底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第6章

第24話

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 レインと共に行動中にさまざまな話を聞きたことなのだが、資格とは主にこの自由学園都市の学園生になること以外に、教師や講師に用務員といった学園都市で働けられれば資格が取れるらしいが、教師はちゃんと勉強して学園の何人かの推薦状や紹介状が無いとなれないようだ。
 講師については学園の卒業生や、学園の関係者の紹介状がないとなれなく、用務員については冒険者ランクが高くないと取りにくい物で、ランクが低くても実力を見せることができれば資格をとることができる試験場があるらしいものの、教師や講師と違って用務員は人数制限があって、用務員になれるのは一握りの限られた者にしかなれないという。今回俺を連れていってくれる場所は、講師にも用務員にもなれる試験場らしい。

 大人でも学生になることができるらしいが、その場合最低でも一年間はみっちり学業に専念しないと学園都市で自由に行動ができないという。その点、講師や用務員は冒険者としての時間が取りやすく、学園都市にあるダンジョンの攻略も仲間のうち一人でも講師や用務員がいれば他の仲間たちも冒険者として学園都市に入られて活動ができるらしい。

 仮に冒険者としての限界が来たときに冒険者を辞める時が来ても、学園都市での教師は勿論のこと講師や用務員になっていれば普通に生活ができるだけのPはもらえるという。
 だから、別に勉学が不必要で、生徒に教える技術が無くてもなることができる用務員の列にあんなに必死に並んでいたのだろう。

 何度か転移陣に乗って転移を繰り返したあと、工事現場にあるような仮設トイレの前で立ち止まって、彼はトイレのドアにカードを突き刺した。

「此処からはミツルギさんがお一人でお入り下さい。入ればどのようなところか分かりますので、思いっきり貴方の実力をお見せ下さい。
そうすれば、教師は無理ですが、講師の紹介状さえも手に入れることが出来るはずです」
「どんな試験が待ってるか分からないけど、此処までの連れて来てくれてありがとう。
じゃあ、行ってくるよ」

 そう彼に礼を言ったあとトイレに入ったら、闘技場かのような場所が目の前に現れた。
 後ろを振り向けばトイレのドアがあるところ、幻覚ではないようだ。
 彼は入れば分かると言った通り、闘技場グラウンドに突然、五体の岩ゴーレムが出現して空に素早く敵を倒せと文字が現れた。

 素早く倒すのは簡単だが、どう倒すか悩んでいたら、岩ゴーレムは俺の考える時間を与える時間をくれずに攻撃しかけてくる。
 しかし、どのゴーレムも攻撃速度はとても遅く、もっとも容易く素早く倒すにはコイツらが良いだろうとI.Bから焦熱剣と凍結剣を取り出して岩ゴーレムをバラバラに斬って行った。

【ハッハッハー!弱い弱い!柔すぎんぞ!
俺様一人だけで十分だぜ!】
【なに一人で倒した感だしているんですか!
お前様、私様も容易く倒しましたよ。むしろ、私様だけで十分でしょう】

 一瞬でバラバラにして倒したゴーレムに二つの魔剣は、自分の功績に酔いしれているのか、焦熱剣は興奮ぎみに笑いあげ、凍結剣は焦熱剣を叱りつけるも、凍結剣も焦熱剣と変わらないくらいに自分だけで十分と言ってくるのに、話し方も剣の性質も違うのに似た者同士だなっと思って呆れながも少し笑えてくる。

 そんな魔剣たちの少々鬱陶しい会話を聴いていたとき、バラバラになったゴーレムが地面に吸収され、次は魔法陣が現れて三つ首の犬、ケルベロスが現れた。
 空には『殺さずに制せよ』と書かれているところから、ヤル気満々の魔剣たちには引っ込んでもらった。魔剣を仕舞ってからケルベロスを見ると、それぞれ三つの首が炎と氷と雷を口から吐き出してきている状態で、咄嗟に魔法かどうか分からない攻撃を防ぐため、シールドを張ってそれぞれの攻撃を防いで吐き終えるまで耐える。

 それぞれの攻撃が終わった頃がチャンスだと炎が目の前を覆う中、身構えているとき炎の中から鋭い爪の前足が迫って来ていた。
 シールドを張っていたことで、その攻撃は簡単に防ぐことが出来、このままカウンターぎみに拳を振ろうとして咄嗟に止めた。
 この拳を当てれば確実に殺してしまうと思ったからだ。では、どうするか考えたのち、取り敢えずそこそこの殺気でケルベロスを睨んだら、ケルベロスは悲しそうな声をあげて腹を見せて寝っ転がった。こうなったら三つの顔があるだけのただの巨大な犬である。

「見事!さっき、攻撃をしかけて止めたのは何でか聞いてもいいかな?」

 ケルベロスの腹を撫でていたら、声が空からそう質問してきたことで素直に殺してしまうと思ったからだと答えたら、笑い声と共に魔法陣が現れてケルベロスは消えて声の主か、ケルベロスの代わりに一人のエルフの男が現れた。

「私の愛犬を傷一つ付けることなく勝つなんて、余程キミは強いんだね。うん!合格。
キミは講師になりたい?それとも用務員?
街での商売?教師は流石に私以外に何人かの承認と、それなりに勉強しなきゃなれないけど、キミが望むがままの資格を上げるよ」
「えと、普通に働かなくても資格はもらえないのかな。普通にこの都市に出入りが出来るようになりたいんだけど」
「うん、それは無理。働かない資格なんて、学生しか有り得ないし、学生もちゃんと卒業できなければ資格は剥奪されるし、卒業もちゃんとした勉学から実力がないと卒業出来ないからね。学生も卒業以外だと追放処分になるのだからね」

 このエルフは自由学園都市で余程偉い立場の人なのだろう、俺は別に働かなくても冒険者しての稼ぎだけで良いと思っているのだが、そもそも姐さんたちを追いかけて此処まで来ただけで、此処で働きたいと思ってもいない。
 まず先に姐さんらが何処に居るかを聞こうと彼に話しかける。

「ちょっと質問というか、捜している人がいるんだけど良いかな。俺のパーティメンバーであるダンクとアマとアミの姉妹がこの学園都市に来ているはずなんだ。だから彼女らが何処にいるかを知っていたら教えて欲しいんだけど」
「うーん、何処のダンクとアマとアミなのかなあ?せめてパーティ名と所属ギルドを聞かないと分からないなあ。名前の前の番号があれば一番良いんだけど、分かるかい?」
「番号というのは分からないけど、パーティ名は『ミーツと愉快な仲間たち』でギルドはヤマトで一番底辺のギルドなはずだよ」
「あー!そのパーティ名知ってる!この前そこのリーダーが決闘したパーティでしょ?あの戦いは中々楽しめたよね。キミもあのパーティのメンバーなの?だとしたらリーダーを紹介してよ。あんな面白い名前を思いつくだけじゃなく、敵は容赦なく潰すリーダーなら私と気が合うかもだしさ」

 彼にパーティ名を話した途端、目を輝かせて俺に詰め寄ってきたものの、先に彼女たちのことがと言うと、彼はそうだったねと咳払いをした後、指輪型の通信機を使って宙に名簿別に出す。その中から名前を打ち込んで検索しているようだ。

「うん分かったよ。ダンクは実戦で使える武闘技を第一冒険学園の裏門のところで講師として授業中で、アマとアミは同じ学園の魔法科の他の生徒たちと今は街で買い物中だね。ついでに検索したら、彼のパーティメンバーであるシーバスも剣技科の生徒で講師の資格を取ろうとしているね。
 他にシオンも騎士科と貴族剣技科の講師の資格を持ってて、偶に気が向いた時にでも彼を支持している生徒のみに教えているみたいだね。
 で、鬼人のヤスドルはあまり学園に来てないね。このままじゃ除名処分になるから、今度会ったときにでも話しておいてよ」

 彼が通信機を使ってつらつらと話す内容に驚いた。まさか姐さんやシオンが学園都市で講師をしていて、アマとアミにシーバスにヤスドルまでもが生徒であるとは思わなかった。
 だとしたら俺もこの学園都市でなんらかの職業に就くのが良いのだろうか、少し悩んだのち彼にこの学園都市で働くことに決めたことを告げると、俺に合った職業をマッチングできる魔道具を使うとかで、彼と共に魔法陣で移動することになった。
 彼の出した魔法陣で転移した場所は、まさかのギルド本部のギルドマスター室だった。

「やっほー、久しぶりってわけじゃないけど、今回もアレを使わせてもらいに来たよ」
「またお前か、しかもミー、ミツルギまで連れて来やがって」
「あれあれ?もしかしてギルドマスターと知り合い?冒険者ランク低いのに中々顔が広いんだねえ。そこは実力者だからかな」

 彼とギルドマスターは友人同士なのか、気軽に話しかける彼にギルマスはため息を吐いて、仮面を被ってない状態の俺の名前を呼び間違えそうになるも、なんとか間違えずに済んだ。
 エルフの彼はギルマス室の奥に行って、手慣れた様子で壁に立て掛けてある石板を扱い、俺から血を一滴貰うよと針を指に刺して血を石板に垂らして結果を見る。

「結果が出たよ。キミは用務員が向いているとの結果が出たけど、学園都市の用務員は講師と違って人数制限があるんだよね。
 講師は実力があれば支持する生徒がいて、それなりに稼げるし、かなりの数の科もあるから講師はいくらいても良いんだけど、用務員は全部で千人しか居ないんだよ。もし新たに入れるとしたら、現職用務員と戦って追い出して入るしかないんだよね。でも私はキミの実力を知っている身だから、特別の特例で千一番目の用務員にしてあげるよ」
「おい!お前に自由学園都市の総責任者に任命した俺だが、あまりなんでも勝手にやっていいという訳ではないんだぞ!それに、お前!ミー、ミツルギ!お前も難関ダンジョンの攻略はどうした!近場のお遊びダンジョンの攻略しかしてないだろう。左程お前も世界も時間が無いんだ、早くダンジョンを攻略しろ」
「ねえねえ、キミは難関ダンジョン攻略を目標にしてるの?だったら尚更、学園都市で働かなきゃ、この人は忘れていると思うけど、学園都市には超難関ダンジョンが三つ存在するんだよ。だからもし、いずれ神の塔に挑むのなら絶対!学園都市のダンジョンの攻略をするために用務員をお薦めするよ。仕事次第では講師より時間が取れるし、休みは申請すれば取り放題だよ」
「ふむ、たしかに、あの都市には難関ダンジョンは三つあったな。いずれは超難関ダンジョンの神の塔に挑んでもらう必要がある。では今回は特別にお前が学園都市で働くことも許そう」

 このギルマスはどれだけの権力を持っているのだろうか、エルフの彼に学園都市の総責任者を任命できるだけの権力を持っているだけではなく、皇宮の書物塔の主で皇族たちからの信頼も厚い彼は色々謎で俺にだけこんなにも気を使ってくれるのも謎だが、そのうち神の塔と呼ばれるダンジョンの攻略を果たした時に全てを教えてくれるだろうと期待し、エルフの彼の提案を受け入れることに決めた。彼は学園都市の総責任者の『シュトレーゼマン』と名乗った。
 彼と共にギルマス室を魔法陣によって退室し、学園都市に戻って学園都市の用務員棟と呼ばれる団地の建物に似た所に入って、俺が千一番目の用務員であることを用務員の中でNo.0と呼ばれている人に紹介した。

「じゃあ、私はここで失礼するよ。後のことは彼に任せるから、今度リーダーを紹介してね。
ああ、そうそう。とりあえず今日からしばらく間の君の行動は観察しているからね」

 そう彼は言い残して魔法陣で消えた。
 残された俺はNo.0の用務員によって、用務員だけが持たされることが許された用務員専用通信機で、用務員全員に俺の姿と名前と千一番目の用務員であることが通知され、俺も本来千台までしかない通信機の予備の一つを渡された。
 俺の正規の通信機は後日、用務員の入れ替え戦にて、入れ替わった者から受け取ればいいとのこと。取り敢えずのところ、俺に任せる仕事が今のところないためと、俺がどのような仕事に向いているかを見るためにNo.0の用務員に付いて回ることになった。
 俺の名前を全用務員に通知したあとでだが、用務員同士は本来なら番号で呼び合うらしい。

 今日のところは既に夕方になっているため、簡単な作業をして終わるとのことで、彼に付いて行ったら、魔力ボックスと呼ばれる電力の代わりとなるような物に、満タンにさせるには相当な魔力を注入しなければならないとのことで、彼の代わりに俺が魔力ボックスに注入することになって魔力を注入してみて一瞬で、魔力が入らなくなった。

 これは、用務員になったばかりなら誰にでも行われる儀礼であって、これは後で知ったのだが、本来なら魔力切れで倒れるか、途中で止めて息切れになるとのこと。
 この学園都市では本当なら数人の用務員で満タンにさせる仕事なのだ。更に後々、知ったことでヤマト皇都内にも魔力ボックスや家庭用の魔力タンクがあって、それはギルドで常時依頼としてあった。
 俺にとっては楽であるため、用務員の仕事として次回からは千一番の用務員として俺が請け負う仕事となる。ノルマのその作業が終われば、自由になんでもして良い時間となった。
 休みは基本的に週休二日ほか、祝日みたいな日があるとかで、休みも申請すれば決められた日数分休むことが出来るとかはシュトレーゼマンが話していた通りであった。

 用務員としての仕事や休みなどの話を聞いたところ、元の世界でのブラックな会社では考えられないほどの高待遇だと思った。
 俺は元の世界で異世界転移される前の最終的な職業は日雇いだったものの、元々は朝から晩まで働き詰めでもちろん時間外手当がないブラックな会社に居たことがあった。有給?そんなもんは申請しても却下は当たり前、親が死んでも、病気になっても出社しろが会社の、ワンマン社長の持論だった。
 俺は若くして身体を壊して自主退職となってしまったあの頃が懐かしさを感じる。

 千一番も、しばらくしたら用務員の入れ替え戦があるらしく、千番が一番や上位の番号に対して下剋上の番号を掛けた決闘が行われるらしく、そこで下の者が勝ったら番号の入れ替えが決まり、負ければそのままの辞めなければならないというものだという。
 番号が上位であればあるほど、楽な仕事ににありつけるらしく、下位の者は上位の番号になろうと日々努力しているらしい。
 それで、その下剋上戦が終われば、外部の用務員申込みを受け入れ、用務員の七百番から千番までの用務員に勝った者を受け入れるらしい。俺は下剋上戦には参加できるには出来るが、最初に千番目の者を相手にして勝てば上位の番号に下剋上戦ができると聞いた。
 その後は外部の人間とも戦わなくてはならない。

 仕事としては中々ない優良な職場だと思うが、少し面倒で、もう冒険者稼業を優先させた方が楽なのではないかとの気持ちも芽生えだしたものの、それだと学園都市に入る資格を取る道のりに付き合ってくれたレインに悪いから取り敢えず、用務員という仕事が嫌になるまでやってみることに決めた。

 魔力ボックスの注入後にNo.0の用務員との話し合いで、今日の帰宅について話し合いをした結果、学園都市には宿や寮は沢山あるが、都市から仲間たちが待っている宿に帰るには転移の魔導具を渡されるらしいが、俺はまだ千一番で急遽決まった用務員であるため、帰るには自腹で学園都市にある転移屋を利用するか、知り合いが都市内にいれば一緒に転移することを勧められた。
 俺は自力で転移ができるが、自分で転移ができることを話したら厄介なことになりそうな予感がしたから、仲間たちの元に行くと言ってNo.0と別れた。

 人気のないところで転移して宿に戻ったところで、俺を部屋で待っていたヤスドルがカレーを連呼していたことで、疲れていたが彼にカレーを出してやる代わりに部屋の外で食べるよう言って部屋から締め出してから、カレーを寸胴に入った状態で渡してやってベッドに倒れ込んで瞼を閉じれば、そのまま眠気に誘われて意識が遠のいた。
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