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第二十七話

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第二十七話

 奥様の部屋から退出して向かったのは、食堂だけど食堂ではメイド達が後片付けをしていたから、シャルロット様は食事は終わらせた様だ。

次に向かったのはシャルロット様の勉強部屋で扉をソーッと開けると、シャルロット様はあの厳しいメイドに、言葉使いと貴族の立ち振る舞いの勉強をさせられていた。

「お嬢様!何時迄も、でしゅましゅ口調では困りますよ」

「もー、タナのお勉強はイヤでしゅ」


でしゅましゅ口調は俺も気にはなってたけど、大きくなれば自然と言わなくなるんじゃないか?

まぁ、でも今からでも直せたら直した方が良いし、言葉使いに関したら俺もあのメイドに同意見だな。

と、考えて見てる場合じゃなかったな。
俺は気配を薄くする魔法を使い、シャルロット様に近づいて後ろから「だーれだ」とシャルロット様の目を覆い隠して、言うと同時に魔法を解くといった行動を取った。


「え?誰でしゅ?タナ、これ誰でしゅか?」

「え、貴方いつ入って来て、ここまで近づいてきたんですか?ノックはしました?奴隷の貴方が気軽に入ってはいけませんよ」

「でも、僕はシャルロット様の世話係ですよ?それに昨日は見学だけなら、しても良いと言ってましたよね」

「そんな事、忘れました」

「昨日の事なのに忘れるんですか?ボケがもう始まる程、お年を重ねられいてるんですね。
見た目に反して意外と、お年を召されてるんですね。
シャルロット様を教える立場なのに、そんな物覚えの悪くて大丈夫なんですか?」

「え?え?アーテル?アーテルだぁ」


俺がメイドと言い争っている時にシャルロット様は俺を言い当て、俺の手を退けて凄い笑顔で振り向いて来た。

「クッ、何なんですか!
何しに来たんですか!」


あ、言い過ぎた様だ。メイドが涙目になっている。そして、本題を言わなくてはいけないけどシャルロット様はどんな反応するかな?


「あー、そうでした。そうでした。これからご主人様の準備が整い次第、僕は奥様に必要な果物を取る為に外出するので、シャルロット様にしばらく留守にする事を伝えに来たんです」

「えー、アーテルどこか行くの?
わたちも行く!」

「申し訳ございません、僕が行く所は少々危険な場所なので、シャルロット様は連れて行けません」

「ヤダ、わたちも行く!」


うーん、何も言わずに行った方が良かったかな?自分も着いて行くと言い、俺に抱き付いて離れる様子が無い。

「奥様を助ける為に出掛けるので、シャルロット様は奥様に着いて居て下さい。
虹の実を食べないと、お腹の子も奥様も危険なんですよ」

「お母しゃまが危険?」

「そうです。今の奥様だとシャルロット様の弟君か妹君も産まれなく、お腹の中で亡くなって死産の可能性もあります」

あ、難し過ぎたか?
さっき涙目になってたメイドもシャルロット様も。顔を傾げて頭に?が浮いている。


「まぁ、意味が分からなくても要は、シャルロット様はシャルロット様のお母様に着いていてあげて下さいって事です。
僕もなるべく早く帰って来ますから」

そこまで言えば納得したのか、俺に抱き付いていたシャルロット様は離れてくれた。

「そう言う事なので、僕はこれからご主人様の元に行ってきます」


そう言って部屋から退出して、一応ドランに簡単に食べられる物があるかを聞きに、厨房に向かった。

「ねぇ、何か簡単に食べられる物ある?」

「あ、アニキ済みません。お嬢が朝から沢山食べて、パンくらいしか残って無いんですぜ」

「そうなんだ。でもパンがあるならパンで良いから貰える?」

俺がそう言うと、ドランとボブがバスケットいっぱいにパンを入れて持って来てくれた。
 俺がバスケットを受け取り厨房から出ようとすると、ボブが話しかけてきた。


「大アニキ、何処かに行くんですか?」

「うん、ちょっとジャイアントゴングの所に、急ぎで里帰りと遊びにね」

「「はあ?」」

ドランとボブは二人して驚き、意味分からない風に呆けているが、俺は気にしないで厨房を出ようとすると、二人に掴まれてしまった。

「ちょっと、急がないといけないんだけどな」

「その前に大アニキ、何でジャイアントゴングなんすか?」

「言って無かったっけ?僕は0歳~3歳迄ジャイアントゴングに育てられたんだ。
正確に言えば、ジャイアントゴングの子供にだけどね。
本当に急がないと行けないから、詳しくは帰って来てからでいいかな?
良いよね?そうでないと二人には気絶してもらわないといけなくなるからね?」

俺がそう言うと二人は手を離した。
手を離したその隙に、厨房から出てご主人様の元に向かった。

ご主人様の部屋をノックして返事が有るまで待ってると、俺の後ろから返事が返ってきた。

「アーテル丁度良かったな。
奴隷の首輪を探していたんだ」

「奴隷の首輪なんて何処にでも、有るんじゃないんですか?メイド以外の奴隷の人達は首輪してますよ?」

メイドでも下っ端のミーナとかは、首輪ではなくチョーカーを着けていた。


「お前に着けるのは特別製だ。
奴隷の首輪でも、私の名前入りだからな。
一筆も既に書いてあるから、とりあえず私の部屋に入りなさい」


そう、ご主人様の言葉に従って、ご主人様が部屋に入ったのを確認した後に俺も入った。


「では、着けるぞ?跪け。
エドガー・トパーズ・ゴールドリバーの名において命ずる!
私の所有物の奴隷アーテルよ!
私の命令によってレインボーフルーツを取ってくる事を命令する」


ご主人様の言う通りに跪いていると、ご主人様が大きな声を出しながら首輪を俺に着けた。首輪は俺に嵌めるには大きい様に見えたが、ご主人様が俺に首輪を嵌めた瞬間、俺の首のサイズに縮んでフィットした。

前に奴隷商の所で嵌めた物と同じ様な物だろう。それにしても、初めてご主人様の名前を聞いたけどエドガー様って言うんだ。

「一筆書いたが、鞄は持っているのか?」

あー、無限収納を持ってる事を言うの忘れていたけど、魔法以上に面倒な事になりそうだし、バックを借りて行った方がいいかな?
帰る時に屋敷に戻る直前にでも、バックごと無限収納から出せばいいかな?

「持ってないので、ご主人様のバックをお借りしてもよろしいでしょうか?」

「うむ、お前は魔法があるから必要無いと思ったが、その辺りは普通なんだな。
持って来てやるから、屋敷の入口で待ってろ」

ご主人様がそう言うと、部屋から出て行った。
俺はご主人様の言う通りにして、屋敷の玄関に向かうと玄関にはエマさんが待ち構えていた。


「アーテルさん、どちらに行かれるんですか?」

「ご主人様の命令で、とある果実を取りに行く所です」

「旦那様の命令って、何で貴方みたいな子供に取りに行かせるんです?」

「それは僕が特殊な力を持っているってのと、特殊な環境で育ったので、ちょっと里帰り的な意味合いも含めて出掛けるんです。
もし、それで納得出来ないなら、僕が出て行った後にでも、ご主人様に聞いて下さい」


エマさんと話していると、ご主人様が小さなバックを持って玄関に来てくれた。

「アーテル、この鞄は見た目に反して物が多めに入る魔法の鞄なんだぞ。
我が家の宝物庫から持って来たんだ。
無くすなよ?だから無事に戻って来い!
レインボーフルーツの事は任せた」

「では、行ってきます。
でも先ずは、奴隷商人の屋敷がどちらの方面にあるかを教えて貰えないでしょうか」

俺がそう言うと、ご主人様は玄関の扉を開けて指差して方向を教えてくれた。

さていざ行かんと一歩踏み出した所で、シャルロット様が見送りに来てくれた。

「ハァハァ、アーテル、行ってらっしゃい」

息を切らして、俺に行ってらっしゃいを言う為に来てくれた事が嬉しかった。
この世界に来て初めて言われた事でもあるから、ニヤける顔が隠せない程に嬉しかった。


「では、ご主人様、シャルロット様、エマさん、行って来ます!
あ、言い忘れる所でしたが、厨房に奥様用の水を入れた樽を置いてますので、後ででも取りに行って下さいね」

そう言って俺はご主人様の指差した方向に走り出した。

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