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第2章

第27話

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俺が姐さんの所に着く頃には完全に日が落ち暗くなっていたが、姐さん達は火を囲んでいたから直ぐに見つける事が出来た。


「姐さん、何で来てないんだ?これから新しい村で食事があるから来ないと無くなるよ?」

「ミーツちゃん遅いわよ!あたしはトーラスちゃんのお世話に、馬のお世話に村には向かわなかった人の護衛をしてたのよ!」


ありゃ、そうだったのか!
しまったな。シオンを見るとシオンは不機嫌そうに俺を睨んでいるし、そんなに呼びに来るの遅かったかな?


「それは悪かったね。
謝るよ、ゴメンなさい、シオンも悪かったな!じゃあ、馬車ごと残りの行かなかった人達も含めて行こうか!」


俺がそう言うとシオンが俺に急に近づいて来た。


「昨日ダンクから聞いていたから、先に一発かましておくぞ!」


そう言って俺の頭に拳骨してきた。
前にやられた時より痛い!
今の一撃はかなりの力が込められていた様で、この前とよりキツく、視界が真っ白に見えてあの時と同じ様にチカチカ星が飛んで見えた。

俺はその場に蹲ってしまったが、あの時と違ってレベルが結構上がったからか?直ぐに回復して立ち上がる事ができた。


「な!お前今レベルいくつだ?
俺の今の一撃で直ぐ立ち上がれるなんてちょっとやそっとのステータスじゃありえないぞ!」

「そうなのか?因みにレベルは現在47だよ。
あと少しでシオンに追いつくな」

「何でそんなに高いんだよ!
この前までレベル1で手加減の拳骨一発で死にそうな状態だったのに・・・」

「シオンも大変だな?怒ったり突っ込んだりしてさ、ホラ早くしないと魔クジラが無くなっちまうよ?」

「はぁ~、もういい!疲れたぞ俺は!
それよりも、俺の聞き間違いか?
魔クジラって聞こえたんだが」


「言ったよ?昨夜に狩ってI.Bに入れていたんだ。あ、因みにI.Bってのはアイテムボックスってやつだから、目の見えないマジックバックみたいな物だと思ってくれたらいいよ」

「な!なにーー!魔クジラをそんなサラっと狩って来たとか言うか!
あれは王族でも中々食えないんだぞ!
お前はアレの価値を軽く見過ぎだ!」


シオンは血相を変えて、たった今疲れたとか言っていたのに興奮して早口で捲し立ててきた。
そして、ゆっくりとトーラスの歩みと一緒に歩いていたが、魔クジラの事を言った途端叫びながら村の方角に走り去ってしまった。


「て、え?何で?シオンが叫んで走って行くほど魔クジラってそんなに凄いのか?」

「あらあら、シオンちゃん可愛いわ♡
ミーツちゃん、あたし達も急ぎましょう」


そう姐さんが言うとトーラスの御者をしていた姐さんが、トーラスを走らせてシオンを追いかける様に行ってしまった。


残った俺と馬車と一緒にいた他の冒険者や村人達はポカ~ンとしていたが、直ぐに我に帰って皆んなに馬車に乗る様に、指示して姐さん達を追いかけて村の方に走って追いかけたが、村に着くまでに追いつけなかった。

村の中に入った入口にはトーラスと姐さんが一緒に俺達を待ってくれていたが、姐さんは俺が入って来るのを確認すると、シオンの名前を呼びながら走って行ってしまった。


俺や周りの人等は、ちょっと苦笑いをしながら歩くのが辛そうな老人は一台の馬車に乗せて、それ以外の馬車は入口付近に置いて門を閉めた。

トーラスにはキャベツやレタスなど様々な野菜を山盛りで出してやり、馬達にも干草や人参などをトーラスから離して出して振る舞った。

俺と一緒に馬車と冒険者は、魔クジラが解体されているであろう場所に向かったが、まだまだ解体されてはおらず、半分も終わってなかった。

それはその筈で魔クジラを全員で解体してなかったからだ。
一緒に出した魔ドルや牛魔を解体して、料理の手伝いなどをしているグループもチラホラいたからだった。

先程の走り去って行ってしまったシオンを見ると、シオンが他の冒険者達に指示を出しながら解体を率先してやってくれていた。
そんなに早く食べたいのか?

でも、早くしないと肉も悪くなりそうだったから、俺がやろうと動き出すと、魔クジラの向こう側の俺の位置から見えない場所から賢の声がかかり、ダニエルがやってくれるそうだ。

そして、ダニエルが俺達の方に回り込んで手を魔クジラに触れ眼を閉じる事数秒、あんな大きな物が一瞬でバラバラになった。

ちゃんと、素材と肉と分けてバラバラにしてあったからスキルでやったのは分かるが、どういったスキルだろうか。

もう、聞ける機会なんて無いだろうけど
俺が『大和』にいる間に会えれば聞きたいな。


そう考えていると、シオンに全部は今夜では食えないだろうから半分は仕舞い込んでろと指示されたから、素材は冒険者達にやるから、邪魔にならない場所に避けて、魔クジラの半分の肉はI.Bに入れた。

料理も次々と出来あがり、と言ってもただ焼くだけか、スープに少しずつ入れているだけなんだが大体の料理が終わって皆んなに行き渡るくらいになった所で村の最初の宴とした。









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