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第2章
第18話
しおりを挟む壁の内側に戻って辺りを見ても、まだ賢のパーティである『天性』のメンバーは来ていないため、先に愛らにアパートを見せて意見を聞こうと思った。トイレは使用不可能だからと、先に中を見に行って意見を聞かせて欲しいと言い、アパートに向かわせた。
そして、賢達を待つこと数分経った頃にアンソニーが俺が愛たちを運んだ時と同様に背中に賢、片手づつにダニエルにジョージを抱えて俺の目の前に降り立ち、俺の作ったアパートを天性メンバーが見て、賢以外の全員が笑いだした。賢だけが、こういうの見たことあると言うも、なんだっけと頭を悩ませている。
ダニエルが賢にコレはアパートだよっと言っているのが聞こえ『大和』には無いのかを聞いた。
「俺が知ってるアパートと違っているからコレがアパートだと分からなかったんだ」
「俺はミーツさんの魔法の正体が何なのかが大体ですけど分かりましたよ。一昨日の風呂といいコレといい、ズバリ言っちゃって良いですか?」
そうダニエルは分かった風に言って来たが、本当に分かったのだろうか。
少々ドキッとしたものの、言わないで欲しいことを伝えると、彼は自分らの仲間内でなら話してもいいかを聞いてきたことで、それならと承諾する。
「分かったなら止めてくれ。もし外たら言わないといけなくなりそうだし」
「なら、俺たちのメンバーだけになら良いですか?」
「それくらいならいいよ」
俺がそう答えると、ダニエルは円陣組んだ形に皆んなと肩を組んで、コソコソと話しだして、俺が聞き耳を立てていると、建築物創造って言葉が聞こえたから、安心して数歩離れて話が終わるのを待つ事にした。
話が終わったのか皆んなスッキリした様な顔でニコやかにしている。
今度はアパートを案内しようと『天性』のメンバーを連れてアパートの中に入ろうとすると、丁度愛たちが不満そうな顔で出てきた。
「トイレがあるのにお風呂は何で無いの?」
「トイレの使用不能って言ってましたけどアレをどうやって使える様にするんですか?」
「おっさん一人でこれだけ作ったのかよ?
そうだとしたら半端ねぇな?」
愛たちに見せたのは失敗だった様だ。
元の世界での建物を見せても、ただ少し大きいだけのアパートにしか見えないだけで、改善するべき物が何なのかが分からない様だ。
だが、愛とアリスの質問には答えた。
風呂は共同のやつを別に作ろうと思っているのと魔法を使えない人が多い為、個室に作っても湯船に水を一杯にするのが大変だと思ってワザと作らなかったと説明した。
トイレの使用不能はアパートを移動させて、ちゃんとした場所に固定したらアパートの下に穴を掘り、ポットン便所として便をしたらその穴に落ちて、溜まるようにしようと思っていると説明をした。
ジャスの問いには答えなかった。
面倒だしもういいかなっと思ったからだ。
愛たちには待ってもらって、今度は賢達にアパートを見て意見があれば、どんな事でも聞くと言い待っているとダニエルが質問してきた。
「ミーツさん、何でこんなに大きくしたんですか?普通は六畳一間ですよね?
キッチンを竃にしたのは良いと思いますけど、何でですか?」
「普通に六畳一間だったら狭すぎるかなって思って、少しだけ広くしたんだ」
「少しってレベルじゃないですよ。あの世界なら結構良い物件って感じですけど、こちらの世界では先ず、こんなアパートは『大和』を除いて無いですね。私達の国でも、こんなに広いアパートはあまり見ないです」
「でも、これくらいあったら嬉しい」
アンソニーに責められる形で捲し立てられたが、ジョージはボソリとこのくらいで良いみたいな事を言っているから大丈夫だろう。
「あの子達以外に誰か他にコレを見せたか?」
今度は賢が自分達以外に見せた人がいるかを聞いてきた。
「見せたのはシスターと村に居たシスターの妹の老婆とロイスと姐さんだけだけど、皆んな驚いていた。シスター達には孤児院予定の建物を見せたら、固まったり気絶したりして反応を見せなくなったから置いといて、外に出たらアンソニーが飛んでいるのを見つけたから声をかけたんだ」
「そうか、これ以外にも何か作ったのか。
それなら、後でその孤児院予定の建物も見せてくれるんだろ?」
「勿論だよ。孤児院にしては大き過ぎるかも知れないけど、意見を聞きたいから逆にお願いするよ」
俺がそう言うと天性のメンバー全員が頷いた。このアパートに対する意見は他に無いか聞く事にした。
「それでこのアパートで改善するべき事はあるかな?」
「広いだけで、これはこれで良いんじゃないんですか」
「ダニエルと一緒の考えだ」
「私も良いと思いますよ。ただ広いから初見だと戸惑うかもしれませんけど」
良かった。元の世界とこちらの世界の事情を知ってる賢を除いた三人の意見が、同じだから大丈夫だろう。賢だけアパートに対する意見を言わなかった事に疑問を感じたが、驚いただけで意見はダニエルとほぼ一緒らしかった。
一般家庭の住居はアパートタイプと一軒家タイプを作り、村人や世話役の大人達に選ばせても良いなと考え、色々作ってみようと思った。
ついでに、最初に出したボロアパートとボロ屋を見て貰おうと思い、同じ物を想像魔法で再度、創って見て貰った。
「また、綺麗なアパートを見た後だと矢鱈と古く見えますね。多分コレが本来の建物なんでしょうけど」
「流石ダニエルだね。そうだ最初に作った建物がこれだったんだけど、流石にボロ過ぎると思って作り直したのが最初に見せたアパートだったんだ」
「成る程、でもこれでも良いと思いますよ?
でもミーツさん事ですから、あの新しいアパートを村人達に与えるんでしょうね。
ミーツさんの子供達や、他の人に関する気持ちの強さを感じますね」
そんな大層な事考えているわけじゃないけど、賢たちにも先程シスター達に見せた建物を見せる事にして、少し移動して孤児院予定の建物を見せてみて、中に入るとシスター達が居なくなってるが何処に行ったのだろう。
愛達を見ると嬉しそうにキョロキョロと見て回っている。天性メンバーは、全員が驚いてシスターの時と同様に固まっていた。
賢は分かるけど転生のメンバーは何故だろうか?そう考えていると話しかけられた。
「ミーツさんやり過ぎですよ!」
「だな、ミーツさん、あんたどれだけMP持ってるんだ?」
「上から見ていたから、大体は分かって居たけどコレはギルドを作ろうとしたんですか?」
またもや賢を除いた三人に責められる形で言われてしまった。賢だけが未だに喋る事が出来ないでいるみたいだが、確かに三人の言う通りやり過ぎたかも知れない。
「ねえねえ、おじさん!これギルドだよね?ね?この村にギルド作るの?」
「ちょっと愛は邪魔だよ。適当に部屋見てきて良いから、こっちの話しにはしばらく入らなくていいよ」
「何よ!おじさんが意見聞きたいって言うから話しているのに!もういい!アリス、ジャスくん行こ!」
少し悪い事したなって思いつつも、未だに固まってる賢は放っておいて他のメンバーと話す事にした。
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