、エリスたちは今日からラズロフ王国の王都に向かうと言う。
ひょっとしたら、ラズロフの騎士の中の誰かが『勇者の系譜』なのかも知れないしな。
その可能性は十分に有り得るから否定は出来ない。
砦への攻撃は多目的誘導弾での遠隔攻撃から始まり、155mm榴弾砲と機動戦闘車での砲撃を想定しているが、最終的な殲滅戦は近接戦闘になる。
なので、騎士隊では一連の動きを訓練する必要が有る。
討伐隊の不在は仕方がない事だとして、バックアップの騎士隊の動きだけでも叩き込んでおかないとならない。
近接戦とはいえ遠隔攻撃の要員として、機銃手二名、狙撃手と観測手を各二名。残りは突撃班として編成する。
俺は突撃班を指揮し、団長であるレイナには遠隔攻撃班を指揮してもらう。
訓練では実弾を使わないが、砲撃も自衛隊の年間発射数よりも多いくらい何度も実射訓練を重ねた。今の練度なら問題は無いだろう。
「私たち騎士団の新しい戦い方をお披露目する良い機会です」
レイナを始め、騎士隊長の士気も高い。
「俺も今回の作戦での君たちの活躍を大いに期待してるよ」
と激励する。
「お任せください。必ず遣り遂げてお見せします!」
力強く言ってくれるレイナだが、昨夜初めてのセックスを経験してから以前にも増して自信を持ったようだ。
良い事だけど、慢心はしないように注意しておいた。
今朝のミーティングは少し長くなってしまったが、有益な話が出来た。
エリスたちは高機動車に乗ってラズロフに向かった。
車でも二日は掛かるだろうと言っていたが、高レベルの魔物やその他の難関が有ればすぐに俺を召喚するように言っておいた。
各騎士隊には隊長のサテラとルコアが今後の訓練方針とスケジュールを話しているだろう。
全騎士隊員が出撃するとなると、いよいよ屋敷の警備が手薄になって来るので、騎士隊付きの使用人を増員したいと思う。
雇って急いで訓練しても今回の出撃には間に合わないだろうけれど、それでも今後のことを思えば早めに増員するべきだろう。
屋敷だけではなく、縫製工場にも人員が欲しいしメイド付き使用人も増員したい。
今は交代で何とか回っているけれど、急病人が出た時などは破綻しかねないし各員の負担が大きくなってしまう。
暇なのは良くないけれど、働き詰めなのも考え物だからな。
俺が日本に行っている間にサナに王城に行って貰い、セリカにラズロフの女王への親書の件と奴隷商のおっさんへの連絡を頼んでもらう。
「サナ、悪いけど頼めるかい?」
「はい、大丈夫です。お任せください」
サナの運転はかなり上達したから一人で乗らせても問題は無い。
「使用人に関しては格闘技か剣術の経験者を必ず数人用意して欲しいのと、身体に欠損が有っても構わないことを伝えておいてくれるかい?」
「畏まりました。欠損が有ってもダーリンなら治せてしまいますもんね」
「そうだね。そうして一人でも多くの人に仕事を与えたいからね」
実際にそう思ってはいるが、もう一つ思惑が有る。
傷を治したり奴隷印を消してあげただけで、今の使用人の娘たちは忠誠を誓ってくれた。
だから欠損も治してあげたら、それだけ従順に従ってくれるような気がするんだ。
使用人を抱くつもりは無いから、そうやって恩を売ることで忠誠心を買うわけだ。
なんとも汚い遣り口だ。
「何人くらいお雇い入れになりますか?」
「そうだね。騎士隊に四人、工場に三人。メイドに五~六人くらいでいいかな?」
「それだけの人数が集まると、仕事を回しやすくなりますね」
「なら、十二~三人雇うという事で、よろしく頼むよ」
そう言ってサナが口移ししてくれるお茶を飲む。
朝のミーティングは俺の執務室で行うことが定例になっている。
だから、こうしてサナと二人きりになってイチャイチャしてるわけだ。
そうしていると、ドアがノックされる。
「どうぞ」
ドアが開くと、未希と陽菜が入って来る。
「隊長、ちょっといいで…。またやってるんですか?」
言葉の途中で呆れ顔をする。
「なんだ?」
「またそうやって奥さんに甘えて…。サナ様も断って良いんですよ?」
と言う。
「何を断るんです?」
「そうやってお茶を飲ませることですよ」
「どうして断るんですか?愛する夫がお茶を美味しく飲むために必要なことなのに、妻であり秘書でもある私が断る理由なんて無いですよ。私が風邪をひいたりしている時なら兎も角、健康な今はダーリンのお世話をするのは当然のことです」
サナは真顔で言ってのける。
「そう言う事だ。ここでは君の考え方は通用しない。つまらない尺度をこの世界に持ち込まないでくれるか?」
厳しい言い方だが、これも事実だ。
こっちの世界で暮らすのなら、こっちに合わせて考え方を改めてもらわないと話にならない。
「で、どうしたんだ?日本に行くには少し早いだろう?」
「あぁ…、うん。騎士の皆から聞いたけど、近いうちに戦争が有るの?」
「戦争ではないけど、隣国の砦を奪還する作戦が始まったんだ。実際の戦闘はまだ先になるけれど、作戦決行前には全体訓練なんかも増えて行くだろうな」
今日決まったばかりだし、あと十日くらいは通常の生活になるだろう。
「やっぱりそうなんだ…」
「それがどうかしたのか?」
「いや…私も手伝えることは無いかと思って…」
正直、戦力は欲しい。未希は元自衛官だし戦うことも出来るだろう。
「気持ちは嬉しいけど、君たち三人を戦闘に巻き込むことはしたくない。それでも何か手伝いたいと思うのなら、使用人に護身術や武器の取り扱いを教えてやってくれ」
最近考えているのは、メイドや使用人の皆にも護身術を身に付けてもらおうという事だ。
万一の侵入者や、外出中に暴漢に襲われた時でも対処できるように。
射撃場が完成したら、拳銃の取り扱いを教えるつもりでいたんだ。
そのための射撃場と言っても過言ではない。
一緒に入って来た陽菜に目を移す。
「あたしは、戦闘で傷付いた人の治療なんかが手伝えるかと思って…」
「それも気持ちは嬉しいけど、回復魔法や治癒魔法が使えるから大丈夫だ。それよりも屋敷の皆の健康管理を頼む」
「うん…、解かった」
二人に出来る事が有るとすれば、それは屋敷の中でのことだ。
「そう言えば、あずさはどうしたんだ?」
「あずさなら、エマさんとサテラさんの髪を切ってるよ」
「そうか。じゃあ、二人は先に日本に送ろうか?」
「その前に、明日は一千万円分のダイヤの受け渡しだけど、準備は出来てる?」
「そうだったな。この袋に入れてあるから、確認してくれ」
未希にダイヤを入れておく袋を渡す。
「はい。でも、日本に行けばこれだけで一千万円になるのに、この世界ではその辺にゴロゴロ落ちてるんだもんね…」
「ホントだよね。最初は半信半疑だったけど、本当にいっぱい落ちてるんだもん。ビックリしたよ」
昨日、三人は庭の片隅でダイヤを集めていた。
「なんか有ったら売れば何とかなるかな…なんて…ハハハ…」
とか言ってたけど、たぶん三人で百万円分くらいは拾ってたと思う。
温泉施設や射撃場の建築工事なんかで既に数億円分のダイヤを確保してあるから、売るには小さ過ぎるのに関しては別に構わないけどな。
先日、ソフトボールくらいの大きさの原石を手に入れたんだが、売らないでおく。
だって、世界最大級のダイヤモンド『カリナン』よりデカそうなんだもん。
そんな物を売りに出しても買える相手もいないだろうし、世界中がパニックになるだろう。
だから売らずに置いておくつもりだ。
「じゃ、私たちは一足先に日本に行くよ。あずさには後で来てもらって」
「あぁ。俺も後でサナのドレスの受け取りに行くから、昼には日本に行くよ」
二人を異界渡航で日本に送り、再びサナと二人きりになる。
勿論、キスしまくったのは言うまでもない。
「魔物と契約していたバルバスの王を、英樹様が倒したことに起因しているように思えます」
とも言っていた。
バルバスのおっさんは魔物と契約した上でレムリア王国に戦争を仕掛けるつもりだったらしいから、エリスの考えは間違っていないと思う。
「ですので、いよいよ魔族領域に侵攻を開始しようと考えております」
なるほど。それはそうした方が良いかもな。
この周辺で弱い魔物を相手にしていても埒が明かないからな。
「どのように進軍するか計画は有るかい?」
「はい。まずは北の隣国であるラズロフ王国に向かいます」
北の国はラズロフって言うのか。初めて知った。
「ラズロフで何か有るの?」
「ラズロフ領に魔族に占領された砦が有ると聞きます。そこを叩こうかと」
魔族領は北方だと以前聞いていたから、その砦が魔族側との境界線だったのかもな。
という事は、その砦を魔族に抑えられたままだと魔族側の侵攻を許すことになるものな。
「英樹様の戦闘力と今の王国の戦力を考えれば、砦を取り戻すことは十分に可能と考えます」
俺も戦力に数えられているのか。
まぁ、指揮官だから当然だけど。
「解かった。まずエリスたちはラズロフに向けて進行してくれ。サナ、ラズロフとは国交は有るんだろう?」
「はい。ラズロフ王国とは百年以上も友好関係に有りますし、ラズロフ女王陛下とカレン女王陛下は大変仲が良くていらっしゃいます」
「そうか。ならば、砦奪還戦の前のラズロフ王国との折衝は外務大臣である俺の役目だな」
「はい。陛下からの親書を取り付ければ、折衝は一層スムーズかと思います」
サナも力強く応じてくれる。秘書として心強い。
騎士隊の練度も高くなっている。
小者の魔物だけではなく、そろそろ大きな仕事を成し遂げても良い頃合いだろう。
「よし、それでは本日よりラズロフ砦奪還戦を開始する!」
俺の掛け声と共に、新しい作戦が開始された。
まだ『勇者の系譜』の最後の一人である騎士が居ないが、エリスたちは今日からラズロフ王国の王都に向かうと言う。
ひょっとしたら、ラズロフの騎士の中の誰かが『勇者の系譜』なのかも知れないしな。
その可能性は十分に有り得るから否定は出来ない。
砦への攻撃は多目的誘導弾での遠隔攻撃から始まり、155mm榴弾砲と機動戦闘車での砲撃を想定しているが、最終的な殲滅戦は近接戦闘になる。
なので、騎士隊では一連の動きを訓練する必要が有る。
討伐隊の不在は仕方がない事だとして、バックアップの騎士隊の動きだけでも叩き込んでおかないとならない。
近接戦とはいえ遠隔攻撃の要員として、機銃手二名、狙撃手と観測手を各二名。残りは突撃班として編成する。
俺は突撃班を指揮し、団長であるレイナには遠隔攻撃班を指揮してもらう。
訓練では実弾を使わないが、砲撃も自衛隊の年間発射数よりも多いくらい何度も実射訓練を重ねた。今の練度なら問題は無いだろう。
「私たち騎士団の新しい戦い方をお披露目する良い機会です」
レイナを始め、騎士隊長の士気も高い。
「俺も今回の作戦での君たちの活躍を大いに期待してるよ」
と激励する。
「お任せください。必ず遣り遂げてお見せします!」
力強く言ってくれるレイナだが、昨夜初めてのセックスを経験してから以前にも増して自信を持ったようだ。
良い事だけど、慢心はしないように注意しておいた。
今朝のミーティングは少し長くなってしまったが、有益な話が出来た。
エリスたちは高機動車に乗ってラズロフに向かった。
車でも二日は掛かるだろうと言っていたが、高レベルの魔物やその他の難関が有ればすぐに俺を召喚するように言っておいた。
各騎士隊には隊長のサテラとルコアが今後の訓練方針とスケジュールを話しているだろう。
全騎士隊員が出撃するとなると、いよいよ屋敷の警備が手薄になって来るので、騎士隊付きの使用人を増員したいと思う。
雇って急いで訓練しても今回の出撃には間に合わないだろうけれど、それでも今後のことを思えば早めに増員するべきだろう。
屋敷だけではなく、縫製工場にも人員が欲しいしメイド付き使用人も増員したい。
今は交代で何とか回っているけれど、急病人が出た時などは破綻しかねないし各員の負担が大きくなってしまう。
暇なのは良くないけれど、働き詰めなのも考え物だからな。
俺が日本に行っている間にサナに王城に行って貰い、セリカにラズロフの女王への親書の件と奴隷商のおっさんへの連絡を頼んでもらう。
「サナ、悪いけど頼めるかい?」
「はい、大丈夫です。お任せください」
サナの運転はかなり上達したから一人で乗らせても問題は無い。
「使用人に関しては格闘技か剣術の経験者を必ず数人用意して欲しいのと、身体に欠損が有っても構わないことを伝えておいてくれるかい?」
「畏まりました。欠損が有ってもダーリンなら治せてしまいますもんね」
「そうだね。そうして一人でも多くの人に仕事を与えたいからね」
実際にそう思ってはいるが、もう一つ思惑が有る。
傷を治したり奴隷印を消してあげただけで、今の使用人の娘たちは忠誠を誓ってくれた。
だから欠損も治してあげたら、それだけ従順に従ってくれるような気がするんだ。
使用人を抱くつもりは無いから、そうやって恩を売ることで忠誠心を買うわけだ。
なんとも汚い遣り口だ。
「何人くらいお雇い入れになりますか?」
「そうだね。騎士隊に四人、工場に三人。メイドに五~六人くらいでいいかな?」
「それだけの人数が集まると、仕事を回しやすくなりますね」
「なら、十二~三人雇うという事で、よろしく頼むよ」
そう言ってサナが口移ししてくれるお茶を飲む。
朝のミーティングは俺の執務室で行うことが定例になっている。
だから、こうしてサナと二人きりになってイチャイチャしてるわけだ。
そうしていると、ドアがノックされる。
「どうぞ」
ドアが開くと、未希と陽菜が入って来る。
「隊長、ちょっといいで…。またやってるんですか?」
言葉の途中で呆れ顔をする。
「なんだ?」
「またそうやって奥さんに甘えて…。サナ様も断って良いんですよ?」
と言う。
「何を断るんです?」
「そうやってお茶を飲ませることですよ」
「どうして断るんですか?愛する夫がお茶を美味しく飲むために必要なことなのに、妻であり秘書でもある私が断る理由なんて無いですよ。私が風邪をひいたりしている時なら兎も角、健康な今はダーリンのお世話をするのは当然のことです」
サナは真顔で言ってのける。
「そう言う事だ。ここでは君の考え方は通用しない。つまらない尺度をこの世界に持ち込まないでくれるか?」
厳しい言い方だが、これも事実だ。
こっちの世界で暮らすのなら、こっちに合わせて考え方を改めてもらわないと話にならない。
「で、どうしたんだ?日本に行くには少し早いだろう?」
「あぁ…、うん。騎士の皆から聞いたけど、近いうちに戦争が有るの?」
「戦争ではないけど、隣国の砦を奪還する作戦が始まったんだ。実際の戦闘はまだ先になるけれど、作戦決行前には全体訓練なんかも増えて行くだろうな」
今日決まったばかりだし、あと十日くらいは通常の生活になるだろう。
「やっぱりそうなんだ…」
「それがどうかしたのか?」
「いや…私も手伝えることは無いかと思って…」
正直、戦力は欲しい。未希は元自衛官だし戦うことも出来るだろう。
「気持ちは嬉しいけど、君たち三人を戦闘に巻き込むことはしたくない。それでも何か手伝いたいと思うのなら、使用人に護身術や武器の取り扱いを教えてやってくれ」
最近考えているのは、メイドや使用人の皆にも護身術を身に付けてもらおうという事だ。
万一の侵入者や、外出中に暴漢に襲われた時でも対処できるように。
射撃場が完成したら、拳銃の取り扱いを教えるつもりでいたんだ。
そのための射撃場と言っても過言ではない。
一緒に入って来た陽菜に目を移す。
「あたしは、戦闘で傷付いた人の治療なんかが手伝えるかと思って…」
「それも気持ちは嬉しいけど、回復魔法や治癒魔法が使えるから大丈夫だ。それよりも屋敷の皆の健康管理を頼む」
「うん…、解かった」
二人に出来る事が有るとすれば、それは屋敷の中でのことだ。
「そう言えば、あずさはどうしたんだ?」
「あずさなら、エマさんとサテラさんの髪を切ってるよ」
「そうか。じゃあ、二人は先に日本に送ろうか?」
「その前に、明日は一千万円分のダイヤの受け渡しだけど、準備は出来てる?」
「そうだったな。この袋に入れてあるから、確認してくれ」
未希にダイヤを入れておく袋を渡す。
「はい。でも、日本に行けばこれだけで一千万円になるのに、この世界ではその辺にゴロゴロ落ちてるんだもんね…」
「ホントだよね。最初は半信半疑だったけど、本当にいっぱい落ちてるんだもん。ビックリしたよ」
昨日、三人は庭の片隅でダイヤを集めていた。
「なんか有ったら売れば何とかなるかな…なんて…ハハハ…」
とか言ってたけど、たぶん三人で百万円分くらいは拾ってたと思う。
温泉施設や射撃場の建築工事なんかで既に数億円分のダイヤを確保してあるから、売るには小さ過ぎるのに関しては別に構わないけどな。
先日、ソフトボールくらいの大きさの原石を手に入れたんだが、売らないでおく。
だって、世界最大級のダイヤモンド『カリナン』よりデカそうなんだもん。
そんな物を売りに出しても買える相手もいないだろうし、世界中がパニックになるだろう。
だから売らずに置いておくつもりだ。
「じゃ、私たちは一足先に日本に行くよ。あずさには後で来てもらって」
「あぁ。俺も後でサナのドレスの受け取りに行くから、昼には日本に行くよ」
二人を異界渡航で日本に送り、再びサナと二人きりになる。
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