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てろりろん

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最近ついてないな。
会社でも家庭でも上手く行かない。タイミングの悪い毎日を送っている。


運がない。ついてない。そんな感じ。
宝くじを買えばむしろ当たるんじゃないか。
そんなことを考える。


ガタトン。
音を立てて落ちてくる。
私は姿勢を低くして、半透明の板を上げて中からペットボトルを取り出す。


その時、わっ!と小さく声を上げてボトルから手を離す。
想像の何倍も熱く、手のひらが少しジンジンする。


はぁ。ついてないな。寒い日にあたたか~い飲み物を買えばこうなる。
私の手が冷えすぎていたせいだろう。


キャップの部分をつまんで持ち上げ、自販機にくるりと背を向ける。
ズザッと少しだけ滑って太ももの筋を痛めた。


「もう!なんなの!」
声が出てしまう。通りすがりのおばあちゃんに変な目で見られて、本当に散々な日々だ。








恥ずかしさから手で顔を覆いながら行こうとしたとき、後ろから聞こえてきた。



【てろりろん】
続けてこうも聞こえてきた。
「当たり!もう一本選んでね!」


どうやら自販機のルーレットに当たったらしい。
人生で初めて当たったし、なんならコレはただの演出で当たることはないと思っていた。


「たまには良いことあるじゃん」


こんなことでチャラになるかよ。なんて心の中で愚痴を履きつつ何にするか選んでいたら、



ガタトン。


と、まだ選んでいないのに何かが落ちてきた。
はぁ。時間切れ?それにしても運がない。
私が心で愚痴を履いたから?神様も酷だなぁ。


まぁいいか。つぶやきながら、自販機の口に手を入れる。
また熱いかもしれない。気をつけよう。
警戒しながらゆっくりと手を入れる。






中々見つからない。どこだ。
手を右から左へ動かしていく。










「うわ!」


心臓がドキドキと音を立てている。
何かに掴まれた。
自販機の中で、なにかに手を掴まれた。


少しばかりジンジンする自分の手を見る。
薄っすらと赤みがかっていて、何かが掴んだことがよくわかる。








そこで気がついた。
この自販機にはルーレットも当たりの機能を示す何らかの仕掛けも、なにも存在しない。


恐ろしくなって、走って逃げた。
運がない。
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