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第4章

第47話

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第47話

馬車を発進させてしばらくすると、道を挟む形で森が現れ、その道はずっと続いているみたいだ。
警戒しながらそんな道を進んでいるとゴブリンが現れた。

そのゴブリンは普段から見るゴブリンでは無く、やたらと体格がガッチリとしているオーガみたいなゴブリンにゴブリンの見た目だがブクブク太っていて毛が異様に長いオークみたいなゴブリンが目の前にいる。

普通ゴブリンは素手か棍棒か何処で拾ってきたんだというようなボロボロの剣を持っているが、今現れたゴブリンは、手入れがしっかりとしている騎士が持つような剣と斧を持って馬車の馬に襲い掛かってきたが、俺の頭にいるロップがいつもの様に耳ビンタで一発づつ叩くと、驚く事にゴブリンはガードした。

ロップの動きが見えていたのか、それとも最初からヤバイ奴が来たと思って警戒していたのか?
分からないがロップも驚いた様子で、先程より速い動きでゴブリンの周りを動き回ってゴブリンの足、腕、胴を叩きゴブリンが動きを完全に停止した所で頭を叩き戻ってきた。

これがグレムの言っていたゴブオーガとかか?
馬車を止めて降りてロップが倒したゴブリンに近づくと、ゴブリンの息がまだあった。

「おっさん、それ死んでんのか?」

同じ御者席にいたグレムは恐る恐る御者席から身を乗り出して聞いて来た。

「いや、かろうじてだが息をしている」

「だったら早く殺せよ。そいつらがゴブオーガとゴブオークだよ。早くしないと仲間を呼ばれるぜ」

「だったら丁度良いグレム、お前がトドメを刺しなよ。レベルが上がって武器もゲットできて丁度いいだろ?」


俺がグレムの方を見ながらそう言うと、ビクビクと辺りを見渡しながら、恐る恐る馬車を降りたグレムはゴブオーガが持っていた剣を手にし、ゴブオーガの首を切断した。

「ウガアアアアアァァ」

ゴブオーガの首を切断したその瞬間、ゴブオークが最後の力を振り絞ってか雄叫びをあげた。
すると、近くの森の中からワラワラとゴブオークが沢山現れた。

これによりグレムは尻餅ついて小便漏らして、後ずさりしながら馬車の馬の脚にすがる様に脚に掴まった。

「ああああ、もう無理だ。やっぱりおっさんと俺達だけで別の国に行くなんて無謀だったんだ。俺達はここで死んで女達は連れ去られるんだ」


グレムは何をもう終わりみたいな事を言っているんだろうか?俺がこんなのに簡単に負けると思っているのだろうか?

俺はグレムの腕を掴んで御者席に放り投げ、ついでにロップも御者席に移動するよう命令して馬車全体にシールドを張って、俺はそのシールドの上に乗りゴブオークが馬車を囲んで集まるのを上から見ていた。ついでに胸にいるアッシュもシールドの上に下ろした。

森からは他に出てくる感じでも無くなった事で馬車を囲んで、それぞれの手持ちの武器で攻撃しているゴブオークをデコピンで手脚だけ弾き飛ばして行く。

全部で三十匹はいただろうか、全部のゴブオークの手脚が無い状態で再びグレムを馬車から降ろして、先程の武器を手渡した。

「おっさん何者だよ~。こんな沢山のゴブオークを武器なしでこんなにするなんて。ただのBランクの冒険者でも無理だぜぇ」

「いいから首を切断するか刺しな」

グレムは泣きながらもゴブオークにトドメを刺して行き、全部のゴブオークにトドメを刺した頃には嗚咽を漏らして吐いていた。

「どうだ?レベルは上がったか?
後で確認しておきなよ?
後はしばらく馬車内で休んでていいからさ」


ゴブオークが持っていた武器を拾い集めてI.Bに仕舞って、小便を漏らしたグレムを想像魔法で綺麗にした後、グレムの背中の服を掴んで馬車に乗り込むと馬車内の人全員が俺が馬車内に入った事により、近くに来ていた女性達すらも怯えて数歩後ずさって見ていた。

まぁ、あの戦い方と有様を見れば仕方ないかとグレムを怯えるマリエさんに託すと俺は御者席に移動して死んでいるゴブオークを異空間に放り込んでシールドを解除して馬車を発進させた。

【主様主さま~】

馬車を動かしてしばらくすると、俺が座っている御者席の隣でロップが俺を呼びだした。

「どうした?また魔物が近くにいるのか?」

【ううん、違うよ。あのね、主様の身体が魔物の血で血だらけになっているの】


ロップに言われて初めて気が付いた。
確かに髪は血でガサガサで裸の上半身とズボンはゴブオーク達の血が沢山付いていた。
ズボンは既にボロボロで下着が見えていた為、御者しながら脱いでそこらに捨てた。


【主様~、ボクが主様に付いた血食べてあげるよ】

馬車の幌に乗っていたアッシュが俺の頭にビヨ~ンと落ちてきて、頭から身体に移動し俺の足まで移動し終わると今のアッシュの定位置である胸に薄く移動してきた。

アッシュが俺の身体に付着したゴブオークの血を綺麗にしてくれた事により、馬車内からグレムの仲間の男達から声を掛けられた。


「おっさん、さっきは悪かった。魔物の血だらけのおっさんが怖かったんだ。でもこのままグレムだけあんな目に遭うのはあんまりだと思うんだ。
だから俺達にも手伝わせてくれ」

「君達は何か勘違いしてないか?
俺はグレムをレベルだけでも上げて強くさせようとトドメを刺させてあげてるんだ。
君達もレベルだけでも上げたいと言うなら、同じ様にさせるけどどうする?」

「やる、いや、やらせてください。このままグレムも同じ事していたら心が壊れちまう」


男達は真っ直ぐに俺の目を見てお願いをしてきたが、グレムが壊れる?何言ってんだろうと思ったが、グレム以外の奴も強くなりたいというならレベル上げに協力してやろう。


「分かった。それなら次から君達は交代でトドメを刺せ。グレムの調子が良ければグレムを中心にレベル上げをして行く。グレムが一人で魔物を倒せるくらいになれば君達くらいがいても問題ないだろうからな。とりあえず武器を好きな物を取りなよ」


俺は馬車を止めて地面に降り立ってI.Bに入れていたゴブオークが持っていた武器を一通り取り出して地面に並べた。

それを男達それぞれが見て手に取ったりして行き、決めたのか適当に振ったりして自分に合う武器を手にして行く。その中で調子に乗りだした者が、冗談半分でなのか仲間に向かって剣を振り仲間同士でチャンバラを始めだした。


「それは遊び道具ではない!人間や他の生物をも傷つけ、殺す事が出来る道具だ。そうやって遊びで振り回すなら取り上げる」


地面に並べた残りの余った武器はI.Bに仕舞って、チャンバラをやっている男達の手にしている武器を取り上げようと手を伸ばした。チャンバラをやっていたのは二人だけだったから、二人の武器を取り上げようと武器を掴むと、一人は簡単に取り上げれたが、もう一人はこれは俺の物だといわんばかりに離そうとしなかった。


「この武器はもう俺の物だ!おっさんでも絶対渡さねぇ!」

「でも君はさっき笑いながら、それを振り回していただろう?そんな事する奴にこれは渡せない」

「悪かった!もうしない!絶対ふざけて扱わないからぁ。取り上げないでくれよぉ」

「分かった。じゃあ今回は許そうと思うけど次に同じ事したら取り上げるだけじゃなくて、その場に君を置いて行く」

「わ、分かった。初めてこんな武器を手にしたから気持ちが舞い上がったんだ」


本当に反省しているみたいだったから、今回は許した。もう一人の武器を取り上げた方は顔を下に俯いてぶつぶつと不機嫌そうに呟いていたが、謝ってくる様子でも無かった為に馬車に乗せて、こんな道は早めに抜け出そうと馬車を発進した。



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