3 / 12
第一章:日常の終わり
新たな自分-3
しおりを挟む
一之瀬乃亜先輩。
その男勝りなサバサバした親しみやすい性格と、そこからは考えられないくらい気遣いの出来る人で、後輩からの人気は高い。
しかし、どういう訳か色恋沙汰の話はまったく聞かないんだよな。
見た目美人で可愛い系も併せ持つ、素材は良い人なんだが。
ちなみに、あくまでこれは客観的視点であり、俺からするとお節介な幼馴染みという印象が強い。
いやまぁ、モテないってのは分からないけどな。絶対、人気ないはずないんだから。
「残念ながら、俺に考えなんてないぞ?」
「はいはい、ボクに嘘は吐かないの。あんなの見て、湊が何もしようとしないわけないでしょ?」
「そん……いや、その通りだけどさ」
この人に隠し事は無理だとは思ったが、そうあっさり見破られるのは何か尺だな。
「でも、そんな大層なもんじゃねぇぞ?」
「いいっていいって。どうせ、それでなんとかしちゃうんだからさ」
酷い言われようだが、これは褒められているんだろう多分。そう言う事にしとこう、うん。
だが、実際に謙遜なんかじゃなく微妙なラインなのは確かだ。
宛があるというよりは、数撃てば当たるだろうというただの物量作戦だしな。
「それで、俺のところに来たってことは……」
「もちろん、ボクの分も何とかしてくれると思ってね」
これである。
乃亜先輩が頼み事をしてくる時は、基本厄介というか面倒くさい事が多い。
今回なんて、メーカーが分からなければ販売台数や販売店等、何も情報がない中で手に入るかも分からない物をもう一つ集めるのは、至難の業だろう。
だが、断るかと言われたらそれはノーだ。
「ねぇ……駄目かな?」
グハッ!
「べ、別に、一台も二台もそんな変わらないし、大丈夫だけどさ」
「そっか、さすが湊だね」
ーーー!!
そう、この上目遣いと笑顔の破壊力。これで、断るという方が無理だ。
毎度の事だが、こうされると選択肢なんてなくなる。
どれだけ面倒くさかろうが、理不尽だろうが、メリットが無かろうが、そんなことは些細な事に過ぎなくなる。
何より大事なのが、あの笑顔になるのだから。
告白された事なんかない(本人談)とか、絶対に信じられない。
最も、昔から結構一緒にいるが、男の影は感じた事すら無いんだけどさ。
あ、あと、この話題に関してというか、俺に関しては最初から拒否権は存在しない。
上目遣い→笑顔のコンボもだが、それ以上に断るといろいろヤバいのだ。
何と言うか、昔の事を掘り出して、社会的に抹殺される。
もちろん、最初から断るつもりなんか無いし、こうなるから会いたくはなかったんだがもう遅いか……。
「それで?具体的にはどうするつもりなの?」
「あ、あぁ。とりあえず、先立つ物を集めないとな」
「ボク、そんなに持ってないよ?」
「今は、お金よりも情報が一番だ」
そう、こういった事態の場合、一番役立つのは新鮮で確実な情報だ。
そして、それを手に入れられる場所と言えばあそこしかないよな。
その男勝りなサバサバした親しみやすい性格と、そこからは考えられないくらい気遣いの出来る人で、後輩からの人気は高い。
しかし、どういう訳か色恋沙汰の話はまったく聞かないんだよな。
見た目美人で可愛い系も併せ持つ、素材は良い人なんだが。
ちなみに、あくまでこれは客観的視点であり、俺からするとお節介な幼馴染みという印象が強い。
いやまぁ、モテないってのは分からないけどな。絶対、人気ないはずないんだから。
「残念ながら、俺に考えなんてないぞ?」
「はいはい、ボクに嘘は吐かないの。あんなの見て、湊が何もしようとしないわけないでしょ?」
「そん……いや、その通りだけどさ」
この人に隠し事は無理だとは思ったが、そうあっさり見破られるのは何か尺だな。
「でも、そんな大層なもんじゃねぇぞ?」
「いいっていいって。どうせ、それでなんとかしちゃうんだからさ」
酷い言われようだが、これは褒められているんだろう多分。そう言う事にしとこう、うん。
だが、実際に謙遜なんかじゃなく微妙なラインなのは確かだ。
宛があるというよりは、数撃てば当たるだろうというただの物量作戦だしな。
「それで、俺のところに来たってことは……」
「もちろん、ボクの分も何とかしてくれると思ってね」
これである。
乃亜先輩が頼み事をしてくる時は、基本厄介というか面倒くさい事が多い。
今回なんて、メーカーが分からなければ販売台数や販売店等、何も情報がない中で手に入るかも分からない物をもう一つ集めるのは、至難の業だろう。
だが、断るかと言われたらそれはノーだ。
「ねぇ……駄目かな?」
グハッ!
「べ、別に、一台も二台もそんな変わらないし、大丈夫だけどさ」
「そっか、さすが湊だね」
ーーー!!
そう、この上目遣いと笑顔の破壊力。これで、断るという方が無理だ。
毎度の事だが、こうされると選択肢なんてなくなる。
どれだけ面倒くさかろうが、理不尽だろうが、メリットが無かろうが、そんなことは些細な事に過ぎなくなる。
何より大事なのが、あの笑顔になるのだから。
告白された事なんかない(本人談)とか、絶対に信じられない。
最も、昔から結構一緒にいるが、男の影は感じた事すら無いんだけどさ。
あ、あと、この話題に関してというか、俺に関しては最初から拒否権は存在しない。
上目遣い→笑顔のコンボもだが、それ以上に断るといろいろヤバいのだ。
何と言うか、昔の事を掘り出して、社会的に抹殺される。
もちろん、最初から断るつもりなんか無いし、こうなるから会いたくはなかったんだがもう遅いか……。
「それで?具体的にはどうするつもりなの?」
「あ、あぁ。とりあえず、先立つ物を集めないとな」
「ボク、そんなに持ってないよ?」
「今は、お金よりも情報が一番だ」
そう、こういった事態の場合、一番役立つのは新鮮で確実な情報だ。
そして、それを手に入れられる場所と言えばあそこしかないよな。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。


孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下
akechi
ファンタジー
ルル8歳
赤子の時にはもう孤児院にいた。
孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。
それに貴方…国王陛下ですよね?
*コメディ寄りです。
不定期更新です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる