底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

文字の大きさ
上 下
99 / 247
第3章

第26話

しおりを挟む
第26話

 発射した水の行方を追って巨大レッドモスの大部屋に行くと、レッドモス達はピクピクと動いていたが、まだ死んではいない様子だ。
 鱗粉も綺麗に流れている所を見ると、無事に成功した。

 俺は刀を取り出して、天井に張り付いているレッドモスから斬り、次々と斬って行くと綺麗な羽の赤金やレッドモスの姿を残した赤金が取れた。

「ガメニ、このレッドモスは前から、この大部屋にいるのか?」

「そうだよ。コイツらがいたから、オレ達は先に進めなかったんだ」

「成る程、ならガメニにとっては、この先は未知の領域になるんだな」

「ミーツ様、私にこのダンジョンのデータが入っていますので、知りたい魔物や階層の特性の情報をお教えします」

「そうか、ありがとう。聞きたい時にでも聞くよ」


 そうして、ようやく先に進める事になったのだが俺は、ふと思った事があった。
 それは、人がスキルで作ったダンジョンにしてはトラップがない事に気が付いた。

 普通、天然のダンジョンなら兎も角、人の考え方で作ったダンジョンだったら、鬼畜トラップは作る筈だ。
 それなのに、この六階層までの間一度もそんなトラップに引っかからなかった。

 俺の注意力の無さと運の低さを考えれば、トラップに引っかかりまくっても、不思議じゃないのに何でだ?

もしかしたら、スカルブが何かしているのかもしれない。後にでも聞いてみるか。

とりあえずの所は先に進む事をした俺だが、大部屋の先には長い一本の通路があるだけで突き当たりが行き止まりになっていた。

「ミーツさん!行き止まりだよ。
折角ここまで来たのに、ここで終わりかよ」

俺にも既に見えていたが、俺の後ろを歩いていたガメニがそう喚いている。

「いや、スカルブは十階層まであるって言っているんだ。まだ先がある筈だ!」

突き当たりが壁なのは分かっているけど、壁に細工がしてあると踏んで、突き当たりの壁を触ろうと手を出すと、目の前の壁をすり抜けた。

すり抜けた手をそのまま前に出して何もない事を確認したのち、戻して顔を壁に突っ込むと先程のレッドモスが居た大部屋と同等の広さの部屋になっていた。

敵が居ないか確認して部屋内に入るが、何もない様子で壁の向こう側にいるガメニとスカルブを呼んだ。

「な、何だよこりゃあ、隠し部屋かよ」

「隠し部屋って言うほど隠されてないけどな。スカルブ、敵が居ない様だけど、ここには元々居ないのか?それとも先程の鉄砲水で流れただけか?」

「回答、ここは元々何もない場所です。
所謂セーフティゾーンという所です。ゲームで言うとセーブポイントです」


スカルブはやっぱり転生者か転移者が作った魔導人形だと確信した。

「何だ?セーブポイント?ゲーム?」

ガメニだけが分かってなくて、頭に?を浮かべているのが分かる。

「やっぱり、その情報はスカルブを作った人の情報なんだろ?」

「回答、セーブポイントやゲームは前の主の情報です。私の創造主にも教えられたデータの中にもあります」

「うん、もう分かった。
今度二人きりで話そう。多分今話していい内容じゃないだろうからな」

「ふ、二人きりぃ!ミーツさん!スカルブに何するんだよ!エッチな事か?そうなのか?
ミーツさんも他の男と一緒なのか?」


「ん?最後の方何て言ったんだ?よく聞こえなかったけど、エッチな事する訳ないだろうが!
スカルブの持ってる情報が知りたいけど、誰にでも聞かせて良い内容じゃないから、二人っきりでって言ったんだよ」

「そ、そうなのか?良かった」


 コイツ何でホッとしているんだ?
 スカルブに気があるのか?スカルブに邪険にされて変な性癖にでも目覚めたか?
 まぁ、でもスカルブに気があるなら俺が取り持ってやるかな。

「エロい事は絶対にないから、安心しろよ。スカルブに好意を持つのは良いと思うけど、あからさまに態度に出るのは止めた方がいいよ」

「はぁ?違うよ!何でオレがスカルブ何かに!オレは…」

 あれ?違ったか?何かブツブツ言って俯いてしまった。

「ガメニも恥ずかしいなら隠してやるから、服の砂を取り除いておけよ」

俯いているガメニ用に簡易更衣室的な四方壁を作ってあげた。

「その中でとりあえず、休んでいろよ。
俺は少しスカルブに話したい事があるから、端の方に行くからさ」

「あ、あぁ、ありがとう。ミーツさん
じゃあ、使わせて貰うよ。でもコレ、どうやって中に入るんだ?」


あ、出入口作るの忘れてた。
壁の一部に簡単なドアを作ってあげると、ガメニは簡単更衣室に入って行った。

「ついでに水の入った桶を渡して置くから、中で身体を拭いていろよ」

「あぁ、ミーツさん、ありがとう。
有り難く使わせて貰うよ」

中に入ったガメニは手だけドアから出して、俺から桶を受け取ると、中でゴソゴソ音が聞こえだした所で、俺はスカルブを簡易更衣室から離れた場所に連れて行き、スカルブの前の主と創造主の話をするべく話かけた。

しおりを挟む
感想 302

あなたにおすすめの小説

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。