底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第4章

第11話

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第11話

ふて寝をしながらゴロゴロとしていると、この日の野営場所に着いたようで、昨夜と同じにならないように気を付けようと思ったが、商人から俺の元に近寄ってきて昨夜と同じ様に商人の引く馬車の馬に水を与えて欲しいとお願いされてしまった。

一応、護衛対象で雇人であるし、自分の所の馬にも与えるついでだから、快く了解して馬に水を与えて昨夜同様に商人やシオン達から離れた場所に移動した。

そこで完全に暗くなる前に姐さんから、組手とステータスの制限と手加減を学ぼうとお願いすると、姐さんは快く了承してくれて組手が始まったが、昨夜同様にボコボコにされてしまった。

一応、組手らしい組手はできたから昨夜みたいに一方的にやられた訳じゃないだけマシだ。
そのお陰でボコボコにされた甲斐もあってか、さっきスキルを見ると『手加減』を習得していた。

ステータス制限については、分からないままだけど、手加減を覚えた事により、簡単に人を殺めるような心配をしなくても良くなったのが嬉しい。何故、手加減がスキル表示されるかは分からないが素直に喜んでおこう。

そして、まだ薄っすらと明るい中、シオンが俺と姐さんの組手が終わるのを待っていたのか一息ついた頃に近寄ってきた。


「ミーツ、約束のアレを貰えるか?」


ん?約束?俺、シオンと何約束したっけ?
俺が首を傾げていると、俺の耳元で姐さんが教えてくれた。

「ミーツちゃん、デスワームの事じゃない?」

「あー、アレの事か!
中々大きいから、この場所じゃなくてもう少し拓けた場所に移動した方が良いと思うよ」


俺たちが現在いる場所に、あの大きいデスワームを出すと商人や冒険者達に魔物が来たと騒がれるかも知れないから、移動する事を提案した。

「ミーツ、そんなに大きな奴を持っているのか?」

「ああ、持ってるよ。ここで出すと商人達に騒がれる可能性があるから他所で出すよ」

とりあえず馬車とはソルトに任せて、場所的に拓けていて尚且つ、商人達から離れても大丈夫な所まで移動を開始した。


「おい!ミーツ、どこまで行くんだ」

拓けた場所まで歩いていると、イライラしたのかシオンが声をかけて来た。

「結構離れたし高い木が周りにあるし、この辺りでいいかな?」

早速、黄金のダンジョンの最終ボスである巨大なデスワームの頭を、I.Bから引っ張りだした。


「は?な、な、なんだこりゃー!」
「ハァ、ミーツちゃんってやっぱり…」


シオンは顎が外れるんじゃないかってくらい、大声で叫んで驚いている。
 あの場から離れて正解だったな。
姐さんのやっぱりってなんだよ。
バカだと言いたいのか?


「ミ、ミーツ、こんなの何処にいた?
こんなやつが、そこらにいる訳ないよな?」

「そりゃそうだよ。
これは、あの黄金の国の城での地下の最終階層ダンジョンボスなんだからさ。
でも、シオンはコレを塩茹でして食うんだろ?勇気あるな~、俺には絶対に無理だよ」


「こんなもん食えるかー!
デカ過ぎなんだよ!ダンジョンボス?
普通は小さいサイズのデスワームだと思うだろうが」


何故シオンはキレているのか不思議で堪らないが、確かにこのサイズを塩茹でとか無理があるな。
仕方ない、シオンの為にカットしてやろう。


「分かった。なら、カットしてやるよ」

「いや待て待て待て、デスワームとて頭は流石に食わないぞ。普通は小さい奴は気にならないが、こんな規格外は別としても、大きい奴は頭を切り落として茹でるんだぞ」


成る程、ならば頭は仕舞って輪切りにした胴体を出してカットすればシオンも納得するかも知れない、先ずは同じデスワームの胴体を見せてみようと出した。


「ハァ、あれだけの大きさの頭だ。
矢張り、胴体も持っているだろうと思ってたが、胴体も規格外だな。
それで俺にこんな物をどうしろと言うんだ?」

「まぁ、シオン落ち着けよ。今からコレを細切れにしてカットしてやるからさ」


俺はシオンにそう言うと、早速想像魔法を使い、巨大なデスワームは見る見るうちに1m程の大きな麩菓子のようにカットされていく。

だが、デスワームはカットしてもカットしたそばから小さなデスワームになるだけで、いつまでもデスワームのままだ。

 倒す時はあの特殊な剣を使ったからブツ切りしても、こんなカットした側から小さなデスワームにならなかったのに不思議な魔物だな。

もしかしたら、ソルトの前の主人達が作った魔物の特性なのかも知れない。
あの剣なしでは、剣では倒せない仕組みだったのかも。

もしくは、あのダンジョンのみでしか、カット出来ないのかもしれない。


「む、これでも、まだ大きいな」

前に最初のダンジョンで見たデスワームはこれくらいだったのになぁ。と思いながらも更に細かくカットしようと思い、割り箸サイズにカットしていくと、シオンも嬉しそうに頷いている。

「おお、これなら食えるな。でも、こんなに沢山は要らんな。適当に貰って行くぞ」


カットしたデスワームの一部を、シオンは自分のマジックバックに詰めて、ホクホクした顔で俺に後ろ向きで手を振りながら自分達のテントの方に歩いて行った。

残りのカットしたデスワームは、再度I.Bに入れてシオンの欲しい時用に取っておく事にしたが、思ったよりもシオンはデスワームを持って行かなかったな。

シオンが持って行ったデスワームは全体の1/10程度だった。

「ねぇ、ミーツちゃん、あたしにはくれないのかしら?」


あ、姐さんがいる事を忘れてた。

「その顔は、あたしの存在を忘れてたって顔ね?どうお仕置きしちゃおうかしら?」

「あ、いや、あのさ、デスワームは姐さんも食べるのかい?」

「くれるなら食べるわよ」

そこまで言うならばと、デスワームのカットした物を鍋を出して、鍋いっぱいに入れて鍋を覗きこむと、少し気持ち悪くなった。

姐さんに鍋ごと差し出すと、姐さんもニッコリと笑って馬車の所まで戻った。
そして、姐さんが竃(かまど)を出す様に指示出した所で想像魔法で前に出した事のある竃を出して、薪も適当に出しておいた。

「さぁ、ミーツちゃん、この鍋に水を入れて頂戴」

先程のデスワームがタップリ入った鍋を突き付けられ、中を見ないように水を入れると、水が鍋から溢れて姐さんに怒られてしまった。

「もう、不器用なんだから」

姐さんはブツブツと言いながらも、デスワームを竃にかけて、火をつけてグツグツと煮込んでいく。

「ミーツちゃん、塩ある?」

姐さんは持ってるはずの塩も俺に言ってきたが、無いと言うと後が怖そうだったから大人しく塩を財布と同じサイズの麻袋に一杯に入れて差し出した。

「あら、こんなにくれるの?ありがとね」

姐さんは俺にお礼を言いつつ、塩を適当に鍋にぶち込み、フォークで混ぜていくと完成したのか、熱々の鍋を素手で掴んで俺の目の前に置いた。

「さあ、ミーツちゃん食べましょう」

姐さんが塩茹でしたデスワームを一緒に食べようと、俺の前に置いたが、とてもじゃないが食べる気が起きない。

「いや、遠慮しておくよ。見た目が既に食べる気が起きる見た目じゃないしさ」

「いいから、騙されたと思って食べてみてよ」


姐さんは先程のかき混ぜた時に使ったフォークで、茹でたデスワームをパスタの様にクルクルと絡めて俺に差し出した。

見た目はまんまミミズの茹でた物だけど、本当に美味しいのか半信半疑で思いっきり目を閉じて食べてみると、食感はムニュムニュしてて、噛んでみるとまた気持ち悪い。

味を味わってみると、特に美味しいものでもなく、デスワームの体液か?噛んだ時にでる液体が苦くて不味い、結果飲み込めないで吐いた。

「あら、ミーツちゃんの口に合わなかったみたいね」

やっぱり騙された!口を水ですすぎながら、姐さんを見るとデスワームをバクバク食べていた。


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