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第4章

第16話

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第16話

早速、取り掛かった事は壁を作る事で、ソルトのシールドを外から囲む様に2m程の厚みと地面から埋め込みタイプで埋め込まれてる部分は3mで高さ5mの壁を想像魔法で作って行く。

ついでに壁に『腐人が入ってます。入るな危険』と等間隔で書いて行くのも忘れずに壁を建てて行って壁の中の腐人も、こまめに仕切り部屋を作った。

雨水が溜まらないように、壁に水が抜けるようにも忘れずに想像して作っていく。

腐人が群れから離れた場所に一人しか居ない場合でも、俺はその一人を壁で囲っていき、ソルトと心話しながら全ての腐人を囲い終わるのに掛かった時間はおよそ三時間程度だが、終わった瞬間ドッと疲れが出てしまった。

体力的にも魔力的にも全然余力はあるのに、何故こんなにも疲れたんだろか。
恐らく精神的な疲れと、ゆっくりだが動き回る物を相手に壁を作っていったのもあるのだろう。

空から地上を見下ろしながら一息ついていると、ソルトから心話が届いた。


【ミーツ様、お疲れ様です。
先程介抱した子供の中の一人が目を覚まして少し話せる程になりましたので、シオン様が作業の終わり次第、降りて来いとの事です。
後、ミーツ様の壁を作っている姿はオーケストラの指揮者みたいで格好良かったです】


もう少し休ませて欲しかったが、そうも言ってられないか。
てかソルトはオーケストラ知っているのか。


【分かった。冒険者達と商人の目を避ける為に直接馬車内に転移するから、シオンにそう伝えてくれ。
それと、五月蝿いだろうけど商人を囲んでいるシールドは解除していいよ】

【了解致しました。伝えておきます。
商人につきましては、シオン様、ダンク様に言われて解除致してます。
ただ、解除した途端、喚き散らして五月蝿かったのでしばらく眠って貰ってます】

【そ、そうか、ほどほどにな。シオンに伝えたら転移するから俺はこの場で待機しておくぞ】


ソルトの言う眠って貰ったって言葉に、どうやって?とか気になったけど聞いてはいけない気がして聞けなかった。

そして、ソルトに待機しておく事を伝えて数十秒後、ソルトからの心話で馬車内に転移すると、ソルトは御者席でシオンはその隣に居る、姐さんが見当たらないが外にいるのだろうな。

気が付いたという子は、てっきり小さな子供だと思っていたら14才前後の少女だった。
話せると聞いていたのに、目に光がなく茫然自失となっている雰囲気だ。

無理もないと思ったが、話せると聞いて来た以上は多少でも話せたらと思って話しかけようと思っていると、御者席の方にいるシオンに話しかけられた。


「ミーツ、ご苦労だったな。
ダンクには商人が起きた時の対処相手としてと、他の子達を外に連れて貰っている。

ダンクはこの場に居なくても後で話せばいいからな。話せる子については見たままだ。

起きた時は幾つか質問してきて普通だったんだが、ソルトがお前が見てきた町の現状を話すと段々思い出したのか、黙ってしまって今の状態になってしまった」


確かにシオンの言う通り、少女の目は光がない死んだ様な目をしている。

無理も無いと思ったが、どうして町があんな有様になったのか聞きたいし、あまり悠長に待ってもいられないし、どうしようかと思っているとシオンがおもむろに座っている少女の目線の高さまでしゃがんで、少女の頰を引っ叩いた。


「お、おいシオン、何しているんだよ」

俺がシオンの服を掴んだ時、少女は死んだような目からジワジワと涙を浮かべてプルプルと震えだし大泣きしだした。


「わ、私がなにしだっで言うんですか!
酷いです。何もしてないのに叩くなんて!
酷いです。酷いです。酷いです」


少女は泣きながら引っ叩いたシオンにではなく、俺をグーで殴りつけてきた。


「折角、弟妹と助かったと思ってたのに起きたら妹が死んじゃってるなんて…」


少女は泣きながら俺を殴り続け、自分の妹が亡くなっている事を叫んだ。
助けたと思っていた子達の中に腐人となって、死んだ中に妹がいたと思うと無理も無い事だ。

俺は黙って少女に殴られていると、ソルトが何を思ったのか、少女を背後から抱きついて俺を叩いている少女の腕を掴んでゆっくりと動きを止めた。

どうやらソルト的に、俺が叩かれている姿を見るのが嫌だったのだろう。
俺は手の止まった少女の頭に手を乗せて撫でると、ロップが俺の手の上から少女の頭に飛び乗った。

すると、ロップは俺の手を挟んだ状態の少女の頭で、黄色の煙の様なオーラを発しだしてオーラが少女を包み込んでいく。

俺はその光景を見てるしか出来ないが、ロップ自身もオーラに包まれて、しばらく経った頃に黄色のオーラが薄くなり消えていった。

少女の頭に乗っていたロップは羽をパタパタさせて、俺の頭の上に移動して乗ると直ぐにスヤスヤと眠りだした。

ロップが何をしたのか分からないが、少女は泣き止んでいて落ち着いていた。


「大丈夫です。手をのけて下さい。
まだ気持ちは落ち着かないですけど、少し話せます。何が聞きたいですか?」


あれだけ泣いて取り乱していた少女は凄く落ち着いているが、気持ち的にはまだ落ち着かないと言うのは仕方のない事だ。

だが、どうして町があんな状態になったのかを少女に聞く事にした。

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