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第4章

第6話

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第6話

「あの、何かおかしな事でも有りましたか?」

俺を凝視している冒険者達に聞いてみると、シオンが冒険者の一人を捕まえて、ボソボソと喋り出した。

「あー、そ、そうですよね。
土魔法か、見た事ない物でしたから気になったんですよ」


シオンが何やら説明してくれたみたいだが、説明後のシオンは俺を睨んでいた。
うーん、キャンピングカーもアパートも出してないのに何で睨まれるのだろう。

心当たりもなく考えても仕方ないから、I.Bから食材としてオークのブロック肉を取り出して、M.Bに入れているフライパンとナイフを出して薄くスライスして、焼くと又々視線を感じて辺りを見ると冒険者達が近くで俺の作業を見ていた。

 シオンが見当たらない所で背後に気配を感じて振り返ると、シオンの怒った顔が目の前にある。
 そして、俺に拳骨を振り落として来た。

でも、俺には常時ソルトのシールドが張ってあるから効かないの知ってる筈なんだけど、そう考えていると頭上にシオンの拳骨が振り落とされた。

一瞬頭が真っ白になり思考が停止した。

「な、なん、で?」

痛いよりも先に、何でシオンの拳骨が頭に当たったのかが、不思議で言葉に出てしまった。

「お前が肉を取り出した時にソルトの所に行って、お前に掛かっている魔法を解いて貰ったんだ。お前は口で注意するよりも痛みで覚えた方がいいみたいだからな!」

自然回復で痛みは直ぐに引いたけど、何で俺はシオンに拳骨されたのだろうか。


「お前、まさか何で拳骨されたのか分からないのか?」

俺が首を傾げて考えていると、シオンは溜息を吐いて
「はー、もうお前は俺とダンク以外の人間の前では魔法使うな。特に商人の前ではな!絶対面倒事になるからな」


あー、成る程、シオンは俺が想像魔法を使ったから怒っていたのか。

「分かったよ。黙っててもいい事を教えてくれてありがとな」

俺が素直にお礼を言うと、シオンはそっぽを向いて、他の冒険者達を連れてテントを張った所まで移動して行った。

先程まで近くで肉を焼くのを見ていた冒険者達には、ブロック肉ごと差し上げて俺は焼いたフライパンごとI.Bに仕舞い込み、冒険者達や商人に見られないように結構離れて、ある程度開けた場所まで馬車ごと移動した。

商人の護衛については、何かあればシオンが大声を出すだろうし、多少離れても問題ないだろう。

離れた場所で俺の馬車の馬に餌の人参や果物を幾つか与えて、I.Bに入れておいた木桶を取り出して水を張って自分の乗っている馬に与えるついでに、片手に一つづつに水桶を持ち商人の馬にも持っていって、商人の馬に与えてみると凄い勢いで飲みだした。

余程、喉が渇いていたんだろうな。
見る見るうちに、木桶の水が半分以上無くなりだしたが、満足したのか木桶に顔を突っ込む形だった馬が顔を上げて俺の顔を見つめてきた。

馬のつぶらな瞳が可愛くて、人参を数本あげてみると、俺の手ごとゴリゴリと噛んだけど痛みはそれ程なく、食べ終わると俺の顔をベロベロと舐めだした。

「ウワッ」

思わず声が出てしまった。
俺の声が聞こえたのか、馬車の荷台から商人が顔を出してきた。

「どうされたのですか?
私の馬に何かされたのですか?」

 商人に不審な目で見られてしまっているけど、俺が馬に舐められているのが不思議なようだ。
想像魔法の事は伏して正直に言っておこう。


「いえ、自分の馬車の馬に、餌と水を与えるついでに、こちらの馬にも水を与えて餌も少し分けてあげるととこの様な状況になったんでぷぁ」

喋ってるのに相変わらず、俺の顔を舐め続ける二頭の馬に口元を舐められて最後噛んだみたいになってしまった。

「そうだったんですね。
水を汲んで来てくれたんですか?
近くに水場は無かった筈ですが、どちらから持って来られたんですか?」

「ああ、それなら少しだけ魔法を使う事ができますので、魔法で出しました」

「そうなんですね。
どのくらいの魔法を使えるんですか?」

「あまり言えないので申し訳ございません」


商人は俺が使える魔法が何があるか探って来たけど、正直に言うとまたシオンに拳骨されそうだったから、笑いながら誤魔化して少しづつ後退りして離れて行った。

商人から離れて自分の馬車の元に戻ると、既に姐さんが戻っていた。

「ミーツちゃん、何で野営の準備してないの?さっきまで居た場所に戻ると、居ないんだもの何で移動したの?」


俺は苦笑いをしつつ、先程の状況を説明すると姐さんはシオンみたいに頭に手を置いて溜息を吐いた。

「ミーツちゃん、ミーツちゃんのスキルは普通じゃないんだから、あたし達以外の人前で使っちゃ問題になるでしょ!

ミーツちゃん一人で旅をしているんじゃないでしょ?ミーツちゃんの問題は、あたし達の問題にもなるの。

だから、シオンちゃんも全力でミーツちゃんを止めて問題を起こらない様にするのよ。
シオンちゃんの拳骨じゃ物足りないでしょうから、あたしがミーツちゃんに、お仕置きを実行しちゃうわね?」


そう姐さんは言うとニコッと笑い、俺の額にデコピンをした。
今迄は手加減していたようで、姐さんのデコピンによって俺は馬車から100m程吹っ飛んで頭がもげるかと思った。

勿論、痛みも凄くあるけど、起き上がった瞬間姐さんの拳が目の前にあった。

思わず顔を横に振って避けながら転がり、体勢を整えて起き上がると、驚いた顔を姐さんはした。

「え?ミーツちゃん、レベル上がった?
前に何もしたくないとか言ってた時より、明らかに素早く洗練された動きになっているわよ」


「あー、そうか。まだ言ってなかったけかな。俺はあの時、トーラスにステータスの殆どを譲渡して弱くなっていたんだ。
それで、あの黄金の国のダンジョンでレベルが上がって強くなり、ステータスも馬鹿みたいな数値になったんだ」

「ど、どのくらいかしら?
少なくとも5,000は越えてるでしょ?」

「ああ、越えてるよ。
面倒だし、見せてやるよ」

 そう姐さんに言うと、先程のステータスを目の前に出した。


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