底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第5章

第3話

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第3話

 ガーダンと共に関所の街の人々にしこたま怒られたあと俺は、泥だらけの人を魔法で綺麗にして家も大雨とは別に汚れている建物や、壊れている箇所を直していった。 ガーダンは街中で戦った罰として、ギルドに残っている依頼で街の屋根と壁掃除をパーティとして受けてしまって仲間たちにも怒られていた。

「おっさん、楽しかったな!今度は街の外でやろうぜ!ガハハハハ」
「ガーダンさん笑ってる場合ですか!
パーティを巻き込んで依頼受けちゃって!」
「良いじゃねぇか仲間なんだ、こういうのはチャチャっと終わらせて明日には街を出ようぜ」

 ジーラントはため息を吐いて、仕方ないといった感じで他の仲間たちに役割分担を振っていった。 他の仲間たちも、やれやれっと感じで、ジーラントに振られた仕事をこなしていく。

 俺は俺でやらかしたことの後処理が終わったあと、ガーダンのパーティと合流して街の屋根掃除を手伝っていき、まともにやれば二日はかかるだろうと言われた依頼も、陽が傾く前には終わらせてガーダンたちはギルド内の酒場で酒を飲んでいた。 特に酒を飲みたいとも思わなかった俺は、ついでにやれと言われてもない街を取り囲む壁の修繕と掃除まで終わらせた。
 シャコは罰としてガーダンに課したのに、街を囲む壁までやってしまった俺になんとも怒っていいのか喜んでいいのか複雑な表情をしたものの、報酬は本来の壁屋根修理の報酬より色を付けて多めにくれた。
 そうしてガーダンによって無理矢理、酒場に連行されて、宿に泊まれずに酒も飲まないまま酒場で一夜を過ごす羽目になってしまった。


「ガハハハハ、昨日は散々だったな!おっさん、今度は誰にも邪魔されない場所で殺し合いしような!」
「ガーダンさん、殺し合いじゃダメですよ。
あくまでも手合わせじゃないとダメです!
ミーツは私の友人でもあるんですからね」
「それはそうとよ。 ジーラントよぉ、おめぇとおっさんは何処で知り合ったんだ?」

 朝になり酒場から出たガーダンとジーラントは、宿に泊まっていた他の仲間たち合流し、ガーダンが所有している馬車まで歩きながら、俺とジーラントが何処でどう知り合ったかを質問してきて、どう返答したら良いものか考えていると、ジーラントが俺の代わりに口を開いた。

「あぁ、ミーツとは前世での友人なんですよ。
まだ私が前の世界で死ぬ前ではミーツも若かったですけど、顔はほとんど変わってないから直ぐわかりましたよ」

 ジーラントは転生者だというのを隠す素振りも見せず、あっけらかんと言い放った。
 それによりガーダンも、そうなのかー!それなら早く言えよっと豪快に笑いだした。

「ジーラント、転生者だというのは普通に話しているのかい?」
「うん。普通に家族とファミリーの仲間うちには話してるよ。前の世界からの記憶持ちの転生者も、この世界では特に珍しいものでもないしね。
ただ人によっては隠したがる人もいるし、あまり公には公開はしてないかな」

 ガーダンや他の仲間たちは、なんだそうなのかよ。とか、シーバスも前の世界からのってことはミーツさんも転生者か?とかをメンバー同士話し合っている。

「兄さん違いますよ。ミーツは前の世界の住人、謂わば転移者です。とある国で勇者召喚されてそれに巻き込まれた一般人です」
「はあ?あれだけ規格外の強さを持っているのに一般人だと?冗談だろ?」
「あ、ミーツごめん。これって言っちゃダメだったよね?」

 俺が転移者だと周りの仲間たちに簡単にバラしたジーラントは謝ってきたが、ジーラントが転生者だというのに慣れているのか仲間たちは、俺が転移者だというのも特に気にしないだろうと思って許すと、何故か一部のメンバーが肩を叩いてきて、おっさんも苦労したんだなっと言ってきた。

「ホントごめんね。転生者と違って転移者は不幸人や苦労人が多いんだよ。うちのパーティもミーツと同じ転移者がいるからさ。ねえチンさん」
「ワタシ、ただの料理人だったのに、役に立たないスキルってだけで殺されそうになった。とんでもない国で召喚されたよ」
「チンさんは中国の料理人で、自分の店で鍋を振るっているときに店ごと召喚されたんだって」

 転移者や転生者は日本人ばかりだと思っていただけに、日本人以外にも転移者がいたのに驚いた。
 ジーラントが言うには転移者のチンだけではなく、地球で日本以外の国の人で亡くなった転生者もこの世界にはいて、ファミリーにはそういった人たちが少なからず所属しているとのことだ。
 ジーラントがいるパーティにはチンとジーラントを除く他二名ずつ転移者と転生者がいるらしい。
 何故転生者や転移者がそんなにいるかを聞くと、そういった転移者や転生者を見抜くことができる魔眼といったスキル持ちがパーティ内にいて、転移者転生者と分かったうえで勧誘して入って貰っているそうだ。

 もちろん強さも必要だが、とりあえずパーティに入ってもらってスキルによって、ファミリーの何処に所属させるか決めるそうだ。 移動されたあとも強くなればガーダンが率いるファミリーに入ることができるようだが、強さとは別に何やら条件が必要なようで、その条件を聞くもジーラントや他のメンバーは教えてくれなかった。

「そういれば手合わせ前にガーダンが望みを聞くって話はまだ有効かな?」

俺がガーダンと戦う前にガーダンが一方的に言ってきた望みを聞くって話を、ある程度会話が終わった頃を見計らって聞いてみた。

「おう!男に二言はねえ!
俺に出来る限りはなんでも聞く!」
「それならさ、俺とシーバス達と一緒にここまできたグレム一行をこの国に落ち着くまで面倒みて欲しいんだ。俺はグレムに大和までの行き方を頼んでいたけど、それをガーダンのパーティの誰かにお願いしたいと思ってるんだけど、二つの望みになるけどダメかな?」
「それくらいなら容易いものだ」

 ガーダンはファミリーBに連絡しようと、連絡手段を持っている他のメンバーに頼んでいる。
それに俺のヤマト行きの道案内も後で誰にするか考えてくれるそうで、グレム達の事とヤマトまでの行き方の両方が解決した。

 それからは関所の街を出るさい、グレムにしばらくの間、贅沢をしなければ食っていけるだけの金銭とここまで乗ってきた馬車を譲渡して、ヤマトの案内もガーダンの仲間が手配してくれることを伝えると、グレムはふざけるな!俺が自分で案内すると怒鳴って怒ったが、マリエや他の女性たちに子供たちの面倒をグレムの仲間たちだけに任せられるのかと言うと、グレムも反論できなく黙ってしまい、渋々金を受け取っていつか借りは返すと言ってグレムは馬車に乗って宿でガーダンが手配する仲間たちが来るまで待機という形で宿に戻って行った。

「ミーツのおっさん。グレムの小僧のことは任ておけ」

 残された俺はガーダンと共にガーダンが所有している馬車に乗って関所の街を出た。
 街を出る前にガーダンは自分の仲間にグレムの世話について話したら、仲間の一人が懐から白い紙切れ取り出して、鶴の形に折り出した。
その鶴をそのまま宙に放り投げると、鶴が宙で大きく膨らみだして真っ白で大きな鷹に変化してそのまま飛び去っていった。

「へえ、面白いね」
「だろ?予め紙に魔力を込めた文字を書いておいて、折るときに、どういった伝言を伝えたいかを思いながら折っていくんだ。そしたら目的の場所に着いたときに元の紙に戻って届くっていう物なんだ」

 先程飛び去っていった紙の鷹を作った者が、面白いと言った俺に反応して先程作った鷹の説明をしてくれた。ガーダンの持っている馬車は全部で三台あって、ガーダンのパーティの仲間だけで十二人もいる。
 三台中一台はシーバスたちが乗っていて俺もシーバスたちとブラコン気味なガーダンと、ガーダンのお目付役のジーラントが一緒に乗って連なって走る三台の馬車の先頭を走っていた。
 ガーダンの馬車ではパーティメンバーとは別に御者を雇っていて、それぞれの馬車に配置させ、その間メンバーは馬車内でゆっくり休められたり、自由にできる時間があるようだ。


「ミーツのおっさん、しばらくしたら今日の野営に適した広場に着くからよ。また手合わせしようぜ」
「ガーダンさんダメですよ。昨日、必殺技を使ったのに負けたじゃないですか」
「いやでもよぉジーラント、軽い手合わせならいいだろ?」
「絶対に、ダ・メ・です!」

 馬車内では暇で暇で堪らないようなガーダンが野営場所で、また手合わせをしようと持ち掛けてきたが、即座にジーラントに却下され、明らかに落ち込んだガーダンはガガモに頭を撫でられて慰められていた。
俺は俺でほんのり温かいお湯を想像魔法で浮かせて出して、その湯にロップを浸けて洗うと、気持ちよさそうな表情をしているのにアマとアミはもちろんのこと、ジーラントまでロップに見惚れている。

 そんなロップを洗っていると、アッシュが羨ましそうにいいなぁっと呟いているのに気づいたものの、アッシュを洗うわけにもいかないため、ボソリと後で風呂に入れてやるから今は我慢しようなっとアッシュに言うと、少し残念そうに分かったーっと返事を返してきた。 ロップを洗い終わったあと、想像魔法でロップに生温かい温風を当てて乾かし、アミが持っていたブラシを借りてロップのまだ乾き切ってない短い毛並みをブラシを使うと、ロップが気持ちよさそうにキュ~ンと鳴いた。
ロップの鳴き声と共にロップを眺めているアマアミは俺の隣に座り直して、ジーラントはロップの声真似をしているのか、キューンと言いながら倒れた。

「おいおい、ジーラント大丈夫か?」
「尊い。尊過ぎる。兄さんは何も感じないんですか?」
「お前が昔から可愛い物が好きなのは分かるが、ミーツさんの使い魔がそんなに可愛いか?
俺には凶暴なウサギが大人しくなっているだけにしか見えないのだが」
「これだから兄さんは!これだけ可愛くてレアなウイングラビットを、こんな身近に見られる機会なんて滅多に見られないっていうのに!」


 ロップを見ながら顔を綻ばせて倒れているジーラントは、心配して声を掛けたシーバスにロップの良さを語るが、シーバスは分からないと、苦笑いをしながら困った様子で首を振り、御者をしている元に向かって御者と話しだした。
 今はアミのブラシで大人しいロップも機嫌が良いのか、アミとアマが触って来ても大人しく触られているが、ジーラントが触れようとすると、前足でペチンと叩いたり噛み付いたりして、野営場所に到着するまでジーラントには意地でも触らせはしなかった。



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