底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第2章

第20話

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 シスターや天性のメンバーとロイスに愛達皆んなに外に出て貰って、アパートや孤児院から離れてログハウスを想像魔法で作った。

 想像としては面倒だったが昔プラモデルで作った事あるから、多少は違うだろうけど基本は一緒だろうと考えて、一から丸太が組み立てられて行く想像し、想像魔法を使った。

 すると、何も無い場所に削られた丸太が次から次へと現れて、丸太が重なったり木と木が凹凸の窪みに嵌ったりと繰り返し、完成したのは作り出して5分ほど経ったころ、なんとか見られる形に出来上がった。

 一部始終見ていた皆んなは呆然と口を開けて、固まっていた。彼らの反応を見て、賢たちの話す建築物創造ってこんな感じじゃ無いのだろうか。

 俺はロイスの頰をペチペチと軽く叩いて、正気を取り戻させて、どうだ!と言わんばかりにロイスの目の前で踏ん反り返って腰に手を置いて立った。

「本当に凄いよ。こんなの見たことない」
「ミーツ、アンタのスキルは俺たちの知ってるスキルじゃ無いみたいだ。それとも、そういう仕様なのか?」

賢の言葉にどう反応したらいいのだろうかと、思いつつも、普通の建築物創造ってのはどういうものだろうと思ったものの、凄いと賞賛するロイスと建築物創造のスキルが違ったという賢たちの前で、今度は最初から完成されたログハウスを先程作ったログハウスの横に想像魔法でポンと出してみた。

「やっぱりできるんじゃねえか、大和で見たのと同じだ!コレは本来なら転生者しか持ってないスキルらしいけど転移者でも持ってる人いたんだな」

 ログハウスを出して直ぐに、賢が俺の耳元にコッソリとそう言って来た。
 やっぱり出来上がった物を出すのが正解だったのか。
 賢は転移者でも転生者でも無いのに、知識を意外と持っている様だし勉強をしたのだろうか。それとも知識として転生者の仲間に聞いたのかだろうか。

「これで納得してくれただろうか」

 俺がそう言うと、ロイスは首を縦にコクコクと頷き、シスターの方を見るとシスターもさっきよりは早く覚醒して、彼女は妹さんとボソボソと喋っている様だ。

 そして、彼女らの話が終わったのか。
 ここに着いては家々の配置から畑などは俺に任せる事になった。
 村人達と話し合うまでも無く俺の好き勝手にして良いと言うから、とりあえずやってみようと思った。

「では、これからまた続いて畑や井戸に川を引いて来ますので、塀の向こう側に移動させますね?賢たちも出来上がるまではコッチには近寄るなよ。気になるのは分かるが、アンソニーは飛んでも、この村の空は飛ばないで欲しい」
「ああ、分かった。いつ出来る予定だ?」
「予定では今日中か、明日には作ってしまう予定だ」

 俺がそう言うと全員が驚きの表情をし、ため息を一斉に吐いた。
 いくらスキルの恩恵でもこれだけの土地を使って村を作るのは、あり得ない事だと賢とロイスに力説されてしまった。

 でも、ハナっから手早く作る予定なわけで、子供達も何時迄も馬車の中や野外で寝させる訳には行かないと思ったから、今日中か明日にはって言ったのにと思いつつも、どうするか考えていた。
 気を取直して皆んなには壁の向こう側に移動してもらう事になった。

 シスターの姉妹は村に送って、ロイスと愛達は門を開けて、簡単な橋を掛けて出て貰い、賢達は此処に来るとき同様に、アンソニーに負ぶさって何処かに飛んで行った。
 壁の外に群がっていた冒険者や子ども達にはロイスからの説明で皆んなを引き連れて、俺の視界から消えてくれた。

 皆んなが移動したのを確認した俺は、この土地の上空に飛び上がり、上から再度ゲーム感覚で家々の配置や畑に井戸を区画整理しながら、作り出す事にした。

 先ずは家々だが、アパートは子ども達がある程度大きくなった時にでも使うかな。って感じと世話役の大人の為に、等間隔で並べて一軒家を希望する人にはログハウスをと、ログハウスもいくつか並べてみると良い感じに見えてきた。

 次に井戸を掘ろうと思って地上に降りて数軒一つの間隔で掘っては作った。
 この辺りは草原があって土地が豊かなのか簡単に水が出たが、念の為に一つ一つ深めに掘って手押しポンプタイプの井戸を作った。

 試しに手押しポンプが作動するか試すと何も問題なく使える事に安堵して、次の作業に取り掛かる。次は畑を作ろうと思ったが先に川を引くのが先と考えた俺は、再び上空に飛んで周りに川や湖があるかを見渡す。
 小川ならいくつか見当たる為、川の流れを良く見て、上流に大きな川があるのが分かった。

 そこから水路を引く事に決めて、さっき見た小川よりは少しばかり広めの水路を引き始めて村の掘りに繋がる手前で止めた。

 よく考えたら、掘りは要らないんじゃないかと思い直した俺は、一度掘りを全部埋め直して、その代わりに壁をプラス二メートルの全高七メートルの壁にして厚みも少しばかり足した。 壁は地面に埋め込んでいるから埋め込んでいる分入れると十メートルほどになっているはずだ。
 水路は壁の一部をアーチ状にくり抜き、くり抜いた部分には網状の鉄格子の様な物を嵌め込んだ。 そのまま村を横断する形で反対側の壁も同じ様にやって海まで流れる様に水路を作り続ける。 勿論、くり抜いた壁の部分は補強して置き、鉄格子も簡単には取れない様にと壊れない様にはした。

 俺のやってる様子を海までに行く途中で皆んなに見つかったものの、姐さんやロイス達が何か話している様子で、気にしないで終わらせる事が出来たが、その途中や海で見た事ない生き物や魔物がいた為に先にそいつらを狩ったが、食べられそうな物か分からないから、一度姐さんの元に降りて食料としてその魔物を差し出そうと思って降り立つ事にした。

 先程の上空での行動で他の冒険者達に質問攻めされたが、姐さんが手を前に翳して皆んなを止めてくれて代表として姐さんが俺と話をする事で皆んなは離れて行ってくれた。

 だが、皆んなは遠目で見ていた為、俺は姐さんを人目に付かない場所まで移動させてから話と先程の魔物を見せようと思って移動する。

「もう!もう!ミーツちゃん!昨夜はアレ程言ったのに何であんな目立つ行動とるのかしらね!」

 人目に付かない場所に移動した途端、そう怒ってきたものの、今回に関しては自覚ある為に言い返す事が出来ないけど、無言で先程の魔物をI.Bから取り出して地面に置いて差し出したら、その魔物を見た姐さんが途端に笑顔になった。

「あらあら、これは魔クジラに魔コンドルに魔犬じゃない!こんなのいつ狩ったの?」

「さっき水路を引きながら海に向かう途中に犬の群れがあったから、降りて近寄ったら襲われたから狩っただけだよ。
 そして、このコンドルのような鳥は上空で飛んでるのを狩って、最後に海まで行ったらこの鯨が海面に上がっているのを見て狩っただけだよ。これらは食べられるの?鳥は食べられるだろうけど、いっぱい棘?角?が生えてる鯨に犬は食べられる?」
「魔犬は余り食べないわねぇ、でも素材としてなら使えるわ。そして、魔クジラは凄く美味と言われている海の魔物よ。
 貴族や王族でも滅多に食べられないと言われているわ。魔コンドルも滅多に見つからない魔物よ。コレも凄く美味しいわ!」
「そ、そっか、ならクジラは明日にでも村の人たちと一緒に食べようか、鳥は姐さんに対するお詫びとか色々の感謝を込めて、皆んなで食べてていいよ」
「あらあら、そんな事で良いのかしら?
でもありがとう!ミーツちゃん」
「後、結構臭いけど水牛ぽい獣も狩ってきたんだ」

 そう言って糞の臭いしかしない獣をI.Bから再度取り出して姐さんに見せた。

「ミーツちゃん!腐土獣まで狩ったの?
これは人に害のない獣よ。
生き物の排泄物を好んで食べて良質な土として排泄する獣よ。
 でも食べられるか食べられないかで言うと、とても洗ってしっかりと焼いたら食べられけど、あたしは好みじゃないわ。
 珍味として物好きには堪らないみたいね。
 そのまま大して焼かないで食べる人もいるけど特殊な性癖を持ってる人が、その大半だと聞くわ。でも、だからいくら美味しそうに見えても絶対食べちゃダメよ!常人が普通に食べたらお腹壊すわよ」


 凄く機嫌が良くなったと思ったら水牛もとい腐土獣を見た瞬間に怒り出した。
 姐さんも機嫌が良くなったり怒ったりで忙しいなと思いつつ、俺は頷き一先ず謝ってもう一匹鳥を魔コンドルと言ったか。
 それを出してあげると喜んで皆んなの元へと持って行った。実は魔コンドルはI.Bの中に後まだ四匹程入っているけど、明日にでも鯨を食べる時に出せばいいかと思って姐さんを見送った。 そして、再び空を飛び、上空に戻って村を作るのを再開する事にした。

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