上 下
130 / 156
はぐくむ

ドラゴアの夜

しおりを挟む
迎えに来たカイとドラゴアへ、通されたのはファミリーダイニング。
そこにはアーロン様のご両親も来ていた。
お祖父様とダニール様がそっくり!
言葉はいらないね、三人は家族だ。

ニーロ様のポルチはボルシチみたいな料理でアーロン様のお母様が作ってくれたミートパイとシールズ産のワイン…素朴で暖かい料理は心も温かくなった。

ダニール様も沢山食べてたよ、ミートパイもよく作ってもらったんだって。

話がつきないニーロ様達にご挨拶して俺とカイは退席。

「アキ、連れていきたい場所があるんだ」

手を引かれて転移門で到着したのは不思議な建物…
壁も床も白一色、間接照明の優しい光だけで家具も見当たらない。

「ここは?」

「私が一人になりたい時に使っている別荘だ。山の上にあるから少し気温が低いが寒くないか?」

「大丈夫…」

「一階には資料や蔵書を置いてる。二階に行こう」

「綺麗…」

二階はワンフロアで一面は全面ガラス張り、目の前にはドラゴアの夜景の海が広がっていた。

「アキにこの景色を見せたかった。バルコニーに出てみないか?」

外に出ると少し冷たい空気が気持ちいい、ドラゴアの皇都は高層の建物が多くて密集してるから凄く綺麗。

「冷えるといけない」

カイがブランケットをかけてくれる。

「ありがとう…」

「アキ、もう一つ見せたい物があるんだ。こっちにおいで」

バルコニーの端には壁で仕切られた場所があって湯気が出てる。

「もしかしてお風呂?」

「アキの為に作ったんだ、部屋からもテラスからも出入り出来る温泉だ。扉を開けてごらん」

「凄い!夜景を見ながら入れるんだね」

大理石で作られた浴槽は二人で入っても余裕の広々した作りだった。

「夜景だけじゃないぞ、アキ…一緒に入らないか?」

温泉の誘惑に勝てない俺は進化著しいスパダリに器用に服を脱がされお湯の中へ…
うわっ肌がツルツル、泉質最高じゃん!

「アキ、上を見て」

カイが照明を落とすと空には満天の星…
いつのまにか服を脱いだカイ…昨日はちゃんと見る余裕がなかったけど、引き締まった肉体は物凄くセクシーだ…

「アキの肌がピンクに染まっている…少し熱いか?」

隣に座ったカイの手が頬をなぞる…

「お湯加減は丁度いい…少し恥ずかしかっただけ…カイ、キスしたい…」

夜の静寂の中、お湯が流れる音と重なる唇からこぼれる吐息しか聞こえない。
薄暗い視界の先にはカイと満天の星…

「カイ…好き…」

呟いた瞬間、強く抱きしめられるとカイの香りがぶわっと広がる。

「アキ…ありがとう。諦めないで良かった…幸せだ…」

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

ダメな方の異世界召喚された俺は、それでも風呂と伴侶を愛してる

おりく
BL
ちょっと早めのハロウィンとは名ばかりのコスプレ呑み会の会場に入ろうとしてドアを開けたら異世界転移してしまった紫苑 魔法があり魔獣もいる世界で生きるためにハンターになることにしたが、特大の問題があった 転移した国は慢性的な水不足で風呂文化が存在しなかったのだ クリーンの魔法では汚れは落ちるが風情が無い! 風呂文化がない事が我慢できない紫苑はチートな魔力で風呂を普及するべく行動に出る 風呂が好きなのに、日本では銭湯・スーパー銭湯・レジャープールに入れなかった鬱憤は異世界で晴らす! もう我慢はしないと決めた男がチート級の魔力にモノを言わせて花嫁たちを溺愛つつ異世界で好き勝手する話 6章から不定期更新になります 嫁を愛でたい男の日常の話です 糖度が高いです お風呂まで長いです R18までも長いです(3章に少し、4章から) 素人がスマホでポチポチ書いています キリの良いところまで複数話更新することがあります 選択肢が増えると良いな、と思い総攻めを投稿してみました 何でも許せる方、お付き合いください

突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています

ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた 魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。 そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。 だがその騎士にも秘密があった―――。 その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

琥珀に眠る記憶

餡玉
BL
父親のいる京都で新たな生活を始めることになった、引っ込み思案で大人しい男子高校生・沖野珠生。しかしその学園生活は、決して穏やかなものではなかった。前世の記憶を思い出すよう迫る胡散臭い生徒会長、黒いスーツに身を包んだ日本政府の男たち。そして、胸騒ぐある男との再会……。不可思議な人物が次々と現れる中、珠生はついに、前世の夢を見始める。こんなの、信じられない。前世の自分が、人間ではなく鬼だったなんてこと……。 *拙作『異聞白鬼譚』(ただ今こちらに転載中です)の登場人物たちが、現代に転生するお話です。引くぐらい長いのでご注意ください。 第1幕『ー十六夜の邂逅ー』全108部。 第2幕『Don't leave me alone』全24部。 第3幕『ー天孫降臨の地ー』全44部。 第4幕『恋煩いと、清く正しい高校生活』全29部。 番外編『たとえばこんな、穏やかな日』全5部。 第5幕『ー夜顔の記憶、祓い人の足跡ー』全87部。 第6幕『スキルアップと親睦を深めるための研修旅行』全37部。 第7幕『ー断つべきもの、守るべきものー』全47部。 ◇ムーンライトノベルズから転載中です。fujossyにも掲載しております。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

狼騎士は異世界の男巫女(のおまけ)を追跡中!

Kokonuca.
BL
異世界!召喚!ケモ耳!な王道が書きたかったので ある日、はるひは自分の護衛騎士と関係をもってしまう、けれどその護衛騎士ははるひの兄かすがの秘密の恋人で…… 兄と護衛騎士を守りたいはるひは、二人の前から姿を消すことを選択した 完結しましたが、こぼれ話を更新いたします

最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。

羽海汐遠
ファンタジー
 最強の魔王ソフィが支配するアレルバレルの地。  彼はこの地で数千年に渡り統治を続けてきたが、圧政だと言い張る勇者マリスたちが立ち上がり、魔王城に攻め込んでくる。  残すは魔王ソフィのみとなった事で勇者たちは勝利を確信するが、肝心の魔王ソフィに全く歯が立たず、片手であっさりと勇者たちはやられてしまう。そんな中で勇者パーティの一人、賢者リルトマーカが取り出したマジックアイテムで、一度だけ奇跡を起こすと言われる『根源の玉』を使われて、魔王ソフィは異世界へと飛ばされてしまうのだった。  最強の魔王は新たな世界に降り立ち、冒険者ギルドに所属する。  そして最強の魔王は、この新たな世界でかつて諦めた願いを再び抱き始める。  彼の願いとはソフィ自身に敗北を与えられる程の強さを持つ至高の存在と出会い、そして全力で戦った上で可能であれば、その至高の相手に完膚なきまでに叩き潰された後に敵わないと思わせて欲しいという願いである。  人間を愛する優しき魔王は、その強さ故に孤独を感じる。  彼の願望である至高の存在に、果たして巡り合うことが出来るのだろうか。  『カクヨム』  2021.3『第六回カクヨムコンテスト』最終選考作品。  2024.3『MFブックス10周年記念小説コンテスト』最終選考作品。  『小説家になろう』  2024.9『累計PV1800万回』達成作品。  ※出来るだけ、毎日投稿を心掛けています。  小説家になろう様 https://ncode.syosetu.com/n4450fx/   カクヨム様 https://kakuyomu.jp/works/1177354054896551796  ノベルバ様 https://novelba.com/indies/works/932709  ノベルアッププラス様 https://novelup.plus/story/998963655

処理中です...