父親に会うために戻った異世界で、残念なイケメンたちと出会うお話【本編完結】

未来へ

幸せの連鎖

季節が夏に変わり、シールズではダニールが正式に即位した。
しなやかな筋肉を身に付けて、髪を短くしたダニールは最初に会った時が嘘みたいに精悍な若き皇帝になっていた。

初めて行ったシールズの皇都は色とりどりの建物が建ち並ぶ美しい都で、中央教会で噂の神官長さんにも会った。優しそうなおじいちゃんで懲りずにダニールと俺の婚約を打診してルーカスに怒られてた。大丈夫、ダニールには素敵なお嫁さんくるよ。

「ルーカスが拗ねてない…」

「アキは俺達の物だってもう分かったからな…おぃジジィ、今回までは聞かなかった事にしてやろう…」

いや…大丈夫じゃないか…
可哀想に神官長様プルプル震えてる。

サファのカルロ様達の結婚式にも行ったんだ。
まさかの三兄弟が一人のお嫁さんをもらうスタイル…
この世界の愛の形って…
お嫁さんはセクシー美女のミランダ様…厳つい三人が完全に尻に敷かれてて面白かった。
サファの嫁は最強だね。
兄弟三人と美女一人の初夜…どうなるんだろう…なんか凄そうだな。ちょっと覗いてみたいなって思ったら、ファビオ様に「アキちゃん見にくる？」って言われてビビった…
俺そんな分かりやすいかな？

それと同時にアンジェロとミハイルの婚約も発表された。
ミハイル、兄達との死闘に勝利して許されたらしい…愛の力だね。

そして今…
命の誕生に立ち会っています。
アハトがね、今後の為にって立ち会わせてくれたんだ。

異世界の出産は100%安産なんだって。もちろん陣痛や産みの苦しみはあるんだけど、必ず元気に産まれてくる。
出てくる場所が違うだけで女性も産める男性も一緒。

アハトはトピアスに手を握られて陣痛の痛みと戦ってる。
ハンナの見立てだとあと少しで産まれてくるみたい…

「アキ様…もっと近くで見ていいんですよ」

アハトに言われたけどトピアスいるしね、産める方だけど一応は男だからね…興味はあるけど枕元で見守ります。

「アハト、頭が見えてますよ。そのままゆっくり息を吐いて…」

ハンナに言われてふっーと息を吐いた瞬間、空気が変わった気がした。

元気な産声を上げて産まれてきたのは男の子…

「可愛い…ちっちゃい…」

「アキ様、この子の名前をつけてくださいませんか？」

「俺が？トピアスいいの？」

笑顔で頷くトピアス、うん
決めた…

「ルカってどうかな？俺のいた世界で光を持つ者って意味なんだ、ルカの属性は光だよ」

「属性が分かるのですか？」

「うん、分かる。魔力量も多いね…ルカ、どうかな君の名前気に入ってくれた？」

アハトの腕の中の小さな天使に話しかけると、一瞬目を開けて笑ったような気がした。

「気に入ったみたいですね…」

「ルカ…素敵な名前ですね、アキ様ありがとうございます」

ルカを抱いたアハトは聖母そのもので、宗教画を見てるみたいだ。

幸せが幸せを連れてきて、大きな幸せになっていく…
可愛い天使の小さなおててに手を伸ばすと指をぎゅっと握られた。

ルカ…君が産まれた世界は優しい人が沢山の素敵な世界だよ…