底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第3章

第10話

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第10話

「ここのメシはどんなのかな?」

 地下牢に戻って来た俺の第一声がそれだった。牢屋内の冒険者達に聞くと、カビの生えたパンを1日に一つしかくれないそうだ。
それは、俺が牢屋に入れられる少し前に配られたそうで、今日はもう配られる事はないそうだ。

 仕方なく、先程の焼き魚の焼いてる途中の物を出して、今度は煙が上に上がって行かない様に焼いてる魚の上にI.Bの様な異空間を作り上げて、煙が異空間に吸い込まれる様に魔法を使った。

 魚は俺が入っているこの牢屋の人数分だけ、出して焼いて牢の人達に振る舞った。
 他の牢屋に入ってる人にもあげたいけれど、他の牢屋だし諦めてもらうしかないな。

 俺がその気になれば、牢屋の鉄格子を壊すのもワケないけれど、それをやる事によって兵士長やグリーさんに迷惑を掛けてしまうかもしれないし止めたほうがいいだろう。

と、考えながらも焼いていると、焼きあがった魚を牢の皆んなに振る舞った。

「こ、これはクラブフィッシュじゃないか!
海の美味な食べ物が、こんな牢屋で食べられるとは思わなかったな。地上でも滅多に食べられないのに」

 そう口々に皆んな喜んでくれて良かった。
が、他の牢屋人達に羨ましそうに眺められてしまった。
 中には悔しそうに、叫んでいる人もいる。

 そりゃそうか。だって他の人達はカビパン一つに対して、俺達は良い匂いをさせて美味い物食べていたら、そりゃ叫ぶよな。


 食べ終わった俺は暇だし、冒険者達にこの国の事を聞く事にした。
 何でこんなに金が豊富に使われているのか。
何か特別なダンジョンか金鉱があるのか?
 冒険者達の分かる範囲で聞いてみると、色々教えてくれた。

 他の牢屋の人達も教えてくれた。
 どうやら、この国は金鉱も持っているが、金が豊富に取れるダンジョンをいくつか保有していて、ギルドが管理して無くて国が管理しているみたいだ。

 ダンジョンに入ってダンジョンで手に入れた金は、国が没収するシステムらしい。

 そして、姐さんからも聞いていた通り、この国は建国して歴史が浅い国だとも言っていて、ついでに言うなら隣国ことクリスタル国と同盟関係にあって、クリスタル国に金を流している。

 その代わりに武力を貸して貰ったりしているらしい。

 この国の王や王妃の事は誰も知らないようだ。
 それもそうだ、一介の冒険者が王様と謁見出来る機会なんてないから知る訳がない。

 でも、ダンジョンは興味あるな。
 兵士長補佐のグリーさんにダンジョンに入れるか聞いてみるかな?

 牢屋の鉄格子をカーン、カーン、と叩いていると兵士が五月蝿いと注意しに、地下牢までやって来た。


「あ、グリーさんを呼んで来て貰える?
もしくは兵士長でもいいよ」

俺がタメ口で上から言うもんだから、牢屋に来た兵士は怒って鉄格子を掴んでる俺の手を警棒のような物で叩こうとしてきたが、俺はそれを掴み奪い取ってしまった。

ただ掴んだだけだけど、兵士は俺が掴んだ事によって棒を離したから、結果奪ったみたいになってしまったんだけど。

 またまた、やらかしたかも知れない。
掴んだ棒は直ぐに離して床にカラーンと響いたけど、その時には兵士は既に居なくなっていて代わりに上から大勢の兵士がやって来てしまった。

 今度は10人じゃ効かない数だ。
 何人いるか分からないが、俺の牢屋に兵士達がなだれ込んできて、俺を含めた他の冒険者達も取り押さえて、俺だけがまた手足に枷を嵌めて連行されてしまった。


連れて来られた部屋は先程の取り調べ室で、既に兵士長補佐のグリーさんが椅子に座って頭を押さえていた。

「またキミか、今度は何をしたんだ?
こんな短時間のうちに牢屋を何度も出される罪人はミーツ君、キミ以外いないよ」

「ハハハ、グリーさんに会おうと思って鉄格子を叩いて兵士を呼んだら、五月蝿いと俺の手を棒で叩きそうになったんで、棒を掴んだら大事になっちゃいましたね」

「いや笑い事じゃないよ。このままじゃキミは鉱山送りになるか、ダンジョン送りになるよ」


お?ダンジョンに入れるのか?

「そのダンジョンに入りたくて、グリーさんに会いたかったんですけど、入れるなら入れて下さい」

「キミ、ダンジョン送りがどんな罰か分かってて言っているのか?ダンジョン送りはな、死ぬまでダンジョンでの、アイテムや金を国に献上しなきゃいけなくなるんだぞ?」

「それは、今まで牢屋に入れられた冒険者達に与えた罰なんですか?」

「そうだ。シルビア嬢に謝罪して許された者もいるが、殆どの者はダンジョン送りか鉱山送りになるな。でも、私はキミにそんな罰を受けて貰いたくない。
 兵士長はキミの事と会見の準備で忙しいし、勝手にダンジョン送りにする訳にもいかないし、どうしたものか」

「ダンジョンはこの城から遠いのですか?
近ければ、グリーさん同伴でちょこっと行きたいんですけど」

「幾つか保有しているダンジョンの内2つは、この城の地下にあるんだ。
そうだな、どのような所でこんな罰は嫌だと思うかも知れないし行ってみるか?」


そうして、グリーさんと他の兵士二人程と、城の地下に向かったが、地下牢の地下とは別の場所にある様で、初めて通る通路を通って地下に降りて行くと、段々と空気が変わってきているのが分かった。

俺があのダンジョンに入った時と同じ様な、肌にピリピリと来る様な感じだ。


「ミーツ君、これから向かうダンジョンは2つのウチの厳しい方に行くからね」

 そうして、地下に降り立った所は、鉄格子を通路一杯に嵌めている場所で、鉄格子の向こう側には、やつれて疲れ切った冒険者達の姿があった。





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