底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第2章

第15話

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 空を飛び浮いて地上からは、余程目が良くないと見えないくらいまで浮き上がり、壁を作って行ったが、地上でやるより断然浮いた方が捗る事に気が付いた。
 完全に暗くなる前には壁を全部作り上げ、門も二つ作ったが、この広大な土地に二つでは少ないと考えて追加で二つ作り、東西南北の壁に一つずつ作った。とりあえず、作業をしつつまだ足りないと考えたら後で作ればいいと思ってこのままにしておこう。
 こうやって何もかも最初からやっていると、ゲームをやってる感覚になり、途中で楽しくなって壁の外側には掘りも作り、明日にでも近くの川や湖から水路を作り流し込もうと思った。

 完全に日が沈み真っ暗闇だが、壁の内側に降り立ち門も完全に締め切った状態だから大丈夫だろうと考え、前にダンジョンで出したバルーン型のライトを幾つか出すと、壁の内側は昼間位には明るくなった。

 明るくなった事で更に俺の想像力が湧き、壁側の隅の方や長い壁のあった方がいい場所に見張りの櫓(やしろ)を幾つか建てたり、何かあった時の食料貯蔵庫とは別に避難場所を共に地下に作りたいが、まだ家々をどの辺りに作るか迷っている為、後で作ろうと考えた。
 次は家を建てようと考え、村にあったボロい平屋の一軒家を思い出し、魔法で出してみるが、思った以上にボロくて中も狭い、俺だったら絶対住みたくない家が出来てしまった。

 仕方なく、マンションなんかを建てると色々と面倒だと思ったから、木造二階建てのアパートを思い出しながら想像魔法で出してみた。
 俺は昔住んでたからリアルに想像できたが、出した建物も結構ボロく、先ほどの一軒家もこのアパートも想像魔法によって処分し、再度綺麗で部屋も広いアパートを出してみると、今度は上手く行き、アパートの外側は綺麗に出来た。 中に入ったら、中も綺麗だが、2DKの一部屋辺り八畳の部屋が出来上がってしまった。

これはやり過ぎたかと思ったが、明日にでも姐さんの意見を聞いてみようと、とりあえずこのままにして置く。
 調子づいて同じ物を十棟も作ってしまったが、まあ何とかなるだろうと楽観的に考え、とりあえずその辺の土の上で夜空を見ながら横になった。姐さんと戻って話しをするのを寝る直前に思い出したものの、面倒だったから、そのまま寝よう。
 この頃には、やる気が無い気持ちも無くなり楽しくて堪らない気持ちが溢れて、やる気に漲ってるが、明日の事もあるし一度ちゃんと睡眠を取って頭をスッキリさせようと考えた。

 翌朝、何か五月蝿いなと思って、目を開けたら、昨夜建てた櫓に登り壁の外側を見ると、今回連れて来た冒険者や子供達にこちらに移り住む予定の村人達とかが、ザワザワと騒いでいた。 昨日までタダの荒野だった場所に長い壁や立派な門に、壁を囲む様に五メートル位掘られた堀とかが出来てるから、驚いて騒いでいたらしい。
 櫓に登って外側を見ているのを姐さんに見つかり、俺のいる櫓までジャンプして跳んできた。俺は驚いて尻餅をついてしまい、姐さんを見上げる形となった。

「昨日も言ったけどミーツちゃんやり過ぎよ!
壁作ったら戻って来るって言ったじゃない!
 何で戻って来なかったの?それに、外側の堀に門に、何かしら?これは宿屋かしら?立派な建物がいくつも建ってるじゃない!」
「いやぁ~、昨日はダンク姐さんが帰った後、空を飛んで上から壁を作ってると途中で楽しくなって来て、ついついやり過ぎちゃったんだよね。 昨夜は寝る直前に戻るのを思い出したけど面倒だったから、まっいっかと思っちゃったんだよ。怒ってるならゴメンよ」

「ハァ~、もういいわよ。お兄ちゃんがミーツちゃんの事に関して頭が痛いって言ってたのを思い出しちゃったわよ。後でシオンちゃんに報告するわね」
「え?いや、ちょっとそれは待ってくれないか? せめて、この村を今日中に人が住めるレベルまで作るから、その後にして貰いたいんだけど」
「分かったわ。でもシオンちゃんも出来上がったら見にくるから、どちらにしても早いか遅いかの違いしか無いわよ?そのとき、シオンちゃんにも怒られないようにしなさいよね」
「それもそうだけど、それでも後でにして欲しいかな。それはそうと、あの建物に着いての意見を聞きたいんだけどどうかな?」
「さっきから気になっていたけど宿用なの?
扉がいくつも着いてるから」
「いや、普通に家としての物件だけど、とりあえず中を見てもらえる?」

 そう姐さんに言って、一緒に櫓から降りて、アパートの中に案内した。姐さんは驚き、口をポカーンと開き呆然としているようだ。


「ダンク姐さん?どうだろうか?これもやり過ぎ?子供達がもう少し大きくなった時とか、大人たちの家族が住める様にの広さを作ったんだけど」
「……そうね。あたしが頭痛くなってきちゃったわ。もうあたしだけで考えて処理するの無理だわ」

 姐さんはそう言うと、フラフラと外に出て跳び上がって壁の上に立ち、そのまま向こう側に行ってしまった。残された俺は、俺の作ったアパートのどこがどうおかしいのか冷静に考える事にしたが、どう考えてもどこもおかしいとは思えず、一般家庭の家の広さがどの位かシスターに聞いて見ようと、俺も門は開けずにジャンプして壁を跳び越えたが危うく堀に落ちる所だった。


「危ない危ない、危うく自分で作った堀に落ちる所だった」

 と、呟くと俺の回りに野次馬、もとい冒険者たちが集まって質問責めされた。
 そのうちの一人にロイスが居て、目一杯に手を伸ばして俺の肩に置こうとするが届かない為、もどかしい表情で問い詰めてきた。


「ねえ!どうなってるの!昨日まで何も無かったよね?キミ何やったの?」

 回りの人達を見ると周りの人達も彼女の問いにウンウンと頷いている。同じ疑問を思っている様だ。だが、俺はそんな事容易く言うつもりは無いから秘密で通そうと思った。

「秘密だ。お前達は本日限りで依頼を達成したという事で先に帰った冒険者たちと同じように帰っても大丈夫だよ。
 もちろん依頼料は払うし、この村の事も秘密にしてくれたら一人辺り追加で金貨二枚払う。
 そして、残りの馬車もギルドまで持って行ってくれたパーティと冒険者には、ギルドからも報奨金が貰える様にしている」
「ここまで来て依頼料だけ貰って、ハイさよならってのもおかしくない?」
「でも、元々子供達と馬車の護衛の依頼だった筈だけど。何が不満なんだ?」
「だから、コレの説明をしてって言ってるの!こちらにも、ある程度の報告の義務ってのがあるんだからね!」


 そう彼女は壁を指差して怒った風に顔を真っ赤にさせて問い詰めてきた。


「俺から言えるのはーーー」


 冒険者の皆んなが固唾を呑んでいる。何をそんなに緊張しているんだろうか。

「秘密だ!くらいしか言えないな」

 俺がそう言うと彼女を含めた冒険者一同は、「なんじゃそりゃああぁぁ」と総ツッコミをしてきた。
 だけど俺は本当に言うつもりは無いし、そろそろこのやり取りも面倒だと思い出してから、その場から逃げるべく思いっきり跳び上がって、受け入れを断った村に浮遊しながら移動した。 跳び上がった瞬間にロイスに掴まり、彼女は俺の足を掴んでいる為、そのまま飛びながら村に向かった。飛びながらも彼女は何か喚いていたものの、気にせずに飛び続けて村に着いた。

 村に向かいながらシスターを探したが、見つからなかったので、まだ村に居ると踏んで村の広場の真ん中に着地した。
 広場の中央には井戸があり、早朝だが村人が数人居たからシスターが何処にいるかを聞いてシスターのいる場所に向かう。
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