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本編
第四話~開戦~
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秋月艦橋
「本艦隊52km地点に小型熱源反応を確認、数12本艦隊に真っ直ぐ近づく。」
イーグルアイからはなんの報告も無かった。つまりこれは潜水艦からの攻撃、例の原潜クラスか。
「対空戦闘用意、ECM起動出力85%データリンクで目標割り当て、急げ」
「割り当て完了、我が艦の目標はキルロック107、108、109」
「天ノ羽ヶ矢3、使用弾数3、サルヴォー!」
スタンダードで全弾いけるか?
「インターセプト10秒前」
艦内に緊張が走る。
「3、2、1、マークインターセプト、キルロック107から109までロスト!」
「発射元特定急げ!」
ここで沈める!
「旗艦より通達『全艦、艦隊進路300に変更、敵潜はSHS-12で対処、第三航空グループのPAS-5の到着は1352』」
敵潜のおおよその位置は分かる、ここで沈めなければ主力が背後を潜水艦に押さえられる形になってしまう。それは避けたい。
「ポイント1364、245、97本艦隊より53.6kmの地点にてドルフィン02が敵潜水艦を検知、指示を乞うとのことです。」
「ドルフィン01と03を向かわせろ。攻撃準備が出来次第、短魚雷で沈めろ。」
打てる手は打っておきたい。今は対艦攻撃の前段階と現場の制空を確保するためにあまり機数を割きたく無いだろうがここは仕方ない。
「対潜戦闘用意。紅龍に嵐風の短魚雷装備機を要請、最低で2機だ!」
扶桑さんなら出してくれるだろう。5年前潜水艦に煮え湯を飲まされた扶桑さんは身をもって潜水艦の恐ろしさを知っている。
「紅龍より通信、要請を受諾、短魚雷装備機2機に敵潜攻撃を命令とのことです。到着は1240とのことです」
よし、これで打てる手は打った。
「ドルフィン02より報告。『攻撃命中せず』繰り返す攻撃命中せず。なお01、03の攻撃も効果認めず。」
・・・厄介だな、敵潜の位置を把握し続けているとは言え、攻撃が当たらないのでは埒が明かない。
「ソナーマン。本当か?」
「はい。当該時刻に命中音は確認してません。」
「嵐風の現着まだか?」
「後0006です」
「紅龍にドルピンの交代を要請。現着まで01と03で監視させろ。」
「司令!」
「どうした」
「司令本部より入電。プランF発動、紅龍に航空攻撃を下令しました。」
開戦不可避のプランF。司令本部も覚悟を決めたか。
「秋月、照月を前面に出せ楔型陣形を形成しろ」
「司令!」
「今度はなんだ!」
立て込みやがるなぁ、もう
「・・・1150にナポーズド政府が外交ルートを使って我が国に宣戦を布告しました」
数秒間この場に居る誰もが絶句した。いや、するしかなかった。
「・・・はぁ~遂にか」
なんとか声を絞り出した言葉がそれだった。そして司令席に座り込む。
「嵐風の攻撃効果は」
「ドルフィン01からです。ホウェール01及び02の攻撃、効果認めず。」
撃沈どころか命中弾の一つも出ないとは、本当に厄介だな。
「ドルフィン01から報告!敵潜急速潜航現在深度752、速力35ノット。ドルフィン01、追跡は燃料の残量的に厳しいと言わざるを得ません。」
「そうか、帰投させてくれ。ソナーマン、こっちのソナーで追いきれるか?」
「敵潜の粛音性はかなり高いですね。厳しいと思います」
「そうか、ご苦労」
データ収集としては上々と思おう。
第十三秘匿艦隊、旗艦紅龍、艦橋、ほぼ同時刻
「デルタ中隊は制空装備で発艦させろ。ソードフィッシュ隊とオメガ隊は対艦装備に換装しろ。」
相手は軽空母、こっちは中型に航空巡洋艦。さらに1個航空グループ。慢心は禁物とは言え航空優勢はこちらのものだろう。
「デルタ中隊全機発艦しました。」
「よし、艦隊速度そのまま、警戒を厳とせよ。」
そして思い出したかのように通信士官に
「宣戦布告は本当にされていないのか?」
と尋ねた。
「本部からの連絡はまだです。」
となると考えられるのは奇襲もしくは偶発的な紛争か。後者なら良くはないが情報統制次第で最悪の事態は避けられるだろうが前者は彼らがよくやる手口だ、この後恐らく宣戦布告が飛んでくるだろう。だが彼らも理性が働いてるなら大国同士の戦争は避けたいはず、あるいは、、、
「司令!」
「どうした。」
「ナポレン政府が外交ルートを通じて我が国に宣戦布告をしました・・・」
最初はいつものような大声だった癖に最後は消え入るような声になっていた。それほど衝撃的だったのだろう。気持ちは分かる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「早期警戒機イーグルアイより入電『我ナポレン艦隊感知全艦隊にリンク完了指示を求む』」
「上空2万メートルにて別命あるまで待機」
「ソードフィッシュ隊並びにオメガ隊に通達、敵主力に予定通り40kmまで低高度による接近からの対艦攻撃開始、デルタ中隊は制空任務を開始しました。」
「艦隊全艦に通達第二種戦闘配置に移行せよ」
もう引き返せない、か、、、
「イーグルアイからソードフィッシュ隊に通達、敵機捕捉、データリンクに送信」
現在位置は敵の左斜め上方。敵の早期警戒機は潰してある。お相手さんはAB-27か格闘戦はしたくないな、あのシミュレーターでいくら煮え湯を飲まされたことか。思い出すだけでゾッとする。
「了解、中隊各機に通達アーチャー及びクレイモア両小隊は私に続け、残りの小隊は超低空による敵艦隊への接近を行え」
出撃前はよく愚痴を吐いていた中隊長もやる気満々である。ただこの人の下にいれば死にはしないだろうという謎の信頼感を中隊全員から集める人だ。この人には何故か人が集まる。
「「「「ウィルコ」」」」
「スモーキー、俺らは敵正面左下につくぞいいな?」
「コピー」
「相手はアキモフだ格闘戦はなるべく短くだぞ、各機ブレイク」
「全機"生"を掴め、オーバー」
中隊長、それは戦場じゃ最も難しいことですぜ、と言うのをぐっとこらえた。
増槽をパージ
「レーダーロック、FOX3、FOX3」
戦闘の火蓋は切って落とされた、ここからは生きるか死ぬかの二択だ。
「敵機反転繰り返す敵機反転」
血迷ったかこっちに攻撃を仕掛けることは出来ても、エネルギーを損耗しすぎるぞ。
敵の中距離ミサイルは、まだか、いや、、、来た!
チャフを撒いて敵下方に遷移、スモーキーは、よし、付いてきてるな
5機は墜ちた、敵は残り3機、こっちは2機墜ちたか、これなら2対1を維持すれば、勝てる!
陽動は非常に危険を伴う、そして、精神的にも非常に負荷が高い。
「チッッ!」
耳元でミサイルアラートが鳴り響く。相手は格闘戦に乗せたいのだろうがこちらからは絶対に乗らない。嵐風ではアキモスとの格闘戦は勝てないからだ、コンセプト自体が違いすぎる。
「スプラッシュワン!」
「ナイス!グットキル!」
レーダーロックのコーション表示が消える。
敵は全機墜ちたか、こっちは3機、上々だ。制空権はこちらのもの。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「イーグルアイより入電、ソードフィッシュ、オメガ両中隊による対艦攻撃の戦果は駆逐艦2隻、フリゲート1隻、軽空母1隻を撃沈」
敵の戦力重心たる軽空母を撃沈したことはでかい。しかし、少し府に墜ちないところがある。敵の対応が後手に回っている。こんなこと想定していなかったとでも言うように。
「敵の攻撃機はどうした?」
「まだ報告は上がっていません。」
とても、軽空母と一緒に沈んだとは思えない。
「主力から報告です。『我が方に敵攻撃機飛来、フリゲートが2隻沈没、駆逐艦1隻大破』」
「やられたか、、、敵艦隊は?」
「北東に転進しました。」
「撤退だろうな、全艦に通達、第二種戦闘配置に移行、別命あるまで待機。」
「追撃戦は無いだろうな。」
例の潜水艦がまだ生きているでなろうこと。本土からの支援が望めないであろうこと。何より今この辺りには戦闘艦に随伴できる補給艦が居ないことを加味すれば無いであろう。あったとしても最低限の物資しか積んでいないうちでは無いだろう。
ぐるりと艦橋内を見渡して
「さぁ、帰るぞ。」
「本艦隊52km地点に小型熱源反応を確認、数12本艦隊に真っ直ぐ近づく。」
イーグルアイからはなんの報告も無かった。つまりこれは潜水艦からの攻撃、例の原潜クラスか。
「対空戦闘用意、ECM起動出力85%データリンクで目標割り当て、急げ」
「割り当て完了、我が艦の目標はキルロック107、108、109」
「天ノ羽ヶ矢3、使用弾数3、サルヴォー!」
スタンダードで全弾いけるか?
「インターセプト10秒前」
艦内に緊張が走る。
「3、2、1、マークインターセプト、キルロック107から109までロスト!」
「発射元特定急げ!」
ここで沈める!
「旗艦より通達『全艦、艦隊進路300に変更、敵潜はSHS-12で対処、第三航空グループのPAS-5の到着は1352』」
敵潜のおおよその位置は分かる、ここで沈めなければ主力が背後を潜水艦に押さえられる形になってしまう。それは避けたい。
「ポイント1364、245、97本艦隊より53.6kmの地点にてドルフィン02が敵潜水艦を検知、指示を乞うとのことです。」
「ドルフィン01と03を向かわせろ。攻撃準備が出来次第、短魚雷で沈めろ。」
打てる手は打っておきたい。今は対艦攻撃の前段階と現場の制空を確保するためにあまり機数を割きたく無いだろうがここは仕方ない。
「対潜戦闘用意。紅龍に嵐風の短魚雷装備機を要請、最低で2機だ!」
扶桑さんなら出してくれるだろう。5年前潜水艦に煮え湯を飲まされた扶桑さんは身をもって潜水艦の恐ろしさを知っている。
「紅龍より通信、要請を受諾、短魚雷装備機2機に敵潜攻撃を命令とのことです。到着は1240とのことです」
よし、これで打てる手は打った。
「ドルフィン02より報告。『攻撃命中せず』繰り返す攻撃命中せず。なお01、03の攻撃も効果認めず。」
・・・厄介だな、敵潜の位置を把握し続けているとは言え、攻撃が当たらないのでは埒が明かない。
「ソナーマン。本当か?」
「はい。当該時刻に命中音は確認してません。」
「嵐風の現着まだか?」
「後0006です」
「紅龍にドルピンの交代を要請。現着まで01と03で監視させろ。」
「司令!」
「どうした」
「司令本部より入電。プランF発動、紅龍に航空攻撃を下令しました。」
開戦不可避のプランF。司令本部も覚悟を決めたか。
「秋月、照月を前面に出せ楔型陣形を形成しろ」
「司令!」
「今度はなんだ!」
立て込みやがるなぁ、もう
「・・・1150にナポーズド政府が外交ルートを使って我が国に宣戦を布告しました」
数秒間この場に居る誰もが絶句した。いや、するしかなかった。
「・・・はぁ~遂にか」
なんとか声を絞り出した言葉がそれだった。そして司令席に座り込む。
「嵐風の攻撃効果は」
「ドルフィン01からです。ホウェール01及び02の攻撃、効果認めず。」
撃沈どころか命中弾の一つも出ないとは、本当に厄介だな。
「ドルフィン01から報告!敵潜急速潜航現在深度752、速力35ノット。ドルフィン01、追跡は燃料の残量的に厳しいと言わざるを得ません。」
「そうか、帰投させてくれ。ソナーマン、こっちのソナーで追いきれるか?」
「敵潜の粛音性はかなり高いですね。厳しいと思います」
「そうか、ご苦労」
データ収集としては上々と思おう。
第十三秘匿艦隊、旗艦紅龍、艦橋、ほぼ同時刻
「デルタ中隊は制空装備で発艦させろ。ソードフィッシュ隊とオメガ隊は対艦装備に換装しろ。」
相手は軽空母、こっちは中型に航空巡洋艦。さらに1個航空グループ。慢心は禁物とは言え航空優勢はこちらのものだろう。
「デルタ中隊全機発艦しました。」
「よし、艦隊速度そのまま、警戒を厳とせよ。」
そして思い出したかのように通信士官に
「宣戦布告は本当にされていないのか?」
と尋ねた。
「本部からの連絡はまだです。」
となると考えられるのは奇襲もしくは偶発的な紛争か。後者なら良くはないが情報統制次第で最悪の事態は避けられるだろうが前者は彼らがよくやる手口だ、この後恐らく宣戦布告が飛んでくるだろう。だが彼らも理性が働いてるなら大国同士の戦争は避けたいはず、あるいは、、、
「司令!」
「どうした。」
「ナポレン政府が外交ルートを通じて我が国に宣戦布告をしました・・・」
最初はいつものような大声だった癖に最後は消え入るような声になっていた。それほど衝撃的だったのだろう。気持ちは分かる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「早期警戒機イーグルアイより入電『我ナポレン艦隊感知全艦隊にリンク完了指示を求む』」
「上空2万メートルにて別命あるまで待機」
「ソードフィッシュ隊並びにオメガ隊に通達、敵主力に予定通り40kmまで低高度による接近からの対艦攻撃開始、デルタ中隊は制空任務を開始しました。」
「艦隊全艦に通達第二種戦闘配置に移行せよ」
もう引き返せない、か、、、
「イーグルアイからソードフィッシュ隊に通達、敵機捕捉、データリンクに送信」
現在位置は敵の左斜め上方。敵の早期警戒機は潰してある。お相手さんはAB-27か格闘戦はしたくないな、あのシミュレーターでいくら煮え湯を飲まされたことか。思い出すだけでゾッとする。
「了解、中隊各機に通達アーチャー及びクレイモア両小隊は私に続け、残りの小隊は超低空による敵艦隊への接近を行え」
出撃前はよく愚痴を吐いていた中隊長もやる気満々である。ただこの人の下にいれば死にはしないだろうという謎の信頼感を中隊全員から集める人だ。この人には何故か人が集まる。
「「「「ウィルコ」」」」
「スモーキー、俺らは敵正面左下につくぞいいな?」
「コピー」
「相手はアキモフだ格闘戦はなるべく短くだぞ、各機ブレイク」
「全機"生"を掴め、オーバー」
中隊長、それは戦場じゃ最も難しいことですぜ、と言うのをぐっとこらえた。
増槽をパージ
「レーダーロック、FOX3、FOX3」
戦闘の火蓋は切って落とされた、ここからは生きるか死ぬかの二択だ。
「敵機反転繰り返す敵機反転」
血迷ったかこっちに攻撃を仕掛けることは出来ても、エネルギーを損耗しすぎるぞ。
敵の中距離ミサイルは、まだか、いや、、、来た!
チャフを撒いて敵下方に遷移、スモーキーは、よし、付いてきてるな
5機は墜ちた、敵は残り3機、こっちは2機墜ちたか、これなら2対1を維持すれば、勝てる!
陽動は非常に危険を伴う、そして、精神的にも非常に負荷が高い。
「チッッ!」
耳元でミサイルアラートが鳴り響く。相手は格闘戦に乗せたいのだろうがこちらからは絶対に乗らない。嵐風ではアキモスとの格闘戦は勝てないからだ、コンセプト自体が違いすぎる。
「スプラッシュワン!」
「ナイス!グットキル!」
レーダーロックのコーション表示が消える。
敵は全機墜ちたか、こっちは3機、上々だ。制空権はこちらのもの。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「イーグルアイより入電、ソードフィッシュ、オメガ両中隊による対艦攻撃の戦果は駆逐艦2隻、フリゲート1隻、軽空母1隻を撃沈」
敵の戦力重心たる軽空母を撃沈したことはでかい。しかし、少し府に墜ちないところがある。敵の対応が後手に回っている。こんなこと想定していなかったとでも言うように。
「敵の攻撃機はどうした?」
「まだ報告は上がっていません。」
とても、軽空母と一緒に沈んだとは思えない。
「主力から報告です。『我が方に敵攻撃機飛来、フリゲートが2隻沈没、駆逐艦1隻大破』」
「やられたか、、、敵艦隊は?」
「北東に転進しました。」
「撤退だろうな、全艦に通達、第二種戦闘配置に移行、別命あるまで待機。」
「追撃戦は無いだろうな。」
例の潜水艦がまだ生きているでなろうこと。本土からの支援が望めないであろうこと。何より今この辺りには戦闘艦に随伴できる補給艦が居ないことを加味すれば無いであろう。あったとしても最低限の物資しか積んでいないうちでは無いだろう。
ぐるりと艦橋内を見渡して
「さぁ、帰るぞ。」
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