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第2章
第30話
しおりを挟む翌朝起きた時は、キャンプファイヤーは完全に燃え尽き、空の樽ばかりが転がっていた。
そして、昨夜起きた時にはまだ飲んでいた冒険者達は皆んな、酔い潰れて空の樽の側で寝ている。
今日には冒険者達を帰らそうと思ってたが、この状態の冒険者を見ると無理そうだ。
そう考えたのち、今日はトーラスを野に放とうと考えていたから、トーラスの元に向かってトーラスと繋がっているキャンピングカーの鎖を外して、トーラスを門の外側に連れて移動した。
そして、トーラスにはこの辺り一帯の三本角のボスになって貰わなくてはいけないから強くなって貰いたいと考えたが、トーラス連れて魔物退治する程、そんなに時間は多分無い!
だったらどうするかと言うと、前々から考えてた事を実行する事にした。
それは、トーラスに俺のパラメーターの一部を譲渡する事だ。
俺は自分がどの位あるかは分からないし確認しようとも思わないが、俺の半分でもトーラスに与える事が出来れば結構強くなれる筈だと考えた。
そして、トーラスの頭に手を置いて、トーラスに俺の力、俊敏度、体力を与える様、想像した。
すると、トーラスの身体が七色に変わる変わる輝いていって俺の身体が、ドッと疲れを感じて跪いてしまった。
恐らく成功したのだろう。
パラメーターはどのくらい減ったから気になったがまだ見ない様にした。
運は元々低い方だし運は譲渡しなくて良いだろうな。
それに元々のパラメーターを見てないから、どの程度減ったかを知ってもどうしようも無いからだ。
そして、トーラスを改めてみると輝きが消えて進化したのか?トーラスの頭と顔の角が三本から五本に増えていた。
それだけじゃなく、尻尾も棘が増えて身体も大きくなっている様だった。
そして、トーラスに語り再度この辺り一帯とこの村の守護を命じて、俺はトーラスの顔に抱き着き目を見つめた。
トーラスも「グルルル」と言いながらも俺の頭の中に直接【分かりました主】と語り聞こえた。
進化した事によってこういった事も出来るようになったのかと思い、安心して此処を任せる事が出来ると思った。
前は人の言葉を喋っているかの様に聞こえていたし、トーラスが主なんて言うのは初めて聞いた。
トーラスは俺から離れていき、牧草地の方角の三本角の群れに入って行った様に見える。
俺はその姿を見送った後、村に戻るとキャンピングカーの前に姐さんとシオンが立ち、俺を見て頷いていた。
俺が語らなくても分かっている風だった。
だから俺も何も言わないままに車の中に入ると、中で休んでいた筈のアリス達は既に起きていて俺が何も言わなくても分かっている風に出て行く支度していた。
そして今日王都に帰る組と明日帰る組と別れて、帰るように事前にシオンが指示を出していた様だ。
今日帰る組にはアリス達を含め、総勢45人程帰り、明日は残りの冒険者達が帰るようだ。
だから、今日出発する組には今回の報酬と帰った時のギルドで貰う分の報酬の木札を渡すべく、車の前に整列させて渡して行く。
今回の報酬は本来なら金貨一枚だが、俺はこの村の事を城の関係者や城にまつわる人に秘密に出来ると言う者だけ、一人当たり二枚渡して馬車を無事に王都のギルドに届けるとギルドで更に金貨一枚貰えるようにした。
冒険者達は皆、秘密に出来ると言っていたから信用して大丈夫だろう。
冒険者達も城の奴らに不満をかなり溜めているみたいだしな。
そして、モブとビビには御祝儀として、総額金貨十枚渡しアリスとモブを含めた冒険者達を見送った。
勿論、馬車には帰りの分の充分な食料を積んでと色々木箱に入れて乗せた。
アリスと愛は出来るだけ俺と一緒に居たかったみたいだったが、一緒にいればいるほど別れが辛くなると思ったから今日、他の冒険者達と帰らせたのだ。
カミラとキャロも今日帰らせたかったのだが、二人とも二日酔いでフラフラな為、明日帰る組になってしまった。
今日は昨夜子供達が馬車で寝ていた理由を聞くべく、動いて聞きに向かうと子供達は既に昨日俺が作った公園で遊んでおり、誰か聞ける人を探してみるとアビーさんの妹のヴァレリさんを見つけ話を聞いてみる事にした。
「おはようございます、昨夜は家を使わずに子供達は馬車の中で寝られた様ですが、どうされたんですか?」
「んあ、ああ、あんだが、家で寝ようと思っでだが、ベッドが無くでな馬車からも荷物を誰も降ろじでながったんだよ」
成る程、昨日は色々な家々に夢中になっていたのと俺が説明の為に連れ回した所為で、そういった作業が出来なかったって事か!
子供達も作業を手伝わせたかったらしいが、
俺が公園なんか作ったもんだからアッチに夢中になって、何も出来なかったという事なんだな。
じゃあ、これからヴァレリさんを含めた手の空いてそうな人を連れて、家々に家具や荷物運びをして行こうかね。
そう考えていると、既に昨日のうちにヴァレリさんや他の代表者達と話し合って、動いているようだった。
子供達については、俺の此処でそれぞれ好き好きに、伸び伸び育って欲しいって気持ちを考えて、好きにさせている様だった。
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