底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第2章

アリスの話4

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アリスの話4

モブ君達と宿の外で待ってると、ジャス君が頭を爆発させたまま、息を切らしながら宿から出てきたのを見て、少し可笑しくなって笑ってしまった。


「アリスちゃん、酷いよ。アリスちゃんが急いで着替えて来いって言うから、急いで着替えて出てくれば笑うんだもんよ」

「ゴメンゴメン、ジャス君。
でも、寝癖が凄い事になってるままだから、可笑しくて笑っちゃった」


 私達モブ君達が案内する場所に向かって行っていると、見覚えのある人影を見た気がした。

「ねぇ、愛、今ね撫子を見た気がするんだけど愛も見た?」

「え?いや見てないよ。居たの?撫子」

「アリスちゃん、マジかよ。
撫子ちゃんが一人で街にくるとは思えないんだけどよ。来るとしたら、多分ケインの野郎も一緒の筈だぜ」


ジャス君の言う通りだと私も思った。
確かに、城の人が撫子を一人で街に出すとは思えない。
じゃあ、今さっき私が見たのは気のせいだったのかな?

 気になって一緒に行動していたモブ君達と愛達と離れて、確認しに行った。
 そこで見たのは、やっぱり気のせいでは無くて、撫子で後ろ姿しか見えないけど男性と一緒にいる。

 多分、副団長のケインだと思うけど、英雄君はどうしたんだろう?
 私が突然別行動をした事で、モブ君達全員が私の元にやってきて、撫子を目視して確認した。


「あ、あの野郎と一緒じゃねぇかよ。
アリスちゃんが、撫子ちゃんを見たってのは勘違いじゃなかったんだな」

「ジャス君!」


 私が制止する前にジャス君は飛び出して、ケインの元に文句を言いながら向かっていった。


「おい!何でアンタが撫子ちゃんと一緒にいるんだよ!英雄はどうしたよ?」


ジャス君は後ろを向いているケインの肩を掴んで、文句を言うと

「おや?私に言っていたんですか?
て、誰かと思えば追放された。撫子のお仲間さんじゃないですか。
撫子と一緒にいるのはですね。
私が撫子と付き合っているからですよ」

「もう!ケインったら、そんな堂々と言わないでよ。恥ずかしい」


私は何かおかしいと思った。
撫子の様子がおかしい、恥ずかしいと言いながら笑っているけど、目が笑っていない?


「ねぇ、撫子?撫子だよね?
英雄君はどうしたの?」

 私も思わず、撫子達に近寄って聞いてしまった。


「えー、英雄君なら元の世界に帰っちゃったよ」


え?帰る事出来るの?確か、賢さんのご先祖様が帰る方法探したけど、見つからないままにこの世界に残ったって聞いたけど、城の人達は帰す方法を見つけたって言うの?


「ねぇ、そ、それってどうやって?
逆召喚とか?」


私は何となく嫌な予感がして、どうやって帰したかを聞いてみた。


「うーん、ケイン言っていい?」

「いいよ。撫子の手で帰したんだからね」

「えっとね。殺して元の世界に帰したの」


……私は一瞬思考が停止した。

え?、この子、今何言ったの?
殺した?英雄君を?
何で?意味分からない!


「ねえ、撫子?この世界で死んだら元の世界に戻れるの?」

「そうだよー、ケインやマーブル様がそう言ったんだから間違いないよ。
それに、殺したのは英雄君だけじゃないしね。もう、レベル上げの為に結構殺しちゃったよ」


嘘、こんなの撫子じゃない!
撫子は操られてるんでは無いだろうか!


「ケインさん、本当の撫子を返して下さい!
前に言ってた隷従の何とかで、撫子を操ってるんでしょ?こんなの撫子じゃないです!」


「煩いなぁ、撫子、お仲間達も一緒に元の世界に帰らせてあげようよ」

「そだねー、じゃあサッサと終わらせるから、ケイン、デートの続きをしてくれる?」

「勿論だとも、最後は何時ものキスだけでは終わらせないよ」


え?私達を殺すとかの話をしているなか、デートの話に持っていくの?


「撫子!アンタ自分が何言ってるか分かってるの?レベル上げるのに人を殺したとか、言ってるけど、どの位レベルが高いのよ」


「えー、どうしよっかなぁ。
ま、いっかぁ、今から死ぬんだし教えても!
私のレベルはね12だよ」

「え?12?22とか120とかじゃなくて?」

「そうだよー、凄いでしょー」


冗談を言ってる様には見えないところ、本気で12の様だけど低過ぎない?
私でさえ、レベルは20はあるのに?

私と撫子が話していると、ケインが抜き身の剣を構えて振り落として来た。
だけど、私に当たるギリギリの所をモブ君が止めてくれた。


ケインは撫子と話している私を殺そうとしていた。
モブ君が止めてくれなかったらと思うとゾッとする。

「モブ君、ありがとう」

「いえ、良いですけど貴方はこっちのアリスさんと、そちらの女性に戦わせようとしていた筈だけど、実際にはアンタが攻撃してきた。
俺はアリスさん達を守り、強くすると師匠と約束したんだ!
だから、アンタがこの人達を殺すというなら、俺が相手をしてやる」


モブ君がケインと対峙して、モブ君も剣を構えてケインと戦うみたい。
私はケインはモブ君に任せて、撫子の説得をしようと思って話しかけた。


「撫子、一旦此処を離れよう?
ケインさんの邪魔になりたくないでしょ?」

「クスクス、アリスも面白いね。
ケインが負ける訳が無いじゃない?
だから、邪魔にすらならないよ?」


 ダメだ、撫子は完全にケインを信頼?しきっている。
 私はジャス君と愛にアイコンタクトを取って撫子を囲んだ。
 そして、撫子の後ろに回ったジャス君が撫子を捕まえようとした瞬間、撫子の持ってた剣の柄がジャス君のお腹にメリ込んで、ジャス君は倒された。

愛も側面から掴もうとしていた所を、剣の鞘で叩かれて横に吹っ飛び、愛もジャス君とほぼ同時に倒された。

え?本当にレベル12なの?
と、疑うレベルでの動きだった。


「ねぇ、撫子、本当にレベル12なの?
動きがスムーズ過ぎる気がするんだけど」

「クスクスそうだよ。本当だよ?
ただし、何時もケインや城の兵士相手に訓練しているけどね?複数でね」


成る程、だから一人で多数の人の相手が出来るのか、でもだからって撫子を正気に戻すのを諦めた訳じゃない。

色々と考えていると、撫子が私に抜き身の剣で斬りかかってきた。

速い!反応出来なくて思わず目を瞑った。
すると『ガキン』と音がして恐る恐る目を開けると、ビビとポケ君が助けてくれた。


「アリス、仲間内の問題だろうから、手伝う気は無かったけど、アリスが危ないと思ったから手を出しちゃったけど、良かった?」

「ビビ、ありがとう。ポケ君もありがとう」


ビビは撫子の剣をダガーで受け止めて、ポケ君は槍を撫子の顔スレスレの所で止めていた。


「アリスばかり、こんなに仲間がいてズルイズルイ!
 ケイン!引こう!アリス、今回は私が引いてあげるけど、次は殺すからね!
街でも、後ろを気にしなよ?」


 撫子はそう言うと、後ろに飛んでケインの元に向かった。
 ケインはモブ君と睨めっこしたまま、剣を構えていただけだったから、撫子の言う事を聞いて剣を構えたまま、後ろに下がって撫子と消えて行った。


「「モブ!兄ちゃん!大丈夫だった?」」

「あぁ、あの人中々の強者だよ。
剣を交えてたら、俺負けていたかも知れない」


「やっぱり、城の騎士副団長の肩書きは伊達じゃないって事なのかな?
逃げられちゃったけど、さっきはありがとね。ビビとポケ君とモブ君」

私の騎士副団長と言う言葉に、3人は驚いているみたいだ。


「え?アリスさん副団長って?」

「実はね、私達はこの世界の住人じゃないの。それで、さっきの女の子は勇者でね。
この国の城の人達に召喚されて……」


と、私達がオジサンと会うまでの経緯と、オジサンと別れてまで残った事の説明を、モブ君達3人にした。

そして、これからの作戦や、強くなる為に何すれば良いかを一度宿に戻って、考える為にジャス君と愛を起こして宿に戻る事にした。




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