付加魔法は自分のために

仙堂レイ

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第一章:日常の終わり

新たな自分-11

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 そりゃあまぁ、元々一緒に食べる予定だったんだし、量が多いのはおかしくないよな。

「大丈夫、それくらい食べ切れるから」
「はいダウト。湊ってば、元々少食なのにそんなに食べれないでしょ」

 やはり、こっちのことはお見通しか。
 まぁ、食べろと言われたら食べられない訳ではないが、キツいだろうな。

「そ、それくらい、余裕だし」
「無理だって~」
「俺が乃亜先輩の作った物を残すはずないだろ」
「はにゃ!?」

 よほど驚いたのか、赤くなって目を白黒させている乃亜先輩。
 ……だから、何故に赤くなるんだ?

「とにかく、帰らないと……!」
「湊、あれ……」
「今更なに、が……!?」

 おいおい、嘘だろ……?
 どうして、こんな時に……!

「これじゃあ、帰れなんて言えないね♪」
「あぁ、はいはい。俺の負けだよ」

 ったく、まったくどうしてこう空気を読めないかねぇ。

「まさか、ここで雨が降るとはなぁ……」
「ホント、偶然ってすごいね♪」
「何で楽しそうなんだですか貴方は……」

 ここに来て、まさかの雨である。
 天の野郎、気まぐれなんてレベルじゃねぇぞ。

 ともかく、これで乃亜先輩の要求が断れなくなった。
 ……というかこれ、もしかして最悪泊まり?

「なぁ、一応聞きたいんだが……」
「あ、そうそう。寝る時って、湊は上と下、どっちが良い?」
「!?」

 ばっ、えぇ!?
 一体な、何を言ってんのいきなり!?

「ちなみに、ボクはやっぱり上かなぁ……」
「お、おい。ちょっと落ち着け!?」

 いや、落ち着かないといけないのは俺だ。
 とりあえず、言葉の意味を考えろ。

 そう、あの乃亜先輩だ。
 きっと、何か勘違いをしているはずだ。

「え?湊も上が良いの?でも、ボクが上の方がいろいろと都合良くない?」

 邪念よ消えろ!
 何でも意味深な言葉として捉えるなぁ!

 相手は乃亜先輩だぞ、変な気持ちを抱いてどうする。

「な、なぁ、乃亜先輩や?」
「ん?どうしたの?」
「どうして泊まる気でいらっしゃるので?」
「そりゃ、こんな雨の中、それこそうら若き乙女を放置しようというの?」

 自分で言いましたよこの人。
 いやまぁ、客観的に見ても、うら若き乙女ですけども。

「で、だ……。どうしてまた上とか下とか言ってんの?」
「だって、重要なことでしょ?」
「そりゃ、そうかもだけどさ……」

 何だ?この一見して噛み合っている様な会話。
 いや違う、絶対に噛み合っていないはずだ。

「昔はよく一緒に寝てたけどね」
「そんなの、小学生位までだろ」

 もちろん、変な意味ではなく、普通に遊んでて寝落ちとかしてただけだ。

 二人共ゲーム好きで、昔はよく一緒に集まってしてたな。
 今じゃ、ネットがあるから離れてても一緒にする事は出来るけど、あの集まった時のワイワイ感が懐かしくもあるな。

 ……ん?昔?
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