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演劇部・失われた舞台衣装
6月3日
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「ボクは二年の比楽坂だ。今日は助手の四持が無理を言って済まなかったね」
おかしい。無理を言ったのは優里先輩のはずなのに、気がつくとなぜか僕が悪者にされている。
「それほど時間を取らせるつもりはない、現場を見せて欲しいだけだ」
そう言いながらも、先輩はなぜか部室棟の前にずらりと並んだプランターの方にチラチラと目を取られている。どうやら園芸部が花を育てているようだが、すでに盛りを過ぎ、白い花は萎れて半ば枯れ始めている。
「先輩、ほら行きますよ」
僕は頷いて歩き始めた古平先輩を追って、優里先輩の肩を軽く叩いて促した。彼女は高さ四十センチ、縦横二十五センチほどのジュラルミンケースを大事そうに抱えてよたよたと歩く。そこそこ重そうなので代わりに持とうと何度も提案したのだが、鼻息一つで断られた。
古平先輩は時々立ち止まりながら、そんな僕らを交互に見て小さくほほ笑みながら先導する。だが、この前と同じように鍵穴にカギを差し込み、続いてシャッターを跳ね上げようと手を掛けたところで優里先輩が大声を上げた。
「ストップ!! そのまま動くな!!」
「な!」
優里先輩は驚いて固まった古平先輩を押しのけるようにシャッターの正面に立ち、その場で四つん這いになって滑らかな頬を地面に押しつけた。
「先輩! 何をしてるんです!?」
驚く僕らに、彼女はその姿勢のまま勝ち誇ったように言った。
「ほら! やっぱり!」
「何がやっぱりなんですか!?」
優里先輩は慌てて駆け寄る僕の腕を引っ張って同じように跪かせると、ぐいぐいと頭を地面に押しつける。見れば、シャッターの底部とコンクリート床との間に五ミリほどの隙間があった。
「ほら、見たまえ、地面とシャッターの間、こんなに隙間が空いてる」
「そりゃ隙間くらいあるでしょうよ! それより痛いからやめてください!」
先輩の手を強引に振りほどいてどうにか顔を上げる。とっさの出来事に目を丸くしている古平先輩の視線を痛いほど感じながらひざの砂を払い、優里先輩の手を引いて立ち上がらせた。案の定、先輩の白い頬は砂埃で汚れている。
「先輩、これを」
ポケットからハンカチを取り出して手渡そうとするが、先輩は受け取ろうとはせず、ただ子供のようにぐいと頬を突き出した。
「自分じゃ判らない」
「ったく、仕方のない人ですね」
僕は呆れ口調で先輩の頬を丁寧にぬぐい、ついでにスカートの裾とひざの砂もはらってやる。
「これでボクの仮説がより信憑性を増した。さあ、シャッターを開けてくれたまえ」
なんだかとても嬉しそうだが、古平先輩は訳がわからずひたすら困惑している。僕も思いは同じだが、一応優里先輩の助手的な立ち位置なので、そんな気持ちはおくびにも出さず、すまして先輩の背後に立つ。
「どうぞ」
シャッターが開くと同時に先輩はよたよたドタドタとロッカーの前に走り寄り、ジュラルミンケースを開いて大量のガラスのシャーレとピンセットを取り出した。
「そんな物持ってきたんですか!」
毎回の奇行から薄々予想はしていたが、続いて顕微鏡まで出てきたのはさすがに驚いた。
「何ですかそれ!」
「見てわかんないか? 実体顕微鏡だ」
「じゃなくて、どうしてそんな物が……」
「ああ、仮説を証明するために必要だからな」
「話がズレてますね。僕が呆れてるのは持ち込んだ理由じゃなくて、毎回どこからそんな特殊《へんな》な物を見つけて来るんですか、と言う純粋な疑問なんですが?」
「はあ? 私物に決まってるだろ? 愚問をほざいてないで、早くこれでロッカーの底の埃を集めたまえ」
「えー」
「文句を言わない。ボクは君の目に期待してるんだ。他に取り柄もないんだから少しは役に立ちたまえ」
「ひどい。こんなガラクタに囲まれてるから性格まで歪むんですよ。まったく。一度見てみたいもんですね。先輩のガラクタ屋敷」
「うるさい。無駄口を叩くな」
初対面の時はここまで無遠慮じゃなかったはずだが……と思ったところでしょうがない。口の悪いのはお互い様だ。僕は渡された手のひらほどのミニチリトリとほうきでロッカーの埃をせっせと集め、それぞれのシャーレにロッカーひとつ分づつの砂埃を取り分けた。
「わー、キモい。これなんか虫の死骸まで――」
「何!!」
だが、先輩は、むしろ嬉しそうに目を輝かせ、僕の手からシャーレを奪い取った。
「あの?」
控えめに呼びかけられてはっと思い出す。シャッターを開けてからここまで、古平先輩の存在はまったくの空気だった。
優里先輩の意識が埃入りのシャーレに移ったところで僕は立ち上がり、放置されたままの古平先輩に気になっていたことを確かめる。
「古平先輩、その後新しい手紙は?」
「いいえ。気をつけて、毎日朝昼晩三回は部室を覗くようにしてるんですが……」
「……そうですか」
「手がかりが……」
「途絶えてしまいましたか」
僕らは顔を見合わせて小さくため息をついた。だが、相変わらず顕微鏡を覗き込んだまま、優里先輩は変なことを口走った。
「恐らく、演劇部に手紙が届くことはもうないぞ」
「え、なんでそんなことが言い切れるんですか?」
「届くのは演劇部に、じゃない。役者に届くんだ」
「「役者?」」
古平先輩と僕の声がきれいにハモった。
「当たり前だ。役者のあてもなしに君達は一体どうやって劇を成り立たせるつもりなんだい?」
「え、でも……」
「ここで見つかった手紙にも書かれていただろ? 衣装は演じる者の所に現れる的な」
「確かに書いてありました、が……?」
疑問がグルグル渦巻いている僕らを無視して、優里先輩はピンセットを器用に操りながら顕微鏡をのぞき続ける。やがて満足したのか、仕分けの終わったシャーレを手に僕らを呼び寄せた。
「ほら、これ」
ぐいと突き出されたシャーレには、ごま粒大の極小のコガネムシや、さらに小さい糸くずのような芋虫の死がいばかりが選り分けられていた。案の定、古平先輩の顔からは血の気が引いているが、優里先輩は気にする気配もない。
「ほら、のぞいてみろ」
先輩に促され、僕は生まれて初めて顕微鏡の接眼レンズに目を寄せる。ただ、普段カメラのファインダーをのぞき慣れているせいか、視野が四角でなくて丸い以外の違和感はなかった。
「わかるだろ?」
「って、虫の死がいですよね」
「コメントがきわめて凡庸だな。もう少し気の利いた感想はないのか?」
「といっても、この虫、名前は何だろう、とか、何でこんな変な所で死んでんだろう、くらいしか思いつきません」
「それでいいんだよ。あ、古平も見るかい?」
ほとんど倉庫の入口まで後退してさらに青い顔をした古平先輩が無言でふるふると首を横に振る。
「まず、この虫は、ヒメマルカツオブシムシという」
「……はあ」
「ちっ! 反応が薄いな。つまらんぞ」
「そんなこと言ったって、なんなんです? 鰹節が好物なんですか?」
「まあ確かにそうなんだが、コイツは白い花も大好きなんだ。外に並んでるプランターにマーガレットがたくさん植わってただろ?」
「ああ、だから気にしてたんですか。そこから隙間伝いに倉庫に入り込んで来ちゃったと?」
「ああ、だが、コイツはもう少しやっかいな性格もあってね」
先輩はそこで一旦言葉を切り、人差し指を立てて仰々しく切り出した。
「ヒメマルカツオブシムシは代表的な衣類害虫だ。服に虫食い穴を作る元凶だよ」
「ふえっ!!」
途端に古平先輩が反応した。
「も、もしかして! ここの衣装はっ!?」
「ああ、全部のロッカーで成虫の死がいと幼虫の死がい両方を確認した。ついでに言っておくと、ロッカーの隅に溜まっている埃な、あれ、たぶんほとんどが幼虫が衣装を食い荒らした後の糞だぞ」
「ひ、ひ、ひえっ!!」
古平先輩はそのまま白目を剥いてその場に崩れ落ちた。
◆◆
「先輩があまり無遠慮なこと言うからですよ」
「そんなこと言われたって、事実は事実だ。取り繕ったって始まらないだろう?」
僕らは、一向に目を覚まさない古平部長を担いですぐ隣の演劇部室に移動していた。
パイプ椅子を並べて即席のベッドを作り、なぜか備え付けられていた封筒型の寝袋を開いて掛布代わりに古平先輩の身体を覆う。枕は敷かず、本棚から抜き取った本を適当に重ねて脚を上げている。この処置も全て優里先輩が僕に命令した。
「先輩、やっぱり保健室に連れて行った方がいいんじゃ?」
「必要ない。頭も打ってないし、ただの血管迷走神経反射だ」
「血管迷走?」
「ちょっとした精神的ショックだってこと。脳血流が回復したらすぐに目覚める」
「でも、僕の時はちゃんと連れてってくれたじゃないですか」
「ハチ毒のアナフィラキシーショックは命に関わるからね。でも、あの一件でボクは校医先生に相当睨まれてるんだよ。正直言って二度と保健室には近づきたくない」
「素人が勝手な判断をするからですよ」
「うるさい! 命の恩人に向かって何て言い草だ。ああ、そう言えばあの時の礼をまだ受け取ってないぞ。〝命を救ってくれたお礼に、一生ドレイとして尽くします〟っていうのがいいな」
「先輩、さすがに人としてどうかと思います。ドン引きです」
部室の扉を開け放ったままそんなやりとりを続けていたせいか、気付くと見知らぬ男子生徒が興味深げに部屋をのぞき込んでいた。
「誰だ? これは見世物じゃないぞ」
目ざとくそれを見つけた優里先輩が鋭く誰何する。
「いえ、実は、この服と一緒に手紙が届いたんで……」
そう言って紙袋を掲げる男子の右手には、水色の洋封筒が握られていた。
「あ、あの、これなんすけど、演劇部を訪ねろって書かれてて」
迷いの見える表情で封筒を差し出す男子。ただ、その見た目は何というか、相当に個性的だった。身長は百八十センチを遙かに超え、戸口に頭がつっかえているほど。眉が濃く、目鼻立ちはまるでローマ人のようにくっきりとしている。
「守護士、石蕗彌七じゃないか!」
彼の姿をひと目見た瞬間、目を丸くした優里先輩がそう断じた。
僕も彼を見た瞬間に同じ感想を持った。というか、昨夜スタバでパラパラと流し読みをしたっきりの先輩がそこまでしっかり小説の内容を読み込んでいることにまず驚いた。
文芸部の例の小説では、戦国時代にタイムリープした主人公と最初に出会い、最後の戦いまで付き従った忠臣であり、ほのかな恋愛感情を交わし合った準主役と言っていい登場人物だ。作中で描写されるそのいでたちは、まるで西洋人のような顔つき、容貌魁偉、身の丈およそ六尺三寸の大男とあるから、現代の単位に直すと百九十センチくらいだろうか。
少なくとも見た目はぴったり当てはまる。
「……へえ、探せば見つかるものなんだな……おい、古平、のんびり寝てる場合じゃない。石蕗彌七が来たぞ!」
優里先輩はさっきまでの鷹揚な態度をかなぐり捨てて古平先輩をたたき起こす。
「ふぇ、な、何です?」
いきなり現世に呼び戻された古平先輩は、来客と目を合わせた瞬間、ぽかんと口を開けた。
「……彌七……」
まさに、タイムリープして意識を取り戻したばかりの主人公と彌七の邂逅をほうふつとさせる光景だった。
◆◆
石蕗彌七、こと工藤康太、一年生。
もともとバスケットのスポーツ推薦でウチに入学したが、新人戦でたちの悪い他校チームとあたってしまい、ラフプレーに巻き込まれて膝の靭帯を断裂してしまったという。
「切れたのは左の内側側副靭帯っす。手術は無事成功して、数日前にギブスも取れました」
「で、バスケ部にはちゃんと復帰できるのか?」
優里先輩が見たこともない心配顔で工藤にたずねた。
いや、見たこともないというのはウソだ。確か僕が保健室で目覚めたときもこんな顔をしていた……ような気がする。
その後の印象があまりにもひどすぎて半分忘れかけていたが。
「おい四持、今、なにか失礼なことを考えてなかったか?」
「いえ、気のせいです」
思わず棒読みになってしまい、絶対零度の冷たい視線を浴びせられるが、ここはとことん知らん顔で通す。
「ええと、復帰自体はできるそうっす。適切なリハビリを根気よく続ければ、早くて数ヶ月……」
「では、今年の夏の大会には間に合わないのか」
「ええ。来年にかけるしかないっすね」
だが、さらりと答える工藤の表情にそれほど暗さはない。一見気弱そうに見えて、復帰を信じて疑わない一途なところもあるらしい。
「ただ、休部中はとにかく暇なんすよ。これまでずっと、朝も昼も放課後も、完全下校までずっと練習一筋だったんで、急に時間が余っても何をしたらいいのかわからなくて……」
なるほど。僕自身、中学から写真部に所属しカメラを抱えてとにかく歩き回っていたので、活動場所を急に失った喪失感は自分のことのようにわかる。
「そこにこの手紙が……なんで誘われたのかよくわかんないんすが、文化系の部活ならそれほど膝に負担にならないかなと思って」
「休部中に他部の活動に参加することは問題ないのか?」
「ええ、確かめました。規約上二つまで兼部は可能だそうっす。まあ、運動部の連中で兼部できるほどヒマなヤツはいないでしょうが」
「まあ、そうだな。じゃあ、詳しいことはコイツと話せ」
「ふえぇ、え?」
いつの間にか場を仕切っていた優里先輩は、話の主導権をいきなり古平先輩に渡すと立ち上がって大きく伸びをした。
「さて、四持、帰るか」
「ちょちょちょ、ちょっと待って下さい!」
慌てた古平先輩に止められる。
「比楽坂さんは手紙の主とか、ロッカーの件とか色々判っているんですよね? 私にもきちんと教えてくださいよ!」
当然だ。自分だけ納得してとっとと帰ろうとするなんて、自分勝手にも程がある。
「えー、面倒くさいな。そうだ四持、お前が話せ」
「またですか? それに、僕も全部わかっている訳じゃないんですが?」
「そんなもの、想像でいいから話せ」
「むちゃくちゃだ。それになんでそんなに投げっぱなしなんです!?」
「ボクは自分の興味が満たせればあとはどうでもいいんだ」
「へえぇ、その割には色々——」
その途端、先輩は顔を赤くして僕を蹴ってきた。
◆◆
「じゃあ、これ以上蹴られるのはイヤなので、僕がわかる部分だけ……」
僕はそう前置きすると、今回の一件に関わるもろもろの出来事を、頭の中で改めて広げてみる。
「……と、その前に、彌七……工藤君、君に届いた衣装を見せてもらってもいいかな?」
「あ、え? はい、これっす」
工藤君は良くわかっていない様子で、それでも紙袋を開いてきれいに畳まれた武者姿の衣装を取り出し、僕に手渡す。
「ああやっぱり。きれいに直ってます」
バサリと広げて確かめると、紺色の半着も薄墨色の袴も、恐らく虫食いで失われたであろう部分が、よく似た柄の布できれいに補修されている。足された布の柄の鮮明さからみて、繕われたのはごくごく最近のことだろう。
「それに、この陣羽織、刺繍部分が妙に新しくないですか?」
広げて古平先輩に見せると、彼女は無言でこくこくと頭を縦に振る。
「刺繍部分が最も食害が激しかったんだろう。全部完璧にやり替えてあるな」
優里先輩が糸目をなぞりながら口を挟む。
「……ということは……つまり?」
古平先輩の顔にようやく理解の色が広がりはじめた。
「そうです。先輩たちが保管していた代々の衣装は、虫に食われてあらかた駄目になっていたんですよ」
「まさかそんな……」
古平先輩は言葉をなくし、悲壮感たっぷりにうなだれる。
「おいおい古平、この後も劇に必要な役者候補と、きれいに補修された衣装がセットで君を訪ねてくるはずだ。文化祭《ほんばん》までひと月を切っているんだぞ。そのわずかな時間で素人を役者に仕上げるのが君の役目だ。そうやって時間を無駄にしてるヒマなんかない!」
優里先輩はそう言って激を飛ばすと、
「わかっただろ。君を応援しているのはボクらだけじゃない。絶対に諦めるなよ」
付け加えながら立ち上がった。
「じゃあ、後のことはボクと四持に任せてくれ。君はこの先余計なことに気を回さず、だだひたすら劇の成功だけを考えろ。いいね!」
そう言って古平先輩に強めの圧をかけながら不器用な目配せを飛ばしてくる。僕も小さく頷き、連れだって演劇部室をあとにした。
◆◆
「……ところで先輩」
「なんだ後輩」
「さっき、あの場でわざと触れなかったことがありますよね? 言いたくないからよくわかってない僕に説明させたんでしょう?」
政治家のカバン持ちよろしくジュラルミンケースを抱えて付き従いながら、僕は優里先輩にやんわり問いかけた。
「君みたいな勘のいい後輩は嫌いだな。ま、今の古平には不必要な情報だったからな」
そう。先輩は肝心の衣装泥棒の正体について触れることを意図的に避けた。あえて強めに念を押して古平先輩が犯人探しに関わることを封じた。僕はそれが不思議だった。
「先輩は昨日、犯人の目星はもうついているようなことを言ってませんでしたっけ?」
「本当に嫌なことを覚えているな。世の中には触れずにいた方がいいこともあるんだぞ」
「ええ、でも、ちゃんと理解はしておきたいです」
「何を?」
「先輩の考え方を、です」
途端に先輩は背中のむず痒さをこらえるような微妙な表情になった。
「ああ、もう!」
先輩はそう言って吐き出すように悪態をつくと、
「調べることがある。図書館に行くぞ」
それだけ告げ、部室前のプランターを蹴飛ばす勢いでずんずん歩き出した。
おかしい。無理を言ったのは優里先輩のはずなのに、気がつくとなぜか僕が悪者にされている。
「それほど時間を取らせるつもりはない、現場を見せて欲しいだけだ」
そう言いながらも、先輩はなぜか部室棟の前にずらりと並んだプランターの方にチラチラと目を取られている。どうやら園芸部が花を育てているようだが、すでに盛りを過ぎ、白い花は萎れて半ば枯れ始めている。
「先輩、ほら行きますよ」
僕は頷いて歩き始めた古平先輩を追って、優里先輩の肩を軽く叩いて促した。彼女は高さ四十センチ、縦横二十五センチほどのジュラルミンケースを大事そうに抱えてよたよたと歩く。そこそこ重そうなので代わりに持とうと何度も提案したのだが、鼻息一つで断られた。
古平先輩は時々立ち止まりながら、そんな僕らを交互に見て小さくほほ笑みながら先導する。だが、この前と同じように鍵穴にカギを差し込み、続いてシャッターを跳ね上げようと手を掛けたところで優里先輩が大声を上げた。
「ストップ!! そのまま動くな!!」
「な!」
優里先輩は驚いて固まった古平先輩を押しのけるようにシャッターの正面に立ち、その場で四つん這いになって滑らかな頬を地面に押しつけた。
「先輩! 何をしてるんです!?」
驚く僕らに、彼女はその姿勢のまま勝ち誇ったように言った。
「ほら! やっぱり!」
「何がやっぱりなんですか!?」
優里先輩は慌てて駆け寄る僕の腕を引っ張って同じように跪かせると、ぐいぐいと頭を地面に押しつける。見れば、シャッターの底部とコンクリート床との間に五ミリほどの隙間があった。
「ほら、見たまえ、地面とシャッターの間、こんなに隙間が空いてる」
「そりゃ隙間くらいあるでしょうよ! それより痛いからやめてください!」
先輩の手を強引に振りほどいてどうにか顔を上げる。とっさの出来事に目を丸くしている古平先輩の視線を痛いほど感じながらひざの砂を払い、優里先輩の手を引いて立ち上がらせた。案の定、先輩の白い頬は砂埃で汚れている。
「先輩、これを」
ポケットからハンカチを取り出して手渡そうとするが、先輩は受け取ろうとはせず、ただ子供のようにぐいと頬を突き出した。
「自分じゃ判らない」
「ったく、仕方のない人ですね」
僕は呆れ口調で先輩の頬を丁寧にぬぐい、ついでにスカートの裾とひざの砂もはらってやる。
「これでボクの仮説がより信憑性を増した。さあ、シャッターを開けてくれたまえ」
なんだかとても嬉しそうだが、古平先輩は訳がわからずひたすら困惑している。僕も思いは同じだが、一応優里先輩の助手的な立ち位置なので、そんな気持ちはおくびにも出さず、すまして先輩の背後に立つ。
「どうぞ」
シャッターが開くと同時に先輩はよたよたドタドタとロッカーの前に走り寄り、ジュラルミンケースを開いて大量のガラスのシャーレとピンセットを取り出した。
「そんな物持ってきたんですか!」
毎回の奇行から薄々予想はしていたが、続いて顕微鏡まで出てきたのはさすがに驚いた。
「何ですかそれ!」
「見てわかんないか? 実体顕微鏡だ」
「じゃなくて、どうしてそんな物が……」
「ああ、仮説を証明するために必要だからな」
「話がズレてますね。僕が呆れてるのは持ち込んだ理由じゃなくて、毎回どこからそんな特殊《へんな》な物を見つけて来るんですか、と言う純粋な疑問なんですが?」
「はあ? 私物に決まってるだろ? 愚問をほざいてないで、早くこれでロッカーの底の埃を集めたまえ」
「えー」
「文句を言わない。ボクは君の目に期待してるんだ。他に取り柄もないんだから少しは役に立ちたまえ」
「ひどい。こんなガラクタに囲まれてるから性格まで歪むんですよ。まったく。一度見てみたいもんですね。先輩のガラクタ屋敷」
「うるさい。無駄口を叩くな」
初対面の時はここまで無遠慮じゃなかったはずだが……と思ったところでしょうがない。口の悪いのはお互い様だ。僕は渡された手のひらほどのミニチリトリとほうきでロッカーの埃をせっせと集め、それぞれのシャーレにロッカーひとつ分づつの砂埃を取り分けた。
「わー、キモい。これなんか虫の死骸まで――」
「何!!」
だが、先輩は、むしろ嬉しそうに目を輝かせ、僕の手からシャーレを奪い取った。
「あの?」
控えめに呼びかけられてはっと思い出す。シャッターを開けてからここまで、古平先輩の存在はまったくの空気だった。
優里先輩の意識が埃入りのシャーレに移ったところで僕は立ち上がり、放置されたままの古平先輩に気になっていたことを確かめる。
「古平先輩、その後新しい手紙は?」
「いいえ。気をつけて、毎日朝昼晩三回は部室を覗くようにしてるんですが……」
「……そうですか」
「手がかりが……」
「途絶えてしまいましたか」
僕らは顔を見合わせて小さくため息をついた。だが、相変わらず顕微鏡を覗き込んだまま、優里先輩は変なことを口走った。
「恐らく、演劇部に手紙が届くことはもうないぞ」
「え、なんでそんなことが言い切れるんですか?」
「届くのは演劇部に、じゃない。役者に届くんだ」
「「役者?」」
古平先輩と僕の声がきれいにハモった。
「当たり前だ。役者のあてもなしに君達は一体どうやって劇を成り立たせるつもりなんだい?」
「え、でも……」
「ここで見つかった手紙にも書かれていただろ? 衣装は演じる者の所に現れる的な」
「確かに書いてありました、が……?」
疑問がグルグル渦巻いている僕らを無視して、優里先輩はピンセットを器用に操りながら顕微鏡をのぞき続ける。やがて満足したのか、仕分けの終わったシャーレを手に僕らを呼び寄せた。
「ほら、これ」
ぐいと突き出されたシャーレには、ごま粒大の極小のコガネムシや、さらに小さい糸くずのような芋虫の死がいばかりが選り分けられていた。案の定、古平先輩の顔からは血の気が引いているが、優里先輩は気にする気配もない。
「ほら、のぞいてみろ」
先輩に促され、僕は生まれて初めて顕微鏡の接眼レンズに目を寄せる。ただ、普段カメラのファインダーをのぞき慣れているせいか、視野が四角でなくて丸い以外の違和感はなかった。
「わかるだろ?」
「って、虫の死がいですよね」
「コメントがきわめて凡庸だな。もう少し気の利いた感想はないのか?」
「といっても、この虫、名前は何だろう、とか、何でこんな変な所で死んでんだろう、くらいしか思いつきません」
「それでいいんだよ。あ、古平も見るかい?」
ほとんど倉庫の入口まで後退してさらに青い顔をした古平先輩が無言でふるふると首を横に振る。
「まず、この虫は、ヒメマルカツオブシムシという」
「……はあ」
「ちっ! 反応が薄いな。つまらんぞ」
「そんなこと言ったって、なんなんです? 鰹節が好物なんですか?」
「まあ確かにそうなんだが、コイツは白い花も大好きなんだ。外に並んでるプランターにマーガレットがたくさん植わってただろ?」
「ああ、だから気にしてたんですか。そこから隙間伝いに倉庫に入り込んで来ちゃったと?」
「ああ、だが、コイツはもう少しやっかいな性格もあってね」
先輩はそこで一旦言葉を切り、人差し指を立てて仰々しく切り出した。
「ヒメマルカツオブシムシは代表的な衣類害虫だ。服に虫食い穴を作る元凶だよ」
「ふえっ!!」
途端に古平先輩が反応した。
「も、もしかして! ここの衣装はっ!?」
「ああ、全部のロッカーで成虫の死がいと幼虫の死がい両方を確認した。ついでに言っておくと、ロッカーの隅に溜まっている埃な、あれ、たぶんほとんどが幼虫が衣装を食い荒らした後の糞だぞ」
「ひ、ひ、ひえっ!!」
古平先輩はそのまま白目を剥いてその場に崩れ落ちた。
◆◆
「先輩があまり無遠慮なこと言うからですよ」
「そんなこと言われたって、事実は事実だ。取り繕ったって始まらないだろう?」
僕らは、一向に目を覚まさない古平部長を担いですぐ隣の演劇部室に移動していた。
パイプ椅子を並べて即席のベッドを作り、なぜか備え付けられていた封筒型の寝袋を開いて掛布代わりに古平先輩の身体を覆う。枕は敷かず、本棚から抜き取った本を適当に重ねて脚を上げている。この処置も全て優里先輩が僕に命令した。
「先輩、やっぱり保健室に連れて行った方がいいんじゃ?」
「必要ない。頭も打ってないし、ただの血管迷走神経反射だ」
「血管迷走?」
「ちょっとした精神的ショックだってこと。脳血流が回復したらすぐに目覚める」
「でも、僕の時はちゃんと連れてってくれたじゃないですか」
「ハチ毒のアナフィラキシーショックは命に関わるからね。でも、あの一件でボクは校医先生に相当睨まれてるんだよ。正直言って二度と保健室には近づきたくない」
「素人が勝手な判断をするからですよ」
「うるさい! 命の恩人に向かって何て言い草だ。ああ、そう言えばあの時の礼をまだ受け取ってないぞ。〝命を救ってくれたお礼に、一生ドレイとして尽くします〟っていうのがいいな」
「先輩、さすがに人としてどうかと思います。ドン引きです」
部室の扉を開け放ったままそんなやりとりを続けていたせいか、気付くと見知らぬ男子生徒が興味深げに部屋をのぞき込んでいた。
「誰だ? これは見世物じゃないぞ」
目ざとくそれを見つけた優里先輩が鋭く誰何する。
「いえ、実は、この服と一緒に手紙が届いたんで……」
そう言って紙袋を掲げる男子の右手には、水色の洋封筒が握られていた。
「あ、あの、これなんすけど、演劇部を訪ねろって書かれてて」
迷いの見える表情で封筒を差し出す男子。ただ、その見た目は何というか、相当に個性的だった。身長は百八十センチを遙かに超え、戸口に頭がつっかえているほど。眉が濃く、目鼻立ちはまるでローマ人のようにくっきりとしている。
「守護士、石蕗彌七じゃないか!」
彼の姿をひと目見た瞬間、目を丸くした優里先輩がそう断じた。
僕も彼を見た瞬間に同じ感想を持った。というか、昨夜スタバでパラパラと流し読みをしたっきりの先輩がそこまでしっかり小説の内容を読み込んでいることにまず驚いた。
文芸部の例の小説では、戦国時代にタイムリープした主人公と最初に出会い、最後の戦いまで付き従った忠臣であり、ほのかな恋愛感情を交わし合った準主役と言っていい登場人物だ。作中で描写されるそのいでたちは、まるで西洋人のような顔つき、容貌魁偉、身の丈およそ六尺三寸の大男とあるから、現代の単位に直すと百九十センチくらいだろうか。
少なくとも見た目はぴったり当てはまる。
「……へえ、探せば見つかるものなんだな……おい、古平、のんびり寝てる場合じゃない。石蕗彌七が来たぞ!」
優里先輩はさっきまでの鷹揚な態度をかなぐり捨てて古平先輩をたたき起こす。
「ふぇ、な、何です?」
いきなり現世に呼び戻された古平先輩は、来客と目を合わせた瞬間、ぽかんと口を開けた。
「……彌七……」
まさに、タイムリープして意識を取り戻したばかりの主人公と彌七の邂逅をほうふつとさせる光景だった。
◆◆
石蕗彌七、こと工藤康太、一年生。
もともとバスケットのスポーツ推薦でウチに入学したが、新人戦でたちの悪い他校チームとあたってしまい、ラフプレーに巻き込まれて膝の靭帯を断裂してしまったという。
「切れたのは左の内側側副靭帯っす。手術は無事成功して、数日前にギブスも取れました」
「で、バスケ部にはちゃんと復帰できるのか?」
優里先輩が見たこともない心配顔で工藤にたずねた。
いや、見たこともないというのはウソだ。確か僕が保健室で目覚めたときもこんな顔をしていた……ような気がする。
その後の印象があまりにもひどすぎて半分忘れかけていたが。
「おい四持、今、なにか失礼なことを考えてなかったか?」
「いえ、気のせいです」
思わず棒読みになってしまい、絶対零度の冷たい視線を浴びせられるが、ここはとことん知らん顔で通す。
「ええと、復帰自体はできるそうっす。適切なリハビリを根気よく続ければ、早くて数ヶ月……」
「では、今年の夏の大会には間に合わないのか」
「ええ。来年にかけるしかないっすね」
だが、さらりと答える工藤の表情にそれほど暗さはない。一見気弱そうに見えて、復帰を信じて疑わない一途なところもあるらしい。
「ただ、休部中はとにかく暇なんすよ。これまでずっと、朝も昼も放課後も、完全下校までずっと練習一筋だったんで、急に時間が余っても何をしたらいいのかわからなくて……」
なるほど。僕自身、中学から写真部に所属しカメラを抱えてとにかく歩き回っていたので、活動場所を急に失った喪失感は自分のことのようにわかる。
「そこにこの手紙が……なんで誘われたのかよくわかんないんすが、文化系の部活ならそれほど膝に負担にならないかなと思って」
「休部中に他部の活動に参加することは問題ないのか?」
「ええ、確かめました。規約上二つまで兼部は可能だそうっす。まあ、運動部の連中で兼部できるほどヒマなヤツはいないでしょうが」
「まあ、そうだな。じゃあ、詳しいことはコイツと話せ」
「ふえぇ、え?」
いつの間にか場を仕切っていた優里先輩は、話の主導権をいきなり古平先輩に渡すと立ち上がって大きく伸びをした。
「さて、四持、帰るか」
「ちょちょちょ、ちょっと待って下さい!」
慌てた古平先輩に止められる。
「比楽坂さんは手紙の主とか、ロッカーの件とか色々判っているんですよね? 私にもきちんと教えてくださいよ!」
当然だ。自分だけ納得してとっとと帰ろうとするなんて、自分勝手にも程がある。
「えー、面倒くさいな。そうだ四持、お前が話せ」
「またですか? それに、僕も全部わかっている訳じゃないんですが?」
「そんなもの、想像でいいから話せ」
「むちゃくちゃだ。それになんでそんなに投げっぱなしなんです!?」
「ボクは自分の興味が満たせればあとはどうでもいいんだ」
「へえぇ、その割には色々——」
その途端、先輩は顔を赤くして僕を蹴ってきた。
◆◆
「じゃあ、これ以上蹴られるのはイヤなので、僕がわかる部分だけ……」
僕はそう前置きすると、今回の一件に関わるもろもろの出来事を、頭の中で改めて広げてみる。
「……と、その前に、彌七……工藤君、君に届いた衣装を見せてもらってもいいかな?」
「あ、え? はい、これっす」
工藤君は良くわかっていない様子で、それでも紙袋を開いてきれいに畳まれた武者姿の衣装を取り出し、僕に手渡す。
「ああやっぱり。きれいに直ってます」
バサリと広げて確かめると、紺色の半着も薄墨色の袴も、恐らく虫食いで失われたであろう部分が、よく似た柄の布できれいに補修されている。足された布の柄の鮮明さからみて、繕われたのはごくごく最近のことだろう。
「それに、この陣羽織、刺繍部分が妙に新しくないですか?」
広げて古平先輩に見せると、彼女は無言でこくこくと頭を縦に振る。
「刺繍部分が最も食害が激しかったんだろう。全部完璧にやり替えてあるな」
優里先輩が糸目をなぞりながら口を挟む。
「……ということは……つまり?」
古平先輩の顔にようやく理解の色が広がりはじめた。
「そうです。先輩たちが保管していた代々の衣装は、虫に食われてあらかた駄目になっていたんですよ」
「まさかそんな……」
古平先輩は言葉をなくし、悲壮感たっぷりにうなだれる。
「おいおい古平、この後も劇に必要な役者候補と、きれいに補修された衣装がセットで君を訪ねてくるはずだ。文化祭《ほんばん》までひと月を切っているんだぞ。そのわずかな時間で素人を役者に仕上げるのが君の役目だ。そうやって時間を無駄にしてるヒマなんかない!」
優里先輩はそう言って激を飛ばすと、
「わかっただろ。君を応援しているのはボクらだけじゃない。絶対に諦めるなよ」
付け加えながら立ち上がった。
「じゃあ、後のことはボクと四持に任せてくれ。君はこの先余計なことに気を回さず、だだひたすら劇の成功だけを考えろ。いいね!」
そう言って古平先輩に強めの圧をかけながら不器用な目配せを飛ばしてくる。僕も小さく頷き、連れだって演劇部室をあとにした。
◆◆
「……ところで先輩」
「なんだ後輩」
「さっき、あの場でわざと触れなかったことがありますよね? 言いたくないからよくわかってない僕に説明させたんでしょう?」
政治家のカバン持ちよろしくジュラルミンケースを抱えて付き従いながら、僕は優里先輩にやんわり問いかけた。
「君みたいな勘のいい後輩は嫌いだな。ま、今の古平には不必要な情報だったからな」
そう。先輩は肝心の衣装泥棒の正体について触れることを意図的に避けた。あえて強めに念を押して古平先輩が犯人探しに関わることを封じた。僕はそれが不思議だった。
「先輩は昨日、犯人の目星はもうついているようなことを言ってませんでしたっけ?」
「本当に嫌なことを覚えているな。世の中には触れずにいた方がいいこともあるんだぞ」
「ええ、でも、ちゃんと理解はしておきたいです」
「何を?」
「先輩の考え方を、です」
途端に先輩は背中のむず痒さをこらえるような微妙な表情になった。
「ああ、もう!」
先輩はそう言って吐き出すように悪態をつくと、
「調べることがある。図書館に行くぞ」
それだけ告げ、部室前のプランターを蹴飛ばす勢いでずんずん歩き出した。
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