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第七十一話
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「あっ♡ んっ♡ ダーリン…♡ 愛してるっ…♡」
バルバスから帰国してから、サナは毎朝のフェラチオをセックスに変えた。
今朝も全裸になって騎乗位で一心不乱に腰を振ってくれている。
「ダーリンの…おちんぽ…っ♡ 硬くて…大きくて…ステキっ♡ あんっ♡ イッちゃうっ♡」
ちゅぱん ちゅぱんと腰を打ち付けて、潮を吹く。
そんなサナに追い打ちを掛けて下から腰を打ち付け、子宮に亀頭を捻じ込む。
「あぎぃっ♡ イってるのにっ♡ またイくぅぅっ♡」
続けてプシャアッと潮を吹いたので、俺もサナの子宮に精を迸らせる。
ビュルルッ ビュグッ ドクドクッ
子宮にたっぷりと精液を注ぎ込むと、サナは全身をブルブルと震わせる。
「んン…っ♡ お子種が…いっぱい…♡ あ…♡ ん…♡ 気持ちいい…♡」
サナは嬉しそうに尿道に残る精液を搾るように腰をくねらせ膣襞を蠢かせる。
俺だってこうして毎朝サナとセックスをするのは嬉しい。
可愛いし、気持ちいいからね。
「サナ、結婚式が終わったら、いよいよ子供を作ろうか」
お掃除フェラをしてくれるサナの髪を撫でながら提案する。
以前から考えていたことだし、そろそろ「サナを孕ませたい欲」が限界だ。
「んちゅっぷ♡ よろしいのですか…?」
「勿論だよ。俺の初めての子供を産んでくれるのは、サナしか有り得ないって陛下にも言っただろう?」
「本当の本当によろしいのですか!?」
サナは嬉しそうに手でシコシコとチンポを扱くけど、その刺激でまた勃起してしまう。
たぶん、サナは無意識でシコシコしている。
お掃除フェラの時はフル勃起させないのが、いつものサナだもの。
「勿論だよ。サナと俺の子供が欲しい」
サナはかなり嬉しいのか、シコシコとフェラが止まらない。
「えっと…サナ?」
「ちゅぽん♡ はい♡ なんでしょうか?」
「完全に勃起しちゃったんだけど…」
この後、フェラチオでお口にたっぷり射精させてもらったが、エリスたちを起こす時間に遅れたのは言うまでもない。
午前中は討伐や射撃訓練に付き合うようにしている。これも最近の日課だ。
騎士たちにも自動小銃と拳銃を錬成したので、最近は騎士たちの練度を上げるようにしている。
全員分の戦闘服や常装服も支給できたし、いよいよ近代的な軍隊らしくなってきた。
午後は屋敷の用事をしたり、結婚式の打ち合わせに教会に出向いたりしている。
そう言えば、以前助けて教会に預けた旅人も意識を取り戻した。
律儀なことに、司教と一緒に屋敷まで挨拶に来てくれた。
彼女たちは姉妹だった。
お姉さんはセラムと言う名で二十一歳。妹はリーシャと言う名の十九歳だそうだ。
襲われて亡くなった人は母の妹で彼女たちの叔母に当たる人だと言う。
「あの方の命を救えなくて申し訳なかった」
と謝ったのだが
「何を仰います!私たちこそ手足を食いちぎられてもう死んだものだと思っていたのに、こうして命を救っていただいた上に手足さえも戻してくださいました。それに叔母のことも手厚く葬ってくださったと司教様からお聞きしています。伯爵様には返しきれない程の御恩があります」
と言ってくれた。
彼女たち姉妹はキオトの街で縫製職人として一家で働いていたそうだが、母が亡くなって父方の親類に工場を乗っ取られてしまったと言っていた。
それで心機一転レムリアの王都でゼロから出直そうと誓って引っ越しをしている最中に、ヘルハウンドの群れに襲われてしまったとのことだった。
「ですが、全くの無一文になってしまいました…」
つまり、成す術無くて途方に暮れているってことか。
「縫製が出来るってことは、ミシンも使えるのかな?」
この世界にはミシンが有るとサナから聞いて知っている。
勿論電動ではなく足踏み式なのだが、ミシンが使えるのなら戦力になる。
「はい。ミシンはずっと扱っていましたので、私も妹も得意です」
そうとなれば話は早い。
「では、こういうブラウスは縫えるかい?」
サナからメイド用の制服を借りて見せてみる。
「これならば…。型紙と生地さえ有れば縫えます」
「そうか。だったら、縫製工場を作るつもりなんだけど、働いてみないかい?」
「よろしいのですか!?」
「あぁ、勿論だよ。こんなに早くミシンを使える縫製職人が見つかるなんてラッキーだよ!」
ということで、姉妹を雇うことになった。
サナと数件の物件を見て回り、屋敷の近くに縫製工場を作った。
まずは手始めに制服のブラウスやスカート、常装服のシャツなんかを作ってもらう。
電動ならぬ魔動ミシンを六台錬成したので、取り敢えずはそれを使ってもらう。
脚でギコギコしなくてもペダルを軽く踏めば動くミシンに驚いていた姉妹だが、すぐに慣れてくれたようだ。
サナと姉妹とも相談した結果、縫製職人を養成することにした。
まずは貧民街出身者を優先にして、その中から縫製職人としての能力を考慮しながら素直で意欲の有る者を雇うことにする。
縫製職人には型紙を起こしたり、生地を裁断する職人も必要になる。
ミシン職人がそれらを兼ねることも有るそうだが、仕事の進め方を考えると分業にした方が効率は良いそうだ。
なるほど、そうかも知れないな。
というわけで、まずは十人ほど雇うつもりで面接をしてみる。
縫製工場には別棟の寮を付属して住み込みで働ける環境にしたからか、応募者は多かった。
全員に裁断や型紙の起こしを実技でやってもらい、見込みが有って意欲の高い女性を十三人雇うことにした。
言っておくが、彼女たちは妾にも妻にもしないし、手を出す気も無い。
だから寮は別の場所にしたんだ。
同じ敷地にしたら、サナも勘違いして『妻が増えるんだ』と思うだろうからな。
別にしておけばそんな勘違いをされずに済むだろう。
それに、働く女性たちにも安心して働いてもらいたいからな。
今日の午後はサナと一緒に教会に行き、司教と結婚式の最終打ち合わせをする。
その後、また女王に呼ばれているので王城に登城する。
この登城についてはエリスたちも呼ばれたので、後ほど屋敷で合流する予定だ。
結婚式の最終打ち合わせと言っても、俺が式の流れを説明してその流れのとおりに横演習するだけだ。
司教の台詞も俺が台本にして渡したし、特に問題は無いだろう。
結婚式はサナの誕生日に執り行うことになった。
そう言えば、制服屋に聞いてみたらウエディングドレスを用意できると言っていたので、注文しておいた。
カタログを渡してくれて
「この中のものだったらどれでも用意できるよ」
と言ってくれたので、サナ自身に選んでもらった。
俺は陸上自衛隊の礼服を借りられたので、それを着る。
ウエディングドレスの値は張ったが、こういうことに関しては金に糸目は付けない。
美しいサナがさらに美しくなるんだから、金を使っても問題にはならない。
ダイヤモンドもたくさん売れたしな。
以前に買っておいたサマードレスは屋敷で行う披露宴で着てもらおう。
屋敷でエリスたちと合流し、王城へ向かう。
やはりこの人数で七人乗りは手狭だ。
なので明日にでも十人乗りワゴンでも錬成しよう。
謁見の間の前の控えの間に着くと、他の貴族や大臣も到着している。
何の話で呼ばれたのか解らんが、俺にとっては良い話ではなさそうだ。
謁見の間の扉が開いて中に通されるが、エリスやサナは王宮騎士たちと並んで座っているんだが、俺は貴族席に座らせられる。
自衛官時代もそうだったが、何度経験してもこういう場は好きになれない。
「女王陛下のおなりです!お静まり下さい!」
サナのお母上様であるエミーナさんの声が響き、周囲がシンと静まり返る。
「本日皆さんにお集まりいただいたのは、欠員が出た貴族院の今後についてお話するためです。セリカ、お願いします」
冒頭の挨拶はするけど、詳細はセリカが話すのか。
これもいつものことみたいだな。
「御意に。女王陛下に代わり私からご説明いたします。まずは先日の外務大臣としてのバルバス帝国での活躍を考慮し、安田伯爵に侯爵の爵位を授与し、この時を以って侯爵と致します」
いきなり俺かよ。しかも何だよ侯爵って。それは美味しいのかよ。
周囲からも声が上がるが、どうやら否定的な声ではないようだ。
「安田侯爵、先日のバルバスでの働き、バルバスからの使者から聞いていますよ。これからも王国のため…いいえ、この世界のために励みなさい。よろしいですね?」
そう言われちゃったら、断るに断れないじゃないか…。
「謹んで拝命致します」
そうしか言えない空気にしやがって…と言いたいが、流れに任せて受けておく。
「続いて、伯爵には…」
何事も無かったようにセリカが続ける。
伯爵になったのは俺が知らないおっさんだ。
ほとんどの貴族とロクに話したことも無いからな。
「そして、子爵には王宮侍女から長年の功績を考慮して、エミーナ・ユン・イーストバレーに着任していただきます」
なんと、エミーナさんが子爵になっちゃったよ!
これには俺の時以上に驚きの声が上がるが、反対してのことではないようだ。
『おぉ…。ついにエミーナ殿も正式な貴族になられたか』
『むしろ遅いくらいですね』
などと好意的に受け止められているようだ。
「エミーナ、長きに渡りよく勤めてくれました。お礼を言いますよ。貴女にはもっと上の爵位を用意してあげたかったのですが、今の空き状況を踏まえるとこれで精一杯でした。ですが、貴女にはこれからも私たちと共に在って欲しいのです。受けてくれますね?」
お母上は泣きながら中央に進み出て跪く。
「謹んで拝命いたします」
そう一言だけ返事をした。
「以上、エミーナ殿の正式な爵位授与式は後日執り行いますが、新たに任を受けた者は本日からその職務にあたるように。これは勅命である!」
また勅命を出しちゃったよ。
勅命ってそんなに乱発する物かねぇ?
お母上のエミーナさんが一番驚いただろうが、サナもかなり驚いたようだ。
帰りの車の中ではサナでさえも興奮しっ放しだった。
お母上の爵位授与を祝して、何かプレゼントを贈りたいな。
何が良いかとサナに相談したんだが、サナも思い付かないようだ。
「だったらさ、爵位授与式で着てもらうドレスなんてどうだい?」
そう提案すると、俺の真後ろの席に座っていたエリスが
「それは素晴らしいプレゼントですね!英樹様の世界のドレスですよね?」
「うん。そのつもりだよ。サナ、ドレスの写真を何枚か撮って来るから、どの服を買うかサナが選んでくれるかい?」
「そのような大役、私でよろしいのでしょうか?」
「勿論だよ。むしろ、サナが一番適任だよ」
「そうよ、サナ。お母様の晴れ舞台だもの、貴女が選んで差し上げなさい」
エリスがそう言うと、車内に居た全員が賛同の声を上げる。
「わかりました。皆様がそう仰ってくださるなら、私が選ばせていただきます」
助手席に座るサナはそう言って、後部座席の皆に頭を下げた。
バルバスから帰国してから、サナは毎朝のフェラチオをセックスに変えた。
今朝も全裸になって騎乗位で一心不乱に腰を振ってくれている。
「ダーリンの…おちんぽ…っ♡ 硬くて…大きくて…ステキっ♡ あんっ♡ イッちゃうっ♡」
ちゅぱん ちゅぱんと腰を打ち付けて、潮を吹く。
そんなサナに追い打ちを掛けて下から腰を打ち付け、子宮に亀頭を捻じ込む。
「あぎぃっ♡ イってるのにっ♡ またイくぅぅっ♡」
続けてプシャアッと潮を吹いたので、俺もサナの子宮に精を迸らせる。
ビュルルッ ビュグッ ドクドクッ
子宮にたっぷりと精液を注ぎ込むと、サナは全身をブルブルと震わせる。
「んン…っ♡ お子種が…いっぱい…♡ あ…♡ ん…♡ 気持ちいい…♡」
サナは嬉しそうに尿道に残る精液を搾るように腰をくねらせ膣襞を蠢かせる。
俺だってこうして毎朝サナとセックスをするのは嬉しい。
可愛いし、気持ちいいからね。
「サナ、結婚式が終わったら、いよいよ子供を作ろうか」
お掃除フェラをしてくれるサナの髪を撫でながら提案する。
以前から考えていたことだし、そろそろ「サナを孕ませたい欲」が限界だ。
「んちゅっぷ♡ よろしいのですか…?」
「勿論だよ。俺の初めての子供を産んでくれるのは、サナしか有り得ないって陛下にも言っただろう?」
「本当の本当によろしいのですか!?」
サナは嬉しそうに手でシコシコとチンポを扱くけど、その刺激でまた勃起してしまう。
たぶん、サナは無意識でシコシコしている。
お掃除フェラの時はフル勃起させないのが、いつものサナだもの。
「勿論だよ。サナと俺の子供が欲しい」
サナはかなり嬉しいのか、シコシコとフェラが止まらない。
「えっと…サナ?」
「ちゅぽん♡ はい♡ なんでしょうか?」
「完全に勃起しちゃったんだけど…」
この後、フェラチオでお口にたっぷり射精させてもらったが、エリスたちを起こす時間に遅れたのは言うまでもない。
午前中は討伐や射撃訓練に付き合うようにしている。これも最近の日課だ。
騎士たちにも自動小銃と拳銃を錬成したので、最近は騎士たちの練度を上げるようにしている。
全員分の戦闘服や常装服も支給できたし、いよいよ近代的な軍隊らしくなってきた。
午後は屋敷の用事をしたり、結婚式の打ち合わせに教会に出向いたりしている。
そう言えば、以前助けて教会に預けた旅人も意識を取り戻した。
律儀なことに、司教と一緒に屋敷まで挨拶に来てくれた。
彼女たちは姉妹だった。
お姉さんはセラムと言う名で二十一歳。妹はリーシャと言う名の十九歳だそうだ。
襲われて亡くなった人は母の妹で彼女たちの叔母に当たる人だと言う。
「あの方の命を救えなくて申し訳なかった」
と謝ったのだが
「何を仰います!私たちこそ手足を食いちぎられてもう死んだものだと思っていたのに、こうして命を救っていただいた上に手足さえも戻してくださいました。それに叔母のことも手厚く葬ってくださったと司教様からお聞きしています。伯爵様には返しきれない程の御恩があります」
と言ってくれた。
彼女たち姉妹はキオトの街で縫製職人として一家で働いていたそうだが、母が亡くなって父方の親類に工場を乗っ取られてしまったと言っていた。
それで心機一転レムリアの王都でゼロから出直そうと誓って引っ越しをしている最中に、ヘルハウンドの群れに襲われてしまったとのことだった。
「ですが、全くの無一文になってしまいました…」
つまり、成す術無くて途方に暮れているってことか。
「縫製が出来るってことは、ミシンも使えるのかな?」
この世界にはミシンが有るとサナから聞いて知っている。
勿論電動ではなく足踏み式なのだが、ミシンが使えるのなら戦力になる。
「はい。ミシンはずっと扱っていましたので、私も妹も得意です」
そうとなれば話は早い。
「では、こういうブラウスは縫えるかい?」
サナからメイド用の制服を借りて見せてみる。
「これならば…。型紙と生地さえ有れば縫えます」
「そうか。だったら、縫製工場を作るつもりなんだけど、働いてみないかい?」
「よろしいのですか!?」
「あぁ、勿論だよ。こんなに早くミシンを使える縫製職人が見つかるなんてラッキーだよ!」
ということで、姉妹を雇うことになった。
サナと数件の物件を見て回り、屋敷の近くに縫製工場を作った。
まずは手始めに制服のブラウスやスカート、常装服のシャツなんかを作ってもらう。
電動ならぬ魔動ミシンを六台錬成したので、取り敢えずはそれを使ってもらう。
脚でギコギコしなくてもペダルを軽く踏めば動くミシンに驚いていた姉妹だが、すぐに慣れてくれたようだ。
サナと姉妹とも相談した結果、縫製職人を養成することにした。
まずは貧民街出身者を優先にして、その中から縫製職人としての能力を考慮しながら素直で意欲の有る者を雇うことにする。
縫製職人には型紙を起こしたり、生地を裁断する職人も必要になる。
ミシン職人がそれらを兼ねることも有るそうだが、仕事の進め方を考えると分業にした方が効率は良いそうだ。
なるほど、そうかも知れないな。
というわけで、まずは十人ほど雇うつもりで面接をしてみる。
縫製工場には別棟の寮を付属して住み込みで働ける環境にしたからか、応募者は多かった。
全員に裁断や型紙の起こしを実技でやってもらい、見込みが有って意欲の高い女性を十三人雇うことにした。
言っておくが、彼女たちは妾にも妻にもしないし、手を出す気も無い。
だから寮は別の場所にしたんだ。
同じ敷地にしたら、サナも勘違いして『妻が増えるんだ』と思うだろうからな。
別にしておけばそんな勘違いをされずに済むだろう。
それに、働く女性たちにも安心して働いてもらいたいからな。
今日の午後はサナと一緒に教会に行き、司教と結婚式の最終打ち合わせをする。
その後、また女王に呼ばれているので王城に登城する。
この登城についてはエリスたちも呼ばれたので、後ほど屋敷で合流する予定だ。
結婚式の最終打ち合わせと言っても、俺が式の流れを説明してその流れのとおりに横演習するだけだ。
司教の台詞も俺が台本にして渡したし、特に問題は無いだろう。
結婚式はサナの誕生日に執り行うことになった。
そう言えば、制服屋に聞いてみたらウエディングドレスを用意できると言っていたので、注文しておいた。
カタログを渡してくれて
「この中のものだったらどれでも用意できるよ」
と言ってくれたので、サナ自身に選んでもらった。
俺は陸上自衛隊の礼服を借りられたので、それを着る。
ウエディングドレスの値は張ったが、こういうことに関しては金に糸目は付けない。
美しいサナがさらに美しくなるんだから、金を使っても問題にはならない。
ダイヤモンドもたくさん売れたしな。
以前に買っておいたサマードレスは屋敷で行う披露宴で着てもらおう。
屋敷でエリスたちと合流し、王城へ向かう。
やはりこの人数で七人乗りは手狭だ。
なので明日にでも十人乗りワゴンでも錬成しよう。
謁見の間の前の控えの間に着くと、他の貴族や大臣も到着している。
何の話で呼ばれたのか解らんが、俺にとっては良い話ではなさそうだ。
謁見の間の扉が開いて中に通されるが、エリスやサナは王宮騎士たちと並んで座っているんだが、俺は貴族席に座らせられる。
自衛官時代もそうだったが、何度経験してもこういう場は好きになれない。
「女王陛下のおなりです!お静まり下さい!」
サナのお母上様であるエミーナさんの声が響き、周囲がシンと静まり返る。
「本日皆さんにお集まりいただいたのは、欠員が出た貴族院の今後についてお話するためです。セリカ、お願いします」
冒頭の挨拶はするけど、詳細はセリカが話すのか。
これもいつものことみたいだな。
「御意に。女王陛下に代わり私からご説明いたします。まずは先日の外務大臣としてのバルバス帝国での活躍を考慮し、安田伯爵に侯爵の爵位を授与し、この時を以って侯爵と致します」
いきなり俺かよ。しかも何だよ侯爵って。それは美味しいのかよ。
周囲からも声が上がるが、どうやら否定的な声ではないようだ。
「安田侯爵、先日のバルバスでの働き、バルバスからの使者から聞いていますよ。これからも王国のため…いいえ、この世界のために励みなさい。よろしいですね?」
そう言われちゃったら、断るに断れないじゃないか…。
「謹んで拝命致します」
そうしか言えない空気にしやがって…と言いたいが、流れに任せて受けておく。
「続いて、伯爵には…」
何事も無かったようにセリカが続ける。
伯爵になったのは俺が知らないおっさんだ。
ほとんどの貴族とロクに話したことも無いからな。
「そして、子爵には王宮侍女から長年の功績を考慮して、エミーナ・ユン・イーストバレーに着任していただきます」
なんと、エミーナさんが子爵になっちゃったよ!
これには俺の時以上に驚きの声が上がるが、反対してのことではないようだ。
『おぉ…。ついにエミーナ殿も正式な貴族になられたか』
『むしろ遅いくらいですね』
などと好意的に受け止められているようだ。
「エミーナ、長きに渡りよく勤めてくれました。お礼を言いますよ。貴女にはもっと上の爵位を用意してあげたかったのですが、今の空き状況を踏まえるとこれで精一杯でした。ですが、貴女にはこれからも私たちと共に在って欲しいのです。受けてくれますね?」
お母上は泣きながら中央に進み出て跪く。
「謹んで拝命いたします」
そう一言だけ返事をした。
「以上、エミーナ殿の正式な爵位授与式は後日執り行いますが、新たに任を受けた者は本日からその職務にあたるように。これは勅命である!」
また勅命を出しちゃったよ。
勅命ってそんなに乱発する物かねぇ?
お母上のエミーナさんが一番驚いただろうが、サナもかなり驚いたようだ。
帰りの車の中ではサナでさえも興奮しっ放しだった。
お母上の爵位授与を祝して、何かプレゼントを贈りたいな。
何が良いかとサナに相談したんだが、サナも思い付かないようだ。
「だったらさ、爵位授与式で着てもらうドレスなんてどうだい?」
そう提案すると、俺の真後ろの席に座っていたエリスが
「それは素晴らしいプレゼントですね!英樹様の世界のドレスですよね?」
「うん。そのつもりだよ。サナ、ドレスの写真を何枚か撮って来るから、どの服を買うかサナが選んでくれるかい?」
「そのような大役、私でよろしいのでしょうか?」
「勿論だよ。むしろ、サナが一番適任だよ」
「そうよ、サナ。お母様の晴れ舞台だもの、貴女が選んで差し上げなさい」
エリスがそう言うと、車内に居た全員が賛同の声を上げる。
「わかりました。皆様がそう仰ってくださるなら、私が選ばせていただきます」
助手席に座るサナはそう言って、後部座席の皆に頭を下げた。
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