上 下
18 / 20
第二章

18 107Sランクジャイアントオーガ

しおりを挟む


 ジャイアントオーガは近づけば近づくほどに大きく見える。
 その身長はリベルの軽く三倍はあろう。あんなのがいたら、転移門が塞がれてしまうのも無理もない。

 ジャイアントオーガは付近にいた冒険者をあらかた打ち倒し、街路を悠々と歩いてくる。それを見て、逃げ出す冒険者も少なくない。

「さあ、相手をしてもらおうか」

 リベルは狙いを定めると、一気に駆け抜ける。
 そして敵の懐へと潜り込むと、剣を叩き込んだ。

 ガキィン!

「くっ……硬いな!」

 剣は皮膚をわずかに傷つけるばかり。致命傷にはほど遠い。
 そしてジャイアントオーガは今の一撃で彼の存在に気がついてしまった。

 右足を後ろに軽く引く。蹴りを放つつもりのようだ。
 巨体ゆえに動きはさほど早くない。

 蹴りが放たれてもなお、リベルには余裕があった。
 ――躱せる。

 巨体だからこそ、繊細な動きはできない。
 リベルは敵の動きをしかと捉えてタイミングを見計らう。

 彼が足に力を込めた直後――

「ぐはっ!?」

 いつの間にか、彼の体は宙に舞い上がっていた。
 遅れてすさまじい衝撃に気がつく。彼の口からはごぽっと音を立てて血が噴き出した。

「リベルくん!」

 アマネが叫び、クルルシアが作り出した銀の板を足場に跳んでくる。
 受け止められつつ、リベルは敵を睨む。

「なにが……起きた」
「わからないよ。いきなりオーガの攻撃が見えなくなったと思ったら、リベルくんが吹っ飛んで……」
「100S階層の連中は、時間をも制御できるという話は本当だったのか」
「だったら、勝てっこないよ。逃げようよ」
「そんなわけにいくか。ちょうどいい相手が現れたんだ。ここで乗り越えていかなくてどうする……!」

 リベルは闘争心を剥き出しにしつつ、ジャイアントオーガを観察する。

 他の冒険者を蹴散らす様子から見るに、その能力は一瞬しか使えないようだ。まだ100S階層の魔物でも、ランクが低い方なのかもしれない。

 ほんの一瞬だけ、攻撃の際に見えなくなる瞬間がある。
 そこで能力を発動させているのだろう。連続して使っている気配はない。

「敵の攻撃を一発、なんとか耐える。そして反撃する」
「……リベル! 無茶よ! あんなのもう一発も耐えられる体力、残ってないでしょ!?」
「だからクルル、頼む。俺を守ってくれ」
「もう、無茶言って……! どうせ止めても聞かないんでしょ?」
「ああ。よくわかってるじゃないか」

 泣きそうな顔になるクルルであるが、幾度も修羅場をくぐってきている。
 ぐっと杖を握ると、ジャイアントオーガを睨みつけた。

「一発だけだからね。それ以上は持たないから」
「ああ。それでいい」
「本当に……馬鹿なんだから」
「アマネも頼む」
「おっけー。なにすればいい?」
「目くらましを。俺が敵に近づくために」
「任せて!」

 策が決まったときには、もうジャイアントオーガは間近に迫ってきていた。
 どこかで時間を操ったのだろう、想定よりも距離は近い。
 明らかにリベルを追撃しようとしている。

「せっかちなやつめ」
「リベルくんが言うこと?」

 アマネに呆れられつつ、リベルは動き出す。
 先ほどの攻撃を受けたせいで、体はまだ痛んでいる。だが気合いは十分。剣も一発振れればいい。それが当たらなければ、反撃でやられるだけなのだから。

 もはや美しかった家々は崩れ、周囲に隠れる場所はない。
 すっかり見晴らしがよくなり、どこからでも見えるようになった彼らを、オーガや冒険者たちは遠巻きに眺めていた。

 そして――

「グガァアアアアアアア!」

 ジャイアントオーガの拳が迫る。
 その直後、わずかな魔力の揺らぎが感じられる。時間の制御の前触れだ。

「リベル!」

 クルルシアは杖を掲げると、銀の盾を生み出した。
 それが彼とジャイアントオーガの間に入り込むや否や、甲高い音が響いた。

 続いて赤々とした炎が舞い上がる。それはリベルの姿を隠し、オーガの目を眩ませる。

「行って!」

 アマネの声を受けて、リベルは駆け出した。
 一瞬にしてジャイアントオーガの背後に回り込み、跳躍。首へと狙いを定めると、瞬間的に魔力を高めた。

 彼の周囲が歪むほど高密度の魔力が、剣身に絡みついていく。
 ぞっとするほど強く、禍々しいほどに濃く輝きを増していく。

 そして――

「せぇい!」

 勢いよく剣が放たれると、魔力が刃となって襲いかかる。
 ジャイアントオーガの首に食い込むと、血を噴き出させながら突き進んでいく。

「グォオオオオオ!」

 断末魔の悲鳴が上がる。
 魔力の刃は薄く小さくなりながら、オーガの首を抉り取る。その先端がなかばほどを過ぎて脊椎を分断したところで、ふっと消え去った。

 首はほとんど落ちたも同然。
 もはやジャイアントオーガの命はあと幾ばくか。

 リベルが勝利を確信するや否や、ジャイアントオーガの首がぐるりと振り返った。その衝撃で完全に首は落ちて地に転がり落ちるも、体のほうはその一瞬でリベルへと狙いを定めている。

「リベルくん!」
「リベル!」

 二人の声が響く中、リベルは迫る拳を見据える。

 空中ゆえに、うまく移動して回避するのは不可能。剣で凌ぐのも無理だ。すでに剣身はぼろぼろになっているし、逸らすのも力の差がありすぎる。

 一発受けて耐える。無理だ。ヒビの入った骨が砕け散るだろう。

 じっと待っていれば、なすすべもなく死がやってくる。
 この状況を打破するには――

「やるしかないよな。さあ、やってみせるんだ」

 自分を鼓舞しながら、リベルは意識を集中させる。
 直後、彼の姿がかき消えた。ジャイアントオーガの拳は空を切った。

「リベルくん、どこ!?」
「こっちだ。助けてくれ!」

 先ほどまで彼がいた場所よりもずっと下方で、彼は落下していた。
 アマネは急いで駆け寄ると、リベルをキャッチする。ジャイアントオーガの追撃を気にするが、巨体はもはや倒れ込むことしかできなかった。

「リベルくん、なにしたの?」
「ただ落下しただけだ」
「ええ……」
「ちょっとだけ、時間は早めたんだけどな」

 体がうまく動かなかったから、時間だけを早くして落下したのだ。それにより敵の攻撃を躱したと言うことである。

「ぶっつけ本番で、成功させちゃうなんて……」
「すごいだろ?」
「うーん、そうなんだけど……」
「リベルの馬鹿! すごい馬鹿よ!」

 走ってくるクルルシアは何度も何度も暴言を吐く。
 ちょっぴり涙目になりながら。

「でもまあ、なんとか成功しただろ」
「しなかったらどうするつもりだったの!」
「さあて、これで俺も100Sランクの仲間入りか」
「そうやって、すぐに話を逸らそうとするんだから」
「逸らそうとしてるんじゃなくて、リベルくんはそれしか頭にないだけかもしれないよ」
「まあな」
「威張るんじゃないの! まったく!」

 そんな戦いの余韻に浸っている間にも、残るオーガは冒険者たちによってすべて打ち倒されていた。

 ジャイアントオーガさえいなければ、倒すのは造作もない。

「さて、帰りは転移門を使おうか。魔導車は壊れちまったからな」

 そう思って、そちらに視線を向けると――

 バキ、ゴキゴキ。

 音を立てて、現れる存在がある。
 ジャイアントオーガが一体、二体……その数は十を超えてなお増え続ける。

「はは……そりゃ渋滞するわけだ」
「どうするのリベル!?」
「逃げよう、さすがにこれは無理だ」

 彼らは市壁に向かって走り出すが、敵はどんどん近づいてくる。

「逃げ切れないよ! どうしよう!?」
「冒険者たちが援護してくれりゃ……ああもう、全員逃げちまったな」
「もう、なんとかしてよリベル!」
「そう言われても……走るのですら精一杯なんだが」

 もはや満身創痍で、戦う気力も残っていない。
 いや、それは嘘だ。気力だけは十分すぎる。本音を言えば、あれらすべてと戦いたいくらいである。
 が、いかんせん体がついてこない。残念ながら。

 ひたすら足を動かしている間にも敵は増え続けて、今やその数は百を超えている。
 あんなのに占拠されたら、いったい誰が手出しできようか――。

 リベルがそう考えた直後、まばゆい光が生じた。
 それはすべてのジャイアントオーガを包み込んだかと思えば、敵の姿は跡形もなく消え去っていた。

 なにが起きたのか。
 ただ一つ明らかなのは、さらなる強い存在がやったということ。
 こんな状況だというのに、リベルの胸は高鳴っていた。

「リベルさん、お久しぶりですね」

 柔らかな声音には聞き覚えがあった。

「ミレイか」
「ピンポン! ご名答です!」

 軽い口調のミレイは、いつしかリベルの前に来ていた。

「お手合わせの約束、果たしに来てくれたと見ていいだろうか」
「ぶー。ハズレです。まだまだリベルさんは未熟ですからね」
「そうか。後の楽しみに取っておこう」
「ふふ、追いかけられるのも悪くないですね」

 ミレイがわざとらしくはにかむと、クルルシアが口を尖らせる。

「ちょっと、リベルを唆さないでよ」
「あら、リベルさんが自主的に追いかけてるだけですよ」
「この女狐……!」
「あの、私もあなたも狐なんですが」
「あたしも!」
「おいおい、喧嘩するなよ」
「リベルのせいでしょ!」
「リベルさんのせいですね」
「リベルくんが悪いね」

 一斉に三人に見られて、リベルは口を閉ざした。
 もうなにも言わないでおこう、と。

 が、そう思ったのも束の間、好奇心に負けた。

「ミレイはこのジャイアントオーガを退治しに来たのか?」
「違いますよう。私はもっと上の階層にいるので、本来はここに来ることはないんですよ。ちょっぴり休暇ができたので、リベルさんの様子を見にきたら、困っていたみたいなので助けてあげました」
「なるほど。それは助かった」
「いえいえ、どういたしまして」

 ミレイはにっこりと微笑むと、くるりと背を向けた。

「それじゃあ、私は行きますね。忙しいので。こちらとは時間の流れが違うので、あんまり長居はできないんですよ。リベルさん、もっと強くなってくださいね」
「あ、ちょっと――」

 クルルシアが呼び止めるや否や、ミレイの姿は消えていた。

「……なんだったのよ」
「もう少し有意義な質問をすればよかったな」

 リベルは呟きつつ、ミレイを思い浮かべて「いつかその高みに辿り着いてみせよう」と気合いを入れるのだった。

 やがて転移門が正常に動き出すと、近くの町から続々と応援がやってくる。
 が、すでにジャイアントオーガは消し飛ばされてしまった。だからぽかんとするばかりである。

「さあ、次は100Sランク階層だ。楽しみだな」
「もう、リベル! 私たちはまだなんだけど」
「仕方ないな。ちょっとだけ待ってやろう」
「リベルくん、いい気になってるなあ。すぐに追いついちゃうんだからね!」

 賑やかな彼らは戦いの余韻を楽しむ。
 その数日後、彼らは新たな階層へと進むのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界でもプログラム

北きつね
ファンタジー
 俺は、元プログラマ・・・違うな。社内の便利屋。火消し部隊を率いていた。  とあるシステムのデスマの最中に、SIer の不正が発覚。  火消しに奔走する日々。俺はどうやらシステムのカットオーバの日を見ることができなかったようだ。  転生先は、魔物も存在する、剣と魔法の世界。  魔法がをプログラムのように作り込むことができる。俺は、異世界でもプログラムを作ることができる! ---  こんな生涯をプログラマとして過ごした男が転生した世界が、魔法を”プログラム”する世界。  彼は、プログラムの知識を利用して、魔法を編み上げていく。 注)第七話+幕間2話は、現実世界の話で転生前です。IT業界の事が書かれています。   実際にあった話ではありません。”絶対”に違います。知り合いのIT業界の人に聞いたりしないでください。   第八話からが、一般的な転生ものになっています。テンプレ通りです。 注)作者が楽しむ為に書いています。   誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第直していきますが、更新はまとめてになります。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

名無しの勇者は隠しスキルで最強を目指す

佐竹アキノリ
ファンタジー
とある年齢になると、女神から魔物と戦う加護――職業と祝福が与えられる世界。勇者候補の少年アルトゥスは、勇者となるべく訓練していた。 やがて彼は女神から加護を授かる儀式に挑み、晴れて勇者となる。しかし、誰にでも一つ与えられるはずの祝福が得られなかった。祝福は勇者の二つ名としても使われるため、名無しの勇者となってしまい、同じく勇者候補だった少年たちから侮られて居場所を失ってしまう。 それでも諦めきれなかったアルトゥスは力を求めて旅をする中で、祝福を持たないのではなく、それこそが彼の能力であると気がつく。隠しスキルを武器に、彼は最強の名無しの勇者を目指す。 ※小説家になろうでも投稿しています

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

処理中です...